有価証券報告書-第9期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社等及び持分法適用関連会社等)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりである。
①財政状態
総資産は、前連結会計年度末に比べ6,642億円減少し8兆5,081億円となった。これは、関係会社の取得等による有形固定資産の増加や持分法で会計処理されている投資の増加等はあったものの、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ資産の減少等によるものである。
負債は、前連結会計年度末に比べ1兆2,831億円減少し5兆8,495億円となった。これは、有利子負債の減少に加え、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ負債の減少等によるものである。
資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加や為替換算調整勘定の増加等から、前連結会計年度末に比べ6,189億円増加し2兆6,586億円となった。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は、30.9%となった。
②経営成績
売上収益は、販売電力量の減少等により、前連結会計年度に比べ1兆271億円減少し3兆7,107億円となった。また、燃料調達価格や期首燃料在庫単価の影響、燃料事業利益減等はあったものの、期ずれ(燃料価格の変動が販売価格に反映させるまでのタイムラグ)による差損益の改善や海外・再エネ発電事業における利益増、石炭等の契約期末評価損益の改善等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ3,817億円増加し3,996億円となった。
なお、期ずれについては、燃料価格の変動を販売価格に反映するまで文字とおり「タイムラグ」があるため、期間で区切った際には収支影響が生じるが、中長期的には収支影響はニュートラルになる。この期ずれ影響を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ516億円減少し1,487億円となった。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの資金(現金及び現金同等物)は、前連結会計年度末に比べ444億円増加し、1兆4,053億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の収入は、前連結会計年度に比べ8,741億円増加し1兆3,248億円となった。これは、期ずれによる差損益の改善に伴う税引前当期利益の増加のほか、当社の営業債権の減少、当社棚卸資産の減少等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける資金の支出は、前連結会計年度に比べ1,590億円増加し5,284億円となった。これは、関係会社の取得による支出の増加等によるものである。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ7,151億円増加し7,964億円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1兆6,694億円減少し8,732億円の支出となった。これは、主に借入金の返済による支出の増加等によるものである。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、主に国内火力・ガス事業が、連結会社の売上収益の大半を占めているため、生産、受注及び販売の実績については、上記国内火力・ガス事業について記載している。
国内火力・ガス事業における発電実績、販売実績並びに主要燃料の受払状況については以下のとおりである。
イ:発電実績
(国内火力・ガス事業における発電実績)
ロ:販売実績
(国内火力・ガス事業における販売実績)
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績(国内火力・ガス事業の販売額)に対する割合
ハ:主要燃料の受払状況
(2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものである。
①経営成績等
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調を取り戻し、賃上げや企業による価格転嫁の動きを受けてデフレ脱却や景気の先行きに対する期待感もみられた。一方で、内需の弱さから景気の持ち直しに足踏みがみられたほか、世界的な金融引き締め等に伴う海外景気の下振れリスク、物価上昇、地政学リスク、金融資本市場の変動等による不透明感も継続している。
エネルギー業界では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加えて、2023年10月に発生したイスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突により資源供給地域の情勢が混乱した。また、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において目標達成までの隔たりが確認され、温室効果ガスの排出削減対策の強化が呼びかけられる等、世界的にエネルギー安全保障と脱炭素の両立の必要性が強調される年となった。日本国内でも、「GX推進法」・「GX脱炭素電源法」が成立し、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)が策定され、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の同時実現に向けた政策の具体化が加速されている。
このような中、当社は、2023年4月に「共同CEO体制」を導入し、複雑さを増す経営課題に対して異なる強みを持つ人財による相互補完関係をもって対処する執行体制を立ち上げ、より強力となった新たな体制の下で、グループの総力を挙げてエネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向けた取組みを進めた。
まず、安定供給については、電源確保の観点から、稼働中の発電所の安定運転に加えて、CO2排出量の少ない最新鋭の火力発電設備へのリプレースによる電源の新陳代謝を着実に進め、姉崎新2号機、3号機、横須賀2号機の営業運転を開始した。また、高需要期においては長期計画停止中の火力発電所の運転再開による供給力の積み増しを行った。また、発電燃料の確保の観点からは、子会社であるJERA Global Markets Pte. Ltd.を通じて機動的かつ安定的な燃料調達に努めた。2023年11月には経済産業省より戦略的余剰LNG(SBL)の認定供給確保事業者に認定され、2023年12月から2024年2月にかけて月1カーゴのSBLを確保することで、日本全体のエネルギー安全保障にも貢献した。
次に、脱炭素に向けては、2022年5月に発表した環境目標「JERA環境コミット2035」に基づき、再生可能エネルギーだけでなく、火力発電のゼロエミッション化も組み合わせたクリーン・エネルギー供給基盤の構築に向けた取組みを加速させた。
再生可能エネルギー分野においては、2023年3月に買収したParkwind NVを買収するとともに、「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖における洋上風力発電事業」(2023年12月に洋上風力発電事業者に選定)の開発や、「石狩湾新港洋上風力発電所」(2024年1月に商業運転を開始)の運営をはじめとするグローバルでの再生可能エネルギー事業に同社が持つノウハウを活用するための基盤の整備を進めた。
また、火力発電のゼロエミッション化においては、石炭火力のアンモニア転換の実現に向けて、2024年4月に碧南火力発電所4号機において世界初となる大型商用発電機でのアンモニア20%転換の実証を開始した(当初の予定より1年前倒し)。加えて、アンモニア50%転換に向けたバーナの開発・燃焼試験、米国での水素混焼に向けたガスタービン改造工事、グリーン水素製造、アンモニアのクラッキング・大規模分解触媒の技術開発等、最先端のソリューションの開発・獲得に取り組んだほか、国による支援制度整備の動きにも沿う形で、水素・アンモニア分野の上流開発・販売等のサプライチェーンの構築・拡大に向けた検討・協業等を進めた。
また、これらの取組みと並行し、再生可能エネルギー、ゼロエミッション火力と最新のデジタル技術を組み合わせて、毎日24時間・毎週7日間(年間365日)にわたってCO2を排出しない「24/7カーボンフリー電力」を供給することで、エネルギーの提供価値を最大化する取組みも開始した(2023年6月、東宝株式会社とCO2ゼロエミッションに向けた基本契約を締結)。
海外においては、ゼロエミッションに向けて共通の課題を有するアジアにおいて、各国の事情に即した確実なトランジションを可能とするため、パートナー企業との共同による脱炭素ロードマップの策定、水素・アンモニアの活用を含めた国・地域別の特性を考慮したソリューションの検討等を実施した(インドネシアEnergy Transition Master Planの策定支援、ベトナム電力公社脱炭素ロードマップ策定支援、等)。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
なお、第1四半期連結会計期間より、当社グループにおける事業管理区分の見直しに伴い、従来「海外発電事業」としていた報告セグメントの名称を「海外・再エネ発電事業」に変更し、「調整額」に含めて記載していた一部の連結グループ内の取引に係る調整額を「国内火力・ガス事業」に含めて記載する方法に変更している。
これに伴い、前連結会計年度の数値を、当連結会計年度のセグメント区分に基づき、組み替えた数値で比較を行っている。
[燃料事業]
燃料上流事業等への投資、燃料輸送・燃料トレーディング事業を行っており、燃料トレーディング事業を営む子会社利益の減少等から、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ686億円減少し1,326億円となった。
[海外・再エネ発電事業]
海外の発電事業や国内外の再生可能エネルギーの発電事業等への投資を行っており、2021年度に実施した海外発電案件減損の戻入益や海外IPP事業の増益の影響等から、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ404億円改善し337億円の利益となった。
[国内火力・ガス事業]
国内における電力・ガスの販売等を行っており、燃料調達価格や期首燃料在庫単価の影響、燃料事業利益減等はあったものの、期ずれによる差損益の改善や石炭等の契約期末評価損益の改善等により、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ3,522億円改善し2,553億円の利益となった。

②キャッシュ・フローの現状の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b)有利子負債
当連結会計年度末での有利子負債残高は、3兆1,036億円(うち、社債5,935億円、長期借入金2兆4,586億円、短期借入金514億円)となり、前連結会計年度より4,071億円減少した。
ロ.財務政策
当社グループの主要な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していく方針である。
また、短期運転資金は、主に短期借入金やコマーシャル・ペーパーにより対応していく方針である。
なお、資金の短期流動性を確保する目的でコミットメントライン契約を締結している。
③経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
2025年度連結純利益額(※「期ずれ」額除き)2,000億円という目標達成に向けて、2025年度までの各年度の連結純利益として2023年度において設定した目標額1,400億円に対し、1,487億円となり順調に推移している。
なお、2019年4月に公表した目標である「統合後5年以内に1,000億円以上/年」の統合によるシナジー効果は、国内火力におけるコスト競争力の強化並びに新たな収益源創出により、2022年度時点で1,200億円/年程度となり1年前倒しで達成済である。
※「期ずれ」とは、燃料価格の変動が販売価格に反映されるまでのタイムラグである。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成している。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施している。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定 及び 14.のれん及び無形資産」に記載している。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社等及び持分法適用関連会社等)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりである。
①財政状態
総資産は、前連結会計年度末に比べ6,642億円減少し8兆5,081億円となった。これは、関係会社の取得等による有形固定資産の増加や持分法で会計処理されている投資の増加等はあったものの、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ資産の減少等によるものである。
負債は、前連結会計年度末に比べ1兆2,831億円減少し5兆8,495億円となった。これは、有利子負債の減少に加え、燃料トレーディング事業を営む子会社におけるデリバティブ負債の減少等によるものである。
資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加や為替換算調整勘定の増加等から、前連結会計年度末に比べ6,189億円増加し2兆6,586億円となった。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は、30.9%となった。
②経営成績
売上収益は、販売電力量の減少等により、前連結会計年度に比べ1兆271億円減少し3兆7,107億円となった。また、燃料調達価格や期首燃料在庫単価の影響、燃料事業利益減等はあったものの、期ずれ(燃料価格の変動が販売価格に反映させるまでのタイムラグ)による差損益の改善や海外・再エネ発電事業における利益増、石炭等の契約期末評価損益の改善等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ3,817億円増加し3,996億円となった。
なお、期ずれについては、燃料価格の変動を販売価格に反映するまで文字とおり「タイムラグ」があるため、期間で区切った際には収支影響が生じるが、中長期的には収支影響はニュートラルになる。この期ずれ影響を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ516億円減少し1,487億円となった。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの資金(現金及び現金同等物)は、前連結会計年度末に比べ444億円増加し、1兆4,053億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の収入は、前連結会計年度に比べ8,741億円増加し1兆3,248億円となった。これは、期ずれによる差損益の改善に伴う税引前当期利益の増加のほか、当社の営業債権の減少、当社棚卸資産の減少等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける資金の支出は、前連結会計年度に比べ1,590億円増加し5,284億円となった。これは、関係会社の取得による支出の増加等によるものである。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ7,151億円増加し7,964億円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1兆6,694億円減少し8,732億円の支出となった。これは、主に借入金の返済による支出の増加等によるものである。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、主に国内火力・ガス事業が、連結会社の売上収益の大半を占めているため、生産、受注及び販売の実績については、上記国内火力・ガス事業について記載している。
国内火力・ガス事業における発電実績、販売実績並びに主要燃料の受払状況については以下のとおりである。
イ:発電実績
(国内火力・ガス事業における発電実績)
| 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
| 発電電力量(百万kWh) | 235,113 | 230,864 |
ロ:販売実績
(国内火力・ガス事業における販売実績)
| 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
| 販売電力量(百万kWh) | 255,064 | 236,239 |
| 販売額(百万円) | 5,955,307 | 4,397,668 |
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績(国内火力・ガス事業の販売額)に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
| 販売額 (百万円) | 割合 (%) | 販売額 (百万円) | 割合 (%) | |
| 東京電力エナジーパートナー株式会社 | 3,489,200 | 58.6 | 2,481,517 | 56.4 |
| 中部電力ミライズ株式会社 | 1,751,582 | 29.4 | 1,543,731 | 35.1 |
ハ:主要燃料の受払状況
| 種別 | 期首残高 | 受入量 | 前期比(%) | 払出量 | 前期比(%) | 期末残高 |
| 石炭(t) | 1,856,746 | 19,937,214 | 90.7% | 19,965,742 | 92.6% | 1,828,218 |
| 重油(kL) | 18,702 | 296,799 | 660.9% | 219,364 | 540.6% | 96,137 |
| LNG(t) | 1,551,481 | 26,656,634 | 94.1% | 27,502,131 | 98.7% | 705,985 |
(2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものである。
①経営成績等
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調を取り戻し、賃上げや企業による価格転嫁の動きを受けてデフレ脱却や景気の先行きに対する期待感もみられた。一方で、内需の弱さから景気の持ち直しに足踏みがみられたほか、世界的な金融引き締め等に伴う海外景気の下振れリスク、物価上昇、地政学リスク、金融資本市場の変動等による不透明感も継続している。
エネルギー業界では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加えて、2023年10月に発生したイスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突により資源供給地域の情勢が混乱した。また、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において目標達成までの隔たりが確認され、温室効果ガスの排出削減対策の強化が呼びかけられる等、世界的にエネルギー安全保障と脱炭素の両立の必要性が強調される年となった。日本国内でも、「GX推進法」・「GX脱炭素電源法」が成立し、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)が策定され、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の同時実現に向けた政策の具体化が加速されている。
このような中、当社は、2023年4月に「共同CEO体制」を導入し、複雑さを増す経営課題に対して異なる強みを持つ人財による相互補完関係をもって対処する執行体制を立ち上げ、より強力となった新たな体制の下で、グループの総力を挙げてエネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向けた取組みを進めた。
まず、安定供給については、電源確保の観点から、稼働中の発電所の安定運転に加えて、CO2排出量の少ない最新鋭の火力発電設備へのリプレースによる電源の新陳代謝を着実に進め、姉崎新2号機、3号機、横須賀2号機の営業運転を開始した。また、高需要期においては長期計画停止中の火力発電所の運転再開による供給力の積み増しを行った。また、発電燃料の確保の観点からは、子会社であるJERA Global Markets Pte. Ltd.を通じて機動的かつ安定的な燃料調達に努めた。2023年11月には経済産業省より戦略的余剰LNG(SBL)の認定供給確保事業者に認定され、2023年12月から2024年2月にかけて月1カーゴのSBLを確保することで、日本全体のエネルギー安全保障にも貢献した。
次に、脱炭素に向けては、2022年5月に発表した環境目標「JERA環境コミット2035」に基づき、再生可能エネルギーだけでなく、火力発電のゼロエミッション化も組み合わせたクリーン・エネルギー供給基盤の構築に向けた取組みを加速させた。
再生可能エネルギー分野においては、2023年3月に買収したParkwind NVを買収するとともに、「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖における洋上風力発電事業」(2023年12月に洋上風力発電事業者に選定)の開発や、「石狩湾新港洋上風力発電所」(2024年1月に商業運転を開始)の運営をはじめとするグローバルでの再生可能エネルギー事業に同社が持つノウハウを活用するための基盤の整備を進めた。
また、火力発電のゼロエミッション化においては、石炭火力のアンモニア転換の実現に向けて、2024年4月に碧南火力発電所4号機において世界初となる大型商用発電機でのアンモニア20%転換の実証を開始した(当初の予定より1年前倒し)。加えて、アンモニア50%転換に向けたバーナの開発・燃焼試験、米国での水素混焼に向けたガスタービン改造工事、グリーン水素製造、アンモニアのクラッキング・大規模分解触媒の技術開発等、最先端のソリューションの開発・獲得に取り組んだほか、国による支援制度整備の動きにも沿う形で、水素・アンモニア分野の上流開発・販売等のサプライチェーンの構築・拡大に向けた検討・協業等を進めた。
また、これらの取組みと並行し、再生可能エネルギー、ゼロエミッション火力と最新のデジタル技術を組み合わせて、毎日24時間・毎週7日間(年間365日)にわたってCO2を排出しない「24/7カーボンフリー電力」を供給することで、エネルギーの提供価値を最大化する取組みも開始した(2023年6月、東宝株式会社とCO2ゼロエミッションに向けた基本契約を締結)。
海外においては、ゼロエミッションに向けて共通の課題を有するアジアにおいて、各国の事情に即した確実なトランジションを可能とするため、パートナー企業との共同による脱炭素ロードマップの策定、水素・アンモニアの活用を含めた国・地域別の特性を考慮したソリューションの検討等を実施した(インドネシアEnergy Transition Master Planの策定支援、ベトナム電力公社脱炭素ロードマップ策定支援、等)。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
なお、第1四半期連結会計期間より、当社グループにおける事業管理区分の見直しに伴い、従来「海外発電事業」としていた報告セグメントの名称を「海外・再エネ発電事業」に変更し、「調整額」に含めて記載していた一部の連結グループ内の取引に係る調整額を「国内火力・ガス事業」に含めて記載する方法に変更している。
これに伴い、前連結会計年度の数値を、当連結会計年度のセグメント区分に基づき、組み替えた数値で比較を行っている。
[燃料事業]
燃料上流事業等への投資、燃料輸送・燃料トレーディング事業を行っており、燃料トレーディング事業を営む子会社利益の減少等から、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ686億円減少し1,326億円となった。
[海外・再エネ発電事業]
海外の発電事業や国内外の再生可能エネルギーの発電事業等への投資を行っており、2021年度に実施した海外発電案件減損の戻入益や海外IPP事業の増益の影響等から、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ404億円改善し337億円の利益となった。
[国内火力・ガス事業]
国内における電力・ガスの販売等を行っており、燃料調達価格や期首燃料在庫単価の影響、燃料事業利益減等はあったものの、期ずれによる差損益の改善や石炭等の契約期末評価損益の改善等により、親会社の所有者に帰属する当期損益は前連結会計年度に比べ3,522億円改善し2,553億円の利益となった。

②キャッシュ・フローの現状の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b)有利子負債
当連結会計年度末での有利子負債残高は、3兆1,036億円(うち、社債5,935億円、長期借入金2兆4,586億円、短期借入金514億円)となり、前連結会計年度より4,071億円減少した。
ロ.財務政策
当社グループの主要な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金である。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していく方針である。
また、短期運転資金は、主に短期借入金やコマーシャル・ペーパーにより対応していく方針である。
なお、資金の短期流動性を確保する目的でコミットメントライン契約を締結している。
③経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
2025年度連結純利益額(※「期ずれ」額除き)2,000億円という目標達成に向けて、2025年度までの各年度の連結純利益として2023年度において設定した目標額1,400億円に対し、1,487億円となり順調に推移している。
なお、2019年4月に公表した目標である「統合後5年以内に1,000億円以上/年」の統合によるシナジー効果は、国内火力におけるコスト競争力の強化並びに新たな収益源創出により、2022年度時点で1,200億円/年程度となり1年前倒しで達成済である。
※「期ずれ」とは、燃料価格の変動が販売価格に反映されるまでのタイムラグである。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成している。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施している。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定 及び 14.のれん及び無形資産」に記載している。