有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益は非製造業では足踏みが見られますが、総じて持ち直しており、設備投資についても同様に持ち直しの動きが見られています。しかしながら、個人消費については、所得や購買意欲に持ち直しの傾向が見られるものの、依然としてサービス支出を中心に弱い動きとなっており、今後の新型コロナウイルス感染症の状況や金融・資本市場の動向等を注視する必要があります。
また、海外においても、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済情勢は依然として厳しい状況にあります。米国及び中国の景気は緩やかな回復傾向にありますが、欧州では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、経済活動が抑制され、景気回復の重しとなっていることから、引き続き金融・資本市場の動向等を注視する必要があります。
民間設備投資では、当社グループの主力事業であるリース事業の指標となるリース設備投資額の年間累計額は、4兆2,903億円※(前年同期比85.9%)と主力の情報通信機器をはじめ、商業及びサービス業用機器等の減少により、前年を下回る水準になっております。(※リース事業協会2020年度統計)
(中期経営計画)
当社グループでは、親会社である三井住友信託銀行株式会社の計画年度に合わせて、2020年度からの3ヵ年を計画年度とする新たな3ヵ年中期経営計画を前連結会計年度において策定いたしました。当中期経営計画では、当社グループが直面する課題への対処を進め、お客様の多様化するニーズに応え持続的な収益基盤拡大を実現するため、従来手法や発想に捉われず、変化を怖れず挑戦し、新たな成長モデルを獲得することにより、新しい当社グループを創り上げるステージと位置づけています。中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、チャレンジの成果に拘り、「新たな成長モデルの獲得」・「新しい当社を創る」ための「進化」を方針として掲げました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、新常態(ニューノーマル)に適応するインフラ整備を着実に進めてまいりましたが、各事業においては前年比で契約実行高が減少となりました。
(営業推進面)
当社グループでは、顧客属性及びチャネル・商流ごとに以下の事業(主要4事業及びその他事業)に分けて営業推進体制を構築しております。
※1 日本機械リース販売株式会社、Sumitomo Mitsui Trust Leasing(Singapore)Pte.Ltd.
※2 日本機械リース販売株式会社他
当連結会計年度における各事業の取組みは、以下の通りです。
ホールセール事業 :注力分野に掲げた「不動産」をはじめとして当社グループの機能・特性を活用し、三井住友トラスト・グループのシナジー効果を発揮できる分野でのファイナンススキームの構築を進め、親会社である三井住友信託銀行株式会社との協働並びに営業推進の強化を図りました。また、引き続き中小企業等のミドル層マーケットへの土木建設機械、産業工作機械及び車両等の特定機種を中心とした販売金融の推進に注力し収益性の高い事業基盤拡大を進めました。加えて、パナソニック株式会社が提供する新たな商品やサービスに対するファイナンススキームの開発・展開に取組みました。一方で、ファクタリング等の短期債権については収益性を見極めて取組みました。
ベンダーリース事業 :新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う活動制約のなか、引き続き、Web申込・電子契約書の活用等により、各販売店(ベンダー)の特性に合わせた営業モデルを推進し、競争の厳しさが増すなかで収益の極大化に取組みました。また、業界・商材分析による新たな戦略の策定を進め、三井住友信託銀行株式会社との協働による販売店への個別施策の提案を進めました。
専門店事業 :2019年10月に開始されたキャッシュレス・消費者還元事業において、地域家電販売店に対してパナソニック株式会社と協働してキャッシュレス決済の浸透・定着に向けて、カード会員獲得とクレジット活用促進を行いました。また、キャッシュレス・消費者還元事業終了後の2020年7月以降も、キャッシュレス決済の継続利用の促進を図りました。
リテールファイナンス事業:ハウスメーカー等販売会社各社と提携したリフォームローンの推進強化を進め、「Web完結型のリフォームローン」等により業務効率化と他社差別化を図りました。また、取引先従業員向けの当社ローンメニューの推進においては、三井住友信託銀行株式会社との協働強化を推し進めました。
その他事業 :日本型オペレーティング・リース(JOL)事業は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当連結会計年度における新たな組成商品はなく、前連結会計年度以前に組成を行った商品の販売とともに、顧客ニーズの把握に努めました。引き続き、三井住友信託銀行株式会社や地域金融機関等との協働による組成・販売に取組んでまいります。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,955億44百万円(前年同期比113.7%)、営業利益97億84百万円(同422.9%)、経常利益84億90百万円(同735.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益55億43百万円(同1,334.6%)となりました。
(セグメント別業績の概要)
セグメントの経営成績は、次の通りであります。なおセグメント利益は資金原価控除前売上総利益になります。
(ア) ホールセール事業
三井住友信託銀行株式会社及びパナソニック株式会社の顧客基盤において、株主協働による案件の積上げが進んだものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により設備投資が減退した影響から、産業工作機械、車両等の分野で前連結会計年度を下回りました。また、ファクタリング等の短期債権について収益性を見極め、選別して取組んだことにより、契約実行高は4,575億93百万円(前年同期比64.9%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比0.2%増加の8,095億93百万円となりました。また、売上高は2,111億89百万円(同123.3%)となり、セグメント利益は175億20百万円(同102.2%)となりました。
(イ) ベンダーリース事業
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う営業活動の制約に加え、リースの主要商材である情報通信機器を中心とした契約実行高の減少等もあり、契約実行高は634億87百万円(同86.9%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比4.5%減少の1,925億49百万円となりました。また、売上高は787億33百万円(同95.0%)となり、セグメント利益は83億8百万円(同96.9%)となりました。
(ウ) 専門店事業
パナソニック株式会社との一体推進によるカード会員の獲得とクレジットの利用促進の効果はありましたが、キャッシュレス・消費者還元事業終了の反動もあり、契約実行高は402億89百万円(同91.1%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比17.5%減少の426億63百万円となりました。また、売上高は20億96百万円(同97.2%)となり、セグメント利益は18億46百万円(同97.5%)となりました。
(エ) リテールファイナンス事業
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いリモートを活用した新たな商談手法によりお客様との接点を維持し、他社差別化施策を推進したものの、個人消費の停滞により主力商品であるリフォームローンの需要減退の影響が大きく、契約実行高は900億18百万円(同94.8%)と減少しました。営業資産残高は前連結会計年度末比0.2%増加の1,981億60百万円となりました。また、売上高は30億7百万円(同99.9%)となり、セグメント利益は27億4百万円(同98.9%)となりました。
(オ) その他事業
その他事業の売上高は5億16百万円(同79.0%)となり、セグメント利益は2億63百万円(同69.3%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高より62億87百万円減少し、250億23百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益84億68百万円、賃貸資産減価償却費34億91百万円、賃貸資産の売却による収入560億84百万円、営業貸付金及びその他の営業貸付債権の減少額367億37百万円、割賦債権の減少額206億51百万円等の収入に対し、リース債権及びリース投資資産の増加額208億37百万円、賃貸資産の取得による支出842億73百万円の支出等により、営業活動全体では315億69百万円の収入(前連結会計年度は487億95百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、社用資産の取得による支出4億34百万円等の支出により、投資活動全体では4億87百万円の支出(前連結会計年度は13億63百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,167億98百万円、社債の発行による収入99億55百万円等の収入に対し、コマーシャル・ペーパーの純減少額220億1百万円、長期借入金の返済による支出1,119億53百万円等の支出により、財務活動全体では374億4百万円の支出(前連結会計年度は460億30百万円の収入)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)
売上高は2,955億44百万円(前年同期比113.7%)と伸長しましたが、再リース収入等の減少により、売上総利益は277億26百万円(同100.8%)と概ね横這いにて推移いたしました。販売費及び一般管理費は179億41百万円(同71.2%)を計上し、このうち、経費は170億7百万円(同98.8%)と微減でしたが、貸倒引当金繰入額等は前連結会計年度に計上した特例引当金を一部取崩したことにより9億33百万円(前連結会計年度は79億91百万円)と大幅に減少いたしました。この結果、営業利益は97億84百万円(前年同期比422.9%)となり、経常利益は84億90百万円(同735.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は55億43百万円(同1,334.6%)と共に前年度を上回る結果となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループは、主として事業法人、官公庁及び個人事業者等の設備投資需要に対して、リース取引を基軸とした事業展開を行っております。金利動向、同業他社との競争環境、顧客の設備投資意欲、会計・税務制度の動向及び新型コロナウイルス感染拡大等による影響で、設備投資需要が大幅に減少した場合や事業法人倒産及び個人破産者等が増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き、足元の案件獲得への影響に加え、将来の売上につながる案件獲得に向けた営業活動も制約を受けており、翌連結会計年度以降、経営成績への影響が生じてくると見込まれます。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、リース資産を始めとする営業資産の購入費用であります。
資金調達に際しては、10年以上の長期固定調達を積極的に実施し借入期間の長期化を図るとともに、短期及び長期債権の合同運用指定金銭信託を活用した流動化スキーム等による調達及び第9回無担保社債(社債間限定同順位特約付)を発行し、調達の多様化を進めております。また、適切な資金繰りやALM等の管理により、資金の流動性確保を図っております。
(セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)
セグメントごとの財政状態及び経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況(セグメント別業績の概要)」に記載の通りであります。また、「2 事業等のリスク」に記載の各リスクの顕在化により、各セグメントの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
ホールセール事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、主として事業法人及び官公庁の設備投資需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ベンダーリース事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、主として事業法人及び個人事業者等の設備投資需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
専門店事業 :経済環境の悪化等により、主として個人の商品クレジット需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リテールファイナンス事業:経済環境の悪化等により、主として個人のリフォームローン需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、手数料業務等が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金及び関係会社貸付金)の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次の通りであります。
① 貸付金の種別残高内訳
② 資金調達内訳
③ 業種別貸付金残高内訳
④ 担保別貸付金残高内訳
⑤ 期間別貸付金残高内訳
(注)期間は、約定期間によっております。
(4)営業取引の状況
① 契約実行高
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
② 営業資産残高
連結会計年度末における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
③ 営業債権残高
連結会計年度末における営業債権残高をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)期末残高には、固定化営業債権が含まれております。
④ 営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(ア)前連結会計年度
(注)1.売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
2.ソフトバンク株式会社への売上高は27,181百万円(総売上高に占める割合は10.5%)であります。
(イ)当連結会計年度
(注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益は非製造業では足踏みが見られますが、総じて持ち直しており、設備投資についても同様に持ち直しの動きが見られています。しかしながら、個人消費については、所得や購買意欲に持ち直しの傾向が見られるものの、依然としてサービス支出を中心に弱い動きとなっており、今後の新型コロナウイルス感染症の状況や金融・資本市場の動向等を注視する必要があります。
また、海外においても、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済情勢は依然として厳しい状況にあります。米国及び中国の景気は緩やかな回復傾向にありますが、欧州では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、経済活動が抑制され、景気回復の重しとなっていることから、引き続き金融・資本市場の動向等を注視する必要があります。
民間設備投資では、当社グループの主力事業であるリース事業の指標となるリース設備投資額の年間累計額は、4兆2,903億円※(前年同期比85.9%)と主力の情報通信機器をはじめ、商業及びサービス業用機器等の減少により、前年を下回る水準になっております。(※リース事業協会2020年度統計)
(中期経営計画)
当社グループでは、親会社である三井住友信託銀行株式会社の計画年度に合わせて、2020年度からの3ヵ年を計画年度とする新たな3ヵ年中期経営計画を前連結会計年度において策定いたしました。当中期経営計画では、当社グループが直面する課題への対処を進め、お客様の多様化するニーズに応え持続的な収益基盤拡大を実現するため、従来手法や発想に捉われず、変化を怖れず挑戦し、新たな成長モデルを獲得することにより、新しい当社グループを創り上げるステージと位置づけています。中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、チャレンジの成果に拘り、「新たな成長モデルの獲得」・「新しい当社を創る」ための「進化」を方針として掲げました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、新常態(ニューノーマル)に適応するインフラ整備を着実に進めてまいりましたが、各事業においては前年比で契約実行高が減少となりました。
(営業推進面)
当社グループでは、顧客属性及びチャネル・商流ごとに以下の事業(主要4事業及びその他事業)に分けて営業推進体制を構築しております。
事業 | 顧客属性 | チャネル・商流 | 契約実行高 (当連結会計年度) | 連結 子会社 |
ホールセール事業 | 法人 | 株主顧客基盤等 (顧客相対取引) | 4,575億93百万円 | ※1 |
ベンダーリース事業 | 法人 | OA等ベンダー (販売金融取引) | 634億87百万円 | - |
専門店事業 | 個人 | パナソニック ショップ | 402億89百万円 | - |
リテールファイナンス事業 | 個人 | ハウスメーカー系 リフォーム業者等 | 900億18百万円 | - |
その他事業 | 法人 | その他手数料取引等 | - | ※2 |
※1 日本機械リース販売株式会社、Sumitomo Mitsui Trust Leasing(Singapore)Pte.Ltd.
※2 日本機械リース販売株式会社他
当連結会計年度における各事業の取組みは、以下の通りです。
ホールセール事業 :注力分野に掲げた「不動産」をはじめとして当社グループの機能・特性を活用し、三井住友トラスト・グループのシナジー効果を発揮できる分野でのファイナンススキームの構築を進め、親会社である三井住友信託銀行株式会社との協働並びに営業推進の強化を図りました。また、引き続き中小企業等のミドル層マーケットへの土木建設機械、産業工作機械及び車両等の特定機種を中心とした販売金融の推進に注力し収益性の高い事業基盤拡大を進めました。加えて、パナソニック株式会社が提供する新たな商品やサービスに対するファイナンススキームの開発・展開に取組みました。一方で、ファクタリング等の短期債権については収益性を見極めて取組みました。
ベンダーリース事業 :新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う活動制約のなか、引き続き、Web申込・電子契約書の活用等により、各販売店(ベンダー)の特性に合わせた営業モデルを推進し、競争の厳しさが増すなかで収益の極大化に取組みました。また、業界・商材分析による新たな戦略の策定を進め、三井住友信託銀行株式会社との協働による販売店への個別施策の提案を進めました。
専門店事業 :2019年10月に開始されたキャッシュレス・消費者還元事業において、地域家電販売店に対してパナソニック株式会社と協働してキャッシュレス決済の浸透・定着に向けて、カード会員獲得とクレジット活用促進を行いました。また、キャッシュレス・消費者還元事業終了後の2020年7月以降も、キャッシュレス決済の継続利用の促進を図りました。
リテールファイナンス事業:ハウスメーカー等販売会社各社と提携したリフォームローンの推進強化を進め、「Web完結型のリフォームローン」等により業務効率化と他社差別化を図りました。また、取引先従業員向けの当社ローンメニューの推進においては、三井住友信託銀行株式会社との協働強化を推し進めました。
その他事業 :日本型オペレーティング・リース(JOL)事業は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当連結会計年度における新たな組成商品はなく、前連結会計年度以前に組成を行った商品の販売とともに、顧客ニーズの把握に努めました。引き続き、三井住友信託銀行株式会社や地域金融機関等との協働による組成・販売に取組んでまいります。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,955億44百万円(前年同期比113.7%)、営業利益97億84百万円(同422.9%)、経常利益84億90百万円(同735.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益55億43百万円(同1,334.6%)となりました。
(セグメント別業績の概要)
セグメントの経営成績は、次の通りであります。なおセグメント利益は資金原価控除前売上総利益になります。
(ア) ホールセール事業
三井住友信託銀行株式会社及びパナソニック株式会社の顧客基盤において、株主協働による案件の積上げが進んだものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により設備投資が減退した影響から、産業工作機械、車両等の分野で前連結会計年度を下回りました。また、ファクタリング等の短期債権について収益性を見極め、選別して取組んだことにより、契約実行高は4,575億93百万円(前年同期比64.9%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比0.2%増加の8,095億93百万円となりました。また、売上高は2,111億89百万円(同123.3%)となり、セグメント利益は175億20百万円(同102.2%)となりました。
(イ) ベンダーリース事業
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う営業活動の制約に加え、リースの主要商材である情報通信機器を中心とした契約実行高の減少等もあり、契約実行高は634億87百万円(同86.9%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比4.5%減少の1,925億49百万円となりました。また、売上高は787億33百万円(同95.0%)となり、セグメント利益は83億8百万円(同96.9%)となりました。
(ウ) 専門店事業
パナソニック株式会社との一体推進によるカード会員の獲得とクレジットの利用促進の効果はありましたが、キャッシュレス・消費者還元事業終了の反動もあり、契約実行高は402億89百万円(同91.1%)となり、営業資産残高は前連結会計年度末比17.5%減少の426億63百万円となりました。また、売上高は20億96百万円(同97.2%)となり、セグメント利益は18億46百万円(同97.5%)となりました。
(エ) リテールファイナンス事業
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いリモートを活用した新たな商談手法によりお客様との接点を維持し、他社差別化施策を推進したものの、個人消費の停滞により主力商品であるリフォームローンの需要減退の影響が大きく、契約実行高は900億18百万円(同94.8%)と減少しました。営業資産残高は前連結会計年度末比0.2%増加の1,981億60百万円となりました。また、売上高は30億7百万円(同99.9%)となり、セグメント利益は27億4百万円(同98.9%)となりました。
(オ) その他事業
その他事業の売上高は5億16百万円(同79.0%)となり、セグメント利益は2億63百万円(同69.3%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高より62億87百万円減少し、250億23百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益84億68百万円、賃貸資産減価償却費34億91百万円、賃貸資産の売却による収入560億84百万円、営業貸付金及びその他の営業貸付債権の減少額367億37百万円、割賦債権の減少額206億51百万円等の収入に対し、リース債権及びリース投資資産の増加額208億37百万円、賃貸資産の取得による支出842億73百万円の支出等により、営業活動全体では315億69百万円の収入(前連結会計年度は487億95百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、社用資産の取得による支出4億34百万円等の支出により、投資活動全体では4億87百万円の支出(前連結会計年度は13億63百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,167億98百万円、社債の発行による収入99億55百万円等の収入に対し、コマーシャル・ペーパーの純減少額220億1百万円、長期借入金の返済による支出1,119億53百万円等の支出により、財務活動全体では374億4百万円の支出(前連結会計年度は460億30百万円の収入)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)
売上高は2,955億44百万円(前年同期比113.7%)と伸長しましたが、再リース収入等の減少により、売上総利益は277億26百万円(同100.8%)と概ね横這いにて推移いたしました。販売費及び一般管理費は179億41百万円(同71.2%)を計上し、このうち、経費は170億7百万円(同98.8%)と微減でしたが、貸倒引当金繰入額等は前連結会計年度に計上した特例引当金を一部取崩したことにより9億33百万円(前連結会計年度は79億91百万円)と大幅に減少いたしました。この結果、営業利益は97億84百万円(前年同期比422.9%)となり、経常利益は84億90百万円(同735.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は55億43百万円(同1,334.6%)と共に前年度を上回る結果となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループは、主として事業法人、官公庁及び個人事業者等の設備投資需要に対して、リース取引を基軸とした事業展開を行っております。金利動向、同業他社との競争環境、顧客の設備投資意欲、会計・税務制度の動向及び新型コロナウイルス感染拡大等による影響で、設備投資需要が大幅に減少した場合や事業法人倒産及び個人破産者等が増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き、足元の案件獲得への影響に加え、将来の売上につながる案件獲得に向けた営業活動も制約を受けており、翌連結会計年度以降、経営成績への影響が生じてくると見込まれます。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、リース資産を始めとする営業資産の購入費用であります。
資金調達に際しては、10年以上の長期固定調達を積極的に実施し借入期間の長期化を図るとともに、短期及び長期債権の合同運用指定金銭信託を活用した流動化スキーム等による調達及び第9回無担保社債(社債間限定同順位特約付)を発行し、調達の多様化を進めております。また、適切な資金繰りやALM等の管理により、資金の流動性確保を図っております。
(セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)
セグメントごとの財政状態及び経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況(セグメント別業績の概要)」に記載の通りであります。また、「2 事業等のリスク」に記載の各リスクの顕在化により、各セグメントの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
ホールセール事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、主として事業法人及び官公庁の設備投資需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ベンダーリース事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、主として事業法人及び個人事業者等の設備投資需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
専門店事業 :経済環境の悪化等により、主として個人の商品クレジット需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リテールファイナンス事業:経済環境の悪化等により、主として個人のリフォームローン需要が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他事業 :経済環境や顧客の事業環境の悪化等により、手数料業務等が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金及び関係会社貸付金)の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次の通りであります。
① 貸付金の種別残高内訳
2021年3月31日現在 |
貸付種別 | 件数 (件) | 構成割合 (%) | 残高 (百万円) | 構成割合 (%) | 平均約定金利(%) |
消費者向 無担保(住宅向を除く) | 7,603 | 72.64 | 37,352 | 38.48 | 1.36 |
有担保(住宅向を除く) | 1,752 | 16.74 | 18,124 | 18.68 | 1.39 |
住宅向 | - | - | - | - | - |
計 | 9,355 | 89.38 | 55,477 | 57.16 | 1.37 |
事業者向 計 | 1,111 | 10.62 | 41,583 | 42.84 | 1.56 |
合計 | 10,466 | 100.00 | 97,061 | 100.00 | 1.45 |
② 資金調達内訳
2021年3月31日現在 |
借入先等 | 残高(百万円) | 平均調達金利(%) | |
金融機関等からの借入 | 568,965 | 0.42 | |
その他 | 483,092 | 0.09 | |
社債・CP | 430,479 | 0.05 | |
合計 | 1,052,058 | 0.27 | |
自己資本 | 195,813 | - | |
資本金・出資金 | 25,584 | - |
③ 業種別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在 |
業種別 | 先数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
農業、林業、漁業 | - | - | - | - |
建設業 | - | - | - | - |
製造業 | - | - | - | - |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 1 | 0.01 | 39 | 0.04 |
情報通信業 | 3 | 0.03 | 9,445 | 9.73 |
運輸業、郵便業 | 4 | 0.04 | 5,256 | 5.41 |
卸売業、小売業 | 4 | 0.04 | 521 | 0.54 |
金融業、保険業 | 2 | 0.02 | 5,000 | 5.15 |
不動産業、物品賃貸業 | 6 | 0.06 | 5,521 | 5.69 |
宿泊業、飲食サービス業 | 2 | 0.02 | 19 | 0.02 |
教育、学習支援業 | - | - | - | - |
医療、福祉 | - | - | - | - |
複合サービス事業 | - | - | - | - |
サービス業(他に分類されないもの) | 11 | 0.11 | 3,036 | 3.13 |
個人 | 8,801 | 90.19 | 55,477 | 57.16 |
特定非営利活動法人 | - | - | - | - |
その他 | 925 | 9.48 | 12,743 | 13.13 |
合計 | 9,759 | 100.00 | 97,061 | 100.00 |
④ 担保別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在 |
受入担保の種類 | 残高(百万円) | 構成割合(%) | |
有価証券 | - | - | |
うち株式 | - | - | |
債権 | 10,541 | 10.86 | |
うち預金 | - | - | |
商品 | - | - | |
不動産 | 7,659 | 7.89 | |
財団 | - | - | |
その他 | - | - | |
計 | 18,201 | 18.75 | |
保証 | 6,744 | 6.95 | |
無担保 | 72,115 | 74.30 | |
合計 | 97,061 | 100.00 |
⑤ 期間別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在 |
期間別 | 件数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
1年以下 | 22 | 0.21 | 4,247 | 4.37 |
1年超 5年以下 | 2,862 | 27.35 | 24,312 | 25.05 |
5年超 10年以下 | 3,689 | 35.25 | 27,995 | 28.84 |
10年超 15年以下 | 3,057 | 29.21 | 28,686 | 29.56 |
15年超 20年以下 | 510 | 4.87 | 6,436 | 6.63 |
20年超 25年以下 | 326 | 3.11 | 5,382 | 5.55 |
25年超 | - | - | - | - |
合計 | 10,466 | 100.00 | 97,061 | 100.00 |
1件当たり平均期間(年) | 10.24 |
(注)期間は、約定期間によっております。
(4)営業取引の状況
① 契約実行高
当連結会計年度(第68期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日))における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 契約実行高(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
ホールセール | 457,593 | 64.9 |
ベンダーリース | 63,487 | 86.9 |
専門店 | 40,289 | 91.1 |
リテールファイナンス | 90,018 | 94.8 |
その他 | - | - |
合計 | 651,389 | 71.0 |
② 営業資産残高
連結会計年度末における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
期末残高 (百万円) | 構成比 (%) | 期末残高 (百万円) | 構成比 (%) | |
ホールセール | 807,990 | 64.0 | 809,593 | 65.1 |
ベンダーリース | 201,567 | 16.0 | 192,549 | 15.5 |
専門店 | 51,689 | 4.1 | 42,663 | 3.4 |
リテールファイナンス | 197,835 | 15.7 | 198,160 | 16.0 |
その他 | 3,199 | 0.2 | 0 | 0.0 |
合計 | 1,262,283 | 100.00 | 1,242,966 | 100.0 |
③ 営業債権残高
連結会計年度末における営業債権残高をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
期末残高 (百万円) | 構成比 (%) | 期末残高 (百万円) | 構成比 (%) | |
ホールセール | 737,745 | 61.7 | 713,810 | 61.9 |
ベンダーリース | 204,817 | 17.2 | 195,104 | 16.9 |
専門店 | 52,235 | 4.4 | 43,196 | 3.8 |
リテールファイナンス | 198,608 | 16.6 | 199,010 | 17.3 |
その他 | 1,698 | 0.1 | 1,256 | 0.1 |
合計 | 1,195,104 | 100.00 | 1,152,378 | 100.0 |
(注)期末残高には、固定化営業債権が含まれております。
④ 営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(ア)前連結会計年度
セグメントの名称 | 売上高 (百万円) | 売上原価 (資金原価を 除く) (百万円) | 差引利益 (百万円) | 資金原価 (百万円) | 売上総利益 (百万円) |
ホールセール | 171,215 | 154,065 | 17,150 | - | - |
ベンダーリース | 82,844 | 74,267 | 8,577 | - | - |
専門店 | 2,156 | 263 | 1,893 | - | - |
リテールファイナンス | 3,009 | 275 | 2,734 | - | - |
その他 | 654 | 274 | 379 | - | - |
合計 | 259,881 | 229,145 | 30,735 | 3,218 | 27,517 |
(注)1.売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
2.ソフトバンク株式会社への売上高は27,181百万円(総売上高に占める割合は10.5%)であります。
(イ)当連結会計年度
セグメントの名称 | 売上高 (百万円) | 売上原価 (資金原価を 除く) (百万円) | 差引利益 (百万円) | 資金原価 (百万円) | 売上総利益 (百万円) |
ホールセール | 211,189 | 193,669 | 17,520 | - | - |
ベンダーリース | 78,733 | 70,424 | 8,308 | - | - |
専門店 | 2,096 | 250 | 1,846 | - | - |
リテールファイナンス | 3,007 | 303 | 2,704 | - | - |
その他 | 516 | 253 | 263 | - | - |
合計 | 295,544 | 264,901 | 30,642 | 2,916 | 27,726 |
(注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。