訂正有価証券届出書(新規公開時)
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a.創薬
当事業年度は、重要な薬剤候補であるPPMX-T003の自社での企業治験を開始しました。本薬剤候補に関しては、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究開発成果最適展開支援プログラムを通じて、GLP毒性試験を終了しております。その後は当社自己資金による開発の継続をAMEDと合意しており、2019年11月に、真性多血症を対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。また、幅広い血液がんへの適用を進めるため、大学との先行研究も実施しております。
さらに、将来への布石としてArmed抗体を含む新規抗体のシーズ探索も継続的に推進しております。当社技術を駆使して複数の候補を定め、次期開発薬剤のテーマの絞り込みを進めるとともに、種々のアカデミアとの共同研究に注力しております。
b.抗体研究支援
抗体研究支援では、抗体作製、研究受託、及び配列解析の3つのサービスを提供しており、当事業年度の売上高は期初計画どおり進捗しました。マウスハイブリドーマ解析と組換え抗体作製は、2018年から2019年にかけて、代理店及び当社ホームページを通じてサービスの提供を開始し、収益向上を目指しております。
研究受託は、収益向上に加え、当社の技術向上やアカデミアとの連携の強化を目的として、既存顧客以外の新規顧客からの受注を目指しております。
c.抗体・試薬販売
PTX3 ELISAキットは需要が減少し、売上の減少傾向が続いておりますが、研究用抗体の当事業年度の売上は、年度計画を達成しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は、85,759千円(前事業年度275,959千円、前事業年度比68.9%減)となりました。損益につきましては、営業損失812,394千円(前事業年度144,813千円)、経常損失834,362千円(前事業年度145,545千円)となり、当期純損失は841,731千円(前事業年度163,054千円)となりました。
なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ812,279千円減少し、547,889千円となりました。
主な要因は、流動資産において未収消費税が27,497千円増加したものの、研究開発費の支出等により現金及び預金が617,663千円、富士フイルム株式会社に対するマイルストーン売上に対する売掛金を回収したことにより売掛金が187,241千円、前渡金が35,891千円減少したことなどによります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ29,451千円増加し、61,999千円となりました。
主な要因は、流動負債において、その他(未払消費税等)が6,291千円減少したものの、PPMX-T003の健常人の第Ⅰ相試験を実施している病院に対する未払金が増加したことにより未払金が33,229千円増加したことなどによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ841,731千円減少し、485,889千円となりました。
要因は、当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少841,731千円があったことによります。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期累計期間において、当社はパイプラインPPMX-T003の2019年11月より開始した第Ⅰ相試験を進めております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時的に治験が中断されましたが、その後再開され、健常人への投与が終了しました。また、パイプラインPPMX-T002については、富士フイルム富山化学株式会社により、国内での第Ⅰ相試験も進められています。抗体研究支援及び抗体・試薬販売については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて落ち込みましたが、抗体・試薬販売においては改善の兆しが見えております。また、PTX3を新型コロナウイルス感染症による肺炎等の重症化予測診断薬としての活用も検討しております。
この結果、当第3四半期累計期間における売上高は50,120千円となりました。利益面では、研究開発費を押し上げる要因であった治験薬の製造が前年度で終了したことにより、販売費及び一般管理費が減少したため、営業損失は288,073千円、経常損失は287,533千円、四半期純損失は288,978千円となりました。
なお、セグメントの業績については、当社の事業セグメントは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ759,096千円増加し、1,306,985千円となりました。
主な要因は、当第3四半期に第三者割当増資を実施したことにより、現金及び預金が764,718千円増加したことによります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ37,035千円増加し、99,034千円となりました。
主な要因は、PPMX-T003の健常人の第Ⅰ相試験を実施している病院に対する未払金が増加したことにより未払金が32,457千円増加したことによります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ722,061千円増加し、1,207,951千円となりました。第2四半期に欠損填補のための減資を行い、資本金が699,970千円、資本剰余金が671,280千円それぞれ減少しましたが、当第3四半期に第三者割当増資を行い、資本金が504,000千円、資本剰余金が504,000千円それぞれ増加し、その結果、資本金が604,000千円、資本剰余金が889,889千円となりました。利益剰余金は、第2四半期の減資により1,371,250千円の欠損を填補し、△288,978千円となりました。また、当第3四半期に有償新株予約権を発行し、新株予約権が3,040千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末比617,663千円減少し、482,464千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、608,524千円の支出(前年同期は329,661千円の支出)となりました。これは主に富士フイルム株式会社に対するマイルストーン売上に対する売掛金を回収したことにより売上債権187,241千円の減少による営業キャッシュ・フローの増加があった一方、税引前当期純損失839,804千円による資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,409千円の支出(前年同期は15,945千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,606千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度は発生しておりません。なお、前年同期も発生はありませんでした。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社は医薬品事業の単一セグメントであり、第20期事業年度及び第21期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.最近2事業年度及び第21期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.第19期事業年度のR&D Systems, Inc.、Abcam plc、Pierce Biotechnology, Inc.及びフナコシ株式会社、第20期事業年度の富士フイルム株式会社及びフナコシ株式会社、並びに第21期第3四半期累計期間の富士フイルム株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産について、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社は、税務上の欠損金が継続しており、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難と判断し、繰延税金資産を計上していません。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 経営成績の分析
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、85,759千円(前事業年度275,959千円、前年同期比68.9%減)となりました。前年同期からの減少の主な要因は、マイルストーン収入(前年同期180,000千円)による売上が、当事業年度になかったことであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、抗体研究支援における研究受託の減少により6,384千円(前年同期比66.5%減)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は、79,374千円(前年同期比69.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、891,769千円(前年同期比122.0%増)となりました。主な要因は、PPMX-T003の治験薬製造の完了及びPV(真性多血症)治療薬としての第Ⅰ相試験を開始したことによる研究開発費(713,651千円、前年同期比170.6%増)の増加によります。この結果、営業損失は、812,394千円(前年同期営業損失144,813千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、360千円(前年同期比87.3%減)となりました。減少の主な要因は、受取利息(315千円、前年同期比88.0%減)によるものです。これは、前年同期において海外の治験薬製造企業への支払に充当するため、USドルに転換する3ヶ月定期預金を2019年3月末に解約したことによるものです。
当事業年度の営業外費用は、22,327千円(前年同期比525.8%増)となりました。主な要因は、コミットメントライン契約に係る支払手数料10,767千円の計上によるものです。
この結果、経常損失は、834,362千円(前年同期経常損失145,545千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当事業年度の特別利益の計上はありません。
当事業年度の特別損失は、5,442千円(前年同期比67.0%減)となりました。当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから、医薬品事業に係る資産の帳簿価額の回収可能額についての使用価値をゼロとし、帳簿価額と備忘価額の差額5,442千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、841,731千円(前年同期当期純損失163,054千円)となりました。
(パイプライン)
PPMX-T001については、バイスペシフィック抗体 ERY974(抗GPC3-抗CD3)の米国での第Ⅰ相試験が、2019年8月に終了し、国内での第Ⅰ相試験が始まりました。PPMX-T003については、治験薬製造が完了し、PV(真性多血症)治療薬としての第Ⅰ相試験を開始しました。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、50,120千円となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により研究機関の研究活動が停滞したためと考えております。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、抗体研究支援における研究受託の減少及び研究用抗体・試薬販売の減少により2,071千円となりました。この結果、当第3四半期累計期間の売上総利益は、48,048千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失、経常損失、四半期純損失)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、336,121千円となりました。販売費及び一般管理費の減少の主な要因は、研究開発費を押し上げる要因であった治験薬の製造が前年度で終了したことであり、研究開発費は214,261千円となりました。
この結果、営業損失は、288,073千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第3四半期累計期間の営業外収益は、11,139千円となりました。主なものは、新型コロナ感染症関連の助成金収入11,040千円であります。
当第3四半期累計期間の営業外費用は、10,600千円となりました。主なものは、第三者割当増資に係る支払手数料4,433千円及び租税公課3,527千円であります。
この結果、経常損失は、287,533千円となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当第3四半期累計期間の特別利益及び特別損失の計上はありません。
これらの結果を受け、当第3四半期累計期間の四半期純損失は、288,978千円となりました。
(パイプライン)
PPMX-T002については、米国において、日本の厚生労働省の定める第II相試験相当が行われています。さらに、本年4月には富士フイルム富山化学株式会社により、国内での第Ⅰ相試験も開始されました。
PPMX-T003については、国内における第Ⅰ相試験が一時的に中断されましたが、その後再開され、健常人への投与が終了しました。また、真性多血症、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんの治療薬としての作用機序を明確化するため、順天堂大学、名古屋大学、藤田医科大学、群馬大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主な資金需要は、PPMX-T003の開発及び創薬研究に係る研究開発費、並びに事業運営費等であります。これらの費用は、当期は自己資金で賄い、自己資金は、すべて銀行預金とし、資金の流動性を確保しております。当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、608,524千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは、3,409千円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は、482,464千円となりました。
⑦ 経営者の問題意識と課題について
当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。
⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。なお、パイプラインの開発の進捗については、「③ 経営成績の分析」に記載しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a.創薬
当事業年度は、重要な薬剤候補であるPPMX-T003の自社での企業治験を開始しました。本薬剤候補に関しては、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究開発成果最適展開支援プログラムを通じて、GLP毒性試験を終了しております。その後は当社自己資金による開発の継続をAMEDと合意しており、2019年11月に、真性多血症を対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。また、幅広い血液がんへの適用を進めるため、大学との先行研究も実施しております。
さらに、将来への布石としてArmed抗体を含む新規抗体のシーズ探索も継続的に推進しております。当社技術を駆使して複数の候補を定め、次期開発薬剤のテーマの絞り込みを進めるとともに、種々のアカデミアとの共同研究に注力しております。
b.抗体研究支援
抗体研究支援では、抗体作製、研究受託、及び配列解析の3つのサービスを提供しており、当事業年度の売上高は期初計画どおり進捗しました。マウスハイブリドーマ解析と組換え抗体作製は、2018年から2019年にかけて、代理店及び当社ホームページを通じてサービスの提供を開始し、収益向上を目指しております。
研究受託は、収益向上に加え、当社の技術向上やアカデミアとの連携の強化を目的として、既存顧客以外の新規顧客からの受注を目指しております。
c.抗体・試薬販売
PTX3 ELISAキットは需要が減少し、売上の減少傾向が続いておりますが、研究用抗体の当事業年度の売上は、年度計画を達成しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は、85,759千円(前事業年度275,959千円、前事業年度比68.9%減)となりました。損益につきましては、営業損失812,394千円(前事業年度144,813千円)、経常損失834,362千円(前事業年度145,545千円)となり、当期純損失は841,731千円(前事業年度163,054千円)となりました。
なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ812,279千円減少し、547,889千円となりました。
主な要因は、流動資産において未収消費税が27,497千円増加したものの、研究開発費の支出等により現金及び預金が617,663千円、富士フイルム株式会社に対するマイルストーン売上に対する売掛金を回収したことにより売掛金が187,241千円、前渡金が35,891千円減少したことなどによります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ29,451千円増加し、61,999千円となりました。
主な要因は、流動負債において、その他(未払消費税等)が6,291千円減少したものの、PPMX-T003の健常人の第Ⅰ相試験を実施している病院に対する未払金が増加したことにより未払金が33,229千円増加したことなどによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ841,731千円減少し、485,889千円となりました。
要因は、当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少841,731千円があったことによります。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期累計期間において、当社はパイプラインPPMX-T003の2019年11月より開始した第Ⅰ相試験を進めております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時的に治験が中断されましたが、その後再開され、健常人への投与が終了しました。また、パイプラインPPMX-T002については、富士フイルム富山化学株式会社により、国内での第Ⅰ相試験も進められています。抗体研究支援及び抗体・試薬販売については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて落ち込みましたが、抗体・試薬販売においては改善の兆しが見えております。また、PTX3を新型コロナウイルス感染症による肺炎等の重症化予測診断薬としての活用も検討しております。
この結果、当第3四半期累計期間における売上高は50,120千円となりました。利益面では、研究開発費を押し上げる要因であった治験薬の製造が前年度で終了したことにより、販売費及び一般管理費が減少したため、営業損失は288,073千円、経常損失は287,533千円、四半期純損失は288,978千円となりました。
なお、セグメントの業績については、当社の事業セグメントは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ759,096千円増加し、1,306,985千円となりました。
主な要因は、当第3四半期に第三者割当増資を実施したことにより、現金及び預金が764,718千円増加したことによります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ37,035千円増加し、99,034千円となりました。
主な要因は、PPMX-T003の健常人の第Ⅰ相試験を実施している病院に対する未払金が増加したことにより未払金が32,457千円増加したことによります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ722,061千円増加し、1,207,951千円となりました。第2四半期に欠損填補のための減資を行い、資本金が699,970千円、資本剰余金が671,280千円それぞれ減少しましたが、当第3四半期に第三者割当増資を行い、資本金が504,000千円、資本剰余金が504,000千円それぞれ増加し、その結果、資本金が604,000千円、資本剰余金が889,889千円となりました。利益剰余金は、第2四半期の減資により1,371,250千円の欠損を填補し、△288,978千円となりました。また、当第3四半期に有償新株予約権を発行し、新株予約権が3,040千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末比617,663千円減少し、482,464千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、608,524千円の支出(前年同期は329,661千円の支出)となりました。これは主に富士フイルム株式会社に対するマイルストーン売上に対する売掛金を回収したことにより売上債権187,241千円の減少による営業キャッシュ・フローの増加があった一方、税引前当期純損失839,804千円による資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,409千円の支出(前年同期は15,945千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,606千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度は発生しておりません。なお、前年同期も発生はありませんでした。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社は医薬品事業の単一セグメントであり、第20期事業年度及び第21期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 第20期事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 第21期第3四半期累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | 金額(千円) | |
医薬品事業 | 85,759 | 31.1 | 50,120 |
合計 | 85,759 | 31.1 | 50,120 |
(注) 1.最近2事業年度及び第21期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 第19期事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 第20期事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 第21期第3四半期累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | |||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
R&D Systems, Inc. | ― | ― | 27,457 | 32.0 | 11,180 | 22.3 |
Abcam plc | ― | ― | 14,426 | 16.8 | 11,387 | 22.7 |
Pierce Biotechnology, Inc. | ― | ― | 14,021 | 16.3 | 8,812 | 17.6 |
富士フイルム株式会社 | 205,626 | 74.5 | ― | ― | ― | ― |
フナコシ株式会社 | ― | ― | ― | ― | 5,444 | 10.9 |
2.第19期事業年度のR&D Systems, Inc.、Abcam plc、Pierce Biotechnology, Inc.及びフナコシ株式会社、第20期事業年度の富士フイルム株式会社及びフナコシ株式会社、並びに第21期第3四半期累計期間の富士フイルム株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産について、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社は、税務上の欠損金が継続しており、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難と判断し、繰延税金資産を計上していません。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 経営成績の分析
第20期事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、85,759千円(前事業年度275,959千円、前年同期比68.9%減)となりました。前年同期からの減少の主な要因は、マイルストーン収入(前年同期180,000千円)による売上が、当事業年度になかったことであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、抗体研究支援における研究受託の減少により6,384千円(前年同期比66.5%減)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は、79,374千円(前年同期比69.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、891,769千円(前年同期比122.0%増)となりました。主な要因は、PPMX-T003の治験薬製造の完了及びPV(真性多血症)治療薬としての第Ⅰ相試験を開始したことによる研究開発費(713,651千円、前年同期比170.6%増)の増加によります。この結果、営業損失は、812,394千円(前年同期営業損失144,813千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、360千円(前年同期比87.3%減)となりました。減少の主な要因は、受取利息(315千円、前年同期比88.0%減)によるものです。これは、前年同期において海外の治験薬製造企業への支払に充当するため、USドルに転換する3ヶ月定期預金を2019年3月末に解約したことによるものです。
当事業年度の営業外費用は、22,327千円(前年同期比525.8%増)となりました。主な要因は、コミットメントライン契約に係る支払手数料10,767千円の計上によるものです。
この結果、経常損失は、834,362千円(前年同期経常損失145,545千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当事業年度の特別利益の計上はありません。
当事業年度の特別損失は、5,442千円(前年同期比67.0%減)となりました。当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから、医薬品事業に係る資産の帳簿価額の回収可能額についての使用価値をゼロとし、帳簿価額と備忘価額の差額5,442千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、841,731千円(前年同期当期純損失163,054千円)となりました。
(パイプライン)
PPMX-T001については、バイスペシフィック抗体 ERY974(抗GPC3-抗CD3)の米国での第Ⅰ相試験が、2019年8月に終了し、国内での第Ⅰ相試験が始まりました。PPMX-T003については、治験薬製造が完了し、PV(真性多血症)治療薬としての第Ⅰ相試験を開始しました。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
第21期第3四半期累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、50,120千円となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により研究機関の研究活動が停滞したためと考えております。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、抗体研究支援における研究受託の減少及び研究用抗体・試薬販売の減少により2,071千円となりました。この結果、当第3四半期累計期間の売上総利益は、48,048千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失、経常損失、四半期純損失)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、336,121千円となりました。販売費及び一般管理費の減少の主な要因は、研究開発費を押し上げる要因であった治験薬の製造が前年度で終了したことであり、研究開発費は214,261千円となりました。
この結果、営業損失は、288,073千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第3四半期累計期間の営業外収益は、11,139千円となりました。主なものは、新型コロナ感染症関連の助成金収入11,040千円であります。
当第3四半期累計期間の営業外費用は、10,600千円となりました。主なものは、第三者割当増資に係る支払手数料4,433千円及び租税公課3,527千円であります。
この結果、経常損失は、287,533千円となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当第3四半期累計期間の特別利益及び特別損失の計上はありません。
これらの結果を受け、当第3四半期累計期間の四半期純損失は、288,978千円となりました。
(パイプライン)
PPMX-T002については、米国において、日本の厚生労働省の定める第II相試験相当が行われています。さらに、本年4月には富士フイルム富山化学株式会社により、国内での第Ⅰ相試験も開始されました。
PPMX-T003については、国内における第Ⅰ相試験が一時的に中断されましたが、その後再開され、健常人への投与が終了しました。また、真性多血症、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんの治療薬としての作用機序を明確化するため、順天堂大学、名古屋大学、藤田医科大学、群馬大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主な資金需要は、PPMX-T003の開発及び創薬研究に係る研究開発費、並びに事業運営費等であります。これらの費用は、当期は自己資金で賄い、自己資金は、すべて銀行預金とし、資金の流動性を確保しております。当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、608,524千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは、3,409千円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は、482,464千円となりました。
⑦ 経営者の問題意識と課題について
当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。
⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。なお、パイプラインの開発の進捗については、「③ 経営成績の分析」に記載しております。