有価証券報告書-第17期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 11:53
【資料】
PDFをみる
【項目】
95項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
第2次中期経営計画に基づき人が機械に自然に意思を伝えられる「ソフトコミュニケーションの時代」を拓くべく各施策を実施いたしました。
売上高1,600百万円、営業損失345百万円を目標に事業を推進し、ほぼ全ての分野で増収を実現したものの、クラウド事業部の減収が影響し全体では売上高は未達となりました。損益面については、営業利益、経常利益、当期純利益とすべての経営指標で目標を上回りました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
音声認識は、技術的課題から一般の消費者への普及には至っておりません。そのため、不特定話者に対応できる音声認識技術という技術的優位性を活かし、当社は専門分野のユーザーを対象に音声認識ソリューションを販売してまいりました。今後は専門分野だけでなく、携帯メールでの音声入力サービスや音声認識パッケージソフトウエアの販売等を通じて、一般消費者に対しても事業を展開していきます。
しかしながら市場創造が予想通りに行えず、一般の消費者への普及までに長い時間を要する可能性もあります。
その他の要因については、「4 事業等のリスク」を参照ください。
(4) 経営戦略の現状と見直し
当社グループは、第1次および第2次中期経営計画を推進し、主要施策であるコアドメインの確立と拡大、新機軸サービス事業への取り組みを実行し、今後さらなる売上高の伸長を実現させる基盤づくりと収益性の向上を実現いたしました。
これらの土台の上に、中期的な経営戦略として、既存コアドメインのさらなる成長を第一の成長エンジンとし、新規ビジネス・M&A・海外事業を第二の成長エンジンと位置付けて飛躍的な売上増大を実現してまいります。特に第二の成長エンジンを強力に推進することで、売上高平均成長率30%増以上を実現し、中期的には営業利益率20%以上を実現してまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ740百万円増加し、1,468百万円となりました。
当社の運転資金需要の主なものは人件費、製造及び研究開発に係る費用等の営業費用であり、第1次および第2次中期経営計画で取り組んできた受注案件の峻別・徹底した工程の進捗管理により製造開発コストの負担が軽減し、キャッシュ・フローを大幅に改善させてまいりました。今後はさらに売上高平均成長率30%増以上を実現し、営業キャッシュ・フローを生み出す財務体質への改善を進めてまいります。
当社グループは現金及び現金同等物の他に大口定期預金および流動性かつ安全性の高い債券を有しており、事業活動を推進する上で当面の必要な資金は既に確保していると認識しております。
(6) 経営者の今後の方針について
当社グループの強みは、音声認識分野における卓越した技術力と、自らが主体となり市場の潜在ニーズを顕在化する市場創造力とを兼ね備えていることにあります。この2点の強みを両輪として、機械が言葉を能動的に認識し、人のJUI(Joyful-楽しい、Useful-便利、Indispensable-なくてはならない)に貢献するという、未来社会の象徴でもある事象の事業化を目指してまいります。電話利用時の音声認識ソリューションの活用が米国で活発化してきており、日本でも当社を中心にして大きく進展することが想定されます。また、PC利用時での音声認識ソリューションでは医療分野、議事録分野、教育分野等、マーケットセグメントを明確化して活動した結果、日本で米国に先んじて啓蒙期を越えようとしている市場もでき始めています。さらに、携帯電話を含むモバイル分野では日本発世界初のDSR(分散型音声認識技術)の実装に基づいた高精度・高度な音声入力メールサービスがリリースされ世界から注目を浴びています。音声認識事業も「種まき」のフェーズから「収穫」のフェーズに移ろうとしています。
事業化のフェーズを飛躍的に進展させるには、当社単体だけでのビジネス展開には限界がありますのでJUIアプリケーションやJUIサービスの企画・開発や販売・普及に関して他企業との密な連携に基づいたビジネス構造の構築が不可欠であると考えております。
当社グループは、人と機械との自然なコミュニケーションを担う中核技術をベースとした研究開発に注力しながら、その技術を実用化・普及させる企業群との連携を国内外に多数構築し、市場開拓を実行してまいります。