四半期報告書-第34期第3四半期(平成30年12月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/04/11 15:11
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26項目
当社の四半期財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この四半期財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産および負債の金額、収益および費用の金額に影響を与えるような仮定、見積り、判断を必要とします。過去の経験や状況に応じ合理的と判断した入手可能な情報に基づいた仮定、見積り、判断であっても、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
① 業績の状況
当第3四半期累計期間(自 2018年6月1日 至 2019年2月28日。以下、「当四半期」)における日本国内の経済環境は、米国をはじめとする政策の変更、貿易摩擦の拡大等の動きがあり、今後も注視していく必要があるものの、引き続き緩やかな改善基調にありました。
また現在、社会、企業活動においては生産年齢人口の減少、グローバル対応、新規事業の開拓などの課題に対し、デジタル技術を活用し問題解決に取り組んでいくことが重要となっております。当社の属する国内の情報サービス産業におきましても、システム更新需要の他、モバイル対応、IoT等デジタルデータを活用した業務効率化、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするIT投資が堅調に推移しております。
このような事業環境のもと、当社は、クラウドサービスやデータを活用し、顧客企業のイノベーションの実現とビジネスの変革を支援するベストパートナーになることを目指し、社員への継続的な投資を行い、社員の専門性を高めるとともに、営業、コンサルティングサービス、サポートサービスの連携による複合提案力の強化を図っております。
2018年12月には中堅・中小企業のIT・クラウド活用を推進・支援するための営業拠点として「Oracle Digital Hub Tokyo」を開設しました。当該マーケットをカバーする営業組織「Oracle Digital」と、クラウドERP「Oracle NetSuite」の部門を当拠点に配置し、全国のお客様のニーズにダイレクトに対応できるよう、最新のデジタルツールを活用し、オラクルのクラウド・ソリューション提案を推進しております。
以上の結果、当四半期(9ヶ月累計)の経営成績につきましては、売上高139,784百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益42,421百万円(前年同期比8.1%増)、経常利益42,430百万円(前年同期比8.3%増)、四半期純利益29,387百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
② 報告セグメント別の状況
市場展開方針
当社は、システムを構築するのに必要なプラットフォーム製品、業務アプリケーション、ハードウェアまでをクラウド、オンプレミスいずれの環境においても展開可能な総合的な製品ポートフォリオを有しております。特にソフトウェア・ライセンス製品は、長年、高度なセキュリティ、可用性と高速処理性能が求められるミッションクリティカル領域で広く採用されております。新たな事業の柱として注力しているオラクルクラウドは、このソフトウェア・ライセンスと同じ設計思想、同じ技術で構築しており、オラクルのソフトウェア・ライセンスで構築したオンプレミス・システムとオラクルクラウドとの連携、双方向の移行を可能とすることが強みです。
現在当社ではこの強みを活かし、お客様が当社の製品サービスを最適な状態でご利用できるよう、社員の専門性を高め、営業、コンサルティングサービス、サポートサービスが連携し、「大型案件の獲得」、「Autonomousアップグレード」、「ERPアップグレード」にフォーカスし、ビジネスを推進しております。
製品・サービス面では、現在オラクルでは他のクラウドサービスとの差別化の1つとして、オラクルクラウドにAIを組み込み、パッチ適用やパフォーマンス・チューニングなどの保守運用の自律化を推進しております。2018年3月に提供を開始した「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」に続き、同年8月にはオンライントランザクションを管理する「Oracle Autonomous Transaction Processing」の提供を開始しました。また、ERPアップグレードを推進するためのサービスとして、オンプレミス環境で稼働している「Oracle E-Business Suite」をオラクルのERPクラウドに短期間で移行する「Oracle Soar」の提供を開始しました。
2018年2月に発表しました国内データセンターにつきましては、サービス開始に向けて準備を進めております。また、2019年2月に当社と日本オラクルインフォメーションシステムズ合同会社は、クラウドサービス販売に関する代理店契約(当社を日本国内の販売代理店とする)を締結いたしました。
購入形態については、より幅広いお客様にオラクルのテクノロジーをより柔軟にご利用いただくため、お客様が既にお持ちのオラクル・ ソフトウェア・ライセンスを「Oracle PaaS」に持ち込むことを可能とする「Bring Your Own License(BYOL)」と、シンプルな契約を1つ結ぶだけで、「Oracle PaaS」、「Oracle IaaS」のあらゆるサービスを利用することができる「Universal Credits」を提供し、クラウド&ライセンスビジネスの拡大に取り組んでおります。
[用語解説]
* クラウドサービス:企業等のITシステムに利用されるソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービスとして提供する形態。
* SaaS(Software as a Service):財務会計や給与・人事管理などのソフトウェアの必要な機能を必要な分だけ、インターネットを経由して提供するサービス。
* PaaS(Platform as a Service):ITシステムを構築、稼働させるための基盤となるデータベース管理ソフトウェアや、異なるソフトウェア間を円滑に連携させる中間層のソフトウェアを、インターネットを経由して提供するサービス。
* IaaS(Infrastructure as a Service):ITシステムを構築、稼働させるための基盤(サーバーマシンやストレージなどのハードウェアやネットワークなど)そのものを、インターネットを経由して提供するサービス。
* オンプレミス:ITシステムを自社所有で構築・運用する形態。
[クラウド&ライセンス (*)]
売上高は110,781百万円(前年同期比6.5%増)となりました。内訳につきましては、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は28,901百万円(前年同期比5.0%減)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は81,879百万円(前年同期比11.2%増)となりました。 当セグメントは企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェアのソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成されます。
* 第1四半期会計期間より、従来の「クラウドおよびソフトウェア」を「クラウド&ライセンス」、「新規ライセンス」を「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」、「アップデート&プロダクトサポート」と「クラウド(SaaS/PaaS/IaaS)」を統合し、「クラウドサービス&ライセンスサポート」に変更致しました。
第1四半期会計期間では、サービス、通信、流通を中心にデータ、デジタルテクノロジーを積極的に活用し、顧客接点の強化を行い、売上成長を図られているお客様や、企業の急速な成長に対応するため基幹業務システムの増強を推進されている複数のお客様から、クラウドサービス、ソフトウェアライセンスを組み合わせた大型案件を受注いたしました。
第2四半期会計期間では、製造、流通・サービス、公共・公益を中心に幅広い業種・事業規模のお客様からご採用いただきました。当社の強みを活かした営業活動の結果、グローバル展開されている製造業のお客様から海外拠点向けのERPクラウドを受注したほか、小売業のお客様からERPクラウド、顧客接点強化のためのマーケティングおよび営業管理とカスタマーサービスの機能を統合したエンゲージメントクラウド、それらの追加機能をPaaSで構築する総合型クラウド案件を受注しました。
第3四半期会計期間では、前年同期の大型案件の反動減の影響がありましたが、流通、サービス、製造のお客様から店舗販売管理、決済サービス、生産管理のシステム基盤として、当社の「Oracle Exadata」をご採用いただきました。
全般的な需要動向としては、四半期毎の変動はあるものの、ミッションクリティカル・システム向けへのOracle Databaseを中心とするオンプレミス・ライセンスが堅調です。また、クラウドサービスについてはオンプレミス・システムとの親和性やPaaS、IaaSの機能の豊富さから、「Oracle Cloud Platform」に対する需要の他、解析処理やリスク計算など、セキュリティを確保しつつ、高負荷処理に対応し、高いコスト・パフォーマンスを必要とするお客様向けに、「Oracle Cloud Infrastructure」に対する需要が増加しております。SaaSにつきましても、企業規模の拡大に伴い経営管理・リスク統制の強化、業務の効率化を目的とするお客様から、短期導入が可能であるとしてERPクラウドを始めとするSaaSの検討、採用が進んでおります。
[ハードウェア・システムズ]
売上高は12,975百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
当セグメントは、サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェアシステムズ プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェア の更新版等の提供を行う「ハードウェアシステムズ サポート」から構成されます。
[サービス]
売上高は16,027百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
当セグメントは、当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」、技術者や利用者向けの研修事業や技術資格の認定事業を提供する「エデュケーションサービス」から構成されております。コンサルティングサービスでは、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、当社の総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が順調に推移しております。
<報告セグメント別売上高の状況>
区分2018年5月期
第3四半期
2019年5月期
第3四半期
2018年5月期
金額構成比金額構成比対前年
同期比
金額構成比
百万円%百万円%%百万円%
クラウドライセンス&
オンプレミスライセンス
30,42323.128,90120.7△5.046,55725.1
クラウドサービス&
ライセンスサポート
73,63555.981,87958.611.299,96053.9
クラウド&ライセンス104,05979.0110,78179.36.5146,51879.0
ハードウェア・システムズ12,5389.512,9759.33.518,0639.7
サービス15,11711.516,02711.56.020,89811.3
合計131,716100.0139,784100.06.1185,481100.0

(注) 金額は単位未満を切り捨て、構成比ならびに対前年同期比は単位未満を四捨五入で表示しております。
③ 営業利益
営業利益は、ハードウェア・システムズセグメント及びサービスセグメントにおいては、前年並みとなりましたが、クラウド&ライセンスセグメントの売上伸長により、42,421百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
売上原価は、73,531百万円(前年同期比6.4%増)となりました。クラウド&ライセンスセグメントおける売上伸長に伴い、ロイヤルティ費用が増加しました。また、サービスセグメントにおいては、コンサルティング・サービスにおける業務委託費が増加しました。
販売費及び一般管理費は、業務委託費の増加等により、23,831百万円(前期同期比1.9%増)となりました。
④ 営業外損益および経常利益
経常利益は、営業外損益9百万円の収益(純額)を計上した結果、42,430百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
⑤ 四半期純利益
特別利益として新株予約権戻入益を計上した結果、四半期純利益は29,387百万円(前期比8.7%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期会計期間末における流動資産合計は、前事業年度末比で142,579百万円減少し、49,711百万円とな りました。これは主に、当第3四半期会計期間におけるオラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する最長で2年間を貸付期間とするローンの実施(130,000百万円)等による現金及び預金の減少(141,880百万円)および売掛金の減少(5,635百万円)等によるものです。
当第3四半期会計期間末における固定資産合計は、前事業年度末比で131,771百万円増加し、175,990百万円となりました。これは、前述のローンの実施(130,000百万円)、会計方針の変更による契約獲得に伴う増分コスト(契約獲得によって発生した営業部門の賞与)の資産計上の対象範囲とその償却期間の一部見直しを遡及して行ったこと、有形固定資産取得による増加等によるものです。
(負債の部)
当第3四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末比で25,612百万円減少し、79,471百万円となりました。これは主に、前受金の減少(14,693百万円)および未払法人税等の減少(5,629百万円)によるものです。
(純資産の部)
当第3四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末比で14,804百万円増加し、146,230百万円となりました。これは主に、ストック・オプションの行使による資本金、資本剰余金の各々の増加(152百万円)、当四半期純利益の計上(29,387百万円)、配当金の支払(15,489百万円)および収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の当期首残高の増加(1,258百万円)の結果による利益剰余金の増加(15,156百万円)によるものです。この結果、自己資本比率は64.7%(前事業年度末比9.2ポイントアップ)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
2018年8月21日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載した内容から重要な変更はありません。