四半期報告書-第24期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期累計期間における世界経済は、原料価格の高騰や世界的なインフレの進行、各国の金融引締め等が続き、不透明な状況が継続しました。国内経済は緩やかな回復が見られましたが、物価上昇や海外景気の下振れに注意が必要な状況が続きました。
当社が属する医薬品業界におきましては、新規感染症への対策や、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が、継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。
各領域における成果は次のとおりです。
① 創薬
当第1四半期累計期間における売上はありませんでしたが、当社の効率的な抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)及びトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする3つの抗体の開発を継続して進めているほか、これに続く多くの候補抗体が研究開発段階にあります。また、次世代の創薬に向けて、効率的な抗体取得技術の整備や、当社ファージライブラリの改良を継続的に進めています。当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。
a.PPMX-T002
PPMX-T002は、がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。導出先の富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還されており、新たな医薬品候補として開発を進めております。なお、富士フイルム社の子会社が米国で行った拡大第I相試験においては、本抗体が標的のがん細胞へ集積することが確認されております。当社は現在、90Yから、さらに有効性の高いRIへの変更も視野に、RI医薬品開発会社への導出に向けて、開発戦略を詰めております。
b.PPMX-T003
PPMX-T003は、当社独自のファージライブラリの中から、当社が特許を保有するICOS法というスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現するTfRです。本抗体がTfRに結合すると、がん細胞内への鉄の取り込みを阻害し、それによってがん細胞の増殖を抑制する抗腫瘍効果が得られます。PPMX-T003は、その増殖抑制効果から様々ながんに対する治療効果が期待できると考えられ、鋭意研究開発を進めております。
TfRは、がん細胞の他に、赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)にも極めて多く発現しています。このため、赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)に対して、赤血球数を正常化する効果が期待できることから、まずはPVの治療薬を目指して、国内で第I相試験(以下「本治験」)を実施しております。PV患者さんでの本治験の組み入れ対象は6名で、治験実施施設を8か所に増やして組み入れを推進しております。本書提出日現在、新たに1名の患者さんを組み入れた結果、累計で4名の組み入れが行われました。なお、本年5月に治験責任医師が発表した中間報告では、投与を完了した3名について、いずれも重篤な副反応もなく、健常人と同様の安全性や治療効果が確認されています。現在、残る2名の組み入れ準備を進めており、当事業年度に本治験を完了させる予定です。
また、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する有効な治療薬となる可能性も見出されており、東海大学との共同研究を進めております。2022年3月の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択を受けて、2023年3月に予定どおり医師主導第I/II相試験の治験計画届が提出され、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の調査も終了しました。広島大学病院を中心に、治験実施施設を全国7か所に設けており、被験者が見つかった際にはすぐに治験薬を投与できる体制を整えております。
この他、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。
c.PPMX-T004
PPMX-T004は、CDH3を標的とし、薬剤を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。現在、最新の薬物と、これを結合させるためのリンカー等の最適な組み合わせを検討しております。試験管での試験で有望な組み合わせが見出されており、一部は動物実験でも効果が認められ、その検証を進めております。
ADCは、抗体に結合した薬物を細胞内に取り込ませることで、対象とした細胞を特異的に殺傷することができるため、患者さん自身の免疫機能の状態に関わらず高い臨床効果が期待できます。
これらのパイプラインの他、当社は富山大学及び富山県とともに、新型コロナウイルス感染症ウイルスの様々な変異株に対する治療薬候補であるスーパー中和抗体UT28Kの評価を進めております。本案件は、政府等の助成金を得て開発を進める方針を採っており、現在は富山大学において治療効果を検証する動物実験の解析を行っております。
② 抗体研究支援
抗体研究支援の売上高は、一部納品遅れが発生したものの、2,182千円となり、売上がなかった前年同期に比べて改善しました。
③ 抗体・試薬販売
抗体・試薬販売の売上高は22,594千円(前年同期比11.0%減)となりましたが、通期では売上計画を達成できる見込みです。
また、湧永製薬株式会社と共同でPTX3迅速計測キットの開発を継続的に進めております。
以上の結果、当第1四半期累計期間の売上高は24,776千円(前年同期比2.4%減)となりました。
損益につきましては、営業損失234,569千円(前年同期は営業損失155,656千円)、経常損失224,249千円(前年同期は経常損失144,753千円)となり、四半期純損失は422,124千円(前年同期は四半期純損失200,255千円)となりました。
また、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(売上原価、売上総利益)
当第1四半期累計期間の売上原価は、1,528千円となりました。この結果、当第1四半期累計期間の売上総利益は、23,247千円(前年同期比7.2%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当第1四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、257,817千円となりました。そのうち、研究開発費は157,651千円となりました。
この結果、営業損失は、234,569千円(前年同期は営業損失155,656千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第1四半期累計期間の営業外収益は、10,331千円となりました。主なものは、為替差益10,322千円であります。
当第1四半期累計期間の営業外費用は、11千円となりました。
この結果、経常損失は、224,249千円(前年同期は経常損失144,753千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当第1四半期累計期間の特別利益は、47千円となりました。
当第1四半期累計期間の特別損失は、197,440千円となりました。これは、固定資産の減損損失129,845千円と本社移転に関する費用67,595千円を計上したためであります。減損損失は、当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから医薬品事業に係る固定資産の回収可能額をゼロとし、帳簿価額と備忘価額との差額129,845千円を減損損失として特別損失に計上したものであります。
これらの結果を受け、当第1四半期累計期間の四半期純損失は、422,124千円(前年同期は四半期純損失200,255千円)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ414,102千円減少し、2,152,548千円となりました。主に、研究開発費及び移転費用の支払い等により現金及び預金408,510千円が減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ2,448千円減少し、167,656千円となりました。主に、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択により交付された助成金である長期預り金が25,000千円増加した一方、未払金、未払費用及び未払法人税等が20,237千円、並びに資産除去債務が12,800千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ411,654千円減少し、1,984,891千円となりました。主に、新株予約権が10,470千円増加した一方、四半期純損失422,124千円の計上により減少したことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積りに記載した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、157,651千円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の主な研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)経営成績の状況
当第1四半期累計期間における世界経済は、原料価格の高騰や世界的なインフレの進行、各国の金融引締め等が続き、不透明な状況が継続しました。国内経済は緩やかな回復が見られましたが、物価上昇や海外景気の下振れに注意が必要な状況が続きました。
当社が属する医薬品業界におきましては、新規感染症への対策や、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が、継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。
各領域における成果は次のとおりです。
① 創薬
当第1四半期累計期間における売上はありませんでしたが、当社の効率的な抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)及びトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする3つの抗体の開発を継続して進めているほか、これに続く多くの候補抗体が研究開発段階にあります。また、次世代の創薬に向けて、効率的な抗体取得技術の整備や、当社ファージライブラリの改良を継続的に進めています。当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。
a.PPMX-T002
PPMX-T002は、がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。導出先の富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還されており、新たな医薬品候補として開発を進めております。なお、富士フイルム社の子会社が米国で行った拡大第I相試験においては、本抗体が標的のがん細胞へ集積することが確認されております。当社は現在、90Yから、さらに有効性の高いRIへの変更も視野に、RI医薬品開発会社への導出に向けて、開発戦略を詰めております。
b.PPMX-T003
PPMX-T003は、当社独自のファージライブラリの中から、当社が特許を保有するICOS法というスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現するTfRです。本抗体がTfRに結合すると、がん細胞内への鉄の取り込みを阻害し、それによってがん細胞の増殖を抑制する抗腫瘍効果が得られます。PPMX-T003は、その増殖抑制効果から様々ながんに対する治療効果が期待できると考えられ、鋭意研究開発を進めております。
TfRは、がん細胞の他に、赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)にも極めて多く発現しています。このため、赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)に対して、赤血球数を正常化する効果が期待できることから、まずはPVの治療薬を目指して、国内で第I相試験(以下「本治験」)を実施しております。PV患者さんでの本治験の組み入れ対象は6名で、治験実施施設を8か所に増やして組み入れを推進しております。本書提出日現在、新たに1名の患者さんを組み入れた結果、累計で4名の組み入れが行われました。なお、本年5月に治験責任医師が発表した中間報告では、投与を完了した3名について、いずれも重篤な副反応もなく、健常人と同様の安全性や治療効果が確認されています。現在、残る2名の組み入れ準備を進めており、当事業年度に本治験を完了させる予定です。
また、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する有効な治療薬となる可能性も見出されており、東海大学との共同研究を進めております。2022年3月の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択を受けて、2023年3月に予定どおり医師主導第I/II相試験の治験計画届が提出され、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の調査も終了しました。広島大学病院を中心に、治験実施施設を全国7か所に設けており、被験者が見つかった際にはすぐに治験薬を投与できる体制を整えております。
この他、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。
c.PPMX-T004
PPMX-T004は、CDH3を標的とし、薬剤を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。現在、最新の薬物と、これを結合させるためのリンカー等の最適な組み合わせを検討しております。試験管での試験で有望な組み合わせが見出されており、一部は動物実験でも効果が認められ、その検証を進めております。
ADCは、抗体に結合した薬物を細胞内に取り込ませることで、対象とした細胞を特異的に殺傷することができるため、患者さん自身の免疫機能の状態に関わらず高い臨床効果が期待できます。
これらのパイプラインの他、当社は富山大学及び富山県とともに、新型コロナウイルス感染症ウイルスの様々な変異株に対する治療薬候補であるスーパー中和抗体UT28Kの評価を進めております。本案件は、政府等の助成金を得て開発を進める方針を採っており、現在は富山大学において治療効果を検証する動物実験の解析を行っております。
② 抗体研究支援
抗体研究支援の売上高は、一部納品遅れが発生したものの、2,182千円となり、売上がなかった前年同期に比べて改善しました。
③ 抗体・試薬販売
抗体・試薬販売の売上高は22,594千円(前年同期比11.0%減)となりましたが、通期では売上計画を達成できる見込みです。
また、湧永製薬株式会社と共同でPTX3迅速計測キットの開発を継続的に進めております。
以上の結果、当第1四半期累計期間の売上高は24,776千円(前年同期比2.4%減)となりました。
損益につきましては、営業損失234,569千円(前年同期は営業損失155,656千円)、経常損失224,249千円(前年同期は経常損失144,753千円)となり、四半期純損失は422,124千円(前年同期は四半期純損失200,255千円)となりました。
また、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(売上原価、売上総利益)
当第1四半期累計期間の売上原価は、1,528千円となりました。この結果、当第1四半期累計期間の売上総利益は、23,247千円(前年同期比7.2%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当第1四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、257,817千円となりました。そのうち、研究開発費は157,651千円となりました。
この結果、営業損失は、234,569千円(前年同期は営業損失155,656千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第1四半期累計期間の営業外収益は、10,331千円となりました。主なものは、為替差益10,322千円であります。
当第1四半期累計期間の営業外費用は、11千円となりました。
この結果、経常損失は、224,249千円(前年同期は経常損失144,753千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当第1四半期累計期間の特別利益は、47千円となりました。
当第1四半期累計期間の特別損失は、197,440千円となりました。これは、固定資産の減損損失129,845千円と本社移転に関する費用67,595千円を計上したためであります。減損損失は、当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから医薬品事業に係る固定資産の回収可能額をゼロとし、帳簿価額と備忘価額との差額129,845千円を減損損失として特別損失に計上したものであります。
これらの結果を受け、当第1四半期累計期間の四半期純損失は、422,124千円(前年同期は四半期純損失200,255千円)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ414,102千円減少し、2,152,548千円となりました。主に、研究開発費及び移転費用の支払い等により現金及び預金408,510千円が減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ2,448千円減少し、167,656千円となりました。主に、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択により交付された助成金である長期預り金が25,000千円増加した一方、未払金、未払費用及び未払法人税等が20,237千円、並びに資産除去債務が12,800千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ411,654千円減少し、1,984,891千円となりました。主に、新株予約権が10,470千円増加した一方、四半期純損失422,124千円の計上により減少したことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積りに記載した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、157,651千円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の主な研究開発活動の状況に重要な変更はありません。