訂正有価証券報告書-第56期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当事業年度(2019年4月1日~2020年3月31日)におけるわが国経済は、雇用環境の改善や設備投資の持ち直しを背景に緩やかな回復基調にありました。しかし、米中の貿易摩擦問題や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響により先行き不透明な状況が続いています。
当社の属する情報サービス業界においては、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査2020年2月分確報」の情報サービス業の項の中から、当社が主に属するソフトウェア開発・プログラム作成(システムインテグレーション)とシステム等管理運営受託を合算した業務種類別売上によると、2019年4月~2020年2月は前年同期比3.8%の増加となり緩やかな伸びを示しました。
こうした環境下で当社の顧客企業が属する業界においては、第四次産業革命とも言われる「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」の動きが加速しています。それは、IoT、モバイル、ソーシャル技術、クラウド、AI、ビッグデータ分析を構成要素とするテクノロジープラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを生み出し、ネットとリアルの両面でカスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)の変革を図り、価値を創出し、競争上の優位性を確立するという動きです。
その将来へ向けたDX動向を産業別に俯瞰します。
① エレクトロニクス業界
・IoT、AI等のデジタル技術を活用した生産工程や流通工程のデジタル化により、生産や流通の自動化、バーチャル化を大幅に高めることで、生産コストと流通コストを極小化し、生産性を向上させ、スマートファクトリー、デジタルツインを実現し、インダストリー4.0へ進化。
・製造装置からビッグデータを収集し、AI(機械学習、深層学習)によるデータ分析を活用し、歩留解析、欠陥解析を改善。
・製品にIoT機能を備えることにより、「モノづくり」から「コトづくり」へ変革。
② 金融業界
・収益環境の急激な悪化とフィンテック企業との競合を受けて、収益源の新規サービス開拓やサービスの高度化、店舗ネットワークの見直し等の業務効率の改善が進められており、特に、スマホ決済、キャッシュレス化等の手軽で便利なサービスが進行。
・その際にテクノロジーとして、クラウド、AI、RPA、オープンAPI、ブロックチェーン等を活用。
③ エンタテインメント業界
・ユーザーとクリエイターやアーティストを繋ぎ感動をもたらすプラットフォームの提供。
・5Gモバイル、SNS、クラウドのサイバーとイベント等のリアルの顧客接点が融合。
・クラウド、AI、VR、AR、ブロックチェーン等のデジタルテクノロジーの活用。
④ エネルギー業界
・「5つのD」と言われる、人口減少・過疎化(Depopulation)、脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)、自由化(Deregulation)、デジタル化・IoT(Digitalization)というメガトレンドを受け、より安全・安定・安価で潤沢なエネルギーを提供するUtility3.0へ進化。
⑤ 自動車業界
・CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と言われる動向により、100年に一度の変革期。
・自動車の製造販売から、移動サービスのプラットフォームへと変革。
・MaaS(Mobility as a Service)コンソーシアムの拡大。
⑥ ヘルスケア業界
・人生100年時代と言われる高齢・健康長寿社会へ。そして治療から健康増進と予防へ。
・日常の医療・健康・生活データをIoT計測機器によりリアルタイムに収集し、デジタル画像等のビッグデータ解析による疾患早期発見へ。
・個人のゲノム解析等、標準治療から個人毎に最適化した的確医療へと進化。
当社は、こうした環境の変化を新たな成長のチャンスと捉え、経営理念である「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」に則り、ビジョンとして、「お客様とともにITの価値を高める信頼のパートナー」を掲げ、以下の4つの重点施策に取り組みました。
① 事業構造の変革
より付加価値の高いサービスを提供すべく、事業構造を変革しています。基本的な考え方として、成果型かつストック型のクラウドソリューションを拡大しています。
1) アプリケーションソリューションの拡大
ERP、SCM、CRM、RPA、IoT、ビッグデータ分析、AI等のプラットフォームをベースとして、顧客体験をモデル化した業務テンプレートを活用したソリューションに取り組んでいます。当期は特に製造工程のシステム運用プラットフォーム、製造業のグローバルサプライチェーンシステムの各国共通のERP業務テンプレート、金融業務におけるRPAによる省力化テンプレート、デジタルワークプレースの業務テンプレートに関連した事業が拡大しました。
2) インフラソリューションの拡大
顧客のデータセンターと複数のパブリッククラウドに跨る運用サービスを顧客視点で一括して提供するマルチクラウド統合運用サービスを増強しています。また、シリコンバレーのセキュリティプロダクトと顧客体験をモデル化した当社のサービスを組み合わせたセキュリティソリューションも強化しています。当期は特にハイテク企業向けのクラウド運用サービスとサイバーセキュリティの事業が拡大しました。
② 産業ポートフォリオの変革
顧客体験によるノウハウを集約すべく、ITとの相乗効果が高い産業セグメントであるエレクトロニクス、金融、情報通信、エンタテインメント、公共(エネルギー、鉄道)、自動車・機械、ヘルスケアの7業種にフォーカスしています。また、市場環境変化のリスクを分散できるように、この中で需要と供給のバランスを図っています。当期においても産業セグメントを跨り、ある顧客の需要減を他の顧客の需要増で補うバランス機能が功を奏し、安定した形で事業を伸ばすことができました。
③ 事業体質の強化
技術者がやりがいを持って高度の技術力を発揮し、お客様とともに成長するチームと風土を醸成しています。そのために、次世代を担う人材の採用、人事制度を強化しています。また、技術者が選ぶITプロフェッショナル・キャリアコース(ITスペシャリスト、ITアーキテクト、顧客サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、コンサルタント、ビジネスインキュベーター)毎に育つ環境を充実させ、プロを極めています。その一環として、クエスト高度ITプロフェッショナル認定制度“QCAP”(Quest Certified Advanced IT Professionals)を導入し、認定者が技術面とサービス面で活躍し事業に貢献しました。
④ 成長するデジタルネットワーク社会に不可欠な新技術の仕込み
ソリューションの付加価値を高めるための技術の仕込みと技術者育成に、売上の2%の投資を継続しています。同時に、中長期戦略上必要と考えるソリューション及び技術を補完すべく、業務提携や資本提携を進めています。また、当社自身のデジタルトランスフォーメーションを推進すべく、2019年度よりDXセンターを設置し、2025年に向けたDX構想を作りました。
当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりです。
売上高は、前期比8.0%増の103億14百万円となりました。利益については、増収効果及びプロジェクトマネジメント強化による採算性の向上、業務改善活動等により営業利益は前期比19.9%増の7億36百万円、経常利益は前期比19.5%増の7億68百万円となり、2期連続で過去最高の売上と営業利益を更新しました。一方で当期純利益については投資有価証券評価損の計上により前期比23.7%減の3億42百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
システム開発事業については、エレクトロニクス分野顧客、自動車・機械分野顧客、エンタテインメント分野顧客からのシステム開発案件の増加及びERP、RPA、デジタルワークプレース等のソリューションサービスが拡大し、売上高は前期比7.6%増の56億35百万円となりました。セグメント利益は増収効果及びプロジェクトマネジメント強化による採算性の向上、業務改善活動等により前期比15.7%増の9億29百万円となりました。
インフラサービス事業については、エレクトロニクス分野顧客、金融分野顧客、公共(エネルギー)分野顧客へのクラウドサービスやセキュリティサービス等が拡大し、売上高は前期比8.5%増の46億43百万円となりました。セグメント利益は増収効果及び業務改善活動等により前期比10.1%増の7億7百万円となりました。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.セグメント利益については、全社費用等の配分前で記載しています。
(2) 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当社は、各プロジェクトごとに作業完了した業務につき、顧客の検収書あるいは当社の完了報告書に基づき売上計上しています。このため、販売実績のほとんどが生産実績であることから、生産実績の記載を省略しています。
2) 受注実績
当事業年度の受注状況をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1.上記の金額に消費税等は含まれていません。
2.システム開発セグメント以外のセグメントについては、受注に該当する取引形態に相当しないため、記載していません。
3.受注残高は契約金額を記載しています。
3) 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1.上記の金額に消費税等は含まれていません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しています。
3.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、受託計算サービス事業及び商品販売事業を含んでいます。
4) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注) 1.キオクシア株式会社は、2019年10月1日に東芝メモリ株式会社より商号変更を行っています。
2.上記の金額に消費税等は含まれていません。
(3) 財政状態
<資産>当事業年度末における資産の残高は63億23百万円となり、前事業年度末に比べ82百万円増加しました。これは主に投資有価証券が3億28百万円減少したものの現金及び預金が4億39百万円増加したこと等によるものです。
<負債>当事業年度末における負債の残高は17億94百万円となり、前事業年度末に比べ58百万円減少しました。これは主に賞与引当金が96百万円増加したものの未払法人税等が1億69百万円減少したこと等によるものです。
<純資産>当事業年度末における純資産の残高は45億28百万円となり、前事業年度末に比べ1億41百万円増加しました。これは主に繰越利益剰余金が1億71百万円増加したこと等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが6億34百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが22百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1億73百万円の支出となったこと等により、前事業年度末と比較して4億39百万円増加し、26億93百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果、6億34百万円の収入となりました。これは主に税引前当期純利益4億94百万円及び売上債権の減少により97百万円増加したものの、法人税等の支払いにより3億50百万円減少したこと等によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果、22百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が13百万円及び無形固定資産の取得による支出が10百万円あったこと等によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果、1億73百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払等によるものです。
当社は財務の安全性を重視するとともに、銀行借入に依存しない経営を継続しております。資金の運用は短期的な預金等に限定するとともに、運転資金については内部資金により調達することを原則としています。当社の資本の財源及び資金の流動性について当社の運転資金の需要は、人件費や外注費等の営業費用によるものがその多くを占めていますが、これらの運転資金の需要は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー等によりまかなっています。また、設備投資資金等についても、現金及び預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。当事業年度末における資金は、資産合計の42.6%を占めており、また流動比率は340.1%であることから、十分な流動性を確保しています。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されています。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っています。
(6) 経営戦略の現状と見通し
今後の経済情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による経済活動の停滞や外出自粛による個人消費の動向等、その影響の予測が難しい状況にあります。また、諸外国の通商問題や地政学的リスク等も依然として存在し、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
感染拡大が続いている新型コロナウイルスの影響につきましては、直近では顧客のテレワーク環境のためのインフラ整備の投資が見込まれる一方で顧客の業績の悪化に伴う投資抑制の動きなどの不透明な状況が予想されます。
この状況下、当社としましては、7つの顧客産業ポートフォリオにおける市場の変化を的確に捉え、デジタル化の需要供給バランスにスピード感をもって対応することで、この未曽有の難局を乗り越え、収益の維持、拡大に取り組んでまいります。
このため、次事業年度(2021年3月期)の通期業績としては、売上高105億21百万円(前期比2.0%増)、営業利益7億42百万円(前期比0.7%増)、経常利益7億72百万円(前期比0.4%増)、当期純利益5億33百万円(前期比55.7%増)を予想しています。
(注) 業績予想につきましては、本資料作成日時点で入手可能な情報に基づいて当社で判断したものであり、実際の業績がこれらの予想数値と異なる場合があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当事業年度(2019年4月1日~2020年3月31日)におけるわが国経済は、雇用環境の改善や設備投資の持ち直しを背景に緩やかな回復基調にありました。しかし、米中の貿易摩擦問題や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響により先行き不透明な状況が続いています。
当社の属する情報サービス業界においては、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査2020年2月分確報」の情報サービス業の項の中から、当社が主に属するソフトウェア開発・プログラム作成(システムインテグレーション)とシステム等管理運営受託を合算した業務種類別売上によると、2019年4月~2020年2月は前年同期比3.8%の増加となり緩やかな伸びを示しました。
こうした環境下で当社の顧客企業が属する業界においては、第四次産業革命とも言われる「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」の動きが加速しています。それは、IoT、モバイル、ソーシャル技術、クラウド、AI、ビッグデータ分析を構成要素とするテクノロジープラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを生み出し、ネットとリアルの両面でカスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)の変革を図り、価値を創出し、競争上の優位性を確立するという動きです。
その将来へ向けたDX動向を産業別に俯瞰します。
① エレクトロニクス業界
・IoT、AI等のデジタル技術を活用した生産工程や流通工程のデジタル化により、生産や流通の自動化、バーチャル化を大幅に高めることで、生産コストと流通コストを極小化し、生産性を向上させ、スマートファクトリー、デジタルツインを実現し、インダストリー4.0へ進化。
・製造装置からビッグデータを収集し、AI(機械学習、深層学習)によるデータ分析を活用し、歩留解析、欠陥解析を改善。
・製品にIoT機能を備えることにより、「モノづくり」から「コトづくり」へ変革。
② 金融業界
・収益環境の急激な悪化とフィンテック企業との競合を受けて、収益源の新規サービス開拓やサービスの高度化、店舗ネットワークの見直し等の業務効率の改善が進められており、特に、スマホ決済、キャッシュレス化等の手軽で便利なサービスが進行。
・その際にテクノロジーとして、クラウド、AI、RPA、オープンAPI、ブロックチェーン等を活用。
③ エンタテインメント業界
・ユーザーとクリエイターやアーティストを繋ぎ感動をもたらすプラットフォームの提供。
・5Gモバイル、SNS、クラウドのサイバーとイベント等のリアルの顧客接点が融合。
・クラウド、AI、VR、AR、ブロックチェーン等のデジタルテクノロジーの活用。
④ エネルギー業界
・「5つのD」と言われる、人口減少・過疎化(Depopulation)、脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)、自由化(Deregulation)、デジタル化・IoT(Digitalization)というメガトレンドを受け、より安全・安定・安価で潤沢なエネルギーを提供するUtility3.0へ進化。
⑤ 自動車業界
・CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と言われる動向により、100年に一度の変革期。
・自動車の製造販売から、移動サービスのプラットフォームへと変革。
・MaaS(Mobility as a Service)コンソーシアムの拡大。
⑥ ヘルスケア業界
・人生100年時代と言われる高齢・健康長寿社会へ。そして治療から健康増進と予防へ。
・日常の医療・健康・生活データをIoT計測機器によりリアルタイムに収集し、デジタル画像等のビッグデータ解析による疾患早期発見へ。
・個人のゲノム解析等、標準治療から個人毎に最適化した的確医療へと進化。
当社は、こうした環境の変化を新たな成長のチャンスと捉え、経営理念である「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」に則り、ビジョンとして、「お客様とともにITの価値を高める信頼のパートナー」を掲げ、以下の4つの重点施策に取り組みました。
① 事業構造の変革
より付加価値の高いサービスを提供すべく、事業構造を変革しています。基本的な考え方として、成果型かつストック型のクラウドソリューションを拡大しています。
1) アプリケーションソリューションの拡大
ERP、SCM、CRM、RPA、IoT、ビッグデータ分析、AI等のプラットフォームをベースとして、顧客体験をモデル化した業務テンプレートを活用したソリューションに取り組んでいます。当期は特に製造工程のシステム運用プラットフォーム、製造業のグローバルサプライチェーンシステムの各国共通のERP業務テンプレート、金融業務におけるRPAによる省力化テンプレート、デジタルワークプレースの業務テンプレートに関連した事業が拡大しました。
2) インフラソリューションの拡大
顧客のデータセンターと複数のパブリッククラウドに跨る運用サービスを顧客視点で一括して提供するマルチクラウド統合運用サービスを増強しています。また、シリコンバレーのセキュリティプロダクトと顧客体験をモデル化した当社のサービスを組み合わせたセキュリティソリューションも強化しています。当期は特にハイテク企業向けのクラウド運用サービスとサイバーセキュリティの事業が拡大しました。
② 産業ポートフォリオの変革
顧客体験によるノウハウを集約すべく、ITとの相乗効果が高い産業セグメントであるエレクトロニクス、金融、情報通信、エンタテインメント、公共(エネルギー、鉄道)、自動車・機械、ヘルスケアの7業種にフォーカスしています。また、市場環境変化のリスクを分散できるように、この中で需要と供給のバランスを図っています。当期においても産業セグメントを跨り、ある顧客の需要減を他の顧客の需要増で補うバランス機能が功を奏し、安定した形で事業を伸ばすことができました。
③ 事業体質の強化
技術者がやりがいを持って高度の技術力を発揮し、お客様とともに成長するチームと風土を醸成しています。そのために、次世代を担う人材の採用、人事制度を強化しています。また、技術者が選ぶITプロフェッショナル・キャリアコース(ITスペシャリスト、ITアーキテクト、顧客サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、コンサルタント、ビジネスインキュベーター)毎に育つ環境を充実させ、プロを極めています。その一環として、クエスト高度ITプロフェッショナル認定制度“QCAP”(Quest Certified Advanced IT Professionals)を導入し、認定者が技術面とサービス面で活躍し事業に貢献しました。
④ 成長するデジタルネットワーク社会に不可欠な新技術の仕込み
ソリューションの付加価値を高めるための技術の仕込みと技術者育成に、売上の2%の投資を継続しています。同時に、中長期戦略上必要と考えるソリューション及び技術を補完すべく、業務提携や資本提携を進めています。また、当社自身のデジタルトランスフォーメーションを推進すべく、2019年度よりDXセンターを設置し、2025年に向けたDX構想を作りました。
当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりです。
売上高は、前期比8.0%増の103億14百万円となりました。利益については、増収効果及びプロジェクトマネジメント強化による採算性の向上、業務改善活動等により営業利益は前期比19.9%増の7億36百万円、経常利益は前期比19.5%増の7億68百万円となり、2期連続で過去最高の売上と営業利益を更新しました。一方で当期純利益については投資有価証券評価損の計上により前期比23.7%減の3億42百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
システム開発事業については、エレクトロニクス分野顧客、自動車・機械分野顧客、エンタテインメント分野顧客からのシステム開発案件の増加及びERP、RPA、デジタルワークプレース等のソリューションサービスが拡大し、売上高は前期比7.6%増の56億35百万円となりました。セグメント利益は増収効果及びプロジェクトマネジメント強化による採算性の向上、業務改善活動等により前期比15.7%増の9億29百万円となりました。
インフラサービス事業については、エレクトロニクス分野顧客、金融分野顧客、公共(エネルギー)分野顧客へのクラウドサービスやセキュリティサービス等が拡大し、売上高は前期比8.5%増の46億43百万円となりました。セグメント利益は増収効果及び業務改善活動等により前期比10.1%増の7億7百万円となりました。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.セグメント利益については、全社費用等の配分前で記載しています。
(2) 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当社は、各プロジェクトごとに作業完了した業務につき、顧客の検収書あるいは当社の完了報告書に基づき売上計上しています。このため、販売実績のほとんどが生産実績であることから、生産実績の記載を省略しています。
2) 受注実績
当事業年度の受注状況をセグメント別に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| システム開発 | 5,836,967 | 111.5 | 1,561,549 | 114.8 |
(注) 1.上記の金額に消費税等は含まれていません。
2.システム開発セグメント以外のセグメントについては、受注に該当する取引形態に相当しないため、記載していません。
3.受注残高は契約金額を記載しています。
3) 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| システム開発 | 5,635,349 | +7.6 |
| インフラサービス | 4,643,885 | +8.5 |
| その他 | 35,291 | △0.1 |
| 合計 | 10,314,527 | +8.0 |
(注) 1.上記の金額に消費税等は含まれていません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しています。
3.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、受託計算サービス事業及び商品販売事業を含んでいます。
4) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| キオクシア株式会社 | 1,232,980 | 12.9 | 1,792,762 | 17.4 |
(注) 1.キオクシア株式会社は、2019年10月1日に東芝メモリ株式会社より商号変更を行っています。
2.上記の金額に消費税等は含まれていません。
(3) 財政状態
<資産>当事業年度末における資産の残高は63億23百万円となり、前事業年度末に比べ82百万円増加しました。これは主に投資有価証券が3億28百万円減少したものの現金及び預金が4億39百万円増加したこと等によるものです。
<負債>当事業年度末における負債の残高は17億94百万円となり、前事業年度末に比べ58百万円減少しました。これは主に賞与引当金が96百万円増加したものの未払法人税等が1億69百万円減少したこと等によるものです。
<純資産>当事業年度末における純資産の残高は45億28百万円となり、前事業年度末に比べ1億41百万円増加しました。これは主に繰越利益剰余金が1億71百万円増加したこと等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが6億34百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが22百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1億73百万円の支出となったこと等により、前事業年度末と比較して4億39百万円増加し、26億93百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果、6億34百万円の収入となりました。これは主に税引前当期純利益4億94百万円及び売上債権の減少により97百万円増加したものの、法人税等の支払いにより3億50百万円減少したこと等によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果、22百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が13百万円及び無形固定資産の取得による支出が10百万円あったこと等によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果、1億73百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払等によるものです。
当社は財務の安全性を重視するとともに、銀行借入に依存しない経営を継続しております。資金の運用は短期的な預金等に限定するとともに、運転資金については内部資金により調達することを原則としています。当社の資本の財源及び資金の流動性について当社の運転資金の需要は、人件費や外注費等の営業費用によるものがその多くを占めていますが、これらの運転資金の需要は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー等によりまかなっています。また、設備投資資金等についても、現金及び預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。当事業年度末における資金は、資産合計の42.6%を占めており、また流動比率は340.1%であることから、十分な流動性を確保しています。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されています。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っています。
(6) 経営戦略の現状と見通し
今後の経済情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による経済活動の停滞や外出自粛による個人消費の動向等、その影響の予測が難しい状況にあります。また、諸外国の通商問題や地政学的リスク等も依然として存在し、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
感染拡大が続いている新型コロナウイルスの影響につきましては、直近では顧客のテレワーク環境のためのインフラ整備の投資が見込まれる一方で顧客の業績の悪化に伴う投資抑制の動きなどの不透明な状況が予想されます。
この状況下、当社としましては、7つの顧客産業ポートフォリオにおける市場の変化を的確に捉え、デジタル化の需要供給バランスにスピード感をもって対応することで、この未曽有の難局を乗り越え、収益の維持、拡大に取り組んでまいります。
このため、次事業年度(2021年3月期)の通期業績としては、売上高105億21百万円(前期比2.0%増)、営業利益7億42百万円(前期比0.7%増)、経常利益7億72百万円(前期比0.4%増)、当期純利益5億33百万円(前期比55.7%増)を予想しています。
(注) 業績予想につきましては、本資料作成日時点で入手可能な情報に基づいて当社で判断したものであり、実際の業績がこれらの予想数値と異なる場合があります。