有価証券報告書-第28期(平成30年8月1日-令和1年7月31日)

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2019/10/30 15:16
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144項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用、所得環境の改善傾向が続き、緩やかな回復基調が見られた反面、米国と中国との貿易摩擦の悪化や英国のEU離脱問題の長期化が今後の経済情勢に悪影響を及ぼすことが懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食業界におきましては、景気回復による個人消費マインドの改善が期待されるものの、多様化する顧客ニーズの変化への対応に加えて、競合企業との競争激化、原材料価格の高騰、人手不足に伴う人材確保難や人件費上昇の影響に加え、地震や台風などの自然災害による影響により引き続き厳しい状況で推移しております。
このような状況の中、当社グループでは、エリア活性化プロジェクトへの参画など地域創生ネットワークの形成を推進するとともに、積極的な店舗展開及び多様な新規出店プロジェクトの企画開発を行う一方で、2018年8月に今後の新規プロジェクト等を勘案した組織体制の構築を目的とする新たな店舗運営子会社3社の設立に加え、各店舗運営子会社の特色と強みを発展させる組織再編を行い、従来の運営体制の強化及び経営マネジメント層の育成に注力し、グループ全体の更なる成長を視野に入れた人材組織戦略への取り組みを強化するとともに、2018年10月には株式会社パソナグループと当社との間において、両社が有するノウハウや経営資源を融合し、豊かな自然や食材等の魅力を有する淡路島の地域活性化に繋がるレストランの企画開発を目的とした合弁会社を設立するために株式会社アワエナジーを設立し、2018年11月において当社と株式会社パソナグループを引受先とする第三者割当増資を行いました。なお、当社は株式会社アワエナジーの株式の51.0%を保有しております。また、店舗運営に関しましては、店舗運営子会社において各店舗の状況に合わせたビアガーデンやバーベキュー、こたつテラス等の季節に応じた営業企画やイベントの立案等を継続的に行うとともに、2018年11月より各店舗運営子会社の管理体制の強化及び各店舗の収益構造の見直しを丁寧に行うことで、従来に比べて緻密なコストコントロールの実施と天候要因を受けやすい季節における営業施策の充実等を行い、今後の顧客満足度と収益性の向上に繋がる更にきめの細かい店舗運営ノウハウの開発に取り組むことで、収益力の強化を図りました。
当連結会計年度における当社及び連結子会社の店舗の増減といたしましては、バッドロケーション戦略におけるオープンが5店舗、不動産デベロッパー戦略において、3店舗をクローズ、6店舗をオープン、行政・公共機関戦略において、1店舗を一時休業、1店舗をクローズ、1店舗を譲渡し、2店舗をオープンいたしました。結果、当連結会計年度末における当社グループの運営する店舗数は89店舗となっております。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ809,683千円増加し、8,752,459千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ538,915千円増加し、5,773,568千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ270,768千円増加し、2,978,891千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの売上高は11,512,186千円(前年同期比2.9%増)、営業利益は508,618千円(同19.6%増)、経常利益504,768千円(同18.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益303,717千円(同34.4%増)となりました。
出店戦略別及び事業別の経営成績は以下のとおりであります。
(a)バッドロケーション
バッドロケーション戦略におきましては、新たなエリア開拓を推進する一方で大型、複合型物件の開発により食と融合した新たな店舗開発を推進しております。またバッドロケーション戦略の店舗運営の安定化を目的に不動産定期借家契約による退店リスクの高い物件につきましては土地、建物、借地権取得など不動産保有を推進し店舗運営の安定化による収益性確保、不動産価値向上による財務体質の改善に努めております。2018年8月には東京都品川区において、天王洲運河に面した開放感のあるテラスと水辺に囲まれた「ライド」をオープン、2019年4月には兵庫県淡路市において、淡路島の郡家エリアのサンセットラインに海辺での夕日を満喫できる「ガーブ コスタ オレンジ」をオープン、茨城県土浦市のJR土浦駅直結の「プレイアトレ土浦」において、「ナナイロ イート アット ホーム!」、「ハオツーゴハンアンドバー」、「スロージェットコーヒークッキー」の3店舗を同時オープンいたしました。
この結果、当連結会計年度末におけるバッドロケーション戦略の店舗数は、関東地区23店舗、関西地区8店舗、その他地域2店舗の計33店舗となり、売上高は3,486,657千円(前年同期比8.0%増)となりました。
(b)不動産デベロッパー
不動産デベロッパー戦略におきましては、好立地、特別な家賃条件での誘致や初期投資の軽減など好条件での新規出店を行うことができ、売上規模、収益性、話題性の高い物件を選定することで当社の個性を活かせる店舗開発を推進しております。2018年8月には、東京都江東区の「トーキョークレープガール ダイバーシティ東京プラザ店」、神奈川県川崎市の「花のババロア ハバロ/パラディ ラゾーナ川崎店」、東京都千代田区の「鉄板チャイニーズバル サヴァ?」の3店舗をクローズ、2018年9月には東京都港区の複合施設「青山ビルヂング」にて「否否三杯」をオープン、東京都中央区において日本橋地域の活性化と新たな魅力を創造するプロジェクト「日本橋再生計画」の一つとして誕生した「OVOL日本橋ビル」より賑わい活性のキーテナントとして誘致を受け「サローネ ヴァンドルディ」、「ロカンダ ミート & イタリー」、「リバヨン アタック」を3店舗同時オープン、2019年4月には大阪市浪速区において、南海なんば駅直結の都市型複合施設「なんばパークス」にて「テーブル ナイス」をオープン、2019年6月には東京都新宿区において「グッドモーニングカフェ ナワデイズ」をオープンいたしました。
この結果、当連結会計年度末における不動産デベロッパー戦略の店舗数は、関東地区25店舗、関西地区12店舗の計37店舗となり、売上高は5,166,974千円(前年同期比13.9%増)となりました。
(c)行政・公共機関
行政・公共機関戦略におきましては、新たな地方自治体との取り組みにおいて、その街ならではのオリジナルな業態の開発、地域活性化イベントの開催などを行い、地域創生ネットワークの形成を継続的に推進しております。2018年8月には東京都渋谷区の「グッドモーニングカフェ 千駄ヶ谷」を賃貸借契約に基づき一時休業とし、2018年9月には季節限定店舗である大阪市北区の「中之島オープンテラス」をクローズ、2019年3月には大阪府高槻市の安満遺跡公園内において「サンデーズベイク 569」をオープン、2019年4月には滋賀県守山市の守山銀座において「アイドリック」をオープン、2019年6月には茨城県水戸市の「オープンテラス ミーイート」を譲渡いたしました。
この結果、当連結会計年度末における行政・公共機関戦略の店舗数は、関西地区10店舗、その他地域1店舗の計11店舗となり、売上高は1,932,996千円(前年同期比8.0%減)となりました。
(d)大学・その他
大学・その他戦略におきましては、学生のみならず近隣住民へのターゲット層の拡大及びコストコントロールによる収益性改善を進めております。
この結果、当連結会計年度末における大学・その他戦略の店舗数は、関東地区1店舗、関西地区5店舗、その他地域2店舗の計8店舗となり、売上高は782,162千円(前年同期比33.1%減)となりました。
なお、上記の前年同期比の算定の基礎となる前連結会計年度における売上高には2018年4月に全株式を譲渡した株式会社R.Tパートナーズが株式の66.0%を保有する株式会社リアルテイストの15店舗が含まれております。
(e)その他の事業
その他の事業は、企業、行政機関などに対して、地域ブランド振興、カフェやレストランの企画・開発等のコンサルティングを行っております。当連結会計年度末における売上高は143,396千円(前年同期比3.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ217,912千円増加し、1,624,117千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,091,383千円(前年同期は741,378千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益513,306千円、減価償却費659,855千円、法人税等の支払による支出134,127千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,066,458千円(前年同期は1,487,728千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,096,852千円、差入保証金の差入による支出119,107千円及び保険解約による収入185,498千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は194,441千円(前年同期は962,524千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入850,000千円、長期借入金の返済による支出474,892千円、リース債務の返済による支出148,350千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。なお、当社グループは、飲食店運営事業の単一セグメントであり、仕入実績を出店戦略別に示すと、次のとおりであります。
出店戦略の名称第28期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
バッドロケーション926,7896.1
不動産デベロッパー1,385,74110.7
行政・公共機関480,753△13.0
大学・その他212,642△40.4
その他の事業4958.5
合計3,006,421△1.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社グループは、飲食店運営事業の単一セグメントであり、販売実績を出店戦略別に示すと、次のとおりであります。
出店戦略の名称第28期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
バッドロケーション3,486,6578.0
不動産デベロッパー5,166,97413.9
行政・公共機関1,932,996△8.0
大学・その他782,162△33.1
その他の事業143,396△3.6
合計11,512,1862.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
(a)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は2,343,790千円となり、前連結会計年度末と比べ280,939千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が217,912千円、売掛金が26,842千円増加したことによるものであります。固定資産は6,408,669千円となり、前連結会計年度末と比べ528,743千円増加いたしました。これは主に新規出店に伴う建物及び構築物が456,210千円、工具、器具及び備品が78,684千円、土地が32,163千円及び借地権が19,887千円増加、建設仮勘定が95,042千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、8,752,459千円となり、前連結会計年度末と比べ809,683千円増加いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は1,903,003千円となり、前連結会計年度末と比べ162,484千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が44,192千円、未払金が30,437千円及び未払法人税等が99,693千円増加したことによるものであります。固定負債は3,870,564千円となり、前連結会計年度末に比べ376,430千円増加いたしました。これは主に長期借入金が330,915千円及び資産除去債務が46,673千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、5,773,568千円となり、前連結会計年度末と比べ538,915千円増加いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は2,978,891千円となり、前連結会計年度末と比べ270,768千円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益303,717千円及び非支配株主持分115,813千円による増加、剰余金の配当64,872千円及び自己株式の取得92,360千円の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は32.7%(前連結会計年度末は34.1%)となりました。
(b)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は11,512,186千円となり、前連結会計年度と比較して2.9%の増加となりました。出店戦略別ごとの内訳は、バッドロケーション戦略は、既存店舗の業績が堅調に推移したことと5店舗を新規オープンしたことにより3,486,657千円(前年同期比8.0%増)、不動産デベロッパー戦略は6店舗を新規オープンし、3店舗をクローズしたことと、前連結会計年度に新規出店した2店舗が通年寄与したことにより5,166,974千円(前年同期比13.9%増)、行政・公共機関戦略は2店舗を新規オープンし、賃貸借契約に基づき1店舗が休業、1店舗のクローズ及び1店舗を譲渡したことと、前連結会計年度に新規出店した2店舗が通年寄与したことにより1,932,996千円(前年同期比8.0%減)、大学・その他戦略におきましては前連結会計年度における株式譲渡により店舗が15店舗減少したことにより782,162千円(前年同期比33.1%減)、その他の事業は、企業、行政機関などに対して、地域ブランド振興、レストランの企画・開発等のコンサルティングを行ったことにより、143,396千円(前年同期比3.6%減)となっております。
(営業利益及び経常利益)
当連結会計年度は、上期の悪天候による影響があったものの、コストコントロールを適切に実施したことにより、営業利益は508,618千円(前年同期比19.6%増)となり、さらに営業外収益として受取保険金及び消費税差額の計上、営業外費用として支払利息及びシンジケートローン手数料の計上もあり、経常利益は504,768千円(前年同期比18.6%増)となっております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、保険解約益92,815千円及び減損損失55,639千円の計上もあり303,717千円(前年同期比34.4%増)となりました。
(c)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営陣は、最大限入手可能な情報に基づき現状の事業環境を確認し、最善の経営戦略を立案し、実行できるよう努めております。
その中でも、当社グループが持続的に成長するために、最も重要となる問題は事業規模の拡大に合わせたリーダーシップを有する人材の確保と育成にあると認識しております。
今後の方針といたしましては、常に社内外からの人材の発掘に努めるとともに、その中からリーダーシップを有する人材を育成するために、店長やシェフの経験だけではなく、運営子会社の幹部に登用して、計数管理、人材採用や人材配置、新規出店、複数店舗のマネジメント、コンプライアンスに関する見識など運営子会社の経営陣として必要な様々な能力を獲得できる成長機会を設けることで、経験の豊かなリーダーを育成してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、飲食店運営事業の国内外を含む店舗展開、海外飲食ブランドの国内展開などの新規事業開発に伴うものとなっております。
財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達をおこなっており、飲食店運営事業における新規出店資金については、主要取引銀行との間でシンジケート方式によるコミットメントラインを締結しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
当社グループは企業価値を継続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などを経営指標として重視しております。
当連結会計年度における売上高成長率は2.9%(前年同期比10.9ポイント減)、営業利益率は4.4%(前年同期比0.6ポイント増)となりました。引き続きこれらの指標が改善されるように取り組んでまいります。