有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 15:05
【資料】
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【項目】
126項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、堅調な雇用情勢と企業業績の改善が継続するなか、2019年10月の消費増税前の駆け込み需要、消費増税後の反動及び大型台風等の影響、加えて年明け後の新型コロナウイルスの影響を受け、先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻くインターネット通信販売領域においては、国内BtoC-EC市場は、急激な市場規模の拡大には一服感はあるもののEC化率の上昇と相まって継続的な成長を見せております。また人材不足などによる宅配・物流領域での課題はあるものの、SNSの活用やスマートフォン経由の取引が増加するなど、引き続き国内EC市場全体は堅調に成長を続けております。しかしながら当第4四半期連結会計期間に入り、新型コロナウイルスの世界的な蔓延による拡散脅威や外出禁止令により、将来的な経済活動の停滞や、国内消費量が減退する懸念が増大いたしました。新型コロナウイルスの蔓延はその後も収束せず、4月に入って政府より緊急事態宣言が発令されるなど状況は悪化してまいりました。5月には緊急事態宣言の解除とはなりましたが、2020年度中に完全な収束は予想できない状況となっております。そのような環境の中でも、当社グループが属するEC業界では、在宅での消費活動や在宅勤務によるいわゆる「巣ごもり消費」が活況となることで継続的な需要が期待できるものと考えており、当社グループの今後の業績に与える影響も軽微であると考えております。加えて2020年春には次世代移動通信システムである5Gの国内でのサービスも開始され、ECにおけるスマートフォン活用の可能性はますます大きくなることが予想されます。EC業界を取り巻く環境変化は著しく、また競合他社の攻勢も激しくなっています。それらに迅速にかつ的確に対応していくことが当社グループにとって大きな課題となっております。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,167,289千円(前期比11.0%増)、経常利益430,919千円(前期比20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益292,757千円(前期比0.5%減)となりました。また主要な事業子会社である株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社において重要な経営指標である、GMV、契約件数、1契約当りGMVは堅調に推移いたしました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
なお、株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社におけるGMV、契約件数、1契約当りGMVの実績推移につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
財政状態は次のとおりであります。
<資産>当連結会計年度末における流動資産は1,025,104千円となり、前連結会計年度末に比べ100,421千円減少いたしました。これは主にA種優先株式の買取に伴い現金及び預金が112,018千円減少したことなどによるものであります。固定資産は800,074千円となり、前連結会計年度末に比べ163,369千円減少いたしました。これは主に時価の下落に伴い投資有価証券が245,258千円減少したことなどによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて263,791千円減少し1,825,178千円となりました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は743,630千円となり前連結会計年度末に比べ43,125千円増加いたしました。これは主に業容の拡大に伴い前受金が25,882千円増加したことによるものです。固定負債は52,082千円となり前連結会計年度に比べて62,902千円減少いたしました。これは主に投資有価証券の時価の下落等により繰延税金負債が62,541千円減少したことによるものです。この結果、負債合計は795,713千円となり前連結会計年度に比べて19,776千円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は1,029,465千円となり前連結会計年度末に比べて244,014千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益292,757千円の計上があったものの、A種優先株式の消却347,500千円およびその他有価証券評価差額金が189,271千円減少したことによるものです。この結果、自己資本比率は56.4%(前連結会計年度末は61.0%)となりました。
なお、当社は、ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて112,378千円減少し、768,855千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は312,320千円(前連結会計年度は220,741千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益439,915千円、減価償却費53,824千円、投資有価証券売却益18,995千円、売上債権の増加額30,313千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は63,109千円(前連結会計年度は26,980千円の支出)となりました。
これは主に㈱フューチャーショップにおけるCMS新機能等のソフトウェア開発により無形固定資産取得による支出83,875千円、投資有価証券の売却による収入24,943千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は359,985千円(前連結会計年度は143,440千円の支出)となりました。
これは主にA種優先株式の買入消却に伴う自己株式の取得による支出347,500千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
第14期連結会計年度及び第15期連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはECプラットフォーム事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称第14期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)金額(千円)前期比増減率(%)
ECプラットフォーム事業1,952,4332,167,28911.0
合計1,952,4332,167,28911.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 3会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響は2020年度中は完全に収束するとは予想できず、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態の分析
第15期連結会計年度における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2) 経営成績の分析
当社グループのECプラットフォーム事業セグメントの当連結会計年度の売上高は2,167,289千円(前期比11.0%増)となりました。
売上原価は主に開発人員の増加に伴う人件費の増加や㈱フューチャーショップにおけるソフトウェアの開発に伴う償却負担等の増加により916,976千円(前期比10.1%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人員の増加に伴う人件費の増加や支払報酬の増加により、874,576千円(前期比9.4%増)となりました。
営業外収益は、保有するWistron Information Tech & Services Corp株式からの受取配当金が増加したことにより、65,334千円(前期比46.0%増)となりました。営業外費用は主に上場関連費用の計上により、10,151千円(前期比39.3%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、18,995千円(前期比75.9%減)となりました。特別損失は、投資有価証券評価損の計上により、9,999千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業利益375,736千円(前期比17.4%増)、経常利益430,919千円(前期比20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益292,757千円(前期比0.5%減)となり、非常に堅調な結果となりました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の概況は以下の通りとなります。
売上高(千円)前期比増減率(%)
㈱フューチャーショップ1,550,91510.7
㈱ソフテル603,24212.3
㈱TradeSafe43,40711.9

(注)グループ内取引の相殺消去前の数値を記載しております。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の経営成績の分析はそれぞれ以下の通りです。
a.株式会社フューチャーショップ
当連結会計年度の売上高は1,550,915千円(前期比10.7%増)、経常利益392,280千円(前期比16.5%増)となり増収増益となりました。新設されたセールス・マーケティング部による営業強化や、SNSなどを活用したオウンドメディアによる宣伝活動を実施した結果、契約純増件数は順調に増加いたしました。今後は新設された次期futureshopのサービスの企画開発を行うサービス・プロデュース部やコンサルティング活動を行うカスタマー・コンサルテーション部との連携も図り、「commerce creator」の定期機能リリースをはじめ、新しいジャンルのEC事業運営者の獲得に向けた事業展開を図ってまいります。
b.株式会社ソフテル
当連結会計年度の売上高は603,242千円(前期比12.3%増)、経常利益86,180千円(前期比117.2%増)となり、堅調に推移いたしました。2019年10月からの消費税増税対応のカスタマイズ案件の増大に加え、保守サポートの月額利用料の売上高も堅調に推移し収益の安定化に貢献いたしました。今後は、引き続き大型開発案件や既存顧客のカスタマイズ案件に注力してまいります。
c.株式会社TradeSafe
当連結会計年度の売上高は43,407千円(前期比11.9%増)、経常利益435千円(前期比67.4%減)となりました。当社はEC店舗認証事業であるトラストマーク事業において引き続き審査・モニタリングの質の維持向上を図り、優良店舗の差別化を行うことで、安心安全なEC社会を実現するための社会的なインフラ機能を目指してまいります。また、ECnote(EC店舗の販売分析ツール)については、株式会社ソフテルと連携して「通販する蔵の開発オプション機能」としてサービスの提供を行い、株式会社ソフテルとの連携を通じてグループシナジー追求によるサービスの普及に努めてまいります。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
4) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であります。これらの資金需要に対しては現状では自己資金の範囲内で対応できております。今後は業容拡大に伴い自己資金、銀行借入、及びエクイティファイナンス等での多様な調達方法を資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討していく方針です。当連結会計年度の現金及び現金同等物は768,855千円であり流動性を確保しております。