有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/17 15:00
【資料】
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【項目】
121項目
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
第19期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
a.創薬
当事業年度は、導出済みの3抗体に続く薬剤候補であるPPMX-T003の自社での企業治験開始に向けた準備と研究に集中しました。また、将来布石としてArmed抗体を含む新規抗体のシーズ探索も継続的に推進してきました。
PPMX-T003に関しては、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)研究開発成果最適展開支援プログラムにおいての支援を得て、2017年にGLP毒性試験を終了しております。その後は、当社自己資金により、開発を継続し企業治験を実施していくことが、AMEDと合意されております。当事業年度から、2018年3月の第三者割当増資で得た資金を用いて、GMP製造を開始しました。また、第Ⅰ相臨床試験の準備のため、アカデミアとの共同研究や治験実施のための開発コンサルタント、CROとの契約を進めました。
新規抗体に関しては、当社技術を駆使して、複数の候補を定め、次期開発薬剤のテーマの絞り込みを進めております。併せて、新しいシーズを獲得するために、種々のアカデミアとの共同研究に注力しております。
b.抗体研究支援
2018年3月期からの継続案件を実施いたしました。当社の技術向上やアカデミアとの連携を強化するため、代理店やホームページを通して研究受託を受ける体制を整備しました。受託契約内容や受託研究時のSOPも整備しました。
c.抗体・試薬販売
研究用抗体の販売は、当事業年度も順調に進み年度計画を達成しました。PTX3 ELISAキットは、需要が減少し、売上の減少傾向が続いております。
以上の結果、当事業年度の売上高は、富士フイルム株式会社からのマイルストーン収入を含めて275,959千円(前事業年度303,983千円)となりました。損益につきましては、営業損失144,813千円(前事業年度166,182千円)、経常損失145,545千円(前事業年度163,663千円)となり、当期純損失は163,054千円(前事業年度178,284千円)となりました。
なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ154,810千円減少し、1,360,169千円となりました。
主な要因は、流動資産において現金及び預金の減少348,887千円、マイルストーン収入が発生したこと等による売掛金の増加157,235千円、治験薬製造企業への前渡金の増加46,662千円があったこと等によります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ8,243千円増加し、32,547千円となりました。
主な要因は、流動負債において、その他(未払消費税等)の増加6,291千円、未払金の増加5,447千円、未払法人税等の減少2,564千円、前受金の減少1,620千円があったこと等によります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ163,054千円減少し、1,327,621千円となりました。
要因は、当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少163,054千円があったことによります。
第20期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期累計期間において、当社は、パイプラインPPMX-T003の第Ⅰ相試験を開始いたしました。具体的には前事業年度より準備を進めてきた治験薬製造を完了しました。また、第Ⅰ相試験開始に向けて独立行政法人医薬品医療機器総合機構に治験届を提出し、被験者に治験薬投与を実施し、第Ⅰ相試験を開始いたしました。
なお、次期テーマ探索研究は、複数の候補化合物を取得しており、今後詳細な評価を行いながら早期に次期テーマを決定することを目指しています。
当第3四半期累計期間における抗体・試薬販売及び抗体研究支援の売上高は61,877千円、営業損失は686,739千円、経常損失は704,672千円、四半期純損失は709,798千円となりました。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ689,935千円減少し、670,233千円となりました。
これは流動資産その他が17,526千円増加したものの、現金及び預金が490,963千円、売掛金が188,228千円、前渡金が30,409千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ19,862千円増加し、52,410千円となりました。
これは主に第Ⅰ相試験開始等による未払金が22,901千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ709,798千円減少し、617,823千円となりました。
これは四半期純損失を709,798千円計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第19期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末比348,887千円減少し、1,100,128千円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、329,661千円の支出(前年同期は132,356千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失162,025千円及び3月末に発生したマイルストーン売上等の売上債権の増加157,235千円による資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、15,945千円の支出(前年同期は10,647千円の収入)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出15,017千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当事業年度は発生しておりません。なお、前年同期は、株式の発行による1,395,040千円の収入でした。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社は医薬品事業の単一セグメントであり、第19期事業年度及び第20期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第19期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第20期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
医薬品事業275,95990.861,877
合計275,95990.861,877

(注) 1.最近2事業年度及び第20期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第18期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第19期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第20期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
富士フイルム株式会社223,79673.6205,62674.55,4228.8
R&D Systems,Inc.19,01430.7
Abcam plc11,35518.4
Pierce
Biotechnology,Inc.
10,16316.4

2.第18期事業年度及び第19期事業年度のR&D Systems,Inc.、Abcam plc及びPierce Biotechnology,Inc.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、財務諸表の作成にあたっては、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 経営成績の分析
第19期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、275,959千円(前年同期比9.2%減)となりました。主な要因は、富士フイルム株式会社からの研究受託が減少したことによります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、抗体研究支援における研究受託の減少により19,068千円(前年同期比91.1%減)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は、256,891千円(前年同期比184.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、401,704千円(前年同期比56.6%増)となりました。主な要因は、研究開発コスト及び人員の増加によります。
この結果、営業損失は、144,813千円(前年同期営業損失166,182千円)、経常損失は、145,545千円(前年同期経常損失163,663千円)となりました。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、163,054千円(前年同期当期純損失178,284千円)となりました。
(パイプライン)
PPMX-T002については、第Ⅰ相試験を拡大し、最大耐容用量で症例数を増やし、日本の厚生労働省の定める第Ⅱ相試験相当が始まりました。PPMX-T003については、治験薬製造を開始し、大学との共同研究等の第Ⅰ相試験開始に向けて準備を進めました。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
第20期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は、抗体研究支援及び抗体・試薬販売により61,877千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、抗体研究支援及び抗体・試薬販売に対応する費用を計上した結果、4,694千円となりました。この結果、当第3四半期累計期間の売上総利益は、57,182千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、743,922千円となりました。主な項目である研究開発費については、パイプラインPPMX-T003の治験薬が当期において完成したこと、また、第Ⅰ相試験準備並びに開始したこと等により611,539千円となりました。
この結果、営業損失は、686,739千円、経常損失は、704,672千円となりました。
これらの結果を受け、当第3四半期累計期間の四半期純損失は、709,798千円となりました。
(パイプライン)
PPMX-T001については、Bispecific抗体ERY974(抗GPC3-抗CD3)の第Ⅰ相試験が終了しております。PPMX-T003については、治験薬製造が完了し、PV(真性多血症)治療薬としての第Ⅰ相試験を開始しました。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社の開発品」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
第19期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当社の主な資金需要は、PPMX-T003の開発及び創薬研究に係る研究開発費、並びに事業運営費等であります。これらの費用は、当期は自己資金で賄い、自己資金は、すべて銀行預金とし、資金の流動性を確保しております。当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、329,661千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは、15,945千円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は、1,100,128千円となりました。