有価証券報告書-第36期(令和2年6月1日-令和3年5月31日)
(業績等の概要)
(1) 業績
当事業年度(以下、「当期」)における当社の属する国内の情報サービス産業においては、システム更新需要のほか、モバイル対応、IoT等デジタルデータを活用した業務効率化、急拡大しているリモートワークへの対応、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするクラウドおよびIT投資が底堅く推移しております。一方、新型コロナウイルス感染拡大により業績への影響を受けた、一部業種における顧客企業のIT投資延期や意思決定の保留も依然としてみられました。
このような環境下において、当社は引き続き、当社製品・サービスの活用によって顧客企業のイノベーションの実現とビジネス変革、成長を強力に支援することへの価値訴求を継続してまいりました。
また今般の新型コロナウイルスについて、当社としても、社員および顧客企業をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることが最重要課題のひとつと捉えております。全従業員のリモートワークへのシフトと顧客企業への安定的なサービスの提供、営業体制の構築を継続して実施してまいりました。
このような取り組みの結果、売上高208,523百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益70,904百万円(前年同期比3.0%増)、経常利益70,904百万円(前年同期比3.0%増)、当期純利益49,175百万円(前年同期比3.1%増)となり、通期では営業利益、経常利益および当期純利益ともに過去最高益を達成いたしました。
各セグメント別の営業の概況は次のとおりであります。
市場展開方針
私たちのミッションは、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくことです。
「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」を掲げ、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援することにより、さらなる企業成長を目指しております。テクノロジー企業であるオラクルが自社のテクノロジーを用いて実践したDX(デジタル・トランスフォーメーション)のビジネス成果をお客様企業へ導入することで、Oracle@Oracleが実現したデータ・ドリブンなDXへのジャーニーを支援してまいります。
当社はシステムを構築するために必要なプラットフォーム製品、業務アプリケーション、ハードウェアまでを、クラウド、オンプレミスいずれの環境においても展開可能な総合的製品ポートフォリオを有しております。特にソフトウェア・ライセンス製品は、長年、高度なセキュリティ、可用性と高速処理性能が求められるミッションクリティカル領域で広く採用されております。新たな事業の柱として注力しているオラクルクラウドは、このソフトウェア・ライセンスと同じ設計思想、同じ技術で構築しており、オラクルのソフトウェア・ライセンスで構築したオンプレミス・システムとオラクルクラウドとの連携、双方向の移行を可能とすることを強みとしております。
データ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウドサービス、それらの利用を支援する各種サービスの提供をさらに加速させるため「カスタマー・フォーカス」を掲げ、「ERPクラウドアップグレード」、「大型案件の獲得」、「クラウドデータ利用量の増大」に一層注力してまいりました。また、企業が取り扱う爆発的な情報量の増大、過酷なワークロードに対して、セキュアな環境下でパフォーマンスを発揮することができる「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」を基盤とするテクノロジークラウドサービスの価値訴求にも注力しております。
戦略を推進する体制として、2019年5月東京地域に開設したデータセンターに加え、2020年2月大阪地域に2拠点目のデータセンターを開設し、エンタープライズのワークロード、セキュリティ、さらにDR(ディザスター・リカバリー:災害被害からの回復、事業継続マネジメント)に対応したサービスを提供しております。
また、営業面では、クラウドビジネスおよびライセンスビジネスに特化した営業組織を再編し、サポート、コンサルティング部門との「チームコラボレーション」により付加価値サービスを訴求し、クラウドビジネスの拡大を推進してまいります。さらに、市場規模に応じたあらゆる業種のお客様向けに営業部隊を構築し、当社の価値を訴求し続けております。
[用語解説]
(1)クラウドサービス:企業等のITシステムに利用されるソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービスとして提供する形態。
(2)オンプレミス:ITシステムを自社所有で構築・運用する形態。
[クラウド&ライセンス]
売上高は170,225百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は70,110百万円(前年同期比1.0%増)となりました。内訳につきましては、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は47,173百万円(前年同期比14.2%減)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は123,052百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
当セグメントは企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェアのソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成されます。
クラウドライセンス&オンプレミスライセンスについては、上記の市場展開方針により、当社製品・サービスの価値訴求を積極的に展開してまいりましたが、国内で二度目の緊急事態宣言発令および延長を受け、ライセンスビジネスにおいては一部プロジェクトの延期や保留がありました。一方、引き続きパートナー企業様とのアライアンス強化を積極的に推進し、中堅中小企業向けの需要創出にも注力してまいりました。
また、「Oracle Cloud Infrastructure (OCI)」を始めとするクラウドサービスについては、パフォーマンスやセキュリティ、費用対効果を重視されるお客様からの引合いがより強くなっており、当期の戦略のひとつであるエンタープライズ向けERPアップグレード(オンプレミスからクラウドへのリフト&シフト)についても幅広い業種において多くの実績を残すことができました。これに伴い、2019年5月に開設した東京地区データセンターおよび2020年2月に新設した大阪地区データセンターの利用量は引き続き順調に増加しており、適宜設備増設を行っております。
ライセンスサポートについては、高い契約更新率を維持しており、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの販売に伴う新規保守契約も高水準を堅持しております。
[ハードウェア・システムズ]
売上高は17,083百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益は699百万円(前年同期比7.8%減)となりました。
当セグメントは、サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェア・システムズ・プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェアの更新版等の提供を行う「ハードウェア・システムズ・サポート」から構成されます。
ハードウェア・システムズにつきましては、2019年9月に提供を開始したインテル社製の“Persistent Memory(永続性メモリ)”を搭載した、“Oracle Exadata Database Machine X8M”は引き続き多くの引き合いをいただいております。Exadata X8Mは、ストレージ・ボトルネックを排除し、オンライン・トランザクション処理(OLTP)、アナリティクス、IoT、不正検出、高頻度取引など、最も過酷なワークロード向けにパフォーマンスを大幅に向上させます。
[サービス]
売上高は21,214百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は4,594百万円(前年同期比36.2%増)となりました。
当セグメントは、当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」、技術者や利用者向けの研修事業や技術資格の認定事業を提供する「エデュケーションサービス」から構成されております。
サービスにつきましては、コンサルティングサービスにおいて、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、当社の総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が堅調に推移しております。
<報告セグメント別売上高の状況>
(注) 金額は単位未満を切り捨て、構成比ならびに対前年同期比は単位未満を四捨五入で表示しております。
(2) キャッシュ・フロー
当期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、65,148百万円(前年同期比22,838百万円増)となりました。これは主に、税引前当期純利益(70,918百万円)の計上、前受金の増加(12,475百万円)、売上債権の減少(7,739百万円)によるキャッシュ・インがある一方で、法人税等の納付(20,193百万円)等によるキャッシュ・アウトがあった結果によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、50,118百万円(前年同期比19,534百万円増)となりました。これは主に、オラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)からの貸付金の回収(160,000百万円)の一方、新たにオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する最長で2021年2月より5年間を貸付期間とするローンの実施による貸付け(210,000百万円)を行った結果によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、21,115百万円(前年同期比4,017百万円増)となりました。これは主に、配
当金の支払いによるものです。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は前事業年度末と比べ、6,127百万円減少し、53,964百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、売上原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当社の事業はオラクル・コーポレーションの開発した製品の販売およびそれに付随する関連サービスの提供が主体であり、個別受注生産という概念に該当する業務の金額に重要性がないため、記載を省略しております。
(3) 販売状況
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
本項における将来に関する記載は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
イ 売上高
全社売上高は208,523百万円(前年同期比1.3%減)となりました。セグメント別の売上の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
ロ 営業利益および経常利益
ハードウェア・システムズセグメントでは前事業年度を下回りましたが、サービスセグメント及びクラウド&ライセンスセグメントが堅調に推移したため、全社として営業利益は70,904百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
売上原価は、106,764百万円(前年同期比2.2%減)となりました。これは主に、クラウド&ライセンスセグメントにおける人件費及び減価償却費の減少によるものです。また、サービスセグメントにおいては、業務委託費が減少しました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスの影響により広告宣伝費及び旅費交通費、また、通信費等が減少した結果、30,854百万円(前期同期比7.6%減)となりました。
営業外損益0百万円の収益(純額)を計上した結果、経常利益は70,904百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
ハ 当期純利益
特別利益として新株予約権戻入益(13百万円)及び法人税等(21,742百万円)を計上した結果、当期純利益は49,175百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
ニ 1株当たり当期純利益(EPS)
上記の結果、1株当たり当期純利益(EPS)は11.40円増加し、383.92円(前年同期比3.1%増)となりました。
②財政状態の分析
当事業年度末における総資産は333,999百万円(前期末比39,859百万円増)となりました。
(資産の部)
当事業年度末における流動資産は、81,038百万円(前期末比168,794百万円減)となりました。これは主に、2019年2月より実施したオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)からの貸付金の回収による関係会社短期貸付金の減少(160,000百万円)によるものです。
当事業年度末における固定資産は、252,960百万円(前事業年度末比208,654百万円増)となりました。これは主に、新たにオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する最長で2021年2月より5年間を貸付期間とするローンの実施による関係会社長期貸付金の増加(210,000百万円)によるものです。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末比で11,223百万円増加し、113,999百万円となりました。これは主に、前受金の増加(12,475百万円)等によるものです。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末比で28,636百万円増加し、219,999百万円となりました。これは主に、ストック・オプションの行使による資本金、資本剰余金の各々の増加(149百万円)、当期純利益の計上(49,175百万円)及び剰余金の配当(19,097百万円)による利益剰余金の増加(30,077百万円)によるものです。この結果、自己資本比率は65.8%(前期末比0.8ポイントアップ)となりました。
なお、当社では、経営の意思決定上、資産及び負債を各セグメントに配分していないため、セグメントごとの財政状態の状況に関する記載を省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社における資金の使途の主な内容としましては、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用並びに各種税金の納付等であります。売上原価の内訳は、主に「クラウド&ライセンス」に係るロイヤルティ、原価部門における労務費及び業務委託費、「ハードウェア・システムズ」セグメントにおける仕入原価であります。その他の資金の使途の主な内容としましては、クラウド事業に関連する設備投資、各種税金の納付、配当金の支払となっております。これらの資金需要は、営業キャッシュ・フローから生じる自己資金によって賄っております。
当社の資金管理・運用については、当社が定める資金管理・運用規程(オラクル・コーポレーションが定めるglobal policy)に則り、高い安全性と適切な流動性の確保を図っております。
また、当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社においては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表等は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。この財務諸表等の作成にあたっては、期末日における資産および負債、会計期間における収益および費用に影響を与えるような仮定や見積りを必要とします。過去の経験および状況下において妥当と考えられた見積りであっても、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当事業年度の財務諸表の作成にあたって、当社は、新型コロナウイルス感染症の事業への影響が当事業年度中にかけて一定程度継続するとの仮定のもと、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性の評価や固定資産の減損会計の検討等)を行っておりましたが、当事業年度末時点では依然として収束時期等が不透明な状況であることを踏まえ、翌事業年度前半にかけて一定程度事業への影響が継続するものと仮定を変更いたしました。
当社はこの仮定のもと、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性の評価や固定資産の減損会計の検討等)を行っております。なお、これによる当社の経営成績および財政状態に与える影響については、現時点において重要性はありません。
(1) 業績
当事業年度(以下、「当期」)における当社の属する国内の情報サービス産業においては、システム更新需要のほか、モバイル対応、IoT等デジタルデータを活用した業務効率化、急拡大しているリモートワークへの対応、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするクラウドおよびIT投資が底堅く推移しております。一方、新型コロナウイルス感染拡大により業績への影響を受けた、一部業種における顧客企業のIT投資延期や意思決定の保留も依然としてみられました。
このような環境下において、当社は引き続き、当社製品・サービスの活用によって顧客企業のイノベーションの実現とビジネス変革、成長を強力に支援することへの価値訴求を継続してまいりました。
また今般の新型コロナウイルスについて、当社としても、社員および顧客企業をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることが最重要課題のひとつと捉えております。全従業員のリモートワークへのシフトと顧客企業への安定的なサービスの提供、営業体制の構築を継続して実施してまいりました。
このような取り組みの結果、売上高208,523百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益70,904百万円(前年同期比3.0%増)、経常利益70,904百万円(前年同期比3.0%増)、当期純利益49,175百万円(前年同期比3.1%増)となり、通期では営業利益、経常利益および当期純利益ともに過去最高益を達成いたしました。
各セグメント別の営業の概況は次のとおりであります。
市場展開方針
私たちのミッションは、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくことです。
「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」を掲げ、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援することにより、さらなる企業成長を目指しております。テクノロジー企業であるオラクルが自社のテクノロジーを用いて実践したDX(デジタル・トランスフォーメーション)のビジネス成果をお客様企業へ導入することで、Oracle@Oracleが実現したデータ・ドリブンなDXへのジャーニーを支援してまいります。
当社はシステムを構築するために必要なプラットフォーム製品、業務アプリケーション、ハードウェアまでを、クラウド、オンプレミスいずれの環境においても展開可能な総合的製品ポートフォリオを有しております。特にソフトウェア・ライセンス製品は、長年、高度なセキュリティ、可用性と高速処理性能が求められるミッションクリティカル領域で広く採用されております。新たな事業の柱として注力しているオラクルクラウドは、このソフトウェア・ライセンスと同じ設計思想、同じ技術で構築しており、オラクルのソフトウェア・ライセンスで構築したオンプレミス・システムとオラクルクラウドとの連携、双方向の移行を可能とすることを強みとしております。
データ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウドサービス、それらの利用を支援する各種サービスの提供をさらに加速させるため「カスタマー・フォーカス」を掲げ、「ERPクラウドアップグレード」、「大型案件の獲得」、「クラウドデータ利用量の増大」に一層注力してまいりました。また、企業が取り扱う爆発的な情報量の増大、過酷なワークロードに対して、セキュアな環境下でパフォーマンスを発揮することができる「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」を基盤とするテクノロジークラウドサービスの価値訴求にも注力しております。
戦略を推進する体制として、2019年5月東京地域に開設したデータセンターに加え、2020年2月大阪地域に2拠点目のデータセンターを開設し、エンタープライズのワークロード、セキュリティ、さらにDR(ディザスター・リカバリー:災害被害からの回復、事業継続マネジメント)に対応したサービスを提供しております。
また、営業面では、クラウドビジネスおよびライセンスビジネスに特化した営業組織を再編し、サポート、コンサルティング部門との「チームコラボレーション」により付加価値サービスを訴求し、クラウドビジネスの拡大を推進してまいります。さらに、市場規模に応じたあらゆる業種のお客様向けに営業部隊を構築し、当社の価値を訴求し続けております。
[用語解説]
(1)クラウドサービス:企業等のITシステムに利用されるソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービスとして提供する形態。
(2)オンプレミス:ITシステムを自社所有で構築・運用する形態。
[クラウド&ライセンス]
売上高は170,225百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は70,110百万円(前年同期比1.0%増)となりました。内訳につきましては、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は47,173百万円(前年同期比14.2%減)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は123,052百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
当セグメントは企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェアのソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成されます。
クラウドライセンス&オンプレミスライセンスについては、上記の市場展開方針により、当社製品・サービスの価値訴求を積極的に展開してまいりましたが、国内で二度目の緊急事態宣言発令および延長を受け、ライセンスビジネスにおいては一部プロジェクトの延期や保留がありました。一方、引き続きパートナー企業様とのアライアンス強化を積極的に推進し、中堅中小企業向けの需要創出にも注力してまいりました。
また、「Oracle Cloud Infrastructure (OCI)」を始めとするクラウドサービスについては、パフォーマンスやセキュリティ、費用対効果を重視されるお客様からの引合いがより強くなっており、当期の戦略のひとつであるエンタープライズ向けERPアップグレード(オンプレミスからクラウドへのリフト&シフト)についても幅広い業種において多くの実績を残すことができました。これに伴い、2019年5月に開設した東京地区データセンターおよび2020年2月に新設した大阪地区データセンターの利用量は引き続き順調に増加しており、適宜設備増設を行っております。
ライセンスサポートについては、高い契約更新率を維持しており、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの販売に伴う新規保守契約も高水準を堅持しております。
[ハードウェア・システムズ]
売上高は17,083百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益は699百万円(前年同期比7.8%減)となりました。
当セグメントは、サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェア・システムズ・プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェアの更新版等の提供を行う「ハードウェア・システムズ・サポート」から構成されます。
ハードウェア・システムズにつきましては、2019年9月に提供を開始したインテル社製の“Persistent Memory(永続性メモリ)”を搭載した、“Oracle Exadata Database Machine X8M”は引き続き多くの引き合いをいただいております。Exadata X8Mは、ストレージ・ボトルネックを排除し、オンライン・トランザクション処理(OLTP)、アナリティクス、IoT、不正検出、高頻度取引など、最も過酷なワークロード向けにパフォーマンスを大幅に向上させます。
[サービス]
売上高は21,214百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は4,594百万円(前年同期比36.2%増)となりました。
当セグメントは、当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」、技術者や利用者向けの研修事業や技術資格の認定事業を提供する「エデュケーションサービス」から構成されております。
サービスにつきましては、コンサルティングサービスにおいて、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、当社の総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が堅調に推移しております。
<報告セグメント別売上高の状況>
区分 | 2020年5月期 | 2021年5月期 | ||||
金額 | 構成比 | 金額 | 構成比 | 対前年 同期比 | ||
百万円 | % | 百万円 | % | % | ||
クラウドライセンス& オンプレミスライセンス | 54,972 | 26.0 | 47,173 | 22.6 | △14.2 | |
クラウドサービス& ライセンスサポート | 117,601 | 55.6 | 123,052 | 59.0 | 4.6 | |
クラウド&ライセンス | 172,573 | 81.7 | 170,225 | 81.6 | △1.4 | |
ハードウェア・システムズ | 17,362 | 8.2 | 17,083 | 8.2 | △1.6 | |
サービス | 21,420 | 10.1 | 21,214 | 10.2 | △1.0 | |
合計 | 211,357 | 100.0 | 208,523 | 100.0 | △1.3 |
(注) 金額は単位未満を切り捨て、構成比ならびに対前年同期比は単位未満を四捨五入で表示しております。
(2) キャッシュ・フロー
当期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、65,148百万円(前年同期比22,838百万円増)となりました。これは主に、税引前当期純利益(70,918百万円)の計上、前受金の増加(12,475百万円)、売上債権の減少(7,739百万円)によるキャッシュ・インがある一方で、法人税等の納付(20,193百万円)等によるキャッシュ・アウトがあった結果によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、50,118百万円(前年同期比19,534百万円増)となりました。これは主に、オラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)からの貸付金の回収(160,000百万円)の一方、新たにオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する最長で2021年2月より5年間を貸付期間とするローンの実施による貸付け(210,000百万円)を行った結果によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、21,115百万円(前年同期比4,017百万円増)となりました。これは主に、配
当金の支払いによるものです。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は前事業年度末と比べ、6,127百万円減少し、53,964百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
クラウド&ライセンス | 78,126 | △1.3 |
ハードウェア・システムズ | 14,663 | △1.2 |
サービス | 13,975 | △7.8 |
合計 | 106,764 | △2.2 |
(注) 1 金額は、売上原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当社の事業はオラクル・コーポレーションの開発した製品の販売およびそれに付随する関連サービスの提供が主体であり、個別受注生産という概念に該当する業務の金額に重要性がないため、記載を省略しております。
(3) 販売状況
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) | |
クラウド&ライセンス | |||
クラウドライセンス&オンプレミスライセンス | 47,173 | △14.2 | |
クラウドサービス&ライセンスサポート | 123,052 | 4.6 | |
クラウド&ライセンス計 | 170,225 | △1.4 | |
ハードウェア・システムズ | |||
ハードウェア・システムズ計 | 17,083 | △1.6 | |
サービス | |||
サービス計 | 21,214 | △1.0 | |
合計 | 208,523 | △1.3 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
日本電気㈱ | 23,583 | 11.2 | 24,873 | 11.9 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
本項における将来に関する記載は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
イ 売上高
全社売上高は208,523百万円(前年同期比1.3%減)となりました。セグメント別の売上の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
ロ 営業利益および経常利益
ハードウェア・システムズセグメントでは前事業年度を下回りましたが、サービスセグメント及びクラウド&ライセンスセグメントが堅調に推移したため、全社として営業利益は70,904百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
売上原価は、106,764百万円(前年同期比2.2%減)となりました。これは主に、クラウド&ライセンスセグメントにおける人件費及び減価償却費の減少によるものです。また、サービスセグメントにおいては、業務委託費が減少しました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスの影響により広告宣伝費及び旅費交通費、また、通信費等が減少した結果、30,854百万円(前期同期比7.6%減)となりました。
営業外損益0百万円の収益(純額)を計上した結果、経常利益は70,904百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
ハ 当期純利益
特別利益として新株予約権戻入益(13百万円)及び法人税等(21,742百万円)を計上した結果、当期純利益は49,175百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
ニ 1株当たり当期純利益(EPS)
上記の結果、1株当たり当期純利益(EPS)は11.40円増加し、383.92円(前年同期比3.1%増)となりました。
②財政状態の分析
当事業年度末における総資産は333,999百万円(前期末比39,859百万円増)となりました。
(資産の部)
当事業年度末における流動資産は、81,038百万円(前期末比168,794百万円減)となりました。これは主に、2019年2月より実施したオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)からの貸付金の回収による関係会社短期貸付金の減少(160,000百万円)によるものです。
当事業年度末における固定資産は、252,960百万円(前事業年度末比208,654百万円増)となりました。これは主に、新たにオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する最長で2021年2月より5年間を貸付期間とするローンの実施による関係会社長期貸付金の増加(210,000百万円)によるものです。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末比で11,223百万円増加し、113,999百万円となりました。これは主に、前受金の増加(12,475百万円)等によるものです。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末比で28,636百万円増加し、219,999百万円となりました。これは主に、ストック・オプションの行使による資本金、資本剰余金の各々の増加(149百万円)、当期純利益の計上(49,175百万円)及び剰余金の配当(19,097百万円)による利益剰余金の増加(30,077百万円)によるものです。この結果、自己資本比率は65.8%(前期末比0.8ポイントアップ)となりました。
なお、当社では、経営の意思決定上、資産及び負債を各セグメントに配分していないため、セグメントごとの財政状態の状況に関する記載を省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社における資金の使途の主な内容としましては、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用並びに各種税金の納付等であります。売上原価の内訳は、主に「クラウド&ライセンス」に係るロイヤルティ、原価部門における労務費及び業務委託費、「ハードウェア・システムズ」セグメントにおける仕入原価であります。その他の資金の使途の主な内容としましては、クラウド事業に関連する設備投資、各種税金の納付、配当金の支払となっております。これらの資金需要は、営業キャッシュ・フローから生じる自己資金によって賄っております。
当社の資金管理・運用については、当社が定める資金管理・運用規程(オラクル・コーポレーションが定めるglobal policy)に則り、高い安全性と適切な流動性の確保を図っております。
また、当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社においては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表等は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。この財務諸表等の作成にあたっては、期末日における資産および負債、会計期間における収益および費用に影響を与えるような仮定や見積りを必要とします。過去の経験および状況下において妥当と考えられた見積りであっても、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当事業年度の財務諸表の作成にあたって、当社は、新型コロナウイルス感染症の事業への影響が当事業年度中にかけて一定程度継続するとの仮定のもと、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性の評価や固定資産の減損会計の検討等)を行っておりましたが、当事業年度末時点では依然として収束時期等が不透明な状況であることを踏まえ、翌事業年度前半にかけて一定程度事業への影響が継続するものと仮定を変更いたしました。
当社はこの仮定のもと、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性の評価や固定資産の減損会計の検討等)を行っております。なお、これによる当社の経営成績および財政状態に与える影響については、現時点において重要性はありません。