訂正有価証券報告書-第43期(2020/08/01-2021/07/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大の影響により、景気の先行きが依然不透明な状況で推移しております。
食品小売業界におきましても、生活防衛意識の高まりによる節約志向の上昇、家計の先行きへの不安感から低価格志向の一層の高まりなど消費環境は悪化しており、業種・業態の垣根を超えた販売競争は一層厳しさを増しております。
このような状況のもと、当社グループは、生活に欠かすことのできないインフラとして、感染拡大の防止に努めながら、生活必需品の安定供給に注力し、地域のお客様のライフラインとしての役割を果たしてまいりました。
当連結会計年度における経営成績は、消費行動の制限を余儀なくされるなか、スーパーマーケット事業最大の繁忙期であります年末商戦が好調に推移したこと、家庭内調理需要の増加に伴うまとめ買いに適切に対応できたことで、スーパーマーケット事業の既存店売上高が伸長いたしました。当社グループ独自の販売手法であります異常値販売による買上点数増加策や来店頻度減少に対応したジャンボパック等の販売強化策により、精肉などの生鮮食品を中心とした料理素材が顧客からの根強い支持を得ることができました。また、当連結会計年度に出店したスーパーマーケット事業5店舗の寄与もあり、売上高は129,823百万円と前連結会計年度に比べ2,865百万円(2.3%)の増収となりました。
一方、販売費及び一般管理費につきましては、新規出店に伴う一過性の開店費用、店舗改装に係る費用等が発生したため、営業利益は6,575百万円と前連結会計年度に比べ141百万円(2.1%)の減益、経常利益は6,693百万円と前連結会計年度に比べ115百万円(1.7%)の減益となりました。
2021年2月、群馬県太田市のショッピングセンター「ニコモール」の運営管理を行う株式会社ニコモールを連結子会社化いたしました。これに伴う会計処理として、317百万円の特別利益(負ののれん発生益)を計上しております。特別損失としましては、前連結会計年度において固定資産等の減損損失等964百万円を計上しておりますが、当連結会計年度では同様に243百万円計上しております。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は4,246百万円と前連結会計年度に比べ591百万円(16.2%)の増益となりました。
当社グループにおける事業セグメントごとの状況は、次のとおりであります。
(スーパーマーケット事業)
スーパーマーケット事業につきましては、5つの店舗業態で構成されております。
(a)株式会社ジャパンミートが運営する大型商業施設内店舗「ジャパンミート生鮮館」
「ジャパンミート生鮮館」は商圏が広く、集客力のある大型商業施設「ジョイフル本田」、「マルイ」、「スーパービバホーム」において14店舗展開しております。精肉売場を核とし、青果・鮮魚・惣菜の専門性を強調すること、顧客に幅広く支持されるような商品を売場に展開することで、ファミリー層を中心に楽しくお買い物ができる売場の構築に努めてまいりました。
(b)株式会社ジャパンミートが運営する関東圏単独店舗「ジャパンミート卸売市場」、「パワーマート」、「食肉卸売センターMEAT Meet」
関東圏のロードサイドに「ジャパンミート卸売市場」12店舗、「パワーマート」4店舗、「食肉卸売センターMEAT Meet」4店舗を展開しております。これらは「ジャパンミート生鮮館」を小型化した単独店舗であります。生鮮食品の専門性を強調した店舗の特徴を活かし、品揃えや商品力において差別化を図ってまいりました。
(c)株式会社花正が運営する都市型ホールセール「肉のハナマサ」
東京都内を中心に業務用スーパー「肉のハナマサ」などを55店舗展開しております。飲食店事業者のプロが日々の仕入先として利用できるよう、商品を大容量で販売するとともに、一般家庭の顧客買物需要にも応えられる品揃えをすることで、スーパーマーケットとは差別化された「都市型ホールセール」を運営してまいりました。
店舗の状況としましては、2020年12月に「肉のハナマサPLUS」要町店(東京都板橋区)、2021年4月に「ジャパンミート生鮮館」仙台中山店(宮城県仙台市)および「肉のハナマサPLUS」小岩店(東京都江戸川区)、同年6月に「ジャパンミート卸売市場」ふじみ野店(埼玉県ふじみ野市)、同年7月に「ジャパンミート卸売市場」流山店(千葉県流山市)を開店いたしました。また、2020年9月に「ジャパンミート生鮮館」大曲店(北海道北広島市)を閉店いたしました。これにより、当連結会計年度末時点におけるスーパーマーケット事業の店舗数は89店舗になりました。
当連結会計年度における経営成績につきましては、最大の繁忙期であります年末商戦が好調に推移したこと、内食需要の高まりによるまとめ買いに適切に対応できたことで、既存店の売上高が伸長いたしました。また、当連結会計年度に出店した5店舗の寄与もあり、売上高は126,155百万円と前連結会計年度に比べ3,062百万円(2.5%)の増収となりました。一方、販売費及び一般管理費につきましては、新規出店に伴う一過性の開店費用、店舗改装に係る費用等が発生したため、セグメント利益(営業利益)は6,224百万円と前連結会計年度と比べ802百万円(11.4%)の減益となりました。
(その他)
その他の事業につきましては、外食事業、イベント関連事業、アウトソーシング事業、施設運営管理事業で構成されております。
(a)株式会社ジャパンデリカが運営する外食事業「漫遊亭」
外食事業につきましては、「焼肉や漫遊亭」などを16店舗展開しております。得意とする精肉の調達力、ノウハウを活かし、新鮮で高品質な料理を安価でご提供するよう努めてまいりました。また、美味しい商品と快適な食事空間を提供するという基本方針のもと、新メニューの開発をすすめ、他店との差別化を図り、お客様が楽しく食事ができる店づくりに努めてまいりました。
(b)AATJ株式会社が展開する「肉フェス」などのイベント関連事業
イベント関連事業につきましては、「肉フェス」、「餃子フェス」など食に関わるイベントの展開、国内外のイベント制作、運営などを行っております。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、イベントの開催を自粛しております。安心・安全に開催できる時期がきましたら、イベントの開催について検討してまいります。
(c)アウトソーシング事業を展開する株式会社アクティブマーケティングシステム
アウトソーシング事業につきましては、スーパーマーケット業界における、レジ業務の受託代行サービスを行っております。スーパーマーケットの実務経験に基づいた独自のノウハウによって、顧客のニーズに応える質の高いサービスを提供しております。レジ業務のプロフェッショナルとして新規顧客開拓を行い、業容の拡大に努めてまいりました。
(d)ショッピングセンター「ニコモール」を運営管理する株式会社ニコモール
群馬県太田市のショッピングセンター「ニコモール」の運営管理を行う株式会社ニコモールを2021年2月に子会社化いたしました。「ニコモール」には株式会社ジャパンミートが運営しておりますジャパンミート生鮮館新田店をはじめとした36の専門テナントが出店しており、地域の方に欠かせない生活のインフラとしてご愛顧いただいております。
当連結会計年度における経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりイベント関連事業の活動を自粛したこと、外食事業では各自治体からの営業時間短縮等の要請に速やかに応じたことで、売上高は5,632百万円と前連結会計年度に比べ165百万円(2.9%)の減収となりました。一方、前連結会計年度に開催いたしました「肉フェス」において、悪天候等で計画通りイベントを行うことができず支出が発生いたしましたが、当連結会計年度におきましては当初よりイベントの開催を自粛しており、販売費及び一般管理費等を大幅に抑えたことから、セグメント利益(営業利益)は370百万円と前連結会計年度に比べ232百万円(168.5%)の増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、15,227百万円(前連結会計年度は14,629百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、7,272百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益6,779百万円(前連結会計年度比10.3%増)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、5,091百万円(前連結会計年度比436.7%増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出3,377百万円(前連結会計年度比341.6%増)及び新規連結子会社の株式会社ニコモールの取得による支出425百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、1,582百万円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。これは、主に配当金の支払額799百万円(前連結会計年度比0.1%減)、長期借入金の返済による支出1,589百万円(前連結会計年度比168.9%増)の一方で、短期借入金の増額694百万円及び長期借入金による収入400百万円によるものであります。
③ 仕入及び販売の状況
a 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
スーパーマーケット事業 | 90,968 | 105.9 |
その他 | 282 | 95.4 |
合計 | 91,251 | 105.8 |
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
スーパーマーケット事業 | 125,551 | 102.5 |
その他 | 4,272 | 95.2 |
合計 | 129,823 | 102.3 |
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度と比べ6,611百万円増加し、55,391百万円となりました。流動資産は3,378百万円、固定資産は3,233百万円増加しております。主な要因は、現金及び預金の増加1,670百万円、たな卸資産の増加564百万円、有形固定資産の増加3,581百万円の一方で、のれんの償却を含む無形固定資産の減少275百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度と比べ3,148百万円増加し、23,042百万円となりました。主な要因は、買掛金が2,973百万円増加したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度と比べ3,463百万円増加し、32,348百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加3,446百万円によるものであります。
b 経営成績の分析
当社グループの経営成績等の状況につきましては、「第1 企業の概況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通り、経営環境、食品の安全性、法的規制等様々なリスク要因を認識しております。
そのため、当該リスクを低減すべく、食品市場の動向に留意しつつ、内部管理体制の強化及び優秀な人材を確保育成し、顧客のニーズを的確に捉え最適な商品を提供することに努めてまいります。
また、前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大など、消費者心理や消費行動に影響を与える事象が多く発生しております。新型コロナウイルス感染症拡大に関する影響については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク 特に重要なリスク (3) 自然災害・事故・感染症について」に記載の通りであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運営上必要な資金は営業活動によって得られる資金を基本とし、大型設備投資等の調達には自己資金及び金融機関からの長期借入金により行っております。
主な資金需要は、仕入資金、人件費、販売費及び一般管理費等の営業経費に加えて、新規出店時の設備投資及び既存店舗の改装等であります。
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入及びリース取引により調達しており、当社において一元管理しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、この連結財務諸表の作成にあたりまして、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、利益計画に基づき将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。繰延税金資産の回収可能額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報、タックス・プランニングに基づき合理的に判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
b 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、管理会計上の区分を基礎とし、主として店舗をキャッシュ・フローを生み出す独立した最小単位としてグルーピングしており、営業活動による損益が継続してマイナスとなる店舗及び事業用資産、又は店舗の閉鎖が決定した場合、転用見込みのない資産について、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。そのため、当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。