有価証券報告書-第25期(2025/07/01-2026/06/30)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、パーパスを「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」、提供価値を「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」と定義した上で、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに掲げ、挑戦的な文化を醸成し、ITを軸とした様々な挑戦を積極的に進めていく企業を目指しております。
当社グループの事業展開としては、企業、教育、医療機関、行政機関などで活用されるモバイル端末の一元管理・運用を行うモバイル端末管理ソフトウェアサービスを提供する「CLOMO事業」を主軸としております。近年はDXの進展を背景に、従来のモバイル端末管理に加え、PCや業務専用端末を含むエンドポイント管理市場へも事業領域を拡大しており、2025年1月にはWindows PC向け情報漏洩対策ソリューションを開発・提供するワンビ株式会社を子会社化するなど、サービスポートフォリオの拡充も進めております。また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じた投資活動により、グループの持続的成長とスタートアップ企業の新たな価値創造を支える「投資事業」を運営しております。さらに、当社グループの新たな市場領域への進出及び収益源の創出を図るべく、M&Aを通じた新事業開発にも積極的に取り組んでおります。
株主還元につきましては、安定的かつ継続的な配当の実施に加えて、株主優待制度を導入しております。当連結会計年度においては、1株当たり中間配当18円を実施し、期末配当18円に加え、上場5周年記念配当2円を実施することを決定いたしました。これにより、1株当たり年間配当は38円となりました。
当連結会計年度の経営成績の状況について、売上高は、CLOMO事業において既存顧客の利用拡大(ライセンス数の増加)が進展したことに加え、株式会社NTTドコモが提供するMDMサービス「あんしんマネージャー」のサービス提供終了(2026年3月)に伴い、当社が同社へOEM提供する「あんしんマネージャーNEXT(注1)」への移行需要を着実に取り込んだことにより、前年同期比で増加しました。
売上原価は、ソフトウェアのリリースタイミングの影響により減価償却費が減少したことから、前年同期比で減少しました。販売費及び一般管理費については、グループの拡大に伴う人件費やのれん償却費の増加に加えて、人員増強に向けた人材採用費の増加や、サービス認知度向上に向けた広告宣伝費の増加などにより、前年同期比で増加しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高4,440,721千円(前年同期比18.4%増)、営業利益1,170,442千円(前年同期比29.3%増)、経常利益1,155,654千円(前年同期比31.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益730,116千円(前年同期比30.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① CLOMO事業
CLOMO事業においては、2010年から提供を開始したモバイル端末管理ソフトウェアサービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」(以下、CLOMOサービスとする。)を事業の主軸に、クラウドを利用したB to Bサービスをサブスクリプションの形で提供しており、2025年12月に公表されたMDM市場(自社ブランド)シェアにおいて、2011年度から15年連続でシェアNo.1を達成しました(注2)。さらに、CLOMOサービスは2024年2月に「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)(注3)」に登録され、政府が求める高いセキュリティ水準をクリアしたサービスとして認められております。
当連結会計年度においては、引き続き、既存及び新規の販売パートナーとの連携を強化しました。既存の販売パートナーに対しては、業界動向に関する情報交換や製品知識のアップデートを目的としたパートナー会をエリアごとに定期開催するなど、対面でのコミュニケーションを促進し、関係強化を図りました。また、医療・官公庁市場やエンドポイント管理市場における販売体制の強化に向けて、新たな販売パートナーの開拓を進め、販売網の拡大に取り組みました。このような取り組みの結果、自社ブランド製品であるCLOMO MDMの販売に加え、株式会社NTTドコモが提供するMDM「あんしんマネージャーNEXT」へのOEM提供を通じた新規顧客の獲得が進み、着実に顧客基盤が拡大しました。
マーケティング活動においては、業務のデジタル化が進む医療・官公庁市場をターゲットとした取り組みを推進し、イベント出展や導入事例の発信を通じて認知度向上に努めました。その結果、2026年6月には、医療分野及び官公庁などの公共分野においてシェアNo.1(注4)を獲得しました。
CLOMO事業の売上拡大に向けては、顧客基盤の拡大に加えてARPU(注5)の向上が重要であるため、オプションサービスの拡充戦略を推進しました。具体的には、セキュリティ対策製品や運用支援サービスなど、MDMの周辺サービスをラインナップし、クロスセルを通じたARPUの向上に取り組みました。その一環として、2025年12月には、トレンドマイクロ株式会社が開発するモバイルセキュリティソリューション「Trend Vision One Mobile Security」の提供を開始し、モバイルセキュリティ領域における提供価値の向上を図りました。
エンドポイント管理市場への進出に向けた取り組みにおいては、CLOMOサービスのWindows PC向け機能を拡充したほか、2025年1月に子会社化したワンビ株式会社との連携強化を進めました。同社との販路共有を開始したことで、当社グループのモバイル端末向け販売網を活用した同社製品の展開に加え、同社が有するPC向け販売網を活用したCLOMOサービスの提案機会が拡大しました。さらに、当社グループの技術基盤や運用ノウハウを活用したサービス連携を進め、2025年12月より「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」の提供を開始しました。これは、総務省のガイドライン(注6)に準拠したデータ消去機能を提供し、Windows PCを中心とした業務環境における情報セキュリティの強化を実現するものです。引き続き、Windows PC向けサービスの強化に加え、販路共有による顧客基盤の拡大を図りながら、CLOMO事業のさらなる成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、導入法人数(注7)は10,718社(前連結会計年度末に比べ2,098社、24.3%増)に達しました。
この結果、売上高は4,440,721千円(前年同期比22.4%増)、営業利益は1,260,400千円(前年同期比35.5%増)となりました。
なお、サービス別の内訳は次のとおりであります。
(注)従来、「TRUST DELETE」に含めておりました売上高は、より適切な表示を目的としてサービス提供形態に基づく区分の見直しを行い、当連結会計年度より「CLOMO MDM」及び「その他」へ組み替えて表示しております。具体的には、CLOMO MDMのオプションサービスである「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」を「CLOMO MDM」へ、それ以外のサービスを「その他」へ区分しております。
② 投資事業
投資事業では、ベンチャーキャピタル子会社である株式会社アイキューブドベンチャーズを通じてアイキューブド1号投資事業有限責任組合を設立し、CVCとして投資活動を推進しております。主な投資対象はモバイル、SaaS、セキュリティ等、当社事業領域と親和性の高い企業、社会課題解決型企業及び当社グループが本社を置く九州の地場で活動している企業としており、当連結会計年度末時点の累計投資社数は9社となっております。
この結果、売上高は-千円(前年同期は120,991千円)、営業損失は89,958千円(前年同期は営業損失25,198千円)となりました。
(注)1.株式会社NTTドコモが提供しているモバイル端末管理サービスです。主に、社員・生徒に貸与したモバイル端末に対して紛失・盗難時に有効な「ロック/初期化」機能や、「カメラ制御」「利用可能アプリの制限」などのセキュリティ機能、「アプリ配信」などのデバイス管理業務効率化機能を備えております。
2.出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/)」2011~2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号:https://mic-r.co.jp/micit/2025/)」2014~2024年度出荷金額・2025年度出荷金額予測。
3.政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、円滑に導入できることを目的とした制度です。本制度は「政府情報システムにおけるクラウドサービスのセキュリティ評価制度の基本的枠組みについて」(2020年1月30日サイバーセキュリティ戦略本部決定)に基づき、内閣サイバーセキュリティセンター・デジタル庁・総務省・経済産業省が運営しております。
4.出典 医療分野:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2026年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」、2025年度モバイル管理ソフトウェア・SaaS市場 業種別メーカーシェア(金額ベース/数量ベース)。公共分野:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2025年度版(2025年8月発刊)」公益事業向けMDM売上高推移、業種別MDM・ベンダー売上高・シェア(2024年度実績・2025年度見込)。なお、いずれも自社ブランド/OEM両方の数字が含まれております。
5.Average Revenue Per Userの略称であり、導入法人数当たりの平均月間単価。
6.地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン。
7.導入法人数の集計において、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては含めておりません。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態については次のとおりであります。
(資産)
総資産は5,186,765千円となり、前連結会計年度末に比べ748,017千円の増加となりました。これは主に、のれんが75,942千円、ソフトウエアが50,846千円、営業投資有価証券が39,794千円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が700,475千円、ソフトウエア仮勘定が134,011千円、売掛金が78,803千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
負債は1,800,056千円となり、前連結会計年度末に比べ222,215千円の増加となりました。これは主に、繰延税金負債が13,172千円減少した一方で、その他流動負債が67,635千円、未払法人税等が54,075千円、契約負債が38,045千円、買掛金が35,036千円、賞与引当金が31,696千円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は3,386,709千円となり、前連結会計年度末に比べ525,801千円の増加となりました。これは主に、剰余金の配当に伴い利益剰余金が254,174千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が730,116千円、非支配株主持分が41,406千円それぞれ増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は58.6%(前連結会計年度末は57.7%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,879,263千円となり、前連結会計年度末に比べ655,230千円の増加となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,331,245千円(前年同期は得られた資金1,014,907千円)となりました。これは主に、法人税等の支払額が370,124千円、売上債権の増加額が78,248千円それぞれあった一方で、税金等調整前当期純利益が1,155,654千円、減価償却費が253,127千円、のれん償却額が77,689千円、営業投資有価証券の減少額が72,612千円、契約負債の増加額が38,045千円、営業活動その他の増加額が87,276千円それぞれあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は393,881千円(前年同期は使用した資金36,305千円)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が17,250千円あった一方で、無形固定資産の取得による支出が289,401千円、投資有価証券の取得による支出が64,000千円、定期預金の預入による支出が51,750千円それぞれあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は282,774千円(前年同期は使用した資金564,761千円)となりました。これは主に、配当金の支払額が254,141千円、自己株式の取得による支出が29,937千円それぞれあったことによるものです。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。
② 受注実績
当社グループで行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短く、受注状況には重要性がないため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては、記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績の状況」、「(2) 財政状態の状況」、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業運営上必要な運転資金の需要のうち主なものは、当社グループサービスを安定的に運営し、また拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費及び採用に係る費用、広告宣伝費、並びにシステム利用料であります。
④ 目標とする経営指標の状況
a 導入法人数(CLOMO事業)
当連結会計年度末の導入法人数は10,718社(前連結会計年度末に比べ2,098社、24.3%増)となりました(注1)。
営業拠点を通じた地方の販売パートナーとの連携強化や、OEM提供先サービスの成長によって、顧客基盤の拡大が進んでおります。
b ライセンス継続率(CLOMO事業)
当連結会計年度のライセンス継続率は95.8%となりました(注2)。
カスタマーサクセス部門による、ユーザーミーティングの開催や、定期面談、製品活用のためのステップアップセミナーの実施など、エンドユーザーの成功体験を目的とした様々な取り組みの成果が、製品に対する心理的ロイヤルティ向上を後押ししたことで、ライセンス継続率は引き続き高い水準を維持しております。
(注)1.導入法人数の集計において、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては含めておりません。
2.継続率は、当連結会計年度に発生した各月の解約数を前連結会計年度末の前年同月末のライセンス数から控除したライセンス数について、前連結会計年度末のライセンス数で除して算出しております。なお、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては継続率の算出に含めておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、パーパスを「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」、提供価値を「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」と定義した上で、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに掲げ、挑戦的な文化を醸成し、ITを軸とした様々な挑戦を積極的に進めていく企業を目指しております。
当社グループの事業展開としては、企業、教育、医療機関、行政機関などで活用されるモバイル端末の一元管理・運用を行うモバイル端末管理ソフトウェアサービスを提供する「CLOMO事業」を主軸としております。近年はDXの進展を背景に、従来のモバイル端末管理に加え、PCや業務専用端末を含むエンドポイント管理市場へも事業領域を拡大しており、2025年1月にはWindows PC向け情報漏洩対策ソリューションを開発・提供するワンビ株式会社を子会社化するなど、サービスポートフォリオの拡充も進めております。また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じた投資活動により、グループの持続的成長とスタートアップ企業の新たな価値創造を支える「投資事業」を運営しております。さらに、当社グループの新たな市場領域への進出及び収益源の創出を図るべく、M&Aを通じた新事業開発にも積極的に取り組んでおります。
株主還元につきましては、安定的かつ継続的な配当の実施に加えて、株主優待制度を導入しております。当連結会計年度においては、1株当たり中間配当18円を実施し、期末配当18円に加え、上場5周年記念配当2円を実施することを決定いたしました。これにより、1株当たり年間配当は38円となりました。
当連結会計年度の経営成績の状況について、売上高は、CLOMO事業において既存顧客の利用拡大(ライセンス数の増加)が進展したことに加え、株式会社NTTドコモが提供するMDMサービス「あんしんマネージャー」のサービス提供終了(2026年3月)に伴い、当社が同社へOEM提供する「あんしんマネージャーNEXT(注1)」への移行需要を着実に取り込んだことにより、前年同期比で増加しました。
売上原価は、ソフトウェアのリリースタイミングの影響により減価償却費が減少したことから、前年同期比で減少しました。販売費及び一般管理費については、グループの拡大に伴う人件費やのれん償却費の増加に加えて、人員増強に向けた人材採用費の増加や、サービス認知度向上に向けた広告宣伝費の増加などにより、前年同期比で増加しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高4,440,721千円(前年同期比18.4%増)、営業利益1,170,442千円(前年同期比29.3%増)、経常利益1,155,654千円(前年同期比31.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益730,116千円(前年同期比30.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① CLOMO事業
CLOMO事業においては、2010年から提供を開始したモバイル端末管理ソフトウェアサービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」(以下、CLOMOサービスとする。)を事業の主軸に、クラウドを利用したB to Bサービスをサブスクリプションの形で提供しており、2025年12月に公表されたMDM市場(自社ブランド)シェアにおいて、2011年度から15年連続でシェアNo.1を達成しました(注2)。さらに、CLOMOサービスは2024年2月に「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)(注3)」に登録され、政府が求める高いセキュリティ水準をクリアしたサービスとして認められております。
当連結会計年度においては、引き続き、既存及び新規の販売パートナーとの連携を強化しました。既存の販売パートナーに対しては、業界動向に関する情報交換や製品知識のアップデートを目的としたパートナー会をエリアごとに定期開催するなど、対面でのコミュニケーションを促進し、関係強化を図りました。また、医療・官公庁市場やエンドポイント管理市場における販売体制の強化に向けて、新たな販売パートナーの開拓を進め、販売網の拡大に取り組みました。このような取り組みの結果、自社ブランド製品であるCLOMO MDMの販売に加え、株式会社NTTドコモが提供するMDM「あんしんマネージャーNEXT」へのOEM提供を通じた新規顧客の獲得が進み、着実に顧客基盤が拡大しました。
マーケティング活動においては、業務のデジタル化が進む医療・官公庁市場をターゲットとした取り組みを推進し、イベント出展や導入事例の発信を通じて認知度向上に努めました。その結果、2026年6月には、医療分野及び官公庁などの公共分野においてシェアNo.1(注4)を獲得しました。
CLOMO事業の売上拡大に向けては、顧客基盤の拡大に加えてARPU(注5)の向上が重要であるため、オプションサービスの拡充戦略を推進しました。具体的には、セキュリティ対策製品や運用支援サービスなど、MDMの周辺サービスをラインナップし、クロスセルを通じたARPUの向上に取り組みました。その一環として、2025年12月には、トレンドマイクロ株式会社が開発するモバイルセキュリティソリューション「Trend Vision One Mobile Security」の提供を開始し、モバイルセキュリティ領域における提供価値の向上を図りました。
エンドポイント管理市場への進出に向けた取り組みにおいては、CLOMOサービスのWindows PC向け機能を拡充したほか、2025年1月に子会社化したワンビ株式会社との連携強化を進めました。同社との販路共有を開始したことで、当社グループのモバイル端末向け販売網を活用した同社製品の展開に加え、同社が有するPC向け販売網を活用したCLOMOサービスの提案機会が拡大しました。さらに、当社グループの技術基盤や運用ノウハウを活用したサービス連携を進め、2025年12月より「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」の提供を開始しました。これは、総務省のガイドライン(注6)に準拠したデータ消去機能を提供し、Windows PCを中心とした業務環境における情報セキュリティの強化を実現するものです。引き続き、Windows PC向けサービスの強化に加え、販路共有による顧客基盤の拡大を図りながら、CLOMO事業のさらなる成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、導入法人数(注7)は10,718社(前連結会計年度末に比べ2,098社、24.3%増)に達しました。
この結果、売上高は4,440,721千円(前年同期比22.4%増)、営業利益は1,260,400千円(前年同期比35.5%増)となりました。
なお、サービス別の内訳は次のとおりであります。
| CLOMO MDM | 売上高 | 3,467,953 | 千円 |
| CLOMO SECURED APPs | 売上高 | 158,723 | 千円 |
| その他 | 売上高 | 814,043 | 千円 |
(注)従来、「TRUST DELETE」に含めておりました売上高は、より適切な表示を目的としてサービス提供形態に基づく区分の見直しを行い、当連結会計年度より「CLOMO MDM」及び「その他」へ組み替えて表示しております。具体的には、CLOMO MDMのオプションサービスである「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」を「CLOMO MDM」へ、それ以外のサービスを「その他」へ区分しております。
② 投資事業
投資事業では、ベンチャーキャピタル子会社である株式会社アイキューブドベンチャーズを通じてアイキューブド1号投資事業有限責任組合を設立し、CVCとして投資活動を推進しております。主な投資対象はモバイル、SaaS、セキュリティ等、当社事業領域と親和性の高い企業、社会課題解決型企業及び当社グループが本社を置く九州の地場で活動している企業としており、当連結会計年度末時点の累計投資社数は9社となっております。
この結果、売上高は-千円(前年同期は120,991千円)、営業損失は89,958千円(前年同期は営業損失25,198千円)となりました。
(注)1.株式会社NTTドコモが提供しているモバイル端末管理サービスです。主に、社員・生徒に貸与したモバイル端末に対して紛失・盗難時に有効な「ロック/初期化」機能や、「カメラ制御」「利用可能アプリの制限」などのセキュリティ機能、「アプリ配信」などのデバイス管理業務効率化機能を備えております。
2.出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/)」2011~2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号:https://mic-r.co.jp/micit/2025/)」2014~2024年度出荷金額・2025年度出荷金額予測。
3.政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、円滑に導入できることを目的とした制度です。本制度は「政府情報システムにおけるクラウドサービスのセキュリティ評価制度の基本的枠組みについて」(2020年1月30日サイバーセキュリティ戦略本部決定)に基づき、内閣サイバーセキュリティセンター・デジタル庁・総務省・経済産業省が運営しております。
4.出典 医療分野:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2026年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」、2025年度モバイル管理ソフトウェア・SaaS市場 業種別メーカーシェア(金額ベース/数量ベース)。公共分野:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2025年度版(2025年8月発刊)」公益事業向けMDM売上高推移、業種別MDM・ベンダー売上高・シェア(2024年度実績・2025年度見込)。なお、いずれも自社ブランド/OEM両方の数字が含まれております。
5.Average Revenue Per Userの略称であり、導入法人数当たりの平均月間単価。
6.地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン。
7.導入法人数の集計において、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては含めておりません。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態については次のとおりであります。
(資産)
総資産は5,186,765千円となり、前連結会計年度末に比べ748,017千円の増加となりました。これは主に、のれんが75,942千円、ソフトウエアが50,846千円、営業投資有価証券が39,794千円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が700,475千円、ソフトウエア仮勘定が134,011千円、売掛金が78,803千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
負債は1,800,056千円となり、前連結会計年度末に比べ222,215千円の増加となりました。これは主に、繰延税金負債が13,172千円減少した一方で、その他流動負債が67,635千円、未払法人税等が54,075千円、契約負債が38,045千円、買掛金が35,036千円、賞与引当金が31,696千円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は3,386,709千円となり、前連結会計年度末に比べ525,801千円の増加となりました。これは主に、剰余金の配当に伴い利益剰余金が254,174千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が730,116千円、非支配株主持分が41,406千円それぞれ増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は58.6%(前連結会計年度末は57.7%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,879,263千円となり、前連結会計年度末に比べ655,230千円の増加となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,331,245千円(前年同期は得られた資金1,014,907千円)となりました。これは主に、法人税等の支払額が370,124千円、売上債権の増加額が78,248千円それぞれあった一方で、税金等調整前当期純利益が1,155,654千円、減価償却費が253,127千円、のれん償却額が77,689千円、営業投資有価証券の減少額が72,612千円、契約負債の増加額が38,045千円、営業活動その他の増加額が87,276千円それぞれあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は393,881千円(前年同期は使用した資金36,305千円)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が17,250千円あった一方で、無形固定資産の取得による支出が289,401千円、投資有価証券の取得による支出が64,000千円、定期預金の預入による支出が51,750千円それぞれあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は282,774千円(前年同期は使用した資金564,761千円)となりました。これは主に、配当金の支払額が254,141千円、自己株式の取得による支出が29,937千円それぞれあったことによるものです。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。
② 受注実績
当社グループで行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短く、受注状況には重要性がないため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| CLOMO事業 | 4,440,721 | 122.4 |
| 投資事業 | - | - |
| 合 計 | 4,440,721 | 118.4 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社NTTドコモ及びそのグループ会社 | 1,726,606 | 46.0 | 2,101,231 | 47.3 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては、記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績の状況」、「(2) 財政状態の状況」、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業運営上必要な運転資金の需要のうち主なものは、当社グループサービスを安定的に運営し、また拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費及び採用に係る費用、広告宣伝費、並びにシステム利用料であります。
④ 目標とする経営指標の状況
a 導入法人数(CLOMO事業)
当連結会計年度末の導入法人数は10,718社(前連結会計年度末に比べ2,098社、24.3%増)となりました(注1)。
営業拠点を通じた地方の販売パートナーとの連携強化や、OEM提供先サービスの成長によって、顧客基盤の拡大が進んでおります。
b ライセンス継続率(CLOMO事業)
当連結会計年度のライセンス継続率は95.8%となりました(注2)。
カスタマーサクセス部門による、ユーザーミーティングの開催や、定期面談、製品活用のためのステップアップセミナーの実施など、エンドユーザーの成功体験を目的とした様々な取り組みの成果が、製品に対する心理的ロイヤルティ向上を後押ししたことで、ライセンス継続率は引き続き高い水準を維持しております。
(注)1.導入法人数の集計において、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては含めておりません。
2.継続率は、当連結会計年度に発生した各月の解約数を前連結会計年度末の前年同月末のライセンス数から控除したライセンス数について、前連結会計年度末のライセンス数で除して算出しております。なお、CLOMO事業のサービスのうち「その他」に該当するものについては継続率の算出に含めておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。