有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 10:00
【資料】
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【項目】
120項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、期初より続く新型コロナウイルス感染拡大の影響により依然として厳しい状況にあります。加えて当第4四半期連結会計期間に入り新型コロナウイルスの大都市圏を中心とした再拡大や国内での新型コロナワクチン接種の遅れ等により、先行き不透明な状況が続いております。一方、当社グループを取り巻く国内EC市場は、2020年4月の緊急事態宣言以降の外出自粛やリモートワークの拡大による在宅での消費需要、いわゆる「巣ごもり需要」の高まりや消費者のDXなどが進展したことにより、EC利用率の上昇とともに着実な成長を見せております。そのような環境の中、当社グループが属するECサービス業界においては、リアルとデジタルが融合していく生活社会に見られる消費行動の大きな変化に対応すべく、各産業でEC化への対応及び自社ECサイトの機能拡充や利便性の拡充への需要が高まっております。そのため新型コロナウイルス感染拡大の状況下においても当社グループのECプラットフォーム事業は堅調に推移しており、今後の業績に与える影響も軽微であると考えております。
加えて2020年春より国内サービスの開始された次世代移動通信システムである5GなどによりECにおけるスマートフォン活用の可能性はますます大きくなることが予想されます。EC業界を取り巻く環境変化は著しく、また市場の拡大に伴い、競合他社の動向も活発化しております。それらに迅速にかつ的確に対応していくことが当社グループにとって大きな課題となっております。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,520,037千円(前期比16.3%増)、経常利益588,264千円(前期比36.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益393,326千円(前期比34.4%増)となりました。また主要な事業子会社である株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社において重要な経営指標である、GMV、顧客受注総額、契約店舗数及び契約社数、1契約社数店舗あたりGMV、1契約社数あたり顧客受注額は各社増加ペースに差はあるものの、概ね堅調に推移いたしました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
なお、株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社におけるGMV、顧客受注総額、契約店舗数及び契約社数、1契約店舗数あたりGMV、1契約社数あたり顧客受注額の実績推移につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
財政状態は次のとおりであります。
<資産>当連結会計年度末における流動資産は1,528,879千円となり、前連結会計年度末に比べ503,775千円増加いたしました。これは主に公募増資に伴い現金及び預金が462,746千円増加したことなどによるものであります。固定資産は1,063,478千円となり、前連結会計年度末に比べ263,403千円増加いたしました。これは主に時価の上昇等に伴い投資有価証券が250,237千円増加したことなどによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて767,179千円増加し2,592,358千円となりました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は697,165千円となり前連結会計年度末に比べ46,465千円減少いたしました。これは主に短期借入金が返済に伴い120,000千円減少したことによるものです。固定負債は83,769千円となり前連結会計年度末に比べて31,686千円増加いたしました。これは主に投資有価証券の時価の上昇等により繰延税金負債が17,415千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は780,934千円となり前連結会計年度末に比べて14,778千円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は1,811,423千円となり前連結会計年度末に比べて781,958千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益393,326千円の計上やその他有価証券評価差額金が167,832千円増加したことに加え、公募増資の実施に伴い資本金が110,400千円、資本剰余金が110,400千円それぞれ増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は69.9%(前連結会計年度末は56.4%)となりました。
なお、当社は、ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて462,386千円増加し、1,231,242千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は466,618千円(前連結会計年度は312,320千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益602,578千円、減価償却費66,220千円、投資有価証券売却益14,313千円、売上債権の増加額40,788千円、前受金の増加額18,610千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は102,053千円(前連結会計年度は63,109千円の支出)となりました。
これは主に株式会社フューチャーショップにおけるCMS新機能等のソフトウェア開発により無形固定資産取得による支出99,782千円、投資有価証券の取得による支出27,000千円及び投資有価証券の売却による収入27,750千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は92,836千円(前連結会計年度は359,985千円の支出)となりました。
これは主に短期借入金の減少額120,000千円及び公募増資の実施に伴う株式の発行による収入213,137千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
第15期連結会計年度及び第16期連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはECプラットフォーム事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)金額(千円)前期比増減率(%)
ECプラットフォーム事業2,167,2892,520,03716.3
合計2,167,2892,520,03716.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2) 経営成績の分析
当社グループのECプラットフォーム事業セグメントの当連結会計年度の売上高は2,520,037千円(前期比16.3%増)となりました。
売上原価は主にサーバー代の増加や株式会社フューチャーショップにおけるソフトウェアの開発に伴う償却負担等の増加により1,045,718千円(前期比14.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人員の増加に伴う人件費の増加により、901,982千円(前期比3.1%増)となりました。
営業外収益は、保有するWistron Information Tech & Services Corp株式からの受取配当金が減少したことにより、26,247千円(前期比59.8%減)となりました。営業外費用は主に上場関連費用の計上により、10,319千円(前期比1.7%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、14,313千円(前期比24.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業利益572,336千円(前期比52.3%増)、経常利益588,264千円(前期比36.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益393,326千円(前期比34.4%増)となり、非常に堅調な結果となりました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の概況は以下の通りとなります。
売上高(千円)前期比増減率(%)
㈱フューチャーショップ1,912,48223.3
㈱ソフテル605,1900.3
㈱TradeSafe44,5782.7

(注)グループ内取引の相殺消去前の数値を記載しております。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の経営成績の分析はそれぞれ以下の通りです。
a.株式会社フューチャーショップ
当連結会計年度の売上高は1,912,482千円(前期比23.3%増)、経常利益617,103千円(前期比57.3%増)となり増収増益となりました。新型コロナウイルス感染拡大により消費者の消費行動の変化やそれに対応するための小売事業者のEC化の加速により契約店舗数及び流通総額が予想以上に増加し、「commerce creator」及び「omni-channel」等の販売増加及び流通総額に比例する手数料売上が増加する結果となりました。また、リモートワークによりオンラインセミナーの開催が定着したこと等により経費の削減はもとより幅広い事業者への営業活動が可能となり、契約純増件数は順調に増加いたしました。今後はAPIの公開による外部との連携強化、データベースを活用した分析機能開発などを通じてサービスメニューの充実を図ってまいります。また、株式会社ソフテルが提供するECバックヤードシステムとの連携を強化し、多店舗展開によるEC事業者向けのワンストップでのサービス提供に向け準備を開始し、グループ間シナジーを追求してまいります。加えてリモートワークなどによるユーザーの利用環境の変化に伴って、セキュリティに係るリスクが拡大しており、セキュリティ対策機能の強化とともにセキュリティ意識向上のためのセミナー・勉強会を実施してまいります。
b.株式会社ソフテル
当連結会計年度の売上高は605,190千円(前期比0.3%増)、経常利益80,977千円(前期比6.0%減)となり、増収減益となりました。「通販する蔵」カスタマイズ売上は期初よりの新型コロナウイルス感染拡大の影響による先行きの不透明感やリモートワークなどの影響により得意先からの発注延期や受注案件の検収遅延が発生した結果、利益率が低下いたしました。一方、保守サポートの月額利用料の売上高は堅調に推移し増収に寄与いたしました。しかしながらコロナ禍による外出自粛などにより消費者のEC利用率は向上しており、売上規模の大きなEC事業者からの引合いが引き続き増加しており、今後とも新規の大型開発案件や既存顧客のカスタマイズ案件の獲得に向け注力してまいります。加えて次世代「通販する蔵」「Commerce Connect」の開発や「futureshop」向けバックヤードオプションの提供などを通じてグループ間シナジーを追求してまいります。
c.株式会社TradeSafe
当連結会計年度の売上高は44,578千円(前期比2.7%増)、経常利益1,022千円(前期比134.5%増)となりました。当社はEC店舗認証事業であるトラストマーク事業において引き続き審査・モニタリングの質の維持向上を図り、優良店舗の差別化を行うことで、安心安全なEC社会を実現するための社会的なインフラ機能を目指してまいります。また、ECnote(EC店舗の販売分析ツール)については、株式会社ソフテルと連携して「通販する蔵の開発オプション機能」としてサービスの提供を行い、株式会社ソフテルとの連携を通じてグループシナジー追求によるサービスの普及に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
4) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であります。これらの資金需要に対しては現状では自己資金の範囲内で対応できております。今後は業容拡大に伴い自己資金、銀行借入、及びエクイティファイナンス等での多様な調達方法を資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討していく方針です。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,231,242千円であり流動性を確保しております。