四半期報告書-第26期第3四半期(令和2年9月1日-令和2年11月30日)
(1)経営成績の分析
当第3四半期累計期間の業績は、売上高3,096,535千円(前年同四半期比3.2%減)、売上総利益959,180千円(前年同四半期比24.8%減)、営業利益205,372千円(前年同四半期比53.1%減)、経常利益212,520千円(前年同四半期比51.7%減)、四半期純利益152,425千円(前年同四半期比49.6%減)となりました。新型コロナウイルス感染拡大による企業経済活動の縮小の影響とERP事業における受注損失の発生により、前年同期比で減収減益となっています。
中期経営計画「Break 2018」の3年目となる当期では、立案当初に掲げた①「既存事業のシェア拡大」、②「海外拠点の確立」、③「AI事業の確立」、④「社員のスキル向上」、⑤「国内TOPの合理化企業」という5つの目標に向けた最後の仕上げの年度となります。前期、前々期は堅調な市場環境を背景に既存事業を拡充しながら、その収益を海外展開やAI事業、社員教育、合理化推進といった将来を見据えた展開に投資することで、中期経営計画を着実に推進し、2年連続で過去最高の売上高・経常利益を更新することができました。
しかしながら、当期は、新型コロナウイルスの感染拡大による市場環境の大きな変化に適応するため、「攻め」から「守り」の経営に切り替え、利益確保を最優先とする堅実路線に舵を切っています。具体的には、経費の削減や海外事業への投資を縮小するなど、全社的に支出を見直し、国内事業に集中するよう方針転換しています。
また、当社は2017年に総務省「テレワーク先駆者百選」に選ばれており、早い段階からリモートワークに取り組んできました。その経験とノウハウを生かして、営業活動においては、テレビ会議システムを活用したデジタル営業を推進することにより、Withコロナの環境下においても着実に案件数を確保できるようになっています。こうした取り組みにより新型コロナウイルスの影響は想定範囲内に抑えることができていますが、上記受注損失が影響し、当初計画利益を大幅に下回ってしまいました。
各セグメント別の業績は、次のとおりです。
① Object Browser事業
Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール
「SI Object Browser ER」、統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」及びアプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、安定した収益源となっています。最近は、クラウドの普及に伴ってクラウド市場での利用拡大を図っています。
当社3事業のうち、このObject Browser事業が最も新型コロナウイルスの影響を受けており、4月の緊急事態宣言の発令後、企業の購買活動が減退した影響により売上高が大幅に減少しました。市場における購買意欲は徐々に回復しておりましたが、第3波の到来とともに再び売上減少幅が拡大し、「新型コロナショック」前の水準に戻るにはまだ時間がかかると予想しています。
対策の1つとして、政府のIT導入補助金対象製品として認定を受けました。また、ネット広告やWebセミナーなど、「新型コロナ時代」に即したマーケティング活動を推進した効果も出てきています。2021年2月には「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」のサブスクリプションモデルを販売開始します。サブスクリプションモデルの販売により、本事業におけるストック比率の向上を加速させる計画です。
統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」は、発売以来着実に市場浸透が進み、市場からも高い評価を得て導入企業実績は200社を超えました。本製品の強みは、プロジェクト管理の事実上の世界標準であるPMBOKの管理エリアを統合していることです。また、2010年からクラウドサービスの提供も開始しており、契約数も順調に拡大しています。現在、完全Web版に作り替え作業を行っており、これが発売される2021年度からはサブスクリプションモデルへ完全移行する計画です。また、2020年7月1日から中小企業向けのERP連携として「勘定奉行クラウド(注1)」と連携する「奉行API連携オプション」の販売を開始しました。この連携を新たな武器として中小企業に拡販し、サブスクリプション販売を強化してストック型ビジネスを拡大していきます。
アプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウェア開発におけるCADという新しい発想の製品です。今後、ソフトウェア業界がCADを用いて設計作業を行うようになることを見込んで、既に特許を取得しています。IT業界の人手不足が深刻になる中、生産性を高めるツールとして注目されています。2019年6月から販売を開始した完全Web版は、クラウドサービスのサブスクリプションモデルとなっており、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして販売を拡大しています。
以上の結果、Object Browser事業の主力製品である「SI Object Browser」は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響を受けたことと、「SI Object Browser PM」のサブスクリプションモデルへの移行に伴う影響もあり、当第3四半期累計期間の売上高は488,436千円(前年同四半期比13.9%減)、営業利益は161,256千円(前年同四半期比32.1%減)となりました。
注1:「勘定奉行クラウド」は、株式会社オービックビジネスコンサルタントのERP製品で、中堅・中規模向けERPでシェアNo.1の導入実績を誇る同社のクラウド会計システムです。
② E-Commerce事業
E-Commerce事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として構成されています。EC市場は堅調に発展し続けており、この先もさらに伸びるものと思われます。市場の拡大につれて競争が激化して採算悪化に陥る同業他社が多い中、20年以上もECサイト構築事業を行ってきたノウハウを生かして、大規模なECサイトを着実に稼働して売上を増やす技術力が評価されています。また、一昨年より実施している開発手法の見直しや業務改善の取り組みが奏効し、営業利益率を年々向上させることに成功して、利益率の高いビジネスに変革しています。
当期は、第三者機関によるセキュリティ診断を受けた「SI Web Shopping Ver.12.8」を2020年6月1日にリリースし、本製品の強みである「堅牢なセキュリティ」を更に強化し、顧客ニーズに応えています。また、今後の更なるニーズに応えるためにキャッシュレス決済サービス「PayPay(注2)」と標準連携する「SI Web Shopping Ver.12.9」を2020年9月1日にリリースしました。
第2四半期累計期間までは新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言により、顧客の意思決定スピードが鈍化したことで開発案件の開始時期が後れ、開発人員の稼働率低下などの影響を受けましたが、当第3四半期会計期間では、前年同四半期比15.0%増の売上高となり、稼働率の回復により売上総利益率も前年同四半期比1.8ポイントの上昇となっています。
以上の結果、E-Commerce事業の当第3四半期累計期間の売上高は581,517千円(前年同四半期比5.3%減)、営業利益は134,089千円(前年同四半期比16.3%減)となっています。
足元のEC需要は堅調なことから、E-Commerce事業は回復傾向にあります。
注2:「PayPay」は、PayPay株式会社のスマートフォン向けQRコード決済サービスで、登録ユーザーが3,000万人を超えるなど、高いシェアと競争力を持つ製品です。
③ ERP・AI事業
ERP・AI事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品としたERP事業と、AI製品シリーズであるディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」を主力製品としたAI事業からなります。「GRANDIT」はコンソーシアム方式をとっており、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力と製造業向けの知識、ノウハウを強みに、生産管理アドオンモジュールを自社で開発し、当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売してきました。2019年8月には、製造業での、生産、販売、据付・設置、アフターサービスの業態に一気通貫で対応できる以下のアドオンモジュールをバージョンアップおよび新規リリースしました。
・生産管理アドオンモジュール
・工事管理アドオンモジュール
・原価管理アドオンモジュール
・継続取引管理アドオンモジュール
これらの製品の効果で製造業、工事・エンジニアリング業、プロジェクト単位で業務を行う業種向けに販売数が増えています。当社の強みは、自社利用で蓄積したノウハウを基に効果的な提案ができる点です。自社内の基幹システムに「GRANDIT」を採用し、「SI Object Browser PM」と連携し、「継続取引管理アドオンモジュール」を利用することにより、自らIT企業における理想的な合理化モデルを実現しています。
また、当社では社員が開発した優れたプログラムを商品化する「買い取り制度」があります。前期はその第一号として、「GRANDIT」のソースコードを一切変更せずに、お客様の特別な仕様を簡単に追加開発できる「コーディングレス開発ツール」を商品化し販売開始しました。これにより、追加開発における従来のプログラミング負荷を20~30%削減でき、ERPビジネスでの価格競争力強化に大きく貢献するものと期待できます。また、当社はGRANDITコンソーシアム内において、1年間に最もGRANDITを販売した企業に与えられる「GRANDIT AWARD 2019 Prime Partner of the Year」を受賞し、通算6度目の受賞となりました。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースが主流となっています。当社でも「GRANDIT」や「SI Object Browser PM」をアマゾンウェブサービス(AWS)クラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースに、インターネットイニシアティブ「GIOインフラストラクチャーP2」、アマゾンウェブサービス(AWS)クラウドやマイクロソフト「Azure」などお客様のシステム要件に合った複数のクラウドサービスを提案し、単なるシステム構築だけでなく運用も含めてワンストップでサポートするパートナー企業として事業を拡大しています。また、2019年3月からは「GRANDIT」サブスクリプションモデルも提供しています。ノウハウや機能はそのままに、より低コストかつ短納期での導入が可能となるため、中小企業も含めてターゲット範囲を拡大しています。
ERP事業は順調に事業拡大を図っていますが、第2四半期累計期間に発生した不採算案件の影響を大きく受けています。当該不採算案件は、品質確保のため顧客とスケジュール調整を行い、本稼働時期を延伸することとなりました。これに伴う要員計画の見直しにより、受注損失引当金は第2四半期累計期間から65,544千円増加し、193,209千円を計上することとなっています。
AI事業としては、2018年10月からディープラーニング技術を利用した異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」の販売を開始しています。前期からこの事業をERP事業と統合して、ERPビジネスで蓄積された業務ノウハウを武器に製造業へのAIビジネスを展開しています。これまでに多くの企業から、工場で行っている目視検査を代替できないかという引き合いを受け、案件をこなしながらノウハウを蓄積して製品強化、ソリューション力向上に取り組んでいます。開発にあたっては、カメラメーカーや製造ラインメーカーなど顧客企業のみならず様々な企業と連携して実施しています。
以上の結果、ERP・AI事業の当第3四半期累計期間の売上高は1,996,805千円(前年同四半期比0.7%増)、営業損失は55,271千円(前年同四半期は営業利益73,423千円)となりました。売上高は微増となりましたが、不採算案件の受注損失の見込み額を全額計上していることにより、営業損失となりました。今のところ新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響はあまりなく、企業の投資意欲は引き続き堅調なことから、早期に不採算案件を解決し、受注の確保、売上増加につなげてまいります。
④ その他の事業
その他の事業には、プログラミングスキル判定サービスの「TOPSIC」、その他の研究開発費投資が含まれています。
プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」
日本のIT人材は2030年には78万人不足すると言われており、コロナ禍においてもIT業界は深刻な人手不足の状態にあります。また、世の中は急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むと予想されていますが、DXを実現するためにはプログラミング力を身につけたエンジニアを増やし、育てていく必要があります。このようなニーズから日本のIT人材育成を目的とした事業として2018年より「TOPSIC」を新規事業としてスタートしました。
「TOPSIC」はオンライン・リアルタイムで受験者のプログラミングスキルを判定できるクラウドサービスです。企業の中途採用者のスクリーニングや社員のプログラミング教育などのニーズをとらえて、契約社数は順調に増加しています。
また、小学校、中学校といった各教育現場での「プログラミング」の必修化を背景に、2019年4月から
「TOPSIC」の「アカデミックプラン」と「研修サービスプラン」を開始し、法政大学や多摩大学、立教池袋中学・高等学校に導入するなど教育現場への事業拡大も進んでいます。本製品はサブスクリプション型の収益モデルとなっており、サービス開始から契約社数は順調に増加し続けています。しかしながら、今期に関しては新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響が顕著で、売上高の伸びが鈍化しています。
その一方、製品への機能拡充は順調に進んでおり、当期はスキルが直感的に分かる7段階のスキル評価「TOPSIC グレード」機能を追加し、従来の参加者全体からの相対評価基準に加えて得点による絶対評価基準機能を実装しました。これにより、受験者スキルの成長や採用基準がより具体化され、より一層スキル判定及び教育ツールとしてデファクトスタンダード製品へ進化することが期待できます。
「TOPSIC」は、小中学生向けのプログラミング教育を行う非営利団体へ無償提供も行っており、日本におけるプログラミング人材の育成、増加に貢献するための持続可能な事業として、今後も拡大していきたいと考えています。
また、イベント事業として2018年から注力しているプログラミングコンテスト「PG Battle」は、年々知名度が高まっています。2018年の第1回目は260チーム、780名に参加いただき、2019年の第2回では444チーム、1,332名、3回目となる当期は459チーム1,377名となりました。業界内外からも高い注目を集めるイベントとしての地位を確立しております。なお、第2回目からスポンサー制度を採用し、当期は29社から協賛をいただきました。本イベントを通じてIT業界全体の活性化にも寄与してまいります。
(2)財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ238,459千円減少し2,351,274千円となりました。これは主として、現金及び預金の増加176,304千円、仕掛品の増加145,079千円、売掛金の減少525,758千円、その他の流動資産の減少34,076千円などによるものであります。 固定資産は、前事業年度末に比べ214,253千円増加し913,033千円となりました。これは主として、有形固定資産の増加17,889千円、ソフトウェア(ソフトウェア仮勘定を含む)の増加140,563千円、投資その他の資産の増加55,801千円などによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ24,205千円減少し3,264,307千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ57,880千円減少し955,074千円となりました。これは主として、買掛金の減少140,900千円、賞与引当金の減少107,686千円、その他の流動負債の減少87,555千円、前受金の増加73,747千円、受注損失引当金の増加195,218千円などによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ11,136千円減少しました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ44,810千円増加し2,309,232千円となりました。これは四半期純利益の計上152,425千円、配当金の支払い143,105千円などによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は19,437千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期累計期間の業績は、売上高3,096,535千円(前年同四半期比3.2%減)、売上総利益959,180千円(前年同四半期比24.8%減)、営業利益205,372千円(前年同四半期比53.1%減)、経常利益212,520千円(前年同四半期比51.7%減)、四半期純利益152,425千円(前年同四半期比49.6%減)となりました。新型コロナウイルス感染拡大による企業経済活動の縮小の影響とERP事業における受注損失の発生により、前年同期比で減収減益となっています。
中期経営計画「Break 2018」の3年目となる当期では、立案当初に掲げた①「既存事業のシェア拡大」、②「海外拠点の確立」、③「AI事業の確立」、④「社員のスキル向上」、⑤「国内TOPの合理化企業」という5つの目標に向けた最後の仕上げの年度となります。前期、前々期は堅調な市場環境を背景に既存事業を拡充しながら、その収益を海外展開やAI事業、社員教育、合理化推進といった将来を見据えた展開に投資することで、中期経営計画を着実に推進し、2年連続で過去最高の売上高・経常利益を更新することができました。
しかしながら、当期は、新型コロナウイルスの感染拡大による市場環境の大きな変化に適応するため、「攻め」から「守り」の経営に切り替え、利益確保を最優先とする堅実路線に舵を切っています。具体的には、経費の削減や海外事業への投資を縮小するなど、全社的に支出を見直し、国内事業に集中するよう方針転換しています。
また、当社は2017年に総務省「テレワーク先駆者百選」に選ばれており、早い段階からリモートワークに取り組んできました。その経験とノウハウを生かして、営業活動においては、テレビ会議システムを活用したデジタル営業を推進することにより、Withコロナの環境下においても着実に案件数を確保できるようになっています。こうした取り組みにより新型コロナウイルスの影響は想定範囲内に抑えることができていますが、上記受注損失が影響し、当初計画利益を大幅に下回ってしまいました。
各セグメント別の業績は、次のとおりです。
① Object Browser事業
Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール
「SI Object Browser ER」、統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」及びアプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、安定した収益源となっています。最近は、クラウドの普及に伴ってクラウド市場での利用拡大を図っています。
当社3事業のうち、このObject Browser事業が最も新型コロナウイルスの影響を受けており、4月の緊急事態宣言の発令後、企業の購買活動が減退した影響により売上高が大幅に減少しました。市場における購買意欲は徐々に回復しておりましたが、第3波の到来とともに再び売上減少幅が拡大し、「新型コロナショック」前の水準に戻るにはまだ時間がかかると予想しています。
対策の1つとして、政府のIT導入補助金対象製品として認定を受けました。また、ネット広告やWebセミナーなど、「新型コロナ時代」に即したマーケティング活動を推進した効果も出てきています。2021年2月には「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」のサブスクリプションモデルを販売開始します。サブスクリプションモデルの販売により、本事業におけるストック比率の向上を加速させる計画です。
統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」は、発売以来着実に市場浸透が進み、市場からも高い評価を得て導入企業実績は200社を超えました。本製品の強みは、プロジェクト管理の事実上の世界標準であるPMBOKの管理エリアを統合していることです。また、2010年からクラウドサービスの提供も開始しており、契約数も順調に拡大しています。現在、完全Web版に作り替え作業を行っており、これが発売される2021年度からはサブスクリプションモデルへ完全移行する計画です。また、2020年7月1日から中小企業向けのERP連携として「勘定奉行クラウド(注1)」と連携する「奉行API連携オプション」の販売を開始しました。この連携を新たな武器として中小企業に拡販し、サブスクリプション販売を強化してストック型ビジネスを拡大していきます。
アプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウェア開発におけるCADという新しい発想の製品です。今後、ソフトウェア業界がCADを用いて設計作業を行うようになることを見込んで、既に特許を取得しています。IT業界の人手不足が深刻になる中、生産性を高めるツールとして注目されています。2019年6月から販売を開始した完全Web版は、クラウドサービスのサブスクリプションモデルとなっており、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして販売を拡大しています。
以上の結果、Object Browser事業の主力製品である「SI Object Browser」は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響を受けたことと、「SI Object Browser PM」のサブスクリプションモデルへの移行に伴う影響もあり、当第3四半期累計期間の売上高は488,436千円(前年同四半期比13.9%減)、営業利益は161,256千円(前年同四半期比32.1%減)となりました。
注1:「勘定奉行クラウド」は、株式会社オービックビジネスコンサルタントのERP製品で、中堅・中規模向けERPでシェアNo.1の導入実績を誇る同社のクラウド会計システムです。
② E-Commerce事業
E-Commerce事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として構成されています。EC市場は堅調に発展し続けており、この先もさらに伸びるものと思われます。市場の拡大につれて競争が激化して採算悪化に陥る同業他社が多い中、20年以上もECサイト構築事業を行ってきたノウハウを生かして、大規模なECサイトを着実に稼働して売上を増やす技術力が評価されています。また、一昨年より実施している開発手法の見直しや業務改善の取り組みが奏効し、営業利益率を年々向上させることに成功して、利益率の高いビジネスに変革しています。
当期は、第三者機関によるセキュリティ診断を受けた「SI Web Shopping Ver.12.8」を2020年6月1日にリリースし、本製品の強みである「堅牢なセキュリティ」を更に強化し、顧客ニーズに応えています。また、今後の更なるニーズに応えるためにキャッシュレス決済サービス「PayPay(注2)」と標準連携する「SI Web Shopping Ver.12.9」を2020年9月1日にリリースしました。
第2四半期累計期間までは新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言により、顧客の意思決定スピードが鈍化したことで開発案件の開始時期が後れ、開発人員の稼働率低下などの影響を受けましたが、当第3四半期会計期間では、前年同四半期比15.0%増の売上高となり、稼働率の回復により売上総利益率も前年同四半期比1.8ポイントの上昇となっています。
以上の結果、E-Commerce事業の当第3四半期累計期間の売上高は581,517千円(前年同四半期比5.3%減)、営業利益は134,089千円(前年同四半期比16.3%減)となっています。
足元のEC需要は堅調なことから、E-Commerce事業は回復傾向にあります。
注2:「PayPay」は、PayPay株式会社のスマートフォン向けQRコード決済サービスで、登録ユーザーが3,000万人を超えるなど、高いシェアと競争力を持つ製品です。
③ ERP・AI事業
ERP・AI事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品としたERP事業と、AI製品シリーズであるディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」を主力製品としたAI事業からなります。「GRANDIT」はコンソーシアム方式をとっており、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力と製造業向けの知識、ノウハウを強みに、生産管理アドオンモジュールを自社で開発し、当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売してきました。2019年8月には、製造業での、生産、販売、据付・設置、アフターサービスの業態に一気通貫で対応できる以下のアドオンモジュールをバージョンアップおよび新規リリースしました。
・生産管理アドオンモジュール
・工事管理アドオンモジュール
・原価管理アドオンモジュール
・継続取引管理アドオンモジュール
これらの製品の効果で製造業、工事・エンジニアリング業、プロジェクト単位で業務を行う業種向けに販売数が増えています。当社の強みは、自社利用で蓄積したノウハウを基に効果的な提案ができる点です。自社内の基幹システムに「GRANDIT」を採用し、「SI Object Browser PM」と連携し、「継続取引管理アドオンモジュール」を利用することにより、自らIT企業における理想的な合理化モデルを実現しています。
また、当社では社員が開発した優れたプログラムを商品化する「買い取り制度」があります。前期はその第一号として、「GRANDIT」のソースコードを一切変更せずに、お客様の特別な仕様を簡単に追加開発できる「コーディングレス開発ツール」を商品化し販売開始しました。これにより、追加開発における従来のプログラミング負荷を20~30%削減でき、ERPビジネスでの価格競争力強化に大きく貢献するものと期待できます。また、当社はGRANDITコンソーシアム内において、1年間に最もGRANDITを販売した企業に与えられる「GRANDIT AWARD 2019 Prime Partner of the Year」を受賞し、通算6度目の受賞となりました。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースが主流となっています。当社でも「GRANDIT」や「SI Object Browser PM」をアマゾンウェブサービス(AWS)クラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースに、インターネットイニシアティブ「GIOインフラストラクチャーP2」、アマゾンウェブサービス(AWS)クラウドやマイクロソフト「Azure」などお客様のシステム要件に合った複数のクラウドサービスを提案し、単なるシステム構築だけでなく運用も含めてワンストップでサポートするパートナー企業として事業を拡大しています。また、2019年3月からは「GRANDIT」サブスクリプションモデルも提供しています。ノウハウや機能はそのままに、より低コストかつ短納期での導入が可能となるため、中小企業も含めてターゲット範囲を拡大しています。
ERP事業は順調に事業拡大を図っていますが、第2四半期累計期間に発生した不採算案件の影響を大きく受けています。当該不採算案件は、品質確保のため顧客とスケジュール調整を行い、本稼働時期を延伸することとなりました。これに伴う要員計画の見直しにより、受注損失引当金は第2四半期累計期間から65,544千円増加し、193,209千円を計上することとなっています。
AI事業としては、2018年10月からディープラーニング技術を利用した異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」の販売を開始しています。前期からこの事業をERP事業と統合して、ERPビジネスで蓄積された業務ノウハウを武器に製造業へのAIビジネスを展開しています。これまでに多くの企業から、工場で行っている目視検査を代替できないかという引き合いを受け、案件をこなしながらノウハウを蓄積して製品強化、ソリューション力向上に取り組んでいます。開発にあたっては、カメラメーカーや製造ラインメーカーなど顧客企業のみならず様々な企業と連携して実施しています。
以上の結果、ERP・AI事業の当第3四半期累計期間の売上高は1,996,805千円(前年同四半期比0.7%増)、営業損失は55,271千円(前年同四半期は営業利益73,423千円)となりました。売上高は微増となりましたが、不採算案件の受注損失の見込み額を全額計上していることにより、営業損失となりました。今のところ新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響はあまりなく、企業の投資意欲は引き続き堅調なことから、早期に不採算案件を解決し、受注の確保、売上増加につなげてまいります。
④ その他の事業
その他の事業には、プログラミングスキル判定サービスの「TOPSIC」、その他の研究開発費投資が含まれています。
プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」
日本のIT人材は2030年には78万人不足すると言われており、コロナ禍においてもIT業界は深刻な人手不足の状態にあります。また、世の中は急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むと予想されていますが、DXを実現するためにはプログラミング力を身につけたエンジニアを増やし、育てていく必要があります。このようなニーズから日本のIT人材育成を目的とした事業として2018年より「TOPSIC」を新規事業としてスタートしました。
「TOPSIC」はオンライン・リアルタイムで受験者のプログラミングスキルを判定できるクラウドサービスです。企業の中途採用者のスクリーニングや社員のプログラミング教育などのニーズをとらえて、契約社数は順調に増加しています。
また、小学校、中学校といった各教育現場での「プログラミング」の必修化を背景に、2019年4月から
「TOPSIC」の「アカデミックプラン」と「研修サービスプラン」を開始し、法政大学や多摩大学、立教池袋中学・高等学校に導入するなど教育現場への事業拡大も進んでいます。本製品はサブスクリプション型の収益モデルとなっており、サービス開始から契約社数は順調に増加し続けています。しかしながら、今期に関しては新型コロナウイルス感染拡大による経済活動縮小の影響が顕著で、売上高の伸びが鈍化しています。
その一方、製品への機能拡充は順調に進んでおり、当期はスキルが直感的に分かる7段階のスキル評価「TOPSIC グレード」機能を追加し、従来の参加者全体からの相対評価基準に加えて得点による絶対評価基準機能を実装しました。これにより、受験者スキルの成長や採用基準がより具体化され、より一層スキル判定及び教育ツールとしてデファクトスタンダード製品へ進化することが期待できます。
「TOPSIC」は、小中学生向けのプログラミング教育を行う非営利団体へ無償提供も行っており、日本におけるプログラミング人材の育成、増加に貢献するための持続可能な事業として、今後も拡大していきたいと考えています。
また、イベント事業として2018年から注力しているプログラミングコンテスト「PG Battle」は、年々知名度が高まっています。2018年の第1回目は260チーム、780名に参加いただき、2019年の第2回では444チーム、1,332名、3回目となる当期は459チーム1,377名となりました。業界内外からも高い注目を集めるイベントとしての地位を確立しております。なお、第2回目からスポンサー制度を採用し、当期は29社から協賛をいただきました。本イベントを通じてIT業界全体の活性化にも寄与してまいります。
(2)財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ238,459千円減少し2,351,274千円となりました。これは主として、現金及び預金の増加176,304千円、仕掛品の増加145,079千円、売掛金の減少525,758千円、その他の流動資産の減少34,076千円などによるものであります。 固定資産は、前事業年度末に比べ214,253千円増加し913,033千円となりました。これは主として、有形固定資産の増加17,889千円、ソフトウェア(ソフトウェア仮勘定を含む)の増加140,563千円、投資その他の資産の増加55,801千円などによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ24,205千円減少し3,264,307千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ57,880千円減少し955,074千円となりました。これは主として、買掛金の減少140,900千円、賞与引当金の減少107,686千円、その他の流動負債の減少87,555千円、前受金の増加73,747千円、受注損失引当金の増加195,218千円などによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ11,136千円減少しました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ44,810千円増加し2,309,232千円となりました。これは四半期純利益の計上152,425千円、配当金の支払い143,105千円などによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は19,437千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。