四半期報告書-第23期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/12 15:07
【資料】
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【項目】
30項目
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期累計期間における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や原材料価格の上昇等により、先行きが不透明な状況が継続しました。国内経済は、景気の持ち直しの動きが見られた一方、世界経済と同様の景気の下押しリスクに留意する状況となりました。
当社が属する医薬品業界におきましては、新型コロナウイルス感染症等の新規感染症への対策とともに、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が、継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。
各領域における成果は次のとおりです。
① 創薬
当第1四半期累計期間における売上はありませんでしたが、当社の効率的な抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)及びトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする3つの抗体の開発を進めているほか、これに続く多くの候補抗体が研究開発段階にあります。当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。
a.PPMX-T002
PPMX-T002はがん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補です。導出先の富士フイルム株式会社からの実施権の返還を受けて、同社子会社の放射性医薬品事業を承継したPDRファーマ株式会社(以下PDRファーマ社)と今後の開発についての協議を行っております。当社は、さらに有効性を高めるため、RIの変更も視野に、RI医薬品開発会社とのコラボレーションを推進してまいります。
b.PPMX-T003
PPMX-T003は、当社独自のファージライブラリの中から、当社が特許を保有するICOS法というスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現するTfRです。本抗体がTfRに結合すると、がん細胞内への鉄の取り込みを阻害し、それによってがん細胞の増殖を抑制する抗腫瘍効果が得られます。PPMX-T003は、その増殖抑制効果から様々ながんに対する治療効果が期待できると考えられ、鋭意開発を進めております。
TfRは、がん細胞の他に、赤血球の元である赤芽球細胞にも極めて多く発現しています。このため、赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)に対して、赤血球数を正常化する効果が期待できることから、まずはPVの治療薬を目指して、国内で第I相試験を実施しております。PV患者さんのリクルートにおきましては、対象となる患者さんの条件を実臨床に即して見直した結果、今期第2四半期に第一例目の投与が開始される見通しとなりました。また、治験実施施設の追加に向けた準備も進めており、PV患者さんでの第I相試験の完了時期につきましては、当初計画に変更はありません。
また、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する治療薬開発についても、東海大学との共同研究を進めております。2022年3月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択されており、現在は医師主導治験の治験届の提出に向けて、東海大学や医療機関等との調整を進めております。
この他、PV、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学、藤田医科大学、群馬大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。
c.PPMX-T004
PPMX-T004は、CDH3を標的とし、薬剤を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。標的がPPMX-T002と同じであるため、本パイプラインの実施権も富士フイルム社から返還されており、現在薬物及びこれを結合させるためのリンカー等の基礎的な検討を進めております。
ADCは、抗体に結合させた薬物を細胞内に取り込ませることで、対象の細胞を特異的に殺傷することができるため、患者さん自身の免疫機能の状態に関わらず高い臨床効果が期待できます。
これらのパイプラインの他、当社は富山大学及び富山県とともに、新型コロナウイルス感染症ウイルスの様々な変異株に対する治療薬候補であるスーパー中和抗体UT28Kの評価を進めております。感染予防効果の検証のための動物実験はすでに完了しており、現在は助成金の獲得に向けて、治療効果を検証する動物実験の準備を進めております。
② 抗体研究支援
当第1四半期累計期間の売上はありませんでしたが、複数の研究支援サービスを受注しております。
③ 抗体・試薬販売
抗体・試薬販売は、順調に推移しました。また、湧永製薬株式会社と共同でPTX3迅速計測キットの開発を進めております。
以上の結果、当第1四半期累計期間の売上高は25,376千円(前年同期比60.6%増)となりました。
損益につきましては、営業損失155,656千円(前年同期は営業損失115,855千円)、経常損失144,753千円(前年同期は経常損失134,707千円)となり、四半期純損失は200,255千円(前年同期は四半期純損失141,006千円)となりました。
また、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(売上原価、売上総利益)
当第1四半期累計期間の売上原価は、321千円となりました。この結果、当第1四半期累計期間の売上総利益は、25,055千円(前年同期比60.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当第1四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、180,711千円となりました。そのうち、研究開発費は118,203千円となりました。
この結果、営業損失は、155,656千円(前年同期は営業損失115,855千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第1四半期累計期間の営業外収益は、10,922千円となりました。主なものは、為替差益10,626千円であります。
当第1四半期累計期間の営業外費用は、19千円となりました。
この結果、経常損失は、144,753千円(前年同期は経常損失134,707千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当第1四半期累計期間の特別利益の計上はありません。
当第1四半期累計期間の特別損失は、55,020千円となりました。当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから医薬品事業に係る固定資産の回収可能額をゼロとし、帳簿価額と備忘価額との差額55,020千円を減損損失として特別損失に計上しました。
これらの結果を受け、当第1四半期累計期間の四半期純損失は、200,255千円(前年同期は四半期純損失141,006千円)となりました。
なお、セグメントの業績については、当社の事業セグメントは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ223,228千円減少し、3,077,301千円となりました。
主な要因は、研究開発費等の支払い及び固定資産取得に関する未払金の支払い等による現金及び預金206,761千円の減少によるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ22,973千円減少し、125,402千円となりました。
主な要因は、AMEDからの助成金である長期預り金が12,500千円増加した一方、未払金や未払法人税等の支払いによる36,156千円の減少によるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ200,255千円減少し、2,951,899千円となりました。
これは、四半期純損失200,255千円の計上によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積りに記載した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、118,203千円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の主な研究開発活動の状況に重要な変更はありません。