有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/09/30 15:00
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128項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
なお、当社グループは第8期より株式会社MIWA Akerun Technologiesを連結子会社としたため、第8期第1四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しております。
① 財政状態の状況
第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は前事業年度末に比べ916,915千円増加し、1,788,353千円となりました。これは主に、第三者割当増資等に伴う現金及び預金の増加885,605千円によるものであります。
固定資産は前事業年度末に比べ417,789千円減少し、78,000千円となりました。これは主に、減損損失計上による賃貸用資産の減少283,591千円、減損損失計上による建物の減少70,608千円によるものであります。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べ499,125千円増加し、1,866,354千円となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は前事業年度末に比べ164,005千円増加し、657,041千円となりました。これは主に、金融機関からの借り入れによる1年内返済予定の長期借入金の増加74,890千円、事業拡大による顧客から収受する前受収益の増加47,730千円によるものであります。
固定負債は前事業年度に比べ41,707千円減少し、742,169千円となりました。これは主に、流動負債への振替によるその他固定負債の減少22,604千円によるものであります。
この結果、負債合計は前事業年度末に比べ122,297千円増加し、1,399,211千円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は467,143千円となり、前事業年度末に比べ376,827千円増加いたしました。これは主に、第三者割当増資による資本金の増加766,294円及び資本準備金の増加766,294千円、減資による資本金の減少850,787及びその他資本剰余金の増加850,787円、欠損填補によるその他資本剰余金の減少712,294円及び繰越利益剰余金の増加712,294円、当期純損失計上による繰越利益剰余金の減少1,184,811千円によるものであります。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は3,428,831千円となりました。
流動資産は3,181,122千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金2,987,993千円であります。
固定資産は247,709千円となりました。この主な内訳は、有形固定資産153,451千円であります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は1,481,572千円となりました。
流動負債は793,230千円となりました。この主な内訳は、前受収益345,509千円、1年内返済予定の長期借入金193,080千円であります。
固定負債は688,341千円となりました。この主な内訳は、長期借入金は664,850千円であります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は1,947,259千円となりました。この主な内訳は、資本金965,113千円、資本剰余金2,437,067千円、利益剰余金△1,501,823千円であります。
② 経営成績の状況
第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大懸念により経済活動が停滞し、徐々に再開の動きはあるものの、足元では世界中で感染が再拡大し、先行きは不透明な状況となっております。
当社が属するセキュリティ関連市場及び個人認証・アクセス管理型セキュリティソリューション市場においては、新型コロナウイルス感染症に対する企業の働き方の変化によるデジタルトランスフォーメーションの拡大に伴い、クラウドサービスを通じた様々な場所やシーンへのアクセス管理や、多様な状況下におけるセキュリティの強化の更なる需要拡大が見込まれております。
そのような環境において、当社は、世の中から物理鍵とそれに伴う様々な制約から人々を解放し、扉で分断されたあらゆる場所や空間に人々が自由にアクセスできる”キーレス社会”の実現を目指し、アクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」や新Akerunロゴの発表を行いました。加えて、新規顧客獲得のために積極的な広告宣伝活動を実施しました。また、製品機能や提供サービスの拡充及び品質の向上のため、継続してエンジニア等の人件費や研究開発費の先行投資を行っております。その結果、当社のメインサービスであるAkerun入退室管理システムの月額利用料収入が好調に推移しました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高1,175,930千円(前年同期比51.0%増)、営業損失667,033千円(前期営業損失693,387千円)、経常損失683,531千円(前期経常損失708,571千円)、当期純損失1,184,811千円(前期当期純損失713,566千円)となりました。
なお、当社は、Akerun事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、景気後退による一部の小規模事業者の倒産、移転、コスト削減による解約などで影響を受ける一方で、勤務する場所が従来のオフィスだけでなく、当社グループが多くユーザーを抱えるコワーキングスペースやシェアオフィスなどの活用へとシフトしております。その結果、当社グループの事業活動全体としては、新型コロナウイルス感染症の影響下においても「Akerun入退室管理システム」のクラウドを通じた管理性やICカード/アプリなどの利便性の高い解錠手段、入退室履歴などのデータの利活用などがもたらす価値が改めて認識されたことで、サテライトオフィスやコワーキングスペース、シェアオフィスなどのフレキシブルオフィスへの需要拡大などが相まって、継続的な問い合わせや導入が促進されております。これらの市場環境を受けて、当社グループでは、製品機能や提供サービスの拡充及び品質の向上のために、継続してエンジニア等の人件費や研究開発費の先行投資を行っております。また、中小規模から大規模までのあらゆる規模をカバーする営業組織の人員拡大、さらなる需要を促進するためのマーケティング活動の強化などを通じたさらなる導入促進のための組織強化を実施しております。特に、オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、中小企業への販売促進施策を継続的に強化するために、大阪と福岡の地方拠点の活用に加え、販売パートナーを支える専任チームの強化・拡充を通じた価値提案を加速しております。さらに、より大きな収益機会が見込める大規模企業への販売拡大のための専任チームの増員や提案力の向上も図ることで、既存の大規模企業ユーザーとのリレーション強化を通じたアップセルを含む、継続的なLTVの最大化と新規顧客獲得を加速した四半期となりました。
この結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は716,455千円、営業損失は312,825千円、経常損失は316,682千円、親会社株主に帰属する四半期純損失は317,012千円となりました。
なお、当社グループは、Akerun事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ885,605千円増加し、1,594,797千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は545,299千円(前年同期は585,500千円の支出)となりました。主な増加要因としては減損損失483,033千円(前年同期は該当なし)、減価償却費109,272千円(前年同期は86,782千円)であり、主な減少要因としては税引前当期純損失の計上1,186,406千円(前年同期は税引前当期純損失713,130千円)であります。
当社のビジネスモデルは、サブスクリプションモデルのHESaaSで顧客にサービスを提供し、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルである一方で、顧客獲得費用や開発費用が先行して計上される特徴があり、税引前当期純損失から生じる営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は186,396千円(前年同期は156,594千円の支出)となりました。主な減少要因としては無形固定資産の取得による支出45,647千円(前年同期は10,606千円の支出)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は1,617,301千円(前年同期は619,210千円の収入)となりました。主な増加要因としては、株式の発行による収入1,555,650千円(前年同期は297,952千円の収入)、主な減少要因としては長期借入金の返済による支出137,600千円(前年同期は27,560千円の支出)であります。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,957,993千円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は179,244千円となりました。この主な内訳は、税金等調整前四半期純損失△316,690千円、前受収益の増加額134,824千円、たな卸資産の増加額△27,279千円、未払金の増加額20,285千円であります。
当社のビジネスモデルは、サブスクリプションモデルのHESaaSで顧客にサービスを提供し、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルである一方で、顧客獲得費用や開発費用が先行して計上される特徴があり、税金等調整前四半期純損失から生じる営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は178,345千円となりました。この主な内訳は、有形固定資産の取得による支出161,943千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は1,720,786千円となりました。この主な内訳は、株式の発行による収入1,744,070千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第7期事業年度及び第8期第2四半期連結累計期間の販売実績は次の通りであります。なお、当社は、Akerun事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第7期事業年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
第8期第2四半期連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年6月30日)
金額(千円)前年同期比
(%)
金額(千円)
1,175,930151.0716,455

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社の財務諸表作成に当たり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
(固定資産の減損)
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高は、主に新規顧客獲得及び既存顧客からの追加受注獲得等により1,175,930千円(前事業年度比397,088千円増)となりました。なお、当事業年度末時点での前受収益は、210,685千円となっております。
売上原価は、Akerun入退室管理システムの稼働台数増加等により210,398千円(前事業年度比58,495千円増)となりました。
この結果、当事業年度の売上総利益は965,532千円(前事業年度比338,593千円増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、主に人員増加に伴う給料及び手当の計上538,498千円、製品機能や提供サービスの拡充及び品質の向上のための研究開発費の計上45,889千円などにより1,632,566千円(前事業年度比312,239千円増)となりました。
この結果、当事業年度の営業損失は667,033千円(前事業年度営業損失693,387千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外損益については、営業外収益は、助成金収入6,270千円及び違約金収入3,260千円の計上により10,809千円(前事業年度比8,113千円増)となりました。営業外費用は、支払利息21,319千円及び株式交付費5,988千円の計上により27,308千円(前事業年度比9,427千円増)となりました。
この結果、当事業年度の経常損失は683,531千円(前事業年度経常損失708,571千円)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)
特別利益は発生しておりません。特別損失は賃貸用資産の除却19,840千円(前事業年度比15,282千円増)及び減損損失の計上483,033千円(前事業年度は該当なし)となりました。
この結果、当事業年度の税引前当期純損失は1,186,406千円(前事業年度税引前当期純損失713,130千円)となりました。
(法人税等、当期純損失)
法人税等については、増資に伴う資本金等の額の増加等により、法人税、住民税及び事業税4,398千円となりました(前事業年度比3,656千円増)。
以上より、当事業年度の当期純損失は1,184,811千円(前事業年度当期純損失713,566千円)となりました。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高は、主に新規顧客獲得及び既存顧客からの追加受注獲得等により716,455千円となりました。なお、当第2四半期連結会計期間末時点での前受収益は、345,509千円となっております。
売上原価は、Akerun入退室管理システムの稼働台数増加等により73,212千円となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上総利益は643,243千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、主に人員増加に伴う人件費増加、知名度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費の積極的な先行投資により956,068千円となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の営業損失は312,825千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外損益については、営業外収益は、助成金収入及び違約金収入の計上により10,976千円となりました。営業外費用は、支払利息及び株式交付費の計上により14,834千円となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の経常損失は316,682千円となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前四半期純損失)
特別利益は発生しておりません。特別損失は賃貸用資産の除却損の計上により7千円となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純損失は316,690千円となりました。
(法人税等、四半期純損失)
法人税等については、法人税、住民税及び事業税2,419千円となりました。
以上より、当第2四半期連結累計期間の四半期純損失は319,110千円となりました。
③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
第7期事業年度及び第8期第2四半期連結累計期間の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載の通りであります。
④ キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
第7期事業年度及び第8期第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における主な資金需要は、継続的な受注獲得及び顧客による継続的なサービスの利用のための人件費や、知名度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費、製品機能や提供サービスの拡充及び品質の向上のためのエンジニア等の人件費や研究開発費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社は、中長期的に安定した売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そのため、当社は達成状況を判断するための経営上の指標としてARR(Annual Recurring Revenue:毎年繰り返し得られる年次経常収益) を重視しております。
当該指標について、第6期事業年度末(2019年12月31日)は913百万円、第7期事業年度末(2020年12月31日)は1,208百万円、第8期第2四半期連結会計期間末(2021年6月30日)は1,373百万円となっております。
今後も、サービスの機能強化や適用領域の拡大、そしてプラットフォームとしてのさらなる価値提供を通じて、新規受注の獲得、アップセル及びクロスセル、解約率の抑制により、ARRを増加させてまいります。