有価証券報告書-第19期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)

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2021/01/28 15:04
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139項目
(経営業績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大し、2020年4月~6月期は戦後最大のマイナス成長となりました。緊急事態宣言の解除や各種消費刺激策などにより、消費の持ち直しの傾向も見られますが、雇用・所得環境の悪化により厳しい状況が続いております。
当社グループが属する小売業界全体では、緊急事態宣言の発出後、インバウンド需要の激減や個人消費の大幅減少により、売上の急減による利益の悪化が顕著となりました。一方、EC市場におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため厚生労働省が「新しい生活様式」の実践を求めており、これに基づき人と接触することなく商品の購入が出来るEC需要や巣ごもり・テレワーク需要が喚起された結果、大幅に伸長しました。
このような状況の中、当社グループの主力事業であります「ECマーケティング事業」につきましては、第3四半期から家具・家電・医療用消耗品・生活雑貨等にかかるEC売上が大きく増進しました。また、主にECサポート事業を推進する当社子会社の株式会社カンナート(以下、「カンナート社」といいます。) におきましては、案件増加の影響及びシステム開発に積極的に取り組んだ結果、創業以来最高の売上高と利益を達成することが出来ました。
「商品企画関連事業」につきましては、上半期において新型コロナウイルス感染症の影響により納品遅れが発生したものの、メイン取扱商材である家具・寝具の納品が徐々に進んだこと及び青島新綻紡貿易有限会社(以下、「新綻紡社」といいます。)においてメイン商材の売れ行きが好調だったことから、売上高は増収となりました。利益面におきましては、当社ベトナム子会社であるGenepa Vietnam Co.,Ltd.(以下、「ジェネパベトナム社」といいます。)において工場立ち上げ等各種投資コストが先行したことが主因で、事業全体としては前年同期を下回る水準となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は12,597百万円(前年同期比30.3%増)、営業利益は244百万円(前年同期比1,128.5%増)、経常利益は220百万円(前年同期比616.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は112百万円(前年同期比873.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①ECマーケティング事業
「ECマーケティング事業」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で喚起されたEC需要やテレワーク・巣ごもり需要等、消費者ニーズを的確にとらえることにより、家具・家電・医療用消耗品・生活雑貨等の売上が好調であったこと、2019年11月に開店した「PayPayモール」が順調に売上を伸ばしたこと、カンナート社においてECサポート案件等の売上を大きく伸長させたこと等により、売上高は前年同期比で29.9%増と大幅な増収となりました。また、利益面におきましては、引き続き送料値上げの影響を自社で吸収している状況ではあるものの、在庫配置の適正化及び配送コストの上昇を抑えるなど精力的に各種利益改善に取り組んだことにより、過去最高益を達成することが出来ました。
なお、海外でのECマーケティング事業につきましては、中国における新綻紡社等を拠点として、越境EC事業を積極的に継続していく方針であります。
以上の結果、売上高は9,901百万円(前年同期比29.9%増)、セグメント利益は424百万円(前年同期比184.6%増)となりました。
②商品企画関連事業
「商品企画関連事業」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による出荷遅延が発生していたものの、メイン商材の売上が回復基調となったことによる影響及び新綻紡社のメイン商材の売れ行きが好調だった影響から、売上高は前年同期比で29.8%増と大幅な増収となりました。利益面におきましては、当社ベトナム子会社であるGenepa Vietnam Co.,Ltd.(以下、「ジェネパベトナム社」といいます。)において工場立ち上げ等各種投資コストが先行した結果、事業全体としてのセグメント利益は前年同期比で22.2%減と減益となりました。ジェネパベトナム社は、安定稼働できる体制になってきており、翌期以降は利益に貢献出来るものと考えております。
以上の結果、売上高は2,607百万円(前年同期比29.8%増)となり、セグメント利益は84百万円(同22.2%減)となりました。
③その他
「その他」につきましては、非物販事業としておしゃれなインテリア・雑貨の紹介、それらの実例の紹介及び家に関するアイデアを紹介するWEBメディア「イエコレクション」(https://iecolle.com)に掲載する記事数やPV数の拡大に向けた人員増加等の先行投資を継続して実行してまいりました。当連結会計年度におきましては、売上高が好調に推移したことにより、売上面・利益面での寄与があり、翌期以降も引き続き売上面・利益面で寄与することが見込まれております。
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ561百万円増加し、3,707百万円となりました。
流動資産は3,294百万円となり、前連結会計年度末に比べ509百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、在庫管理及び滞留在庫削減を徹底した結果により商品及び製品が112百万円減少しましたが、金融機関からの長期融資により現金及び預金が699百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は413百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、ジェネパベトナム社における設備投資により機械装置及び運搬具が126百万円増加したこと等により、有形固定資産が80百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ458百万円増加し、1,981百万円となりました。
流動負債は1,694百万円となり、前連結会計年度末に比べ190百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、PB商品及び季節商品等の入荷により支払手形及び買掛金が103百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は286百万円となり、前連結会計年度末に比べ268百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、ジェネパベトナム社の追加設備投資を目的とした融資により長期借入金が273百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べ102百万円増加し、1,726百万円となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が112百万円増加したこと等によるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ698百万円増加し、1,269百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は764百万円(前連結会計年度は118百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益219百万円、たな卸資産の減少額114百万円、仕入債務の増加額99百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は111百万円(前連結会計年度は172百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出124百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は56百万円(前連結会計年度は167百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の減少額280百万円、長期借入金の返済による支出36百万円等の資金の減少要因があったものの、長期借入れによる収入400百万円等の増加要因があったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の状況
①生産実績及び仕入実績
当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高及び仕入高(千円)前年同期比
(%)
ECマーケティング事業6,878,545123.2
EC事業6,878,545123.4
ECサポート事業--
商品企画関連事業2,248,983132.3
その他事業31,79995.3
9,159,328125.1

(注) 1.金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間取引については、相殺消去しております。
② 受注実績
当社グループは受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。また、ECマーケティング事業においては、一部需要動向を見込んだ商品仕入を行っております。そのため、受注実績に重要性がないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比
(%)
ECマーケティング事業9,901,216129.9
EC事業9,394,094132.0
ECサポート事業507,122100.6
商品企画関連事業2,594,467129.3
その他事業102,101255.4
合計12,597,785130.3

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
三菱商事ファッション(株)1,179,70312.20--

2.当連結会計年度の三菱商事ファッション(株)については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.セグメント間取引については、相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は12,597百万円(前年同期比30.3%増)、売上原価は9,174百万円(前年同期比29.4%増)となりました。売上高増加の主な要因は、ECマーケティング事業において、売上と利益のバランスを重視した各種マーケティング施策が功を奏していることと、新型コロナウイルス感染症の影響で喚起されたEC需要やテレワーク・巣ごもり需要等、消費者ニーズを的確にとらえることにより、家具・家電・医療用消耗品・生活雑貨等の売上が好調であったこと、及び商品企画関連事業において、付加価値の高い商材の開発による取引先の拡大が行えたことによります。売上原価増加の主な要因は、商品企画関連事業において従来より利益率が低い大型の案件を受注したことによります。販売費及び一般管理費は3,178百万円(前年同期比24.3%増)となりました。主な要因は、宅配料金の継続的な値上げによる配送費負担が増加した一方で、オペレーションの効率化を推進したことによる人件費減少、及び、効率的かつ効果的な広告施策の実行に伴う広告宣伝費の減少によることと、及び商品企画関連事業において工場立ち上げ等各種投資コストが先行し安定稼働できる体制を確立することを優先したことによるものであります。この結果、営業利益は244百万円(前年同期比1,128.5%増)となりました。営業利益の主な増加要因は新型コロナウイルス感染症の拡大によるEC需要の増加とECサポート案件等の増加が要因となります。
営業外収益は22百万円(前年同期比75.1%増)、営業外費用は46百万円(前年同期比2,229.5%増)となりました。この結果、経常利益は220百万円(前年同期比616.2%増)となりました。
特別利益は-百万円(前年同期比100.0%減)、特別損失は1百万円(前年同期比313.3%増)となりました。この結果税金等調整前当期純利益は219百万円(前年同期比593.2%増)となりました。法人税等は102百万円(前年同期比699.6%増)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は4百万円(前年同期比34.3%減)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は112百万円(前年同期比873.3%増)となりました。
なお、セグメント別には、ECマーケティング事業の売上高は9,901百万円(前年同期比29.9%増)、セグメント利益424百万円(前年同期比184.6%増)、商品企画関連事業の売上高は2,607百万円(前年同期比29.8%増)、セグメント利益84百万円(前年同期比22.2%減)、その他事業の売上高は102百万円(前年同期比155.4%増)、セグメント利益26百万円(前年同期比30.2%増)となりました。
ECマーケティング事業につきましては、当社独自開発のシステムに関して新規機能追加・改善・実装を推進させてまいりました。また、昨今の宅配料金の継続的な値上げ対策として、物流拠点の多角化及び商品配置の最適化を推し進めるとともに、売れ筋商品の販売を促進する為に従来以上に適正な在庫管理を徹底してまいりました。ECサポート事業につきましては、当連結会計年度では新規EC事業の運用・保守等を推進してまいりました。海外でのECマーケティング事業につきましては、中国における新綻紡社等を拠点として、越境EC事業を積極的に継続していく方針であります。
商品企画関連事業につきましては、利益面におきましては、ベトナムでの新規商材開発投資、及び新規顧客開拓投資等、将来を見据えた事業投資が先行して計上されましたが、ジェネパベトナム社は、安定稼働できる体制になってきており、翌期以降は利益に貢献出来るものと考えております。
②当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、依然として消費動向が不安定な難しい状況下ですが、「世代を超えた人と人との架け橋」の経営理念の下、引き続き消費者目線に立った価格設定、配送への適切な配慮、及び、品質とのバランスにこだわり、業績の改善に全力で取り組んでまいります。ECマーケティング事業におきましては、商品取扱高の増加に注力するとともに、利益成長を目指すためにECサポート事業及びメディア事業に注力していく方針であります。商品企画関連事業におきましては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させ、ベトナム新規子会社にて新工場を稼働し、売上高及び利益の拡大に努めてまいります。
新規EC事業への戦略的投資に関する資金及びM&Aに関する資金の需要への備えとして、前年に引き続き2020年6月に取引銀行と期間を1年間とするコミットメントライン契約を締結しました。当該契約に基づく無担保・無保証の借入設定上限は総額1,000百万円です。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりでありますが、特に以下の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
・固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の減損の兆候の判定及び回収可能価額の算定の前提となる将来キャッシュ・フローが、将来の不確実な経済状況の変動による影響を受け、翌連結会計年度以降の固定資産において減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束時期を見通すことが依然困難な状況にあるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。