有価証券報告書-第18期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 10:03
【資料】
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【項目】
137項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されつつあるものの、ロシア・ウクライナ情勢、世界的な金融引締め等を背景とした物価上昇や為替相場の変動等から先行きが不透明な状況が継続しております。
当社グループが事業を展開するEコマース市場は、新型コロナウイルス感染症蔓延による消費活動の変化により大きく拡大いたしましたが、当連結会計年度期初からの行動制限の緩和の影響により消費者の実店舗への回帰が進んだ結果、実店舗の伸び率が数年ぶりにECを上回る状況となり、EC市場の拡大スピードは鈍化いたしました。しかしながら急激な市場規模の拡大に一服感はあるものの、諸外国に比較して相対的に低いEC化率の上昇が期待できるため今後とも安定して高い成長を維持できるものと考えております。
このような事業環境において当社グループのECプラットフォーム事業は、EC事業拡大を目指す事業者にとって、事業開始時からワンストップで必要なサービスを提供できるインフラとして、インターフェースからバックヤードまで、様々なニーズに対してソリューションを提供することにより、顧客数、GMVの拡大及びカスタマイズ案件獲得の拡大を図ってまいりました。
結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は3,196,433千円(前期比8.7%増)、経常利益608,006千円(前期比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円(前期比11.0%減)となりました。また主要な事業子会社である株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社において重要な経営指標である、GMV及び1店舗あたりGMVは順調に推移したものの、昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動により開発売上総額、契約店舗数及び開発契約顧客数、1社あたり開発売上高は想定を下回りました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
なお、株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社におけるGMV、開発売上総額、契約店舗数及び開発契約顧客数、1契約店舗数あたりGMV、1社あたり開発売上高の実績推移につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
財政状態は次のとおりであります。
<資産>当連結会計年度末における流動資産は2,306,778千円となり、前連結会計年度末に比べ300,653千円増加いたしました。これは主に自己株式の取得のための預け金が111,289千円増加したことなどによるものであります。固定資産は1,199,215千円となり、前連結会計年度末に比べ96,555千円増加いたしました。これは主に株式会社空色を新たに連結したことによりのれんが61,031千円発生したことや、株式会社フューチャーショップにおける新機能等の追加開発によりソフトウェア仮勘定が52,045千円増加したことなどによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて397,208千円増加し3,505,993千円となりました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は808,247千円となり前連結会計年度末に比べ55,682千円増加いたしました。これは主にグループ通算制度への移行に伴い未払法人税等が28,264千円増加したことによるものです。固定負債は81,345千円となり前連結会計年度末に比べて11,735千円増加いたしました。これは主に当社のオフィス移転に伴い資産除去債務が13,796千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は889,593千円となり前連結会計年度末に比べて67,418千円増加いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は2,616,399千円となり前連結会計年度末に比べて329,790千円増加いたしました。これは主に自己株式が139,154千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円の計上やその他有価証券評価差額金が27,586千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は74.6%(前連結会計年度末は73.6%)となりました。
なお、当社は、ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて34,744千円減少し、1,608,724千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は163,971千円(前連結会計年度は515,511千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益679,533千円、減価償却費117,756千円、投資有価証券売却益71,526千円、預け金の増加額111,289千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は56,403千円(前連結会計年度は111,186千円の支出)となりました。
これは主に株式会社フューチャーショップにおける新機能等のソフトウェア開発により無形固定資産取得による支出101,633千円、投資有価証券の売却による収入106,160千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出43,283千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は142,767千円(前連結会計年度は3,683千円の支出)となりました。
これは主に自己株式の取得による支出139,154千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
第17期連結会計年度及び第18期連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはECプラットフォーム事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)金額(千円)前期比増減率(%)
ECプラットフォーム事業2,939,6193,196,4338.7
合計2,939,6193,196,4338.7


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2) 経営成績の分析
当社グループのECプラットフォーム事業セグメントの当連結会計年度の売上高は3,196,433千円(前期比8.7%増)となりました。
売上原価は主に開発人件費の増加や株式会社フューチャーショップにおけるソフトウェアの開発に伴う償却負担等の増加により1,392,326千円(前期比12.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人員の増加に伴う人件費の増加により、1,223,756千円(前期比19.1%増)となりました。
営業外収益は、保有する外貨預金に係る為替差益が減少したことにより、27,818千円(前期比31.2%減)となりました。営業外費用は主に有限責任事業組合運用損の計上により、162千円(前期比2,346.3%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、71,526千円(前期比354.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業利益580,350千円(前期比14.2%減)、経常利益608,006千円(前期比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円(前期比11.0%減)となり、堅調な結果となりました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の概況は以下の通りとなります。
売上高(千円)前期比増減率(%)
㈱フューチャーショップ2,435,3759.3
㈱ソフテル720,9032.8
㈱TradeSafe46,8653.4
SAMURAI TECHNOLOGY㈱47,456-
㈱空色--

(注) 1.グループ内取引の相殺消去前の数値を記載しております。
2.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社はみなし取得日を2022年12月31日としているため、前期比増減率は記載しておりません。
3.株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、当連結会計年度は貸借対照表
のみを連結しているため、売上高及び前期比増減率は記載しておりません。
a.株式会社フューチャーショップ
当連結会計年度の売上高は2,435,375千円(前期比9.3%増)、経常利益700,597千円(前期比0.4%増)となり増収増益となりました。昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動により契約店舗数の減少は見られましたが、ECに対する消費者への浸透により流通総額は着実に増加し、「commerce creator」及び「omni-channel」等の販売増加及び流通総額に比例する手数料売上が増加した結果、当期の売上高は堅調に推移いたしました。新規事業を含む将来に向けた人員の確保やセキュリティ強化対策費など経費の増加により営業収益は昨年対比微増となりました。2022年9月にライブコマースオプションである「Live cottage」をリリースするなどサービスメニューの充実を図りました。今後も引き続きAPIの公開による外部との連携強化、課題分析充実機能及び新機能開発などを強化しサービスメニューの充実を図ってまいります。
b.株式会社ソフテル
当連結会計年度の売上高は720,903千円(前期比2.8%増)、経常利益92,907千円(前期比29.2%減)となりました。昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動によりEC事業者の需要動向には一服感はあるものの「通販する蔵」カスタマイズの受注は好調に推移いたしましたが、開発人員の不足などによる大型案件の遅延等が発生したことにより売上高の減少につながりました。一方、保守サポートの月額利用料の売上高は、カスタマイズ受注案件の大型化に伴い顧客単価が上昇し好調に推移し増収に寄与いたしました。大型案件の遅延による売上原価の上昇に伴い営業利益は当初予想を下回って推移いたしました。2022年11月に開発人員の確保を主な目的にSAMURAI TECHNOLOGY株式会社を買収しグループ化いたしました。今後とも新規の開発案件や既存顧客のカスタマイズ案件の獲得に向け注力してまいります。加えて次世代「通販する蔵」「Commerce Connect」の開発や「futureshop」向けバックヤードオプションの提供などを通じてグループ間シナジーを追求してまいります。
c.株式会社TradeSafe
当連結会計年度の売上高は46,865千円(前期比3.4%増)、経常利益272千円(前期比51.8%減)となりました。当社はEC店舗認証事業であるトラストマーク事業において引き続き審査・モニタリングの質の維持向上を図り、優良店舗の差別化を行うことで、安心安全なEC社会を実現するための社会的なインフラ機能を目指してまいります。また、ECnote(EC店舗の販売分析ツール)については、株式会社ソフテルと連携して「通販する蔵の開発オプション機能」としてサービスの提供を行い、株式会社ソフテルとの連携を通じてグループシナジー追求によるサービスの普及に努めてまいります。
d.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社
当連結会計年度の売上高は47,456千円、経常利益3,613千円となりました。当社はグループ会社である株式会社ソフテルのカスタマイズ案件の外注先として開発を受託し、多様化し大型化する開発案件に必要な開発人員に提供し、品質を担保することで、お客様の課題を解決し、効率性向上をサポートすることで更なる良質なサービスの提供を目指してまいります。
なお、SAMURAI TECHNOLOGY株式会社は2022年12月31日をみなし取得日としているため、前期比増減率の記載しておりません。
e.株式会社空色
株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
4) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であります。これらの資金需要に対しては現状では自己資金の範囲内で対応できております。今後は業容拡大に伴い自己資金、銀行借入、及びエクイティファイナンス等での多様な調達方法を資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討していく方針です。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,608,724千円であり流動性を確保しております。