有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/03 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
132項目
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
第18期事業年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当事業年度における情報通信市場は、インターネットを活用した様々な機器、クラウドサービスやビッグデータ、IoT、AIなどの情報進歩による新たなサービスの登場を通じて、人々の生活における利便性を中心に幅広い変化が起きています。一方で、高度化、複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化の必要性は一層高まっており、情報通信においてのモバイル管理の役割は、より重要となってきています。こうした動きは、世界的な広がりを見せています。
このような市場環境の中、当社は2010年度から提供を開始した、モバイル端末管理サービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」を事業の主軸として、クラウドを利用したB to BのSaaS事業をサブスクリプションの形で提供しております。これまで、主に携帯電話販売会社や携帯電話販売代理店への販売網の営業強化を進め、導入社数(注1)は大規模な企業を中心に1,920社(前事業年度末比36.8%増)となるモバイル端末管理サービスに成長しました。また、ライセンス継続率(注2)については、サポートサービスの強化により96.7%となりました。
特に当事業年度は、新規の顧客獲得を大きく伸ばすべく、携帯電話販売会社へ従業員を出向させるなどの協力関係の強化を行うことができました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,399,288千円(前期比20.6%増)、営業利益250,845千円(同49.4%増)、経常利益247,415千円(同113.2%増)、当期純利益221,126千円(同4.1%増)となりました。
なお、当社の事業はライセンス販売事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(注)1.当社が1ライセンス以上付与している社数をいいます。
2.継続率は、前年同月末ライセンス数から直近12ヶ月の解約数を差し引き、前年同月末ライセンス数で除したもので算出しています。
第19期第2四半期累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年12月31日)
当第2四半期累計期間における情報通信市場は、インターネットを活用したクラウドサービスやIoTの普及、AIなどの情報進歩により、人々の生活における利便性を中心に幅広い変化が起き続けています。特にサブスクリプション型で提供されるクラウドサービスは一層世の中に広く受け入れられてきており、企業などの法人においても、社内で利用するシステムをSaaSに置き換えるSaaSシフトの拡がりが勢いを見せております。
このような市場環境の中、当社は2010年度から提供を開始した、モバイル端末管理サービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」を事業の主軸として、クラウドを利用したB to BのSaaS事業をサブスクリプションの形で提供しております。これまで、主に携帯電話販売会社や携帯電話販売代理店への販売網の営業強化を進め、導入社数2,189社(2018年12月31日比37.6%増)に達しております。
また、当第2四半期累計期間は、外部の開発協力会社への開発業務を一部委託し、開発体制の強化を進めています。営業面においては、新規の顧客獲得を大きく伸ばすべく、特に携帯電話販売会社との協力強化を継続しています。
以上の結果、当第2四半期累計期間の経営成績は、売上高773,315千円、営業利益227,553千円、経常利益226,444千円、四半期純利益196,746千円となりました。
なお、当社の事業はライセンス販売事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりであります。
CLOMO MDM 売上高 632,561千円
CLOMO SECURED APPs 売上高 112,789千円
その他 売上高 27,964千円
(2) 財政状態の状況
第18期事業年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当事業年度末における財政状態については次のとおりであります。
① 資産
総資産は1,083,121千円となり、前事業年度末に比べ36,891千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が103,108千円減少し、売掛金が27,876千円、有形固定資産が18,364千円、投資その他の資産が5,529千円増加したことによるものです。
② 負債
負債は696,645千円となり、前事業年度末に比べ258,017千円の減少となりました。これは主に、短期借入金が50,000千円、1年内返済予定の長期借入金が77,981千円、長期借入金が166,450千円減少したことによるものです。
③ 純資産
純資産は386,476千円となり、前事業年度末に比べ221,126千円の増加となりました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。
第19期第2四半期累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年12月31日)
当第2四半期会計期間末における財政状態については次のとおりであります。
① 資産
総資産は1,227,620千円となり、前事業年度末に比べ144,498千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が71,455千円、ソフトウエア仮勘定が60,548千円、売掛金が11,305千円増加したことによるものです。
② 負債
負債は644,398千円となり、前事業年度末に比べ52,247千円の減少となりました。これは主に、前受収益が75,522千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が40,224千円、長期借入金が40,152千円、役員退職慰労引当金が60,768千円減少したことによるものです。
③ 純資産
純資産は583,222千円となり、前事業年度末に比べ196,746千円の増加となりました。これは、四半期純利益の計上により、利益剰余金が増加したことによるものです。

(3) キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は715,659千円となり、前事業年度末に比べ103,108千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は337,164千円となり、前事業年度に比べ121,620千円の減少となりました。
主な内訳は、税引前当期純利益237,978千円及び減価償却費91,951千円であります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は136,506千円となり、前事業年度に比べ84,517千円の増加となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出30,374千円、無形固定資産の取得による支出82,804千円、敷金及び保証金の差入による支出24,326千円であります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は303,859千円となり、前事業年度に比べ238,615千円の増加となりました。
主な内訳は、短期借入金の返済による支出50,000千円及び長期借入金の返済による支出244,431千円であります。
第19期第2四半期累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年12月31日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は787,114千円となり、前事業年度末に比べ71,455千円の増加となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は222,159千円となりました。
主な内訳は、税引前四半期純利益223,838千円、役員退職慰労引当金の減少60,768千円、前受収益の増加75,522千円であります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は70,327千円となりました。
主な内訳は、無形固定資産の取得による支出69,654千円であります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は80,376千円となりました。
内訳は、長期借入金の返済による支出80,376千円であります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。
② 受注実績
当社で行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短く、受注状況には重要性がないため記載を省略しております。
③ 販売実績
当社のサービス別の第18期事業年度及び第19期第2四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
サービス名第18期事業年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
第19期第2四半期累計期間
(自 2019年7月1日
至 2019年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
CLOMO MDM756,374117.4445,823
CLOMO
MOBILE APP PORTAL
180,421124.3115,704
CLOMO オプション119,448179.771,033
小 計1,056,245123.4632,561
SECURED APPs211,883118.5112,789
その他131,159104.527,964
合 計1,399,288120.6773,315

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業はライセンス販売事業の単一セグメントであるため、サービス別の販売実績を記載しております。
3.最近2事業年度及び第19期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先第17期事業年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
第18期事業年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
第19期第2四半期累計期間
(自 2019年7月1日
至 2019年12月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社NTTドコモ130,18111.2251,51018.0204,89626.5
SB C&S株式会社210,19818.1193,02613.8102,12113.2
株式会社ソラニワ136,11911.7173,69712.4101,16213.1
株式会社ティーガイア195,02516.8216,28415.5100,06812.9
KDDI株式会社116,60010.0

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5.第18期事業年度及び第19期第2四半期累計期間におけるKDDI株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。同社に対する販売額は前期比で増加しているものの、当社の総販売実績が増加したことで、販売割合が100分の10未満となっております。
(5) 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者に依る会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績の状況」、「(2)財政状態の状況」、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資本の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業運営上必要な運転資金の需要のうち主なものは、当社サービスを安定的に運営し、また拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、研究開発に係る費用であります。
④ 目標とする経営指標
第18期事業年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
a CLOMOの導入社数
当事業年度のCLOMOの導入社数は1,920社(前事業年度末比36.8%増)となりました。
主な原因は、株式会社NTTドコモを中心とした代理店によるライセンス販売が好調に推移したためです。
b ライセンス継続率
当事業年度のライセンス継続率は96.7%となりました。
主な原因は、Android Enterprise Recommended取得によりAndroid搭載モバイル端末を使用している顧客に対してCLOMOがAndroid搭載モバイル端末の管理に最適なモバイル端末管理サービスのひとつだという認知が広まったこととカスタマーサクセス部門の様々な取り組みの成果が、顧客のロイヤルティ向上を後押ししたと考えております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。