有価証券報告書-第13期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/20 14:34
【資料】
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【項目】
139項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社の経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。))の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「“Entertainment in Real Life” エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」をMissionとし、エンターテインメントを通じ、人々の何気ない日常をより豊かにすることを目指しております。既存ゲームについてはユーザーとのエンゲージメントを高めることを意識し、新規ゲームについてはそのリリースに向けて注力してまいりました。また、当連結会計年度において、投資育成事業を主要な事業の一つと位置づけました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
また、2017年12月に提起された特許権侵害に関する訴訟について、2021年8月4日付で原告側と和解が成立し、当連結会計年度において、和解金3,300百万円を特別損失に計上しております。
なお、多くの国々で外出や移動が制限されるなど、消費や企業の経済活動が停滞する状況が続いておりますが、当社グループの新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は限定的です。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高37,125百万円(前連結会計年度比17.7%減)、営業利益6,320百万円(同48.4%減)、経常利益7,843百万円(同33.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,047百万円(同61.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度の分析は変更後の区分に基づいております。
a.エンターテインメント事業
エンターテインメント事業は、主にスマートフォン向けゲームの開発・運営を行っております。
当連結会計年度において、売上の多くを占めるスマートフォン向けゲームでは、他社IPタイトルの「ドラゴンクエストウォーク(企画・制作:株式会社スクウェア・エニックス、開発:当社)」が堅調に推移し、当社グループの連結業績に貢献しました。自社IPタイトルにおいては、主力タイトルである「白猫プロジェクト」は7周年・「白猫テニス」は5周年を迎え、ユーザーとのエンゲージメントを高めるサービス運用をしてまいりました。また、国内向けに「ユージェネ」の正式サービスを開始いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は36,953百万円、営業利益は6,447百万円となりました。
b.投資育成事業
投資育成事業は、主にIT関連・エンターテインメント企業等を対象とした投資を行っております。
当連結会計年度において、売上高は171百万円、営業損失は129百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ16,255百万円減少し、当連結会計年度末には49,052百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は3,104百万円(前連結会計年度は15,010百万円の収入)となりました。主な支出要因は法人税等の支払額4,764百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は10,588百万円(前連結会計年度は2,640百万円の支出)となりました。主な支出要因は定期預金の預入による支出10,000百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は3,200百万円(前連結会計年度2,780百万円の支出)となりました。主な支出要因は配当金の支払額3,192百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループの受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
エンターテインメント事業36,953
投資育成事業171
連結売上高37,125

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当第2四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。そのため、前年同期比については記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
株式会社スクウェア・エニックス15,29633.910,47428.2
Apple Inc. ※14,13931.310,34827.9
Google Inc. ※8,60819.16,27716.9

※相手先は決済代行事業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ5,019百万円減少し、80,814百万円(前連結会計年度末は85,833百万円)となりました。
流動資産は74,430百万円(前連結会計年度末74,180百万円から当連結会計年度末74,430百万円)となりました。これは主に、現金及び預金が6,138百万円減少したものの、固定資産に計上していた投資有価証券の一部を組み替えたことにより営業投資有価証券が7,591百万円増加したことによるものであります。
固定資産は6,384百万円(前連結会計年度末11,653百万円から当連結会計年度末6,384百万円)となりました。これは主に、流動資産の営業投資有価証券に組み替えたことにより投資有価証券が4,608百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ4,990百万円減少し、5,063百万円(前連結会計年度末は10,053百万円)となりました。
流動負債は4,922百万円(前連結会計年度末9,521百万円から当連結会計年度末4,922百万円)となりました。これは主に、未払法人税等が2,981百万円減少し、未払消費税等が1,384百万円減少したことによるものであります。
固定負債は141百万円(前連結会計年度末532百万円から当連結会計年度末141百万円)となりました。これは主に、資産除去債務が323百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ28百万円減少し、75,751百万円(前連結会計年度末は75,779百万円)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払いに伴い利益剰余金が147百万円減少したことによるものであります。
③経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、一部既存ゲームの配信期間の長期化に伴う減収等のため前連結会計年度に比べ17.7%減の37,125百万円となりました。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、PF手数料減少等により、前連結会計年度に比べ0.7%減の24,108百万円となりました。また、売上総利益は前連結会計年度に比べ37.6%減の13,016百万円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、各種費用の適正化に努めたことから、前連結会計年度に比べ22.2%減の6,695百万円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ48.4%減の6,320百万円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、投資有価証券売却益が増加したこと等から、前連結会計年度に比べ267.0%増の1,947百万円となりました。営業外費用は、投資有価証券評価損が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ57.1%減の424百万円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ33.5%減の7,843百万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損失は和解金を計上したこと等から、前連結会計年度に比べ321.5%増の3,591百万円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ61.8%減の3,047百万円となりました。
④キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場の成長速度、他社との競争力、技術革新への対応度合い、コンテンツの健全性の確保、ネットワーク災害、コンプライアンスと内部管理体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは、エンターテインメントや投資育成を軸としたポートフォリオの拡大、優秀な人材の採用、新規事業の開拓、魅力あるサービスの開発、有力企業との提携、海外への展開、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのために、当社グループでは、戦略面及び組織面の課題を整理し、各課題に対し、適切かつ効果的な対応を行ってまいります。
⑦資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金・設備資金については、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は49,052百万円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
⑧経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、収益性と資本効率性の向上を図るため、ROE(自己資本当期純利益率)を経営指標として意識した経営を行っておりますが、当社グループを取り巻く事業環境は短期的な変化が激しく、適正かつ合理的な業績見通しの算出が困難であることから、具体的な数値目標は設定しておりません。当連結会計年度のROEは4.0%(前連結会計年度比7.0ポイント減)となりました。
当社グループは、継続的なROE向上のために、本業の収益力強化が重要な課題だと考えております。新規ゲームの継続したリリースと既存ゲームの長期的な運用により、リリース年度ごとの売上高を積み上げていくことで、売上高の安定的な成長を達成するとともに、余剰資金については、健全なバランスシートをもとに、連結業績、DOE(純資産配当率)、キャッシュ・フロー及び資本の効率性を総合的に勘案して安定的かつ継続的な配当を実施することで、収益性と資本効率性を高め、ROEの継続的な向上を目指します。
新規ゲームについては、自社IPタイトルと他社IPタイトルをバランスよくリリースすることで、自社IPで中長期的な競争力を育てつつ、他社IPの持つ集客力や収益性も積極的に活用してまいります。既存ゲームについては、TVCMやオンライン動画プラットフォームのプロモーションに加え、グッズの製作、リアルイベント等を実施することでユーザーとのエンゲージメントを高めるサービス運用を行ってまいります。
決算年月2019年9月期2020年9月期2021年9月期
売上高(百万円)38,92045,12837,125
営業利益(百万円)2,95212,2506,320
ROE(自己資本当期純利益率)(%)1.511.04.0