有価証券報告書-第68期(2025/04/01-2026/03/31)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当期の我が国の経済は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられたものの、各種政策効果に支えられ、個人消費や設備投資が持ち直すなど、緩やかな回復基調が続きました。一方で、賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、食料品を中心とした物価高騰により、個人消費は力強さを欠く状況が続きました。放送業界においては、キー局をめぐる一連の事案を契機に、メディアの公共性や情報の信頼性に対して社会から厳しい目が向けられ、信頼回復とコンプライアンス体制の充実が求められる一年となりました。また、広告出稿見合わせの影響に加え、広告単価への適正な転嫁の遅れや、広告需要のデジタル領域への移行などにより、経営環境は引き続き厳しい状況で推移しました。広告市場全体では総広告費が増加した一方、マスコミ四媒体広告費はほぼ横ばいにとどまり、地上波テレビ広告費も横ばい圏で推移しました。こうした経済・社会情勢のもと、当社グループは、主力である放送事業において、安定的な放送の継続と収益の確保に努めるとともに、信頼回復に向けたガバナンス及びコンプライアンス体制の整備、各事業における取り組みを通じて、企業価値の維持向上に努めました。
以上の結果、放送事業において減収、不動産賃貸事業、情報処理事業、その他の事業において増収となり、連結売上高は194億34百万円(前年同期比4.5%増)となりました。経常利益は5億38百万円(前年同期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億63百万円(前年同期比74.4%増)となりました。
セグメントごとの業績は以下のとおりです。
① 放送事業
放送事業においては、収益の柱であるスポット収入が、キー局をめぐる一連の事案の影響による大幅な落ち込みからしだいに回復基調となった一方で、ここ数年続くPUT(総個人視聴率)低下に伴うCM枠不足の影響を受けました。また、同事案の影響によるレギュラーセールスの落ち込みが継続したことや、前年度の単発番組案件の反動減によりローカルタイム収入が減少したことに加え、ネットタイム収入も前期を下回りました。一方、MD事業収入は、番組「ゴリパラ見聞録」関連商品の販売が、放送開始15周年イベントと連動した展開や委託販売店舗の拡大などにより伸長したことから、増加しました。また、福岡県、福岡市、長崎県対馬市などの自治体からのプロポーザル案件の受託により、営業雑収入も増加しました。費用面では、前期末に実施した第2スタジオ・サブの映像・音声システム更新や、デジタル放送の送信設備更新をはじめとする大規模設備投資の影響により、減価償却費が大幅に増加しました。一方で、株価上昇に伴い退職給付費用が縮小したことから人件費は大幅に減少し、継続して取り組んでいる番組制作費・番組購入費の抑制も費用の低減につながりました。これらの結果、売上原価は僅かな増加にとどまりました。販売費及び一般管理費は、放送事業収入の減少に伴い代理店手数料が縮小したことなどにより、前期を下回りました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比1.8%減の122億6百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比39.7%減の2億11百万円となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業では、賃貸オフィスビルTNC放送会館の当期末入居率が99.4%となり、前期末から0.4ポイント上昇しました。店舗区画およびオフィス区画への新規入居、主要オフィステナントの賃料等の改定により、家賃収入および共益費収入が増加しました。一方、費用面では、燃料費単価の上昇に伴う電力料・空調費、ビルメンテナンス会社への外注費、設備更新に伴う減価償却費が増加したほか、屋上塗装補修工事の着手により修繕費が増加しました。また、販売費及び一般管理費は、人件費の増加などにより前年を上回りました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比4.7%増の11億22百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比32.7%減の1億49百万円となりました。
③ 情報処理事業
情報処理事業では、主力分野である放送系ビジネスにおいて、大型プロジェクトであるテレビ営業放送システムの開発が本番稼働に至りましたが、作業スケジュールの遅延と要員増により他案件への要員投入が制約され、新規案件の取り込みが困難となったことなどから、売上の伸長には至りませんでした。一方、公共・一般系ビジネスでは、フェリー運航システムの基幹業務部分が本番稼働したほか、新規フェリー会社向け案件の作業本格化が売上の底上げに寄与しました。費用面では、放送系大型案件やフェリー運航システム開発の遅延を補う要員増に加え、フェリー関連プロジェクトの本格稼働に伴う体制強化のため、外注要員費用が大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比16.2%増の33億75百万円、セグメント損益(営業損益)は14百万円の利益(前年同期は2億98百万円の損失)となりました。
④ その他の事業
その他の事業では、BPO事業部門における「子育て見守り訪問事業」の新規運用開始、人材派遣部門における派遣人員の増加、受託部門における業務委託料の改定等により増収となりました。番組制作・CM制作部門においても、受注拡大に取り組んだ結果、番組制作、CM、VP、プリプロ、ポスプロの各売上が増加しました。一方、ネット関係の受注が減少したほか、メディア事業部門は前期の大型文化催事の反動減により減収となりました。費用面では、BPO事業の拡大に伴う外注費・労務費の増加、人材派遣部門の人員増加や拠点移転に伴う費用増、番組制作・CM制作部門における原作料・業務委託費の増加などがありました。
以上の結果、当セグメントの売上高は前年同期比25.2%増の27億30百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比935.4%増の13百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、187億4百万円(前期末183億59百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が増加、投資活動による支出が増加、財務活動による支出が増加しました。その結果、資金は3億44百万円増加しました(+1.9%)。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で得られた資金は、前期に比べて5億22百万円増加し(+45.5%)、16億70百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5億2百万円、減価償却費10億68百万円、法人税等の支払額2億17百万円があったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は、前期に比べて2億2百万円増加し(+19.0%)、12億66百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出14億45百万円、投資有価証券の取得による支出10億20百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13億47百万円があったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は、前期に比べて11百万円増加し(+24.8%)、59百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出11百万円、配当金の支払額41百万円があったことなどによります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとらないものがほとんどで、販売品目は多岐にわたり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。販売の実績については、「経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメント | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 放送事業 | 12,206,166 | -1.8% |
| 不動産賃貸事業 | 1,122,375 | 4.7% |
| 情報処理事業 | 3,375,486 | 16.2% |
| その他の事業 | 2,730,626 | 25.2% |
| 合 計 | 19,434,653 | 4.5% |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| ㈱電 通 | 3,107,063 | 16.7 | 3,189,234 | 16.4 |
| ㈱博報堂 | 2,250,181 | 12.1 | 2,146,883 | 11.0 |
| ㈱フジテレビジョン | 1,506,876 | 8.1 | 1,509,452 | 7.8 |
(注) ㈱博報堂DYメディアパートナーズは2025年4月1日をもって㈱博報堂と統合して㈱博報堂になりました。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(1) 財政状態の分析
① 資産
当期の資産合計は、現金及び預金、電子記録債権、投資有価証券などが増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産、その他の流動資産、有形固定資産などが減少したことにより、前期末に比べて19億12百万円増加し(+4.1%)、490億65百万円となりました。
② 負債
当期の負債合計は、長期借入金、繰延税金負債などが増加した一方で、未払法人税等、その他の流動負債、退職給付に係る負債などが減少したことにより、前期末に比べて1億38百万円増加し(+2.2%)、63億65百万円となりました。
③ 純資産
当期の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を2億63百万円計上し、利益剰余金が2億21百万円増加、その他有価証券評価差額金が15億13百万円増加、非支配株主持分が39百万円増加したことにより、前期末に比べて17億73百万円増加し(+4.3%)、426億99百万円となりました。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当期の売上高は、放送事業がスポット収入やタイム収入の減少等により減収となった一方、不動産賃貸事業がTNC放送会館の新規入居や賃料改定等により増収、情報処理事業が公共・一般系ビジネスでの本番稼働等により増収、その他の事業がBPO事業部門での新規運用開始や番組制作・CM制作部門での受注拡大等により増収となったことなどにより、前期に比べて8億41百万円増加し(+4.5%)、194億34百万円となりました。
② 営業利益
当期の営業利益は、放送事業がスポット収入などの減少により大幅な減益、不動産賃貸事業が減価償却費や修繕費等の増加により減益となった一方、情報処理事業が公共・一般系ビジネスでの本番稼働等により大幅な増益となったことなどにより、前期に比べて1億13百万円増加し(+42.7%)、3億79百万円となりました。
③ 経常利益
当期の経常利益は、営業利益に加えて営業外収益1億65百万円、営業外費用6百万円を計上したことにより、前期に比べて1億8百万円増加し(+25.4%)、5億38百万円となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加、特別損失が減損損失の計上などで36百万円増加、法人税等が2億20百万円減少したことなどにより、前期に比べて1億12百万円増加し(+74.4%)、2億63百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、187億4百万円(前期末183億59百万円)となりました。前期に比べて、営業活動による収入が5億22百万円増加、投資活動による支出が2億2百万円増加、財務活動による支出が11百万円増加したことにより、3億44百万円増加しました(+1.9%)。
詳細については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」の注記事項に記載のとおり
です。