有価証券報告書-第30期(令和2年8月1日-令和3年7月31日)

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2021/10/28 15:18
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141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済活動が著しく制約を受ける状況等により経済情勢は急激に悪化いたしました。また、緊急事態宣言の解除後は、段階的な経済活動の再開に伴って徐々に回復傾向にあったものの、再び緊急事態宣言が繰り返し発出されたことなどにより、未だ感染終息の見通しは立っておらず今後の経済情勢に影響を及ぼすことが懸念され依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた休業要請や外出の自粛、営業時間の短縮要請などの影響により、外食を控える傾向による大幅な来客数の落ち込み等引き続き厳しい状況で推移しております。
このような状況の中、当社グループでは、引き続きエリア活性化プロジェクトへの参画など地域創生ネットワークの形成を推進するとともに、店舗展開及び多様な新規出店プロジェクトの企画開発を行う一方で、運営体制の適正化及び経営マネジメント層の育成を積極的に行うための人材組織戦略への取り組みを行っております。また、店舗運営に関しましては、店舗運営子会社における各店舗の状況に合わせたきめ細かい店舗運営に取り組み、ビアガーデンやバーベキュー、こたつテラス等季節に応じた店舗運営、営業企画やイベントの立案、コロナ禍におけるソーシャルディスタンスを保った安心安全なテラスの活用や、2020年9月に中食需要の高まりから店舗外商品の販売強化を目的にECサイト「CANDLE TABLE」をオープン、2020年12月に新型コロナウイルス感染症の拡大などによる事業運営に対する長期的な影響の可能性を鑑み、運転資金として機動的かつ安定的な資金調達手段を確保する目的でシンジケートローン契約(組成金額:1,850,000千円)を締結し、顧客満足度の向上と収益性及び財政状態を安定させる取り組みを実施し、2021年4月に淡路島北西エリアにおいて、観光開発の観点を超えて、人が訪れ、時間を過ごし、その地域に愛着を持ち、移り住み、地域とのコミュニケーションの中で食を通じて街を育んでいくという地方創生プロジェクトとして「Frogs FARM」を推進しております。
当連結会計年度における当社及び連結子会社の店舗の増減といたしましては、バッドロケーション戦略において3店舗をオープン、不動産デベロッパー戦略において1店舗をオープン、2店舗をクローズ、行政・公共機関戦略において1店舗をオープン、大学・その他戦略において期間限定で1店舗をオープン、1店舗を売却、2店舗をクローズし(内、1店舗は期間限定店舗)、当連結会計年度末における当社グループの運営する店舗数は92店舗となっております。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ769,351千円減少し、8,366,916千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ998,973千円減少し、6,144,397千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ229,621千円増加し、2,222,518千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの売上高は8,046,014千円(前年同期比14.7%減)、営業損失は1,212,820千円(前年同期は営業損失893,388千円)、経常損失622,138千円(前年同期は経常損失841,287千円)、親会社株主に帰属する当期純利益357,908千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失920,152千円)となっております。
出店戦略別及び事業別の経営成績は以下のとおりであります。
(a)バッドロケーション
バッドロケーション戦略におきましては、大型・複合型物件の開発を進める一方で行政や大手デベロッパーとの連携により様々なソーシャルプロジェクトなどへ参画を行うことで、食をベースに複合的な店舗開発を推進しております。また引き続きバッドロケーション戦略の店舗の運営安定化を目的に不動産定期借家契約による退店リスクのある物件につきましては土地、建物、借地権取得など不動産保有を推進し、店舗運営の安定化による収益性確保、不動産価値向上による財務体質の改善に努めております。2020年9月には茨城県土浦市において、JR土浦駅直結の「プレイアトレ土浦」において「タルトスピーカー」をオープン、2021年4月には兵庫県淡路市において「ピクニックガーデン」をオープンし、ピクニックガーデン内において「ピクニック&BBQガーデン」、「GOOD MORNING BURGER」、「Lemonade SHIMA-LEMON」を展開し、2021年6月には兵庫県淡路市の「Frogs FARM」内において「中華そば いのうえ」をオープンしております。
この結果、当連結会計年度末におけるバッドロケーション戦略の店舗数は、関東地区24店舗、関西地区10店舗、その他地域2店舗の計36店舗となり、売上高は2,668,087千円(前年同期比13.3%減)となりました。
(b)不動産デベロッパー
不動産デベロッパー戦略におきましては、好立地、特別な店舗家賃での誘致や初期投資の軽減など好条件での物件獲得を行うことができ、売上規模、収益性、話題性の高い物件を選定することで当社の個性を活かした店舗開発を推進しております。2020年8月には東京都渋谷区の「MIYASHITA PARK」において「ニューライト」をオープン、2020年11月には東京都渋谷区の「グッドモーニングカフェ&グリル キュウリ」をクローズ、2021年1月には東京都千代田区の「スキュー」をクローズしております。
この結果、当連結会計年度末における不動産デベロッパー戦略の店舗数は、関東地区22店舗、関西地区13店舗、その他地域2店舗の計37店舗となり、売上高は3,360,377千円(前年同期比17.7%減)となりました。
(c)行政・公共機関
行政・公共機関戦略におきましては、新たな地方自治体との取り組みにおいて、その街ならではのオリジナルな業態の開発、地域活性化イベントの開催などを行い、地域創生ネットワークの形成を推進しております。2021年3月には大阪府高槻市において「レストラン ファーマーズクラブ」をオープンしております。
この結果、当連結会計年度末における行政・公共機関戦略の店舗数は、関西地区11店舗、その他地域1店舗の計12店舗となり、売上高は1,304,637千円(前年同期比13.3%減)となりました。
(d)大学・その他
大学・その他戦略におきましては、学生のみならず近隣住民へのターゲット層の拡大及びコストコントロールによる収益性改善を進めております。2020年8月には京都市左京区の「南禅寺参道 菊水」を譲渡、2020年9月には“食卓に彩りを添える特別な一品”をコンセプトに、食材選びから調理工程までこだわったシェフの自慢の一皿をお届けする通販サイト「CANDLE TABLE」をオープン、2020年12月には新潟県魚沼郡において期間限定店舗である「ぶなキッチン」をオープン、2021年1月には京都市東山区の「スロージェットコーヒー 高台寺」をクローズ、2021年5月には新潟県魚沼郡において期間限定店舗である「ぶなキッチン」をクローズしております。
この結果、当連結会計年度末における大学・その他戦略の店舗数は、関東地区1店舗、関西地区4店舗、その他地域2店舗の計7店舗となり、売上高は424,301千円(前年同期比31.2%減)となりました。
(e)その他の事業
その他の事業は、企業、行政機関などに対して、地域ブランド振興、カフェやレストランの企画・開発等のコンサルティングを行っております。当連結会計年度末における売上高は288,610千円(前年同期比92.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ525,173千円増加し、2,301,529千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は101,305千円(前年同期は449,655千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益535,608千円、減価償却費569,359千円、減損損失385,191千円、固定資産売却益1,671,993千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は1,829,192千円(前年同期は615,191千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出436,293千円、有形固定資産の売却による収入2,353,776千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は1,203,164千円(前年同期は1,216,561千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の増加450,000千円、長期借入れによる収入452,000千円、長期借入金の返済による支出1,846,651千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。なお、当社グループは、飲食店運営事業の単一セグメントであり、仕入実績を出店戦略別に示すと、次のとおりであります。
出店戦略の名称第30期連結会計年度
(自 2020年8月1日
至 2021年7月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
バッドロケーション789,628△6.7
不動産デベロッパー953,091△14.0
行政・公共機関346,637△7.1
大学・その他90,982△47.2
その他の事業352△60.2
合計2,180,691△12.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社グループは、飲食店運営事業の単一セグメントであり、販売実績を出店戦略別に示すと、次のとおりであります。
出店戦略の名称第30期連結会計年度
(自 2020年8月1日
至 2021年7月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
バッドロケーション2,668,087△13.3
不動産デベロッパー3,360,377△17.7
行政・公共機関1,304,637△13.3
大学・その他424,301△31.2
その他の事業288,61092.0
合計8,046,014△14.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
(a)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は4,097,403千円となり、前連結会計年度末と比べ1,558,254千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が525,173千円及び販売用不動産が1,051,056千円増加、未収還付法人税等が98,451千円減少したことによるものであります。固定資産は4,269,512千円となり、前連結会計年度末と比べ2,327,606千円減少いたしました。これは主に建物及び構築物が883,851千円、工具、器具及び備品が73,702千円、土地が1,047,226千円、リース資産が110,164千円及び建設仮勘定が112,542千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、8,366,916千円となり、前連結会計年度末と比べ769,351千円減少いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は3,254,830千円となり、前連結会計年度末と比べ562,954千円増加いたしました。これは主に短期借入金が450,000千円、1年内返済予定の長期借入金が140,113千円、未払法人税等が154,516千円及び未払消費税等が80,391千円増加、前受金が251,217千円減少したことによるものであります。固定負債は2,889,567千円となり、前連結会計年度末に比べ1,561,928千円減少いたしました。これは主に返済による長期借入金が1,534,764千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、6,144,397千円となり、前連結会計年度末と比べ998,973千円減少いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は2,222,518千円となり、前連結会計年度末と比べ229,621千円増加いたしました。これは利益剰余金293,467千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は25.1%(前連結会計年度末は20.5%)となりました。
(b)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は8,046,014千円となり、前連結会計年度と比較して14.7%の減少となりました。出店戦略全体としては新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う営業自粛等の影響により低迷基調であり、出店戦略ごとの内訳は、バッドロケーション戦略は、3店舗を新規オープンしたことにより2,668,087千円(前年同期比13.3%減)、不動産デベロッパー戦略は、1店舗を新規オープンし、2店舗をクローズしたことにより3,360,377千円(前年同期比17.7%減)、行政・公共機関戦略は、1店舗を新規オープンしたことにより1,304,637千円(前年同期比13.3%減)、大学・その他戦略におきましては期間限定で1店舗オープンし、1店舗を売却、2店舗をクローズ(内、1店舗は期間限定店舗)したことにより424,301千円(前年同期比31.2%減)、その他の事業は、企業、行政機関などに対して、地域ブランド振興、レストランの企画・開発等のコンサルティングを行ったことにより、288,610千円(前年同期比92.0%増)となっております。
(営業損益及び経常損益)
当連結会計年度は、店舗家賃の減免交渉や人件費などのコストコントロールを行ったものの、利益については営業損失1,212,820千円(前年同期は営業損失893,388千円)となり、さらに営業外収益として消費税差額及び助成金収入の計上、営業外費用として支払利息及びシンジケートローン手数料の計上により、経常損失622,138千円(前年同期は経常損失841,287千円)となっております。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益1,671,993千円の計上、減損損失385,191千円の計上もあり357,908千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失920,152千円)となりました。
(c)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営陣は、最大限入手可能な情報に基づき現状の事業環境を確認し、最善の経営戦略を立案し、実行できるよう努めております。
その中でも、当社グループが持続的に成長するために、最も重要となる問題は事業規模の拡大に合わせたリーダーシップを有する人材の確保と育成にあると認識しております。
今後の方針といたしましては、常に社内外からの人材の発掘に努めるとともに、その中からリーダーシップを有する人材を育成するために、店長やシェフの経験だけではなく、運営子会社の幹部に登用して、計数管理、人材採用や人材配置、新規出店、複数店舗のマネジメント、コンプライアンスに関する見識など運営子会社の経営陣として必要な様々な能力を獲得できる成長機会を設けることで、経験の豊かなリーダーを育成してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、飲食店運営事業の国内外を含む店舗展開、海外飲食ブランドの国内展開などの新規事業開発に伴うものとなっております。
財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達をおこなっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などによる事業運営に対する長期的な影響の可能性を鑑み、運転資金として機動的かつ安定的な調達を行うために、主要取引銀行との間でシンジケーション方式によるコミットメントラインを締結しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
当社グループは企業価値を継続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などを経営指標として重視しております。
当連結会計年度における売上高成長率は△14.7%(前年同期比3.4ポイント増)、営業利益率は△15.1%(前年同期比5.6ポイント減)となりました。昨今の情勢を踏まえてこれらの指標が改善されるように取り組んでまいります。