有価証券報告書-第19期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 10:03
【資料】
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【項目】
139項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、EC事業者のビジネス開始・運用に際して必要になる様々なソリューションを提供し、消費者もEC事業者も全ての人々が、より安全で安心な取引ができる健全なEC市場の発展と成長を目指し、EC事業者のためのビジネスインフラとなるECプラットフォームを提供する企業グループとして事業活動を行っております。
当社グループの主要な事業領域となる、国内EC市場は、販売商品の多様化、市場参加者の増加、物流事業者による配達時間の大幅な短縮化、SNSによる情報流通量の増加等を背景に継続的な成長をしてまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により急成長した国内EC市場は2022年度以降、経済活動が正常化するにつれて、成長が緩やかになりましたが着実に成長を続けております。消費者においては、新たなライフスタイルやワークスタイルの定着も見られ、時流に沿ったビジネス展開が求められるようになりました。このような変化の激しい市場で課題を抱える事業者を支援するため、当社グループでは、店舗売上の向上につながるオプション・アライアンスサービスの拡充やECコンサルティング事業への参入、Web接客サービス等の顧客体験価値を向上させるソリューション展開により事業領域を拡大しながら「テクノロジーを活用する人の力を最大化させるプラットフォーム」であることを目指しています。
このような状況のもと、当連結会計年度において当社グループは、市場成長に伴う売上高の確保を目指すとともに、今後の市場環境に適応するための成長投資を積極的に行いました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績及び主要な連結子会社の業績は、下表の通りとなりました。
〈連結業績〉 (単位:千円)
前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
増減額増減率
(%)
売上高3,196,4333,557,276360,84211.3
EBITDA699,016794,44195,42513.7
営業利益580,350644,00163,65111.0
経常利益608,006702,41494,40715.5
親会社株主に帰属する
当期純利益
441,358414,864△26,494△6.0

※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
〈主要な連結子会社の業績〉
(単位:千円)
2023年3月期2024年3月期増減額増減率
(%)
㈱フューチャーショップ売上高2,435,3752,574,630139,2545.7
営業利益699,878819,102119,22417.0
㈱ソフテル売上高720,903748,63027,7273.8
営業利益92,09557,992△34,103△37.0

なお、株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社におけるGMV、開発売上総額、契約店舗数及び開発契約顧客数、1契約店舗数あたりGMV、1社あたり開発売上高の実績推移につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
財政状態は次のとおりであります。
<資産>当連結会計年度末における流動資産は2,305,885千円となり、前連結会計年度末に比べ892千円減少いたしました。これは主に自己株式の取得により預け金が111,226千円減少したことなどによるものであります。固定資産は1,576,802千円となり、前連結会計年度末に比べ377,587千円増加いたしました。これは主に投資有価証券の買い増しや時価上昇に伴い投資有価証券が439,374千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて376,694千円増加し3,882,688千円となりました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は915,574千円となり前連結会計年度末に比べ107,326千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が70,996千円増加したことによるものです。固定負債は122,138千円となり前連結会計年度末に比べて40,792千円増加いたしました。これは主に投資有価証券の時価上昇等に伴い繰延税金負債が43,760千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は1,037,713千円となり前連結会計年度末に比べて148,119千円増加いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は2,844,974千円となり前連結会計年度末に比べて228,575千円増加いたしました。これは主に自己株式109,797千円の取得や配当金の支払い194,220千円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益414,864千円の計上やその他有価証券評価差額金が117,729千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は73.3%(前連結会計年度末は74.6%)となりました。
なお、当社は、ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて125,154千円増加し、1,733,879千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は778,607千円(前連結会計年度は163,971千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益696,045千円、減価償却費119,924千円、のれん償却額30,515千円、投資有価証券売却益24,146千円、預け金の減少額111,226千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は367,764千円(前連結会計年度は56,403千円の支出)となりました。
これは主に株式会社フューチャーショップにおける新機能等のソフトウエア開発により無形固定資産取得による支出113,748千円、投資有価証券の売却による収入32,739千円、持分法適用関連会社となるエネサイクル株式会社への出資を含む投資有価証券の取得による支出278,625千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は307,406千円(前連結会計年度は142,767千円の支出)となりました。
これは主に配当金の支払額193,995千円及び自己株式の取得による支出109,797千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
第18期連結会計年度及び第19期連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはECプラットフォーム事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)金額(千円)前期比増減率(%)
ECプラットフォーム事業3,196,4333,557,27611.3
合計3,196,4333,557,27611.3


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2) 経営成績の分析
当社グループのECプラットフォーム事業セグメントの当連結会計年度の売上高は3,557,276千円(前期比11.3%増)となりました。
売上原価は主に開発人件費の増加やグループ会社の新規連結の影響により1,542,088千円(前期比10.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人件費の増加やのれんの償却費及びM&A関連費用等の増加により、1,371,185千円(前期比12.0%増)となりました。
営業外収益は、保有する外貨預金に係る為替差益が増加したことにより、59,566千円(前期比114.1%増)となりました。営業外費用は主に有限責任事業組合運用損の計上により、1,153千円(前期比611.0%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、24,146千円(前期比66.2%減)となりました。特別損失は、のれんの減損損失の計上により、30,515千円(前期比-)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業利益644,001千円(前期比11.0%増)、経常利益702,414千円(前期比15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益414,864千円(前期比6.0%減)となり、堅調な結果となりました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、更なる企業価値向上を目指してまいります。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の概況は以下の通りとなります。
売上高(千円)前期比増減率(%)
㈱フューチャーショップ2,574,6305.7
㈱ソフテル748,6303.8
㈱TradeSafe46,097△1.6
SAMURAI TECHNOLOGY㈱190,276-
㈱空色106,179-

(注) 1.グループ内取引の相殺消去前の数値を記載しております。
2.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社はみなし取得日を2022年12月31日としているため、前期比増減率は記載しておりません。
3.株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としているため、前期比増減率は
記載しておりません。
a.株式会社フューチャーショップ
「futureshop」を提供する株式会社フューチャーショップでは、「futureshop」で構築されたECサイトで 「au PAY(ネット支払い)」が利用できるオプションサービス提供開始など、「futureshop」上でのオプション・アライアンスサービスの拡充を行い対前年同期比で増収増益となりました。また2023年11月には、「futureshop」サービスリリース20周年を迎えたイベントとして「FUTURE 20th SQUARE」をソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上にオープンしテクノロジーとクリエイティビティが融合するバーチャル空間において、未来の消費者とのコミュニケーションを模索する取り組みを行っております。
当連結会計年度の売上高は2,574,630千円(前期比5.7%増)、経常利益827,363千円(前期比18.1%増)となり増収増益となりました。
b.株式会社ソフテル
「通販する蔵」を提供する株式会社ソフテルでは、「通販する蔵」とクラウドPOS「スマレジ」とのAPI連携を開始し商品情報、在庫情報、会員情報、ポイント情報など、実店舗とのOMO戦略を進める上で必要な連携機能の強化等を行い売上高については堅調に推移したものの、一方で成長投資として「通販する蔵」に生成AIを活用したバックオフィス業務効率化を図るオプション機能の開発を行ったことや、エンジニアのスキルアップコストが増加したため、対前年同期比では増収減益となりました。
当連結会計年度の売上高は748,630千円(前期比3.8%増)、経常利益61,493千円(前期比33.8%減)となりました。
c.株式会社TradeSafe
当連結会計年度の売上高は46,097千円(前期比1.6%減)、経常損失1,230千円(前期は272千円の経常利益)となりました。当社はEC店舗認証事業であるトラストマーク事業において引き続き審査・モニタリングの質の維持向上を図り、優良店舗の差別化を行うことで、安心安全なEC社会を実現するための社会的なインフラ機能を目指してまいります。また、ECnote(EC店舗の販売分析ツール)については、株式会社ソフテルと連携して「通販する蔵の開発オプション機能」としてサービスの提供を行い、株式会社ソフテルとの連携を通じてグループシナジー追求によるサービスの普及に努めてまいります。
d.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社
SAMURAI TECHNOLOGY株式会社では、株式会社ソフテルのカスタマイズ案件の外注先として開発を受託し、多様化し大型化する開発案件に必要な開発人員に提供しており、確保したエンジニアリソースの更なるスキルアップを目的とした投資を強化しております。
当連結会計年度の売上高は190,276千円、経常利益29,440千円となりました。
なお、SAMURAI TECHNOLOGY株式会社は2022年12月31日をみなし取得日としているため、前期比増減率は記載しておりません。
e.株式会社空色
株式会社空色では新しいWeb接客の形を提案するソリューションの開発を行っております。
当連結会計年度の売上高は106,179千円、経常損失19,345千円となりました。株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、前期比増減率は記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
4) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であります。これらの資金需要に対しては現状では自己資金の範囲内で対応できております。今後は業容拡大に伴い自己資金、銀行借入、及びエクイティファイナンス等での多様な調達方法を資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討していく方針です。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,733,879千円であり流動性を確保しております。