四半期報告書-第37期第3四半期(令和3年12月1日-令和4年2月28日)

【提出】
2022/04/11 11:53
【資料】
PDFをみる
【項目】
40項目
当社の四半期財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この四半期財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産および負債の金額、収益および費用の金額に影響を与えるような仮定、見積り、判断を必要とします。過去の経験や状況に応じ合理的と判断した入手可能な情報に基づいた仮定、見積り、判断であっても、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
① 業績の状況
当第3四半期累計期間(自 2021年6月1日 至 2022年2月28日。以下、「当四半期」)の経営成績につきましては、売上高153,506百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益51,557百万円(前年同期比3.7%増)、経常利益51,649百万円(前年同期比3.9%増)、四半期純利益35,793百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
当四半期における当社の属する国内の情報サービス産業においては、システム更新需要のほか、企業が収集するあらゆるデジタルデータを活用した業務効率化、選択的リモートワークへの対応、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするクラウドサービスや、Autonomous(自動化)、AI(人工知能)、マシーン・ラーニング(機械学習)、ディープ・ラーニング(深層学習)など新しいテクノロジーに対するIT投資が底堅く推移しております。このような環境下において、当社は引き続き、当社製品・サービスの活用によって顧客企業のイノベーションの実現とビジネス変革、成長を強力に支援することへの価値訴求を継続してまいりました。
また今般の新型コロナウイルスについて、当社としても、社員および顧客企業をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることが最重要課題のひとつと捉えております。全従業員のリモートワークへのシフトと顧客企業への安定的なサービスの提供、営業体制の構築を継続して実施してまいりました。
また、当社は東京証券取引所の新市場区分について、事業を継続的に成長させ、あらゆるステークホルダーの期待に応えるという使命に注力することを背景として「スタンダード市場」を選択し、2022年4月に移行いたしました。
② 報告セグメント別の状況
市場展開方針
私たちのミッションは、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくことです。
「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」を掲げ、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援することにより、さらなる企業成長を目指しております。テクノロジー企業であるオラクルが自社のテクノロジーを用いて実践したDX(デジタル・トランスフォーメーション)のビジネス成果をお客様企業へ導入することで、Oracle@Oracleが実現したデータ・ドリブンなDXへのジャーニーを支援してまいります。
当社はシステムを構築するために必要なプラットフォーム製品、業務アプリケーション、ハードウェアまでを、クラウド、オンプレミスいずれの環境においても展開可能な総合的製品ポートフォリオを有しております。特にソフトウェア・ライセンス製品は、長年、高度なセキュリティ、可用性と高速処理性能が求められるミッションクリティカル領域で広く採用されております。新たな事業の柱として注力しているオラクルクラウドは、このソフトウェア・ライセンスと同じ設計思想、同じ技術で構築しており、オラクルのソフトウェア・ライセンスで構築したオンプレミス・システムとオラクルクラウドとの連携、双方向の移行を可能とすることを強みとしております。
これまで注力してきたデータ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウドサービス、それらの利用を支援する各種サービスの提供をさらに加速させ、お客様のDXをけん引してまいります。
「クラウドトランスフォーメーションを加速」させていくための施策として、具体的には以下4点に注力し取り組みます。
1)「SaaSによるデータ・ドリブンなDX実現」
大規模かつ戦略的なトランザクションに焦点を当てたOracle Cloud ERP/HCM/CXにより、お客様のDXを推進してまいります。
2)「ハイブリッド・クラウドでIT基盤をモダナイズ」
基幹システムの大規模ワークロードをOCI(Oracle Cloud Infrastructure)に移行し、クラウドエンジニアの増員に注力します。
3)「社会インフラのDX推進」
パブリックセクターの営業体制を強化し、社会インフラのDXを推進し、地方自治体のスマートシティプロジェクトを支援してまいります。
4)「パートナーエコシステム拡充」
お客様のデータセンター内にオラクルのパブリック・クラウドを構築する「Dedicated Region Cloud@Customer」を戦略パートナーに展開し、OCI/SaaSのデリバリー体制構築を支援いたします。
戦略を推進する体制として、東京および大阪リージョンで運営しております2か所のデータセンターを適宜増設し、エンタープライズのワークロード、セキュリティ、さらにDR(ディザスター・リカバリー:災害被害からの回復、事業継続マネジメント)に対応したサービスを提供しております。
また、営業面では、クラウドビジネスおよびライセンスビジネスに特化した営業組織を再編し、さらにパブリックセクターに特化した部門を新設いたしました。より一層、サポート、コンサルティング部門との「チームコラボレーション」により付加価値サービスを訴求し、クラウドビジネスの拡大を推進してまいります。
また、市場規模に応じたあらゆる業種のお客様向けに営業部隊を構築し、当社の価値を訴求し続けております。
[用語解説]
* クラウドサービス:企業等のITシステムに利用されるソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービスとして提供する形態。
* オンプレミス:ITシステムを自社所有で構築・運用する形態。
[クラウド&ライセンス]
売上高は126,938百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は51,165百万円(前年同期比4.1%増)となりました。内訳につきましては、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は27,889百万円(前年同期比7.0%減)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は99,049百万円(前年同期比8.0%増)となりました。当セグメントは企業等のIT基盤に利用される、データベース管理ソフトウェア、各種ミドルウェア、ERP等の業務アプリケーションソフトウェアのソフトウェア・ライセンスを販売する「クラウドライセンス&オンプレミスライセンス」とライセンスを利用されているお客様に更新版等のアップデートや技術サポートを提供する「ライセンスサポート」、これらのソフトウェアやハードウェアのリソースを、インターネットを通じてサービス提供する「クラウドサービス」から構成されます。
クラウドライセンス&オンプレミスライセンスについては、上記の市場展開方針により、当社製品・サービスの価値訴求を積極的に展開してまいりました。ライセンスビジネスにおいては、コスト削減のためだけではなく、ビジネスを成長させていくためのIT投資需要は引き続き堅調ですが、世界的な半導体不足に起因するハードウェアのサプライチェーンイシュー(出荷遅延)に伴い、ライセンス販売もハードウェアの出荷にあわせて後ろ倒しになるケースがありました。
依然としてお客様の業種等によっては投資動向に振れ幅もあり、引き続き慎重に状況を精査し、事業を推進してまいります。
また、パートナー企業様とのアライアンス強化を積極的に推進し、クラウドパートナーとの協業強化を進め、中堅中小企業向けの需要創出にも注力してまいりました。
クラウドサービスにおいては、クラウドシフトをさらに加速させるため、当社のオンプレミスをご利用いただいている既存のお客様向けに“Oracle Fusion Cloud ERP”へのアップグレード(オンプレミスからクラウドへのリフト&シフト)に一層注力し、また新規契約においても幅広い業種において多くの実績を残すことができました。“Oracle Cloud Infrastructure (OCI)”については、パフォーマンスやセキュリティ、費用対効果を重視されるお客様からの引合いは引き続き強く、東京および大阪データセンターの利用量は順調に増加しております。
また、OCI, PaaSおよびOracle Exadata Cloud@Customerにおいて、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP - Information system Security Management and Assessment Program)に適合したクラウドサービスとして登録されております。政府機関等のデジタル化の推進に伴う、中長期的な需要創出および基盤構築への寄与を目指します。
中堅中小企業向けCloud ERPのNetSuiteにおいても、クラウドサービスを導入する企業の需要を取り込み堅調に推移いたしました。
ライセンスサポートは、高い契約更新率を維持しており、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの販売に伴う新規保守契約も高水準を堅持しております。
[ハードウェア・システムズ]
売上高は10,622百万円(前年同期比12.5%減)、営業利益は472百万円(前年同期比2.5%減)となりました。
当セグメントは、サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェア・システムズ・プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェアの更新版等の提供を行う「ハードウェア・システムズ・サポート」から構成されます。
ハードウェア・システムズにつきましては、2021年9月にインテル社製の“Persistent Memory(永続性メモリ)”を搭載した、“Oracle Exadata Database Machine X9M”(X8Mのアップグレード版)の提供を開始いたしました。引き続き需要は堅調ですが、世界的な半導体不足に伴うチップ不足により、出荷への影響が続いております。
Exadata X9Mは、ストレージ・ボトルネックを排除し、オンライン・トランザクション処理(OLTP)、アナリティクス、IoT、不正検出、高頻度取引など、最も過酷なワークロード向けにパフォーマンスを大幅に向上させます。
[サービス]
売上高は15,945百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は3,483百万円(前年同期比5.2%増)となりました。
当セグメントは、当社製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやお客様のIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」から構成されております。
サービスにつきましては、コンサルティングサービスにおいて、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、当社の総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が堅調に推移しております。
<報告セグメント別売上高の状況>
区分2021年5月期
第3四半期
2022年5月期
第3四半期
2021年5月期
金額構成比金額構成比対前年
同期比
金額構成比
百万円%百万円%%百万円%
クラウドライセンス&
オンプレミスライセンス
29,99920.027,88918.2△7.047,17322.6
クラウドサービス&
ライセンスサポート
91,68061.299,04964.58.0123,05259.0
クラウド&ライセンス121,68081.3126,93882.74.3170,22581.6
ハードウェア・システムズ12,1438.110,6226.9△12.517,0838.2
サービス15,87410.615,94510.40.421,21410.2
合計149,698100.0153,506100.02.5208,523100.0

(注) 金額は単位未満を切り捨て、構成比ならびに対前年同期比は単位未満を四捨五入で表示しております。
③ 営業利益
営業利益は、クラウド&ライセンスセグメントにおける売上高の増加(前年同期比4.3%増)等により、51,557百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
売上原価は、78,552百万円(前年同期比2.1%増)となりました。これは、クラウド&ライセンスセグメントにおいて、ロイヤルティが増加した一方、ハードウェア・システムズセグメントにおいて、当期仕入高が減少しました。
販売費及び一般管理費は、業務委託費が増加した一方、人件費等が減少した結果、23,397百万円(前期同期比1.4%増)となりました。
④ 営業外損益および経常利益
経常利益は、営業外損益92百万円の収益(純額)を計上した結果、51,649百万円(前年同期比3.9%増)となりました。
⑤ 四半期純利益
特別利益「新株予約権戻入益」(5百万円)、法人税等(15,861百万円)を計上した結果、四半期純利益は35,793百万円(前年同期比4.0%増)となりました。

(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期会計期間末における流動資産は、40,252百万円(前事業年度末比40,785百万円減)となりました。当第3四半期会計期間末における固定資産は、151,878百万円(前事業年度末比101,082百万円減)となりました。これは主に、オラクル・ジャパン・ホールディング・インク(当社の親会社)に対する関係会社長期貸付金の一部早期回収の実施による関係会社長期貸付金の減少(100,000百万円)によるものです。
(負債の部)
当第3四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末比で31,789百万円減少し、82,210百万円となりました。これは主に、契約負債の減少(18,602百万円)、未払法人税等の減少(8,702百万円)によるものです。
(純資産の部)
当第3四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末比で110,078百万円減少し、109,921百万円となりました。これは主に、ストック・オプションの行使による資本金、資本剰余金の各々の増加(26百万円)、当四半期純利益の計上(35,793百万円)、また、第1四半期累計期間において、期末配当金として1株当たり1,146円(特別配当992円を含む)を支払ったこと(146,949百万円)等によるものです。この結果、自己資本比率は57.2%(前事業年度末比8.6ポイントダウン)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期累計期間において、重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
2021年8月20日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載した内容から重要な変更はありません。