有価証券報告書-第73期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/30 9:26
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による世界的なパンデミックに見舞われ、4月の緊急事態宣言の発出に伴い、経済状況が2008年9月に起きました「リーマンショック」を上回る落ち込みとなりました。
政府や自治体主導の経済対策・感染対策により徐々に回復の兆しを見せ始めましたが、2020年の日本の総広告費は東日本大震災のあった2011年以来9年ぶりにマイナス成長となりました。その中で外出・移動の自粛によるリモートワークやキャッシュレス決済の拡大等、社会におけるデジタルトランスフォーメーションが一気に加速したことにより、インターネット広告費は回復も早く通期でプラス成長となった一方で、テレビメディア広告費は前年比89.0%、ラジオ広告費も前年比84.6%と大幅なマイナス成長となり、グループの中核となる放送事業は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受ける結果となりました。こうした中、広告主の業績不調に伴う広告費の低迷はテレビ、ラジオ両部門の主要事業・興行や広告販促キャンペーンの延期・中止を招き、テレビ、ラジオ収入は共に大きく前期割れとなりました。
この様な環境のもと、当社グループの財政状態は、資産合計は273億6,854万円となり前連結会計年度に比べ10億
9,230万円(4.1%)の増加、負債合計は27億8,637万円となり前連結会計年度に比べ3億1,386万円(12.6%)の増加、純資産合計は245億8,217万円となり前連結会計年度に比べ7億7,843万円(3.2%)の増加となりました。
当社グループの経営成績は、売上は78億4,556万円と前連結会計年度に比べ9億8,120万円(11.1%)の減収となりました。一方、営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費の合計をいう。)は、代理店手数料の減少等により、75億4,283万円となり、前連結会計年度に比べ5億288万円(6.2%)減少しました。
この結果、経常利益は4億1,499万円と、前連結会計年度に比べ4億4,890万円(51.9%)の減益となりました。また税金等調整前当期純利益は20億5,225万円と、前連結会計年度に比べ11億8,914万円(137.7%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億5,803万円と、前連結会計年度に比べ6億8,583万円(119.8%)の増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.放送事業
ラジオ部門は前連結会計年度に比べ9,586万円(13.4%)の減収、テレビ部門の売上は前連結会計年度に比べ8億9,685万円(13.3%)の減収となりました。全体の売上高は64億4,119万円と前連結会計年度に比べ9億9,264万円(13.3%)の減収、営業利益は2億8,360万円と前連結会計年度に比べ3億2,849万円(53.6%)の減益となりました。
b.映像事業
映像制作部門の売上高は5億5,581万円と前連結会計年度に比べ3,943万円(7.6%)の増収となり、営業利益は3,759万円と前連結会計年度に比べ335万円(9.7%)の増益となりました。
c.サービス事業
情報システム事業部の売上高は8億115万円と前連結会計年度に比べ3,949万円(4.6%)の減収、営業利益216万円と前連結会計年度に比べ947万円(81.4%)の減益となりました。
d.不動産事業
不動産事業の売上高は4,740万円と前連結会計年度に比べ1,150万円(32.0%)の増収となりました。営業利益は新館の不動産取得税等の支払いにより8,028万円と前連結会計年度に比べ1億3,267万円(62.3%)の減益となりました。
なお、上記の各金額には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資有価証券売却益が16億3,743万円、法人税等の支払が3億5,720万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が20億5,225万円、減価償却費が3億7,643万円あり、営業活動によるキャッシュ・フローは4億1,110万円の収入超過となりました。有形固定資産の取得による支出が48億5,595万円や投資有価証券の取得による支出が2億9,778万円がありましたが、定期預金の解約による収入28億円、投資有価証券の売却による収入が23億円2,050万円ありましたことにより投資活動によるキャッシュ・フローは4億429万円の収入超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは3,527万円の支出超過となりました。以上の結果、資金は前連結会計年度末に比べて7億8,012万円増加し、当連結会計年度末では81億4,857万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億1,110万円(前期は12億5,583万円の収入超過)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益20億5,225万円、投資有価証券売却益16億3,743万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は4億429万円(前期は20億9,451万円の支出超過)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出48億5,595万円、定期預金の解約による収入28億円、投資有価証券の売却による収入23億2,050万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,527万円(前期は4,413万円の支出超過)でした。
これは主として、配当金の支払い3,026万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
特に記載するべき事項はありません。
b.受注実績
特に記載するべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
放送事業(千円)6,441,19386.6
映像事業(千円)555,819107.6
サービス事業(千円)801,15795.3
不動産事業(千円)47,400132.0
合計(千円)7,845,56988.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱TBSテレビ1,291,56414.61,205,94115.3
㈱電通1,118,13112.6864,28411.0
㈱博報堂DYメディ
アパートナーズ
977,73711.0876,92911.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度の売上は、78億4,556万円と前連結会計年度に比べ9億8,120万円(11.1%)の減収となりました。営業費用につきましては、75億4,283万円と、前連結会計年度に比べ5億288万円(6.2%)の減少となりました。その結果、経常利益では、4億1,499万円と前連結会計年度に比べ4億4,890万円(51.9%)の減益となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、12億5,803万円と前連結会計年度に比べ6億8,583万円(119.8%)の増益となりました。
売上の大半を占める放送事業では、ラジオ部門の売上が6億1,940万円と、前連結会計年度に比べ9,586万円(13.4%)の減収となりました。タイム・スポット収入は、新型コロナウイルス感染症の影響で番組・催事の中止などにより、減収となりました。
テレビ部門の売上は58億1,417万円と、前連結会計年度に比べ8億9,685万円(13.3%)の減収となりました。タイム収入は、新型コロナウイルス感染症の影響で催事・番組の中止に伴い減収となりました。スポット収入も同様に新型コロナウイルス感染症の影響などにより、主要業種の「食品」「自動車・輸送機器」等の低迷により、減収となりました。
放送事業全体では売上は64億4,119万円、営業利益は2億8,360万円と前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
映像事業については売上は5億5,581万円、営業利益は3,759万円と前連結会計年度に比べ増収増益となりました。
サービス事業については売上は8億115万円、営業利益は216万円と前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
不動産事業については売上は4,740万円、営業利益は8,028万円と前連結会計年度に比べ増収減益となりました。
(財政状態)
当連結会計年度の流動資産は、現金及び預金が大きく減少したことから、112億1,615万円となり、前連結会計年度に比べ24億9,429万円減少しました。固定資産は、投資有価証券の売却や建設仮勘定が大きく増加したことから、161億5,239万円となり、前連結会計年度に比べ35億8,659万円の増加となりました。流動負債は未払法人税等が増加したため、前連結会計年度に比べ3億7,502万円増加の21億3,443万円となりました。固定負債は、繰延税金負債の減少により、前連結会計年度に比べ6,115万円減少して、6億5,194万円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が増加して245億8,217万円となり、前連結会計年度に比べ7億7,843万円増加しました。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは事業の効率性の観点から「売上高営業利益率」を重要な指標として認識しております。前連結会計年度の営業利益率が8.8%であったのに対し、当連結会計年度は3.8%であり、5.0%下落いたしました。これは放送事業のテレビスポット収入の減少が大きな要因であります。ナショナル市場におけるテレビスポットの市況は依然として厳しいものがありますが、当該指標の向上に努めてまいります。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの収益の柱は、ラジオ・テレビの広告収入であります。この広告収入は景気変動や視聴率の動向、他のメディアとの競合による影響を受けるものであります。また、2020年度に竣工した新社屋及びそれに伴う放送設備の導入による多額の償却費も当社グループの経営成績に影響を与えるものであります。詳しくは「第2 事業の状況」の「事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが4億1,110万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローが4億429万円の収入超過、財務活動によるキャッシュ・フローは3,527万円の支出超過となりました。RSKホールディングス株式会社、RSK山陽放送株式会社の新社屋開業に伴い、2021年度においては、投資活動によるキャッシュ・フローの大幅な支出超過が想定されております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物は、81億4,857万円で、前連結会計年度に比べ7億8,012万円(10.5%)増加しました。
放送事業におきましては、放送継続にかかる設備投資は今後も対応していく必要があります。また、その他事業においても、引続き事業の再構築を進めることが必要になると思われ、健全な財政状態を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの充実を図るつもりであります。なお、キャッシュ・フローの状況につきましては(1)経営成績等の状況の概要の②.キャッシュ・フローの状況に記載しております。
当社グループは現在、運転資金の一部を金融機関からの借入により調達しておりますが、当社においては設備資金、事業資金ともに自己資金にて対応しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。