有価証券報告書-第20期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 16:28
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134項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、米国新政権による保護主義的な通商政策の動向を背景に国際貿易の先行き不透明感が続くなか、中東情勢やウクライナ紛争の長期化、各国の金融・通商政策に伴う為替や物価の変動などにより、不安定な状況で推移しました。主要国においては金融引き締めの影響から景気減速感が見られる一方、サービス需要を中心に底堅い動きも見られましたが、地政学リスクの長期化や資源国・中東地域を巡る情勢変化への警戒感もあり、全体として先行き不透明な状況が継続しました。
わが国経済においては、物価高の継続や実質賃金の伸び悩みが個人消費の回復を抑制する要因となるなか、消費には一部持ち直しの動きが見られたものの、海外経済の減速や米国通商政策の影響を受け、輸出や設備投資には慎重な姿勢が見られました。また、政権交代を受けた経済・産業政策の方向性を見極める動きに加え、為替相場の変動やコスト上昇への警戒感もあり、企業マインドは総じて力強さを欠く状況で推移しました。このような環境のもと、国内経済の先行きについては引き続き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社は2025年6月24日付で代表取締役が交代し、新たな経営体制のもとで、より一層の事業推進とスピード感ある経営を図っております。2024年11月14日に発表した中期経営計画に沿って、2027年3月期での黒字化の実現を目指し、強みのある事業の更なる成長に向けた取組みと事業領域の再構築を進めています。また、2026年3月12日に公表したとおり、会社を神奈川県川崎市から神奈川県横浜市に移転し、本社および横浜戸塚サイト(YTS)の2拠点での稼働を4月より開始しております。新たな拠点体制のもと、事業基盤の強化を進めるとともに、各拠点の機能を活かしながらより一層の事業成長を図ってまいります。
また、中小企業庁が推進する「100億宣言」に参画し、今後10年間で売上高100億円超の達成を目指す中長期の成長ビジョン『10 by 10 to 100』を掲げるとともに、同宣言に並行して中小企業成長加速化補助金を申請し、2025年9月19日に採択が決定され、2025年12月19日に5億円の補助金交付が決定されました。本宣言は、持続的な成長を実現するために必要な経営資源の確保と、成長基盤の構築に取り組む当社の姿勢を示すものです。補助金交付決定後には将来の増産対応と研究開発の加速を目指して結晶成長装置の増設を決定し、装置の発注を行いました。加えて、2026年3月12日に公表したとおり、当該装置の購入資金として、株式会社りそな銀行より無担保無保証で710,000千円の融資を受けることを決定し、2026年3月に330,000千円、2026年4月に380,000千円の借入による資金調達を行っております。引き続き資本効率を意識した投資と組織体制の整備を行い、成長ビジョンの実現と企業価値の向上に取り組んでまいります。なお、2026年4月より、従来「視覚情報デバイス事業」としていた報告セグメントの名称を「レーザ・オプティカルソリューション事業」に変更しております。この変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
具体的な取り組みとしては、オールインワン小型可視レーザ「Lantana」製品の受注開始をはじめ、新波長の小型可視レーザ、半導体検査用超高速DFBレーザ等の開発を継続してまいりました。また、レーザ・オプティカルソリューション事業の構造転換施策として、アイトラッキング駆動システムを含む次世代アイウェア向け光学ユニット共同開発及びスマートフォン装着型網膜投影機器や産業機器用光学モジュール・光学ユニットの開発を推進してまいりました。スマートフォン装着型網膜投影機器に関しては2026年5月よりテストマーケティングを開始しました。
他方、2025年6月5日に公表したとおり、眼のセルフチェックツール「MEOCHECK」に関して、判定結果が受診勧奨にあたることから自主回収を進めてまいりましたが、2025年10月16日に公表したとおり、製品回収及びソフトウェアの改修を完了し、現在はMEOCHECK NEOとして新たなスタートを切っております。今後も引き続き、製品の品質・安全性確保及び法令の遵守に万全を期してまいります。
当社製品の販売状況としては、レーザデバイス事業の分野では売上高は前事業年度から増加しました。製品別では高出力レーザ、量子ドットレーザが前事業年度から増収となりましたが、DFBレーザ、小型可視レーザが前事業年度から減収となりました。レーザ・オプティカルソリューション事業の分野では、開発受託増収により売上高は前事業年度から増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は1,372,801千円(前事業年度比4.9%増)、レーザ・オプティカルソリューション事業の構造転換、販売方針変更による販路等構築途上のために依然として販売費及び一般管理費が売上総利益を上回り、営業損失は326,213千円(前事業年度は営業損失445,689千円)、経常損失は305,758千円(前事業年度は経常損失443,547千円)、当期純損失は357,147千円(前事業年度は当期純損失445,768千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、2026年4月より、従来「視覚情報デバイス事業」としていた報告セグメントの名称を「レーザ・オプティカルソリューション事業」に変更しております。この変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
a.レーザデバイス事業
当事業年度におきましては、売上高は、DFBレーザが加工装置用光源の需要減少等により5.9%、小型可視レーザが顕微鏡用光源の需要減少等により5.5%、それぞれ前事業年度から減少しましたが、高出力レーザが照明用光源増加等により9.4%、量子ドットレーザが研究開発用途向けの増加等により76.3%、それぞれ前事業年度から増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は1,173,248千円(前事業年度比4.7%増)、セグメント利益は128,212千円(前事業年度比9.2%減)となりました。
b.レーザ・オプティカルソリューション事業
当事業年度におきましては、売上高は、セルフチェックサービスが前述の自主回収等の影響により売上が計上されなかったことなどから、網膜投影製品ビジネスの売上高は前事業年度から97.1%減少しました。一方で、次世代網膜投影型アイウェア(スマートグラス)に向けたアイトラッキング駆動システムの開発を中心とした各種要素技術開発の受注が拡大し、開発受託売上は前事業年度から28.0%増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は199,552千円(前事業年度比6.1%増)、セグメント損失は135,781千円(前事業年度はセグメント損失311,751千円)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は前事業年度末から60,072千円増加し、5,565,940千円となりました。流動資産は3,698,681千円となり、前事業年度末から856,199千円減少しております。これは現金及び預金が1,013,068千円、売掛金の回収等により売掛金が48,005千円減少した一方、部材調達により原材料及び貯蔵品が66,347千円、移転先施設への投資による消費税発生により未収入金が54,309千円、本社移転に伴い、移転元への差入保証金が固定資産から流動資産に振り替わったことにより22,415千円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,867,259千円となり、前事業年度末から916,271千円増加しております。これは主に本社移転に伴う内装工事完了、結晶成長装置契約金支出により有形固定資産が665,087千円、新社屋の建設協力金拠出等により投資その他の資産が251,881千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は前事業年度末から379,311千円増加し、665,913千円となりました。流動負債は348,158千円となり、前事業年度末から92,062千円増加しております。これは主に長期借入発生により1年内返済予定の長期借入金が41,250千円、旧拠点退去が1年以内に履行されると見込まれることにより資産除去債務が28,463千円、試作材料費・新拠点工事費の増加に伴い未払金が58,804千円増加した一方、仕入代金決済により買掛金が18,616千円減少したこと等によるものであります。固定負債は317,754千円となり、前事業年度末から287,248千円増加しております。これは主に金融機関からの借入により長期借入金が288,750千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末から319,238千円減少し、4,900,027千円となりました。これは主に利益剰余金が当期純損失の計上により357,147千円減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,741,356千円(前事業年度末比1,013,068千円の減少)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果減少した資金は481,077千円(前事業年度は506,823千円の減少)となりました。主な資金減少要因は税引前当期純損失356,736千円、棚卸資産の増加75,401千円、長期前払費用の増加109,673千円、仕入債務の減少18,616千円、その他の流動資産の増加55,322千円であり、主な資金増加要因は減価償却費98,223千円、その他の流動負債の増加28,094千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果減少した資金は886,682千円(前事業年度は568,605千円の減少)となりました。主な資金減少要因は有形固定資産の取得による支出730,896千円、長期貸付けによる支出146,695千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果増加した資金は355,712千円(前事業年度は9,512千円の減少)となりました。主な資金増加要因は長期借入れによる収入330,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) 生産実績
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
レーザデバイス事業746,094105.00
レーザ・オプティカルソリューション事業75,78648.72
合計821,88194.89

(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の棚卸資産の評価損が含まれております。
(b) 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
レーザデバイス事業582,030110.09
レーザ・オプティカルソリューション事業68,61378.52
合計650,643105.61

(注) 1.金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(c) 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
レーザデバイス事業1,353,783117.90515,211154.44
レーザ・オプティカルソリューション事業200,965109.013,737160.76
合計1,554,748116.67518,949154.48

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(d) 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
レーザデバイス事業1,173,248104.69
レーザ・オプティカルソリューション事業199,552106.06
合計1,372,801104.88

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当事業年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本電計株式会社190,95514.59243,65417.75
株式会社彩世152,02911.07
Beckman Coulter, Inc.166,66512.73
Fabrinet Co., Ltd.160,72312.28

(注)前事業年度における株式会社彩世及び当事業年度におけるBeckman Coulter, Inc.、Fabrinet Co., Ltd.に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績の分析
a.売上高
当事業年度における売上高は1,372,801千円(前事業年度比63,931千円の増加)となりました。これは主に、高出力レーザ、量子ドットレーザ及びレーザ・オプティカルソリューション事業が前事業年度から増収となり、DFBレーザ、小型可視レーザの前事業年度比減収を上回ったことによるものであります。
b.売上原価、売上総損失
当事業年度における売上原価は794,485千円(前事業年度比70,529千円の減少)となりました。これは主に前事業年度の棚卸資産の評価損が多額なものであったことから、それが減少したことによるものであります。この結果、売上総利益は578,315千円(前事業年度比134,460千円の増加)、売上高総利益率は42.1%(前事業年度は33.9%)となりました。利益率の増加は主に棚卸資産の評価損の減少によるものであります。
c.販売費及び一般管理費、営業損失
当事業年度における販売費及び一般管理費は904,529千円(前事業年度比14,984千円の増加)となりました。これは主に、試作材料費の拡充や人員増加による人件費増加等によるものであります。この結果、営業損失は326,213千円(前事業年度は営業損失445,689千円)となりました。
d.営業外収益、営業外費用、経常損失
当事業年度において、受取利息、為替差益等により営業外収益が25,873千円(前事業年度比15,216千円の増加)、租税公課等により、営業外費用が5,418千円(前事業年度比3,096千円の減少)発生しております。この結果、経常損失は305,758千円(前事業年度は経常損失443,547千円)となりました。
e.特別利益、特別損失、当期純損失
当事業年度において、本社移転に伴う二重家賃等により特別損失が50,977千円発生しております(前事業年度は未発生)。この結果、当期純損失は357,147千円(前事業年度は当期純損失445,768千円)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、材料仕入、外注費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは半導体レーザウエハ結晶成長装置、小型可視レーザ製造装置、測定装置等の機械及び装置等であります。
運転資金、投資資金ともに自己資金から確保することを基本としつつ、事業拡大や投資機会に対して機動的に対応するため、金融機関からの借入を含めた多様な資金調達手段を確保することを方針としております。当事業年度末の現金及び現金同等物は2,741,356千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金、投資資金は十分であると考えておりますが、500,000千円の金融機関のコミットメントライン枠を有しているほか、金融機関1行から設備投資用途の長期借入金330,000千円を借入ました。2026年4月にも380,000千円を借入ており、今後も必要に応じて銀行借入を中心とした調達手段を検討してまいります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高総利益率であり、当事業年度の売上高総利益率は42.1%(前事業年度は33.9%)となりました。これは主に前事業年度においてはレーザ・オプティカルソリューション事業の棚卸資産の評価損が多額なものであったことから、それが減少したことと、レーザデバイス事業における価格見直し等のためであります。今後も売上高総利益率を高めていく方針ではありますが、今後はフリー・キャッシュ・フローの増加に重点を置き、EBITDAを指標といたします。2027年3月期についてはEBITDAの目標を1.1億円としております。
レーザデバイス事業の指標は量産認定製品数であり、目標116製品に対して、当事業年度末の量産認定製品数は124製品(前事業年度末は107製品)で前事業年度末から15%増加となりました。今後も量産認定製品数、認定顧客を増やしていく方針です。
レーザ・オプティカルソリューション事業の指標としましては、事業領域の再構築を図っているところであり、新たな指標は未定となっておりますが、当面は光学モジュール・光学ユニット認定顧客数を客観的指標といたします。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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