有価証券報告書-第7期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/11/26 15:30
【資料】
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【項目】
112項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦や地政学リスク等の影響及び世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による経済活動の停滞により先行き不透明な状況が続いております。
このような経済状況のもとで、国内の人材市場も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大後に有効求人倍率が急速に低下しました。その一方で、企業の働き方改革の推進や労働環境のあり方自体の変化もあり、当社の事業領域と相関の高いIT市場におきましては、デジタルを活用して企業やビジネスに新しい価値を持たせるデジタルトランスフォーメーションへのIT投資案件等も増加基調にあり、ITエンジニアに対する企業の採用意欲は依然として高い水準にあると言えます。
このような事業環境下におきまして、当社は企業と人材を繋ぐ役割と機能を果たすため、独立支援・採用支援・学習場所の提供等を求めるITエンジニアとITエンジニアのリソースを求める企業の双方のニーズに応え、ITエンジニアの独立支援を行うMidworks事業、プログラミング学習サービスであるtech boost事業の拡大に注力いたしました。
当事業年度におきましては、全社的には業容拡大に向けて人員数を増加させ、今後の組織体制構築に向けた積極的な投資を行い、さらにMidworks事業を中心にとした広告宣伝費の投資を行いました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高3,110,686千円(前年同期比10.3%増)、営業利益101,610千円(同29.2%減)、経常利益116,723千円(同18.5%減)、当期純利益80,331千円(同26.9%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当事業年度から、従来「その他」に含まれていた「tech boost事業」について量的な重要性が増したため、報告セグメントとして記載する方法に変更しました。また、前事業年度のセグメント情報は、当事業年度の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
Midworks事業
ITエンジニアに対する企業の採用意欲が高い水準で推移する中、Midworks事業では、既存取引先との関係を維持しつつ、新規取引先の獲得に注力することで案件数の増大に努めました。また、案件の継続率を高めるための施策として、取引継続中の案件については、クライアントとITエンジニアの双方に対して、取引継続の意思確認を早期に行うことで、既存取引の解約率の低減に努めました。その他、ITエンジニア獲得のため広告費を増加させ、積極的にITエンジニアの確保に努めました。
この結果、本報告セグメントの売上高は2,395,508千円(同14.7%増)、セグメント利益は177,826千円(同5.3%増)となりました。
メディア事業
複数の情報発信メディアを運営するメディア事業では、引き続き広告収入の基礎となるPV(ページビュー)数を増加させるためにサイト評価を上げる施策について継続し、閲覧者数の増加に注力するとともに、他社メディアの新規立上げやメディア運営の受託等のコンサルティングサービスである「SAKAKU」の販促強化により、新規案件数が増加しました。
この結果、本報告セグメントの売上高は302,215千円(同1.3%増)、セグメント利益は139,733千円(同10.2%減)となりました。
tech boost事業
tech boost事業では、ITエンジニアを目指す人を対象としたプログラミング教育を提供しており、プログラミングニーズが増加する中、カウンセラーやメンターの確保による充実したカリキュラムを提供するとともに、転職保証コース「tech boost pro」の拡販に努めました。また、第4四半期より法人向けの研修サービスをスタートいたしました。
この結果、本報告セグメントの売上高は254,257千円(同92.1%増)、セグメント利益は90,156千円(同193.9%増)となりました。
FCS事業
システムの受託開発を主に行っているFCS事業では、当社でITエンジニアチームを編成し顧客の要望に沿ったシステムの受託開発を行っております。当事業年度におきましては、主に継続案件の開発に注力いたしました。
この結果、本報告セグメントの売上高は95,693千円(同58.2%減)、セグメント利益は46,174千円(同66.9%減)となりました。
その他事業
TechStarsサービスはITエンジニアに特化した転職支援サービスです。当事業年度におきましては、人材紹介サービス事業者向けに提供されている有料の人材サービスに加え、自社の人材データベースの活用や事業部間の連携により、ITエンジニアの転職決定数の獲得に注力いたしました。 この結果、本報告セグメントの売上高は63,012千円(同11.9%減)、セグメント利益は11,891千円(同1.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,043,447千円となり、前事業年度末に比べ222,032千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が115,268千円、売掛金が85,903千円増加したことによるものであります。現金及び預金の主な増加理由は、新株の発行による収入によるものであります。固定資産は86,437千円となり、前事業年度末に比べて9,292千円増加いたしました。これは主にソフトウエアの自社開発によりソフトウエア仮勘定が9,905千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,137,778千円となり、前事業年度末に比べ239,218千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は466,702千円となり、前事業年度末に比べ34,185千円減少いたしました。これは主に買掛金が23,002千円、未払法人税等が19,874千円、それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は167,659千円となり、前事業年度末に比べ57,832千円増加いたしました。これは長期借入金の新規借入に伴い、残高が57,832千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は634,361千円となり、前事業年度末に比べ23,646千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は503,416千円となり、前事業年度末に比べ215,571千円増加いたしました。これは資本金が67,620千円、資本剰余金が67,620千円、利益剰余金が80,331千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は44.0%(前事業年度末は31.7%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は585,302千円となり、前事業年度末に比べ115,286千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、72,064千円(前年同期は84,388千円の増加)となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益116,723千円、未払消費税等の増加額9,658千円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額85,903千円、仕入債務の減少額23,002千円、前受金の減少額10,081千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、19,612千円(前年同期は22,482千円の減少)となりました。
収入は敷金及び保証金の回収による収入2,190千円であり、支出の内訳は、有形固定資産の取得による支出3,720千円、新オフィス契約に伴う敷金及び保証金の差入による支出8,469千円、無形固定資産の取得による支出9,612千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、206,963千円(前年同期は4,385千円の減少)となりました。
収入の内訳は長期借入れによる収入150,000千円、株式の発行による収入126,882千円であり、支出は長期借入金の返済による支出69,919千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
Midworks事業2,395,508114.7
メディア事業302,215101.3
tech boost事業254,257192.1
FCS事業95,69341.8
その他63,01288.1
合計3,110,686110.3

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3.当事業年度より、従来「その他」に含まれていた「tech boost事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等の「重要な会計方針」」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度と比べ290,922千円増加の3,110,686千円となりました。この結果、売上高成長率は、前事業年度比で10.3%の増加となりました。
これは主にMidworks事業が堅調に推移した他、tech boost事業の新規受講者数が、前事業年度比で57.1%増加するなどに伴い売上が好調となったことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は前事業年度と比べ233,243千円増加の2,098,207千円となりました。これは主に売上増加に伴う外注費の増加によるものであります。
この結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度と比べ57,678千円増加の1,012,479千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ99,519千円増加し、910,869千円となりました。これは主に、管理部門や営業部門の人件費等の上昇によるものであり、当社の人員は前事業年度末と比較して17人増加した結果、人件費は23.1%増加しております。この結果、当事業年度における営業利益は101,610千円となり、営業利益成長率は前事業年度比29.2%の減少となりました。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は、上記の営業利益の減少があり、助成金収入が13,694千円あったものの、26,518千円減少の116,723千円となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は、税引前当期純利益の減少により、29,490千円減少の80,331千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備資金は無いため、人件費の支払いから販売代金の入金までの期間の運転資金が資金需要となり、当社のフリーキャッシュ・フロー並びに金融機関からの借入れによる資金調達を行うことを基本としております。効率的な人材配置と債権回収により営業キャッシュ・フローの増加に努めるとともに、借入金につきましては、長期資金の割合を高めて、財務健全性の維持を図り、当事業年度末における借入金の残高は247,327千円となっております。なお、資金調達の機動性と安定性を図るため、取引先金融機関5行と取引をしております。なお、現金及び現金同等物の残高は585,302千円となっております。
⑤ 目標とする経営指標
当社は売上高成長率を重要な経営指標としております。当事業年度の売上高成長率につきましては、Midworks事業においては案件の新規獲得が堅調し、前事業年度に対し14.7%の増加いたしました。また、tech boost事業においては新規受講者人数の増加により、前事業年度に対し売上高を伸ばしました。その結果、全社では前事業年度に対し10.3%の成長となりました。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。