有価証券報告書-第74期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/30 10:15
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により個人消費等が後退したほか、半導体などの供給不足は主要産業の生産体制に大きな痛手を与えました。下半期にはワクチン接種の浸透により、新型コロナウイルス感染症は一時的に下火となりサービス業を中心に回復基調となりましたが、1月以降は再び拡大し、景況に水を差された格好となりました。
2021年(暦年)の日本の総広告費は前年に比べ10.4%増、テレビ広告費は前年に比べ11.1%増、ラジオ広告費は前年に比べ3.8%増と前年の反動も含めて回復しました。一方、インターネット広告費は堅調で前年に比べ21.4%増とマスコミ4媒体の広告費の総額を上回ることとなりました(電通調)。
こうした中、当社グループの中核事業であります放送事業は6月6日に新社屋で放送を開始し、開業に伴う各種催事に取り組みましたが、全国的なテレビ視聴の低迷により、テレビスポット収入の取り込みには苦戦しました。また、感染防止の観点から主要な事業が中止・延期されたこともあり、前年度より増収とはなりましたが、2019年度実績の水準までは戻りませんでした。
この様な環境のもと、当社グループの財政状態は、資産合計は263億9,167万円となり前連結会計年度に比べ9億7,687万円(3.5%)の減少、負債合計は21億3,813万円となり前連結会計年度に比べ6億4,824万円(23.2%)の減少、純資産合計は242億5,354万円となり前連結会計年度に比べ3億2,862万円(1.3%)の減少となりました。
当社グループの経営成績は、売上高は85億7,546万円と前連結会計年度に比べ7億2,989万円(9.3%)の増収となりました。一方、営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費の合計)は、新社屋開業に伴う減価償却費の増加等により87億6,816万円と前連結会計年度に比べ12億2,532万円(16.2%)の増加となりました。
この結果、営業損失は1億9,269万円(前連結会計年度は3億273万円の営業利益)、経常損失は1億1,944万円(前連結会計年度は4億1,499万円の経常利益)、税金等調整前当期純損失は1億2,439万円(前連結会計年度は20億5,225万円の税金等調整前当期純利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1億8,372万円(前連結会計年度は12億5,803万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.放送事業
ラジオ部門は前連結会計年度に比べ1,553万円(2.5%)の増収、テレビ部門の売上は前連結会計年度に比べ3億2,915万円(5.6%)の増収となりました。全体の売上高は67億8,609万円と前連結会計年度に比べ3億4,489万円(5.3%)の増収、営業損失は1億6,834万円(前連結会計年度は2億8,360万円の営業利益)となりました。
b.映像事業
映像事業の売上高は5億4,507万円と前連結会計年度に比べ1,074万円(1.9%)の減収となり、営業利益は1,845万円と前連結会計年度に比べ1,914万円(50.9%)の減益となりました。
c.サービス事業
サービス事業の売上高は11億6,367万円と前連結会計年度に比べ3億6,251万円(45.2%)の増収、営業利益7,497万円と前連結会計年度に比べ7,280万円(3,366.5%)の増益となりました。これは情報システム事業部の大型案件受注に大きく起因します。
d.不動産事業
不動産事業の売上高は新規賃貸物件の取得により8,062万円と前連結会計年度に比べ3,322万円(70.1%)の増収となりました。営業損失は減価償却費の増加により373万円(前連結会計年度は8,028万円の営業利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払が8億3,933万円ありましたが、減価償却費が11億982万円あり、営業活動によるキャッシュ・フローは5,338万円の収入超過となりました。有形固定資産の取得による支出が24億1,018万円、投資有価証券の取得による支出が1億979万円がありましたことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは24億5,125万円の支出超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払いによる支出が5,342万円ありましたことにより、5,842万円の支出超過となりました。以上の結果、資金は前連結会計年度末に比べて24億5,629万円減少し、当連結会計年度末では56億9,228万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は5,338万円(前期は4億1,110万円の収入超過)となりました。
これは主として、減価償却費11億982万円の収入と、法人税等の支払額8億3,933万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24億5,125万円(前期は4億429万円の収入超過)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出24億1,018万円、投資有価証券の取得による支出1億979万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5,842万円(前期は3,527万円の支出超過)となりました。
これは主として、配当金の支払い5,342万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
特に記載するべき事項はありません。
b.受注実績
特に記載するべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年同期比(%)
放送事業(千円)6,786,091105.3
映像事業(千円)545,07898.1
サービス事業(千円)1,163,670145.2
不動産事業(千円)80,629170.1
合計(千円)8,575,469109.3

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱TBSテレビ1,205,94115.31,220,08014.2
㈱電通864,28411.0976,13811.3
㈱博報堂DYメディ
アパートナーズ
876,92911.1820,2339.5

(2)経営者の視点による、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度の売上は、85億7,546万円と前連結会計年度に比べ7億2,989万円(9.3%)の増収となりました。営業費用につきましては、87億6,816万円と、前連結会計年度に比べ12億2,532万円(16.2%)の増加となりました。その結果、営業損失は1億9,269万円(前連結会計年度は3億273万円の営業利益)、経常損失は1億1,944万円(前連結会計年度は4億1,499万円の経常利益)、また親会社株主に帰属する当期純損失は1億8,372万円(前連結会計年度は12億5,803万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり、前連結会計年度に比べ増収減益となりました。
売上の大半を占める放送事業では、ラジオ部門の売上が6億3,493万円と、前連結会計年度に比べ1,553万円(2.5%)の増収となりました。タイム収入は前連結会計年度に比べ増加、スポット収入は衆議院選挙の政党スポットがありましたが、流通小売業などの不振により、前連結会計年度に比べ減少しました。テレビ部門の売上は61億4,333万円と、前連結会計年度に比べ3億2,915万円(5.6%)の増収となりました。タイム収入は、ハウジングプラザの出展増などにより前連結会計年度に比べ増加、スポット収入は、半導体などの部品供給不足により自動車・輸送機器は落ち込んだものの、交通・レジャー、情報・通信が堅調であり、前連結会計年度に比べ増収となりました。
放送事業全体では売上は67億8,609万円、営業損失は1億6,834万円と前連結会計年度に比べ増収減益となりました。
映像事業については売上は5億4,507万円、営業利益は1,845万円と前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
サービス事業については売上は11億6,367万円、営業利益は7,497万円と前連結会計年度に比べ増収増益となりました。
不動産事業については売上は8,062万円、営業損失は373万円と前連結会計年度に比べ増収減益となりました。
(財政状態)
当連結会計年度の流動資産は、現金及び預金が大きく減少したことから、98億1,216万円となり、前連結会計年度に比べ14億398万円減少しました。固定資産は、有形固定資産が増加したことから、165億7,950万円となり、前連結会計年度に比べ4億2,711万円の増加となりました。流動負債は未払法人税等が減少したため、前連結会計年度に比べ6億4,211万円減少し、14億9,231万円となりました。固定負債は、前連結会計年度に比べ613万円減少して、6億4,581万円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が減少して242億5,354万円となり、前連結会計年度に比べ3億2,862万円減少しました。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは事業の効率性の観点から「売上高営業利益率」を重要な指標として認識しております。前連結会計年度の営業利益率が3.8%でありましたが、当連結会計年度は営業損失を計上しております。これは放送事業のテレビスポット収入の減少と新館開業に伴う減価償却費の増大が大きな要因であります。中期計画のもと、営業利益の確保を行い当該指標の向上に努めてまいります。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの収益の柱は、ラジオ・テレビの広告収入であります。この広告収入は景気変動や視聴率の動向、他のメディアとの競合による影響を受けるものであります。また、2021年度に開業した新社屋及びそれに伴う放送設備の導入による多額の償却費も当社グループの経営成績に影響を与えるものであります。詳しくは「第2 事業の状況」の「事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが5,338万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローが24億5,125万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは5,842万円の支出超過となりました。中期計画に基づく利益改善、新社屋開業に伴う減価償却により営業活動によるキャッシュ・フローは収入超過になっていくものと想定しております。当社の収益物件の取得、有価証券取得に伴い、投資活動によるキャッシュ・フローについては支出超過が見込まれます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物は、56億9,228万円で、前連結会計年度に比べ24億5,629万円(30.1%)減少しました。
放送事業におきましては、放送継続にかかる設備投資は今後も対応していく必要があります。また、その他事業においても、引続き事業の再構築を進めることが必要になると思われ、健全な財政状態を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの充実を図るつもりであります。なお、キャッシュ・フローの状況につきましては(1)経営成績等の状況の概要の②キャッシュ・フローの状況に記載しております。
当社グループは現在、運転資金の一部を金融機関からの借入により調達しておりますが、当社においては設備資金、事業資金ともに自己資金にて対応しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。