有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/22 15:00
【資料】
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【項目】
124項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
第12期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当社は、「企業活動の継続性と生産性の劇的な向上に貢献すること」をミッションに掲げて、先端オープン技術の活用力と独自の高い技術力を競争の源泉として、明るい未来を創造する技術者集団であり続けることを目指して、エンタープライズAIソフトウエアサービスを提供しております。
当事業年度(2019年8月1日から2020年7月31日)における当社を取り巻く市場環境は、日本の労働人口が減少を続ける中、ITを活用した働き方改革の実現や、IoT/AIを活用した熟練者のノウハウ継承など、生産性の向上を目指した労働環境へのIT投資が高まっており、良好な状態が続いております。一方で、世界的な新型コロナウィルス感染症の拡大により、世界経済の先行きは不透明な状況となっております。
このような環境の中、当社は自社のソフトウエアサービスを拡販してまいりました。同時に、いち早く、多くの企業に実用的な先端技術を提供するため、ソフトウエアの研究開発や先行投資に更に注力いたしました。また、優秀な人材の採用も積極的に進めており、当事業年度末時点における従業員数は38名となっております。
この結果、当事業年度(第12期)における売上高は631,597千円(前期比46.0%増加)となり、売上総利益は499,898千円(前期比63.9%増加)、営業利益は69,487千円(前期比326.2%増加)、経常利益は65,142千円(前期比454.7%増加)、当期純利益は78,874千円(前期比97.5%増加)となりました。
なお、当社はエンタープライズAIソフトウエア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
第13期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、企業活動を制限せざるを得ない状況が継続しておりました。
当社におきましても各種オンラインツールを活用した営業活動を継続するとともに、先行き不透明な状況ではありますが、製品の研究開発や品質向上の好機と捉え、来るべき機会に備えております。
この結果、当第3四半期累計期間における売上高は646,310千円、売上総利益は515,722千円、営業利益は134,149千円、経常利益は130,869千円、四半期純利益は86,796千円となりました。
なお、当社はエンタープライズAIソフトウエア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
②財政状態の状況
第12期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
(資産)
当事業年度末における総資産は520,668千円となり、前事業年度末に比べ173,486千円増加いたしました。
流動資産は398,762千円(前事業年度末比151,124千円増加)となりました。
主な増加要因は、当期純利益を計上したこと及び長期借入金の増加等による現金及び預金の増加169,264千円等によるものであります。
また、固定資産は121,905千円(前事業年度末比22,361千円増加)となりました。主な増加要因は、税務上の繰越欠損金を含む一時差異に係る繰延税金資産の増加14,382千円、製品の改良に伴うソフトウエアの増加10,695千円等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は440,118千円となり、前事業年度末に比べ94,612千円増加いたしました。
主な増加要因は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加43,414千円、事業拡大に伴う前受収益(長期前受収益含む)の増加24,040千円及び未払消費税等の増加20,400千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は80,549千円となり、前事業年度末に比べ78,874千円増加いたしました。増加要因は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加78,874千円によるものであります。
第13期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は612,541千円となり、前事業年度末に比べ91,873千円増加いたしました。主な増加要因は、四半期純利益を計上したこと等による現金及び預金の増加70,585千円、売掛金の増加18,250千円等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債は445,195千円となり、前事業年度末に比べ5,077千円増加いたしました。主な増加要因は、1年内返済予定長期借入金の減少43,000千円、長期借入金の減少30,498千円、買掛金の増加22,092千円、賞与引当金の増加14,965千円等に加えて、税務上の繰越欠損金を利用しきって課税所得が生じたことにより未払法人税等が36,008千円増加、その他の流動負債に含まれる未払事業税が12,910千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産は167,346千円となり、前事業年度末に比べ86,796千円増加いたしました。これは四半期純利益による利益剰余金の増加86,796千円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第12期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は319,818千円となり、前事業年度末に比べ169,264千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金は184,951千円の収入(前事業年度は95,927千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益64,782千円、減価償却費48,768千円の計上、売上債権の減少による収入24,140千円、事業拡大に伴う前受収益の増加による収入23,183千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金は56,600千円の支出(前事業年度は58,962千円の支出)となりました。これは主に、製品の改良に伴う無形固定資産の取得による支出54,592千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金は40,914千円の収入(前事業年度は18,320千円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入80,000千円、長期借入金の返済による支出36,586千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第12期事業年度及び第13期第3四半期累計期間における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第12期事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第13期第3四半期累計期間
(自 2020年8月1日
至 2021年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
エンタープライズAIソフトウエア事業631,597146.0646,310
合計631,597146.0646,310

(注)1.最近2事業年度及び第13期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第11期事業年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
第12期事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第13期第3四半期累計期間
(自 2020年8月1日
至 2021年4月30日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
丸紅情報システムズ株式会社66,18215.386,99713.867,06610.4
岡谷システム株式会社55,50212.8111,46217.2

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.第12期事業年度の岡谷システム株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(無形固定資産の減損)
当社は、無形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第12期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、631,597千円(前年同期比46.0%増)となりました。
主な要因は、「Impulse」のソフトウエアライセンス販売本数及び「Neuron Enterprise Search」のソフトウエアライセンス販売本数が増加したことが挙げられます。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、131,698千円(前年同期比3.2%増)となりました。
主な要因は、事業規模拡大に伴う人員増加により人件費,外注費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は、499,898千円(前年同期比63.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、430,411千円(前年同期比49.0%増)となりました。
主な要因は、研究開発費,人件費,支払報酬等の増加によります。この結果、営業利益は、69,487千円(前年同期比326.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は7千円、営業外費用は4,352千円発生しました。
主な要因は、支払利息4,352千円が発生したことによるものです。この結果、経常利益は、65,142千円(前年同期比454.7%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度において、特別利益は発生しておらず、固定資産除却損による特別損失が360千円発生しました。
税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を△14,092千円計上した結果、当期純利益は78,874千円(前年同期比97.5%増)となりました。
第13期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は、646,310千円となりました。これは主に、前事業年度に引き続き、異常検知ソリューション「Impulse」のソフトウエアライセンス販売本数及び企業内検索エンジン「Neuron Enterprise Search」のソフトウエアライセンス販売本数の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、130,588千円となりました。これは主に、労務費及び外注費、減価償却費によるものであります。この結果、売上総利益は512,722千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、381,572千円となりました。これは主に、人件費、研究開発費、広告宣伝費によるものであります。この結果、営業利益は134,149千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期累計期間において、営業外収益は2千円、営業外費用は3,283千円となりました。この結果、経常利益は130,869千円となりました。
(特別損益、当期純利益)
当第3四半期累計期間における特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した税金費用は、44,072千円となりました。この結果、四半期純利益は86,796千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の事業活動における資金需要のうち主なものは、当社のエンタープライズAIソフトウエア事業を推進するための運転資金(労務費、外注費、人件費等)があります。これらの事業活動に必要な資金については、営業活動によるキャッシュフローでまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関からの調達を実施する予定であります。
また、当社の事業は仕入れ等が無く、提供するソフトウエア製品・サービスに対する利用料やライセンス料、保守ライセンス料をお客様から受領するビジネスモデルであり、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はないものと考えておりますが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めて参ります。
なお、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は319,818千円であります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、「企業活動の継続性と生産性の劇的な向上に貢献すること」をミッションに掲げ、事業を拡大してまいりました。
当社がこのミッションの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑧ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等)」に記載のとおり、主な経営指標として売上高成長率、営業利益率、及びソフトウエアライセンス数を重視しており、各指標の推移は以下のとおりであります。
2019年7月期実績2020年7月期実績
売上高成長率53.3%46.0%
営業利益率3.8%11.0%
ソフトウエアライセンス数買取34本41本
ストック128本183本