有価証券報告書-第42期(令和1年8月1日-令和2年7月31日)

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2020/10/20 16:04
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を通じて緩やかな回復傾向で推移しましたが、米中貿易摩擦や、日韓関係に対する警戒感、中東情勢の緊張の高まりに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、先行きは依然不透明な状況で推移しております。
食品小売業界におきましても、2020年4月7日の政府による緊急事態宣言の発出以降、外出自粛要請のなか営業時間の見直し、お客様や従業員の感染防止対策などに加え、内食需要増加に伴う商品確保など、さまざまな変化への対応が求められました。
このような状況のもと、当社グループは、生活に欠かすことのできないインフラとして、感染拡大の防止に努めながら、生活必需品の安定供給に注力し、地域のお客様のライフラインとしての役割を果たしてまいりました。
当連結会計年度における経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費者の買いだめ行動、学校の臨時休校や各自治体からの外出自粛要請により在宅比率が高まり、内食需要が増加したことにより、スーパーマーケット事業の既存店売上高が伸長いたしました。これらにより、売上高126,958百万円と前連結会計年度に比べ13,680百万円(12.1%)の増収となりました。
販売費及び一般管理費におきましては、計画外の店舗改装等により当初の予想を上回るものの、売上高ほどの伸びはなくコストを吸収できたことで、営業利益は6,717百万円と前連結会計年度に比べ2,116百万円(46.0%)の増益、経常利益は6,808百万円と前連結会計年度に比べ2,057百万円(43.3%)の増益となりました。
当社連結子会社のAATJ株式会社におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、イベント等の開催を現在自粛しております。同社の収益性の低下に伴い、当連結会計年度において、のれん等の減損損失768百万円を計上いたしました。また、当社及び当社連結子会社が保有する固定資産において、減損損失148百万円を計上した一方で、内食需要の高まりによる売上高の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は3,654百万円と前連結会計年度に比べ841百万円(29.9%)の増益となりました。
当社グループにおける事業セグメントごとの状況は、次のとおりであります。
(スーパーマーケット事業)
スーパーマーケット事業につきましては、5つの店舗業態で構成されております。
(a)株式会社ジャパンミートが運営する大型商業施設内店舗「ジャパンミート生鮮館」
「ジャパンミート生鮮館」は商圏が広く、集客力のあるホームセンター「ジョイフル本田」及び「マルイ」などの大型商業施設において14店舗展開しております。精肉売場を核とし、青果・鮮魚・惣菜の専門性を強調すること、顧客に幅広く支持されるような商品を売場に展開することで、ファミリー層を中心に楽しくお買い物ができる売場の構築に努めてまいりました。
(b)株式会社ジャパンミートが運営する関東圏単独店舗「ジャパンミート卸売市場」
「ジャパンミート卸売市場」は関東圏近郊のロードサイドにおいて10店舗を展開しており、「ジャパンミート生鮮館」を小型化した単独店舗であります。生鮮食品の専門性を強調した店舗の特徴を活かし、品揃えや商品力において差別化を図ってまいりました。
(c)株式会社パワーマートが運営する「パワーマート」
「パワーマート」は茨城県、栃木県の北関東で4店舗展開しております。「ジャパンミート生鮮館」同様に売場毎の専門性を強調した体制で運営してまいりました。
(d)株式会社花正が運営する都市型ホールセール「肉のハナマサ」
東京都内を中心に業務用スーパー「肉のハナマサ」などを53店舗展開しております。飲食店事業者のプロが日々の仕入先として利用できるよう、商品を大容量で販売するとともに、一般家庭の顧客買物需要にも応えられる品揃えをすることで、スーパーマーケットとは差別化された「都市型ホールセール」を運営してまいりました。
(e)株式会社ジャパンミートが運営する「食肉卸売センターMEAT Meet」
埼玉県東部エリアを中心に「スーパーマーケットタジマ」を営む株式会社タジマを、2019年5月に子会社化いたしました。当社グループ入り後4店舗のリニューアルを行い、屋号を「食肉卸売センターMEAT Meet」に変更いたしました。「食肉卸売センターMEAT Meet」も「ジャパンミート生鮮館」、「ジャパンミート卸売市場」同様に生鮮食品、特に精肉売場の専門性を特徴とした体制で運営してまいりました。
店舗の状況としましては、2019年10月に「スーパーマーケットタジマ」新栄店(埼玉県草加市)、11月に「スーパーマーケットタジマ」大袋店(埼玉県越谷市)のリニューアルを行い、屋号を「食肉卸売センターMEAT Meet」に変更いたしました。また、2020年3月に「スーパーマーケットタジマ」王子店(東京都北区)のリニューアルを行い、「ジャパンミート卸売市場」へ業態変更いたしました。
一方、店舗の閉鎖としましては、2019年9月に「肉のハナマサ」日本橋宝町店(東京都中央区)、「スーパーマーケットタジマ」大里店(埼玉県越谷市)、2020年1月に「パワーマート」東海店(茨城県那珂郡)、「スーパーマーケットタジマ」三郷店(埼玉県三郷市)を閉店しました。これにより当連結会計年度末時点におけるスーパーマーケット事業の店舗数は85店舗になりました。
当連結会計年度における経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費者の買いだめ行動、学校の臨時休校や各自治体からの外出自粛要請により在宅比率が高まり、内食需要が増加したことにより、既存店売上高が伸長いたしました。これらにより、売上高は123,092百万円と前連結会計年度と比べ14,337百万円(13.2%)の増収、セグメント利益(営業利益)は7,027百万円と前連結会計年度と比べ2,203百万円(45.7%)の増益となりました。
(その他)
その他の事業につきましては、外食事業、イベント関連事業、アウトソーシング事業で構成されております。
(a)株式会社ジャパンデリカが運営する外食事業「漫遊亭」
外食事業につきましては、主に「焼肉や漫遊亭」を展開しております。当連結会計年度におきましても、得意とする精肉の調達力、ノウハウを活かし、新鮮で高品質な料理を安価でご提供するよう努めてまいりました。また、おいしい商品と快適な食事空間を提供するという基本方針のもと、新メニューの開発をすすめ、他店との差別化を図り、お客様が楽しく食事ができる店づくりに努めてまいりました。
外食事業の店舗の状況としましては、2020年2月に「焼肉や漫遊亭」栃木片柳店(栃木県栃木市)を開店いたしました。また、2020年4月に「焼肉や漫遊亭」柏店(千葉県柏市)を閉店いたしました。これにより、当連結会計年度末時点における外食事業の店舗数は16店舗になりました。
(b)AATJ株式会社が展開する「肉フェス」などのイベント関連事業
イベント関連事業につきましては、「肉フェス」、「餃子フェス」など食に関わるイベントの展開、国内外のイベントの制作、運営などを行っております。当連結会計年度末時点におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、イベントの開催を自粛しております。安心・安全に開催できる時期がきましたら、イベントの開催について検討してまいります。
(c)アウトソーシング事業を展開する株式会社アクティブマーケティングシステム
アウトソーシング事業につきましては、スーパーマーケット業界における、レジ業務の受託代行サービスを行っております。スーパーマーケットの実務経験に基づいた独自のノウハウによって、顧客のニーズに応える質の高いサービスを提供しております。レジ業務のプロフェッショナルとして新規顧客開拓を行い、業容の拡大に努めてまいります。
当連結会計年度における経営成績につきましては、イベント関連事業で開催いたしました「肉フェス」において、台風や悪天候に見舞われたことで開催日を短縮したことや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ゴールデンウィーク期間中に計画していたイベントの開催を自粛したことで、売上高は5,797百万円と前連結会計年度と比べ546百万円(8.6%)の減収、セグメント利益(営業利益)は137百万円と前連結会計年度と比べ350百万円(71.8%)の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、14,629百万円(前連結会計年度は11,032百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、6,203百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益6,144百万円(前連結会計年度比27.0%増)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、948百万円(前連結会計年度比53.9%減)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出764百万円(前連結会計年度比2.0%増)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、1,657百万円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。これは、主に配当金の支払額800百万円(前連結会計年度比0.1%増)、長期借入金の返済による支出590百万円(前連結会計年度比51.2%減)によるものであります。
③ 仕入及び販売の状況
a 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前連結会計年度比(%)
スーパーマーケット事業85,924110.0
その他29691.3
合計86,220109.9

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)
スーパーマーケット事業122,470113.3
その他4,48786.3
合計126,958112.1

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度と比べ4,338百万円増加し、48,779百万円となりました。流動資産は5,361百万円増加し、固定資産は1,023百万円減少しております。主な要因は、現金及び預金の増加4,003百万円、有形固定資産の増加269百万円の一方でのれんの減損を含む無形固定資産の減少1,299百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度と比べ1,361百万円増加し、19,894百万円となりました。主な要因は、買掛金が463百万円、未払金が516百万円、未払法人税等が554百万円増加した一方で、長期借入金が返済により590百万円減少したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度と比べ2,976百万円増加し、28,885百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加2,854百万円によるものであります。
b 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による、消費者の買いだめ行動、学校の臨時休校や各自治体からの外出自粛要請により在宅比率が高まり、内食需要が増加したことにより、スーパーマーケット事業の既存店では前連結会計年度比108.3%と伸長したことが増収に寄与いたしました。
営業利益につきましては、計画外の店舗改装など一過性の費用があったものの、増収によりその費用を吸収した結果、6,717百万円と前連結会計年度に比べて46.0%の増益となり、営業利益率は5.3%となりました。
経常利益につきましては、6,808百万円と前連結会計年度に比べて43.3%増益となり、経常利益率は5.4%となりました。その結果、過去最高の売上高、経常利益を達成しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通り、経営環境、食品の安全性、法的規制等様々なリスク要因を認識しております。
そのため、当該リスクを低減すべく、食品市場の動向に留意しつつ、内部管理体制の強化及び優秀な人材を確保育成し、顧客のニーズを的確に捉え最適な商品を提供することに努めてまいります。
また、当連結会計年度においては、消費税率の引き上げ、新型コロナウイルス感染症の拡大など、消費者心理に影響を与える事象が多く発生いたしました。新型コロナウイルス感染症拡大に関する影響については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク 特に重要なリスク (3) 自然災害・事故・感染症について」に記載の通りであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、経営環境の変化に対応するため資金の流動性を確保することで安定した財務基盤を維持することに努めております。
主な資金需要は、仕入資金、人件費、販売費及び一般管理費等の営業経費に加えて、新規出店時の設備投資及び既存店舗の改装等であります。
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入及びリース取引により調達しており、当社において一元管理しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、この連結財務諸表の作成にあたりまして、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、利益計画に基づき将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。繰延税金資産の回収可能額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報、タックス・プランニングに基づき合理的に判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
b 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、管理会計上の区分を基礎とし、主として店舗をキャッシュ・フローを生み出す独立した最小単位としてグルーピングしており、営業活動による損益が継続してマイナスとなる店舗及び事業用資産、又は店舗の閉鎖が決定した場合、転用見込みのない資産について、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。そのため、当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。