有価証券届出書(新規公開時)

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2022/09/06 15:00
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141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
a 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により回復傾向にありましたが、変異株の感染拡大、半導体を主とした部材の供給不足及びロシアによるウクライナ侵攻等様々な要因によるサプライチェーンに対する影響により経済の成長が抑えられました。
このような経済環境において、当社が属する半導体市場は、在宅勤務やビデオ配信、オンライン会議等の需要の拡大や、データ通信量の飛躍的な増大による5Gネットワークやクラウドサービス等のインフラ投資需要の拡大により大幅に成長しました。しかしながら、この大幅な需要の増加に対して、製造委託先における半導体の供給が追いつかない状況となり、現在も継続しています。このため、当社においても年間を通してその影響を受けることとなりました。
また、5Gネットワーク等のインフラの普及が、自動運転やAR/VR等の新たなサービスや製品に向けた半導体の需要を生み出し、半導体市場の継続的な成長が見込まれる状況にあります。こうした新たなサービスや製品を開発する企業は、自社のサービスや製品の差別化のために先端テクノロジを活用した高性能かつ拡張性の高い独自のSoCを必要としています。
一方、半導体産業の水平分業が進展し、プロセス技術、パッケージ技術、テスト技術のほか、IP、EDAツール、ソフトウエアまでも含めて最先端の技術を入手することが可能となりましたが、それらを組み合わせて最適なSoCを設計開発する難易度は上昇しています。
これらの課題を解決するためには、SoCのアーキテクチャを理解するだけでなく、最適な技術を組み合わせ、最適な性能を実現できる先端SoCや柔軟なソフトウエアの開発、高度なパッケージング技術等、SoCのトータルソリューションを提供できるパートナーが求められています。
このような事業環境のもと、当社では、2019年3月期以降のビジネスモデルの転換の効果もあり、今後大きな成長が期待される自動運転、5Gネットワーク、データセンター等の分野で、多くのグローバル企業から大型商談を獲得することができました。当期は、前期に続き商談獲得金額2,000億円を超える商談を獲得し、獲得した商談の69%(NRE売上比率)は海外の顧客となっています。
グローバル企業から獲得した大型商談を梃に、グローバル開発競争力強化や包括的な原価改善活動等を進めました。具体的には、顧客が求めるSoCのアーキテクチャレベルから提案を行う部門の新設や、開発のプロジェクトマネジメント制度やエンジニア制度等、土台となる制度の見直しを行いました。また、先端テクノロジにより顧客の求める差別化のためのSoCを提供するソリューションSoCの領域において先行する当社の強みをより強固なものとするために、3nm以下のプロセステクノロジを使用したSoCの設計手法の確立や2.5Dや3D実装で複数チップを搭載するチップレット技術等の将来への投資を積極的に行いました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は、オートモーティブ、スマートデバイス及びインダストリアル機器向け等の製品売上の増加や、海外での7nm、5nmの半導体プロセステクノロジを使用した複数のグローバル大型商談獲得によるNRE売上の増加により117,009百万円(前連結会計年度比17%増)となりました。また、連結営業利益は、複数のグローバル大型商談獲得による大規模SoCの開発が本格化したこと等により開発費が増加しましたが、製品売上の増加に伴う粗利益の増加と開発費の見合いとなるNRE売上の増加により8,463百万円(前連結会計年度比445%増)となりました。さらに、営業外収益において為替差益589百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は7,480百万円(前連結会計年度比409%増)となりました。単体では、当事業年度の売上高116,096百万円(前事業年度比17%増)、営業利益6,744百万円(前事業年度比876%増)、当期純利益6,489百万円(前事業年度比306%増)となりました。
なお、当社グループは、ソリューションSoC事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載をしておりません。
b 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は90,616百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,063百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が3,606百万円、製品及び仕掛品が9,722百万円増加し、売掛金が3,509百万円減少したことによるものであります。固定資産は27,812百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,130百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が2,767百万円、無形固定資産が608百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は27,441百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,140百万円増加いたしました。これは主に買掛金が4,610百万円、未払法人税等が2,001百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は28,819百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,260百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は89,609百万円となり、前連結会計年度末から7,933百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加7,480百万円によるものであります。
「第9期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)」
a)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による物流の停滞、ロシアによるウクライナ侵攻等を要因としたエネルギー価格、食料価格等の高騰によるインフレの進展と、対策としての金利上昇による住宅需要等の減退等、先行きに対する不透明感が増しています。また、各国、地域の金融政策の違いにより、為替レートも急激かつ大幅に変動しました。
また、こうした状況下、昨年以降継続している製造委託先において供給が追いつかない状況は、現在も継続しておりますが、相対的に先端テクノロジを中心に少しずつ解消が進んできております。
このような経済状況の下において、当社グループは、2019年3月期以降進めてきたトランスフォーメーションの効果により商談獲得が増加していた5Gネットワーク、オートモーティブ、スマートデバイス向けの注力分野において、獲得した商談の一部で開発が終了し量産段階に入ったこと、生産が想定よりも前倒しに進んだこと、加えて円安影響もあり、当第1四半期連結累計期間の製品売上は31,032百万円となりました。また、NRE売上についても、第2四半期からの一部前倒しもあり8,732百万円となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は39,934百万円、営業利益は5,594百万円、経常利益は6,644百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,058百万円となりました。
なお、当社グループは、ソリューションSoC事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載をしておりません。
b)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は102,368百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,752百万円増加いたしました。これは主に、当第1四半期及び今後の売上増加に伴う売掛金や棚卸資産の増加に加えて、製造委託先のキャパシティ確保のため製造委託先への支払いを前倒ししたことによるものであります。固定資産は29,816百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,004百万円増加いたしました。これは主に、獲得した商談に係わるレチクルやIPマクロの取得に伴うものであります。
この結果、総資産は132,184百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,756百万円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は35,078百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,637百万円増加いたしました。これは主に、製品売上増加に伴う製造委託先からの購入金額増加による買掛金の増加や製造キャパシティ確保等のために顧客から収益計上のタイミングよりも早くキャッシュを頂いていることによる金融負債の増加等によるものであります。
この結果、負債合計は36,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,101百万円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は95,264百万円となり、前連結会計年度末から5,655百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加5,058百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ8,606百万円増加して、46,271百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて5,651百万円増加して、16,355百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9,050百万円、減価償却費8,819百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて6,485百万円増加して、7,938百万円の支出となりました。これは主に、3ヶ月超の定期預金の満期5,000百万円のほか、レチクル・テストボード等の有形固定資産の取得による支出7,544百万円、IP等の無形固定資産の取得による支出5,234百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて48百万円増加して、458百万円の支出となりました。これは主に、リース債務の返済によるものであります。
③ 生産・受注及び販売の実績
「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
当連結会計年度における生産実績、受注実績及び販売実績は次のとおりであります。
なお、当社グループはソリューションSoC事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
a 生産実績
当社グループは、ファブレスモデルのビジネス形態となっており、製品の製造については、製造委託先(ファウンドリ、OSAT)へ委託しております。当社グループ製品は、顧客の特定製品向け専用で設計し搭載されるものが主であり、受注生産を行っていることから、生産実績は販売実績と概ね同等の金額となるため、生産実績の記載は省略しております。
b 受注実績
当社グループは、商談獲得後、設計開発業務に係る受注を受けて設計開発を開始し、開発終了後にサンプルを製作の上、顧客に提供し評価を受けます。設計開発開始後、顧客の評価完了までの間、受注した設計開発業務に係る売上が段階的に計上されます。顧客により製品の性能等に問題がないことが確認されると、製品の量産段階に移行し、顧客の買取責任が発生する形で製品の量産に係る受注を受け、当社グループは製造委託先へ製造を委託します。当社グループの第8期連結会計年度における設計開発及び製品の量産に係る受注高及び受注残高は以下のとおりです。製品の量産に係る受注については、通常受注後1年以内に製品を出荷し、随時売上として計上されますが、昨今の半導体不足等を背景とした顧客の在庫確保及び積上げのため、例年よりは前倒しで受注を受ける傾向にあり、受注された製品の出荷に1年以上を要することがあります。なお、下記の受注高及び受注残高は、当社グループの経営指標である商品獲得金額及び商品獲得残高とは算定方法及び基準時点が異なります。
受注高受注残高
第8期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年比第8期連結会計年度
(2022年3月31日)
前年比
274,605百万円195.6%243,196百万円346.5%

c 販売実績
第8期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年比
117,009百万円117.3%

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
・加賀FEI株式会社の前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の
総販売実績に対する割合は、34,294百万円、34.4%及び、42,403百万円、36.2%であります。
・KAGA FEI ELECTRONICS PACIFIC ASIA LIMITED.の前連結会計年度の販売実績及び当該販売実績
の総販売実績に対する割合は、14,599百万円、14.6%であります。
・KAGA FEI AMERICA,Inc.の当連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する
割合は、12,062百万円、10.3%であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
a.売上高
当連結会計年度の売上高は117,009百万円(前連結会計年度比17.3%増)となりました。うち製品の売上高は84,584百万円(同15.7%増)となりました。スマートデバイスやオートモーティブ等の分野で需要が増加した他、ビジネスモデルや事業領域の転換以降獲得したネットワーク分野の商談等で一部量産段階に進んだことから製品売上が増加しました。NRE売上は28,117百万円(同22.3%増)となりました。海外顧客を中心に商談獲得が大きく増加し、それらのプロジェクトの開発が繁忙となり、対価としてのNRE売上が増加しました。今後、開発が完了し顧客での評価後量産段階に移行した場合には製品売上高の増加に貢献することが見込まれます。その他は、知的財産等の譲渡及びライセンスによる収入が増加しました。
・財務指標
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年比
製品売上 (百万円)73,12184,584115.7%
NRE売上(百万円)22,98328,117122.3%
その他 (百万円)3,6424,308118.3%
売上高合計(百万円)99,746117,009117.3%

b.売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益
①売上原価
当連結会計年度の売上原価は49,751百万円、売上総利益は67,258百万円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。主に、製品売上及びNRE売上の増加による売上総利益の増加になります。
・財務指標
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年比
売上総利益(百万円)56,52167,258119.0%
売上原価率43.3%42.5%△0.8ポイント

注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。
売上原価率:売上原価/売上高×100
②販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は58,795百万円で前連結会計年度比3,826百万円増加しました。商談獲得が大きく進んだことから研究開発費が43,177百万円と前連結会計年度比3,960百万円増加したことによるものです。研究開発費を除いた販売費及び一般管理費は15,618百万円で前連結会計年度比134百万円減少しました。
③営業利益
当連結会計年度の営業利益は8,463百万円、前連結会計年度比6,911百万円増加となりました。当連結会計年度の米国ドルの平均為替レートは112.38円、前連結会計年度に比べて6.32円の円安となりました。営業利益に対する影響は概ね2,000百万円のプラス影響でした。
・財務指標
前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年比
営業利益(百万円)1,5528,463545.3%
営業利益率1.6%7.2%+5.6ポイント
EBITDA(百万円)9,95217,282173.7%

※ EBITDAは、「営業利益」及び「減価償却費」を合計して算出しております。
c.税金等調整前当期純利益
年度末にかけて円安が進んだことにより営業外収益として為替差益589百万円が発生し、営業外収益及び営業外費用の差引額は587百万円の収益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は9,050百万円、前連結会計年度比7,081百万円の増加となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額が2,347百万円、法人税等調整額が△777百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,480百万円、前連結会計年度比6,011百万円の増加となりました。
「第9期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)」
a.売上高
当第1四半期連結累計期間の売上高は39,934百万円となりました。製品売上は、獲得した商談の一部で開発が終了し量産段階に入ったこと、生産が想定よりも前倒しに進んだこと、加えて円安影響もありました。
・財務指標
当第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
製品売上 (百万円)31,032
NRE売上(百万円)8,732
その他 (百万円)170
売上高合計(百万円)39,934

b.売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益
①売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は19,858百万円、売上総利益は20,076百万円となりました。
・財務指標
当第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
売上総利益(百万円)20,076
売上原価率49.7%

注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。
売上原価率:売上原価/売上高×100
②販売費及び一般管理費
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は14,482百万円となりました。うち研究開発費は10,571百万円、研究開発費を除いた販売費及び一般管理費は3,911百万円となりました。
③営業利益
当第1四半期連結累計期間の営業利益は5,594百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の米国ドルの平均為替レートは129.57円となりました。
・財務指標
当第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
営業利益(百万円)5,594
営業利益率14.0%
EBITDA(百万円)7,982

※ EBITDAは、「営業利益」及び「減価償却費」を合計して算出しております。
c.税金等調整前当期純利益
円安が進んだことにより営業外収益として為替差益1,049百万円が発生し、営業外収益及び営業外費用の差引額は1,050百万円の収益となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の税金等調整前当期純利益は6,644百万円となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当第1四半期連結累計期間の法人税、住民税及び事業税の額が896百万円、法人税等調整額が690百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,058百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
a.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、経営環境が急激に変化したとしても、顧客にとっての基幹部品である当社製品を長期にわたり供給を継続していく責任があることから、内部留保を厚くし資金の流動性を高く維持する方針としております。
当連結会計年度末における総資産は118,428百万円(前連結会計年度末比14,193百万円増)となりました。当社グループはファブレスによる事業運営のため、資産構成上流動資産の割合が高く、総資産の76.5%を流動資産が占めております。流動資産のうち、前連結会計年度末と比較すると、棚卸資産が9,722百万円増加しました。これは需要の増加に対応するもので2023年3月期以降の売上に貢献いたします。
・財政状態及び財務指標
前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
前年比
流動資産(百万円)80,55390,61610,063
流動資産比率(%)77.376.5△0.8ポイント

注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。
流動資産比率:流動資産/総資産×100
当連結会計年度末の負債合計は28,819百万円(前連結会計年度末比6,260百万円増)となりました。主な項目を前連結会計年度末と比較すると、製品の製造委託先からの仕入債務を含む買掛金が4,610百万円増加しました。2022年3月期第4四半期及び2023年3月期の製品売上増加に対応した購入の増加によるものです。
・財政状態及び財務指標
前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
前年比
流動負債(百万円)21,30127,4416,140
流動比率(%)378.2330.2△48.0ポイント

注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。
流動比率:流動資産/流動負債×100
純資産は89,609百万円(前連結会計年度末比7,933百万円増)となりました。利益剰余金が7,480百万円の増加、為替換算調整勘定が557百万円の増加となっております。
以上の結果、自己資本は89,597百万円となり、自己資本比率は75.66%に、ROEは8.74%となりました。引き続き、経営環境の変化に柔軟に対応できるよう、収益力と財務体質の改善に取り組んでまいります。
・財政状態及び財務指標
前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
前年比
自己資本比率(%)78.2575.66△2.59ポイント
ROE(%)1.828.74+6.92ポイント

注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
ROE(自己資本利益率):親会社株主に帰属する当期純利益/((前連結会計年度末自己資本+当連結会計年度末自己資本)/2)
急激な景気の変動によるリセッション時に手元資金が不足する場合には、コミットメントラインを利用して必要資金を調達することにしております。2021年12月21日付の取締役会決議に基づき、2021年12月27日に株式会社みずほ銀行と極度額10,000百万円のコミットメントラインの契約を締結しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループは、売掛債権の回収期間及び棚卸資産の滞留日数の短縮に取り組んでおり、運転資金及び成長に必要な資金を、営業キャッシュ・フローから確実に確保できるよう努めております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは16,355百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローは7,938百万円のマイナスとなり、フリー・キャッシュ・フローは8,417百万円のプラスとなりました。定期預金の満期による現金及び現金同等物の増加5,000百万円を除くと、3,417百万円のプラスとなりました。将来の売上成長に対応した棚卸資産の積上げ、商談獲得がここ3年間進んだことによる製品の開発、製造に必要なレチクル等の固定資産の取得等、今後の成長に必要な投資を行った上でフリー・キャッシュ・フローが3,417百万円増加しました。
・当社グループのキャッシュ・フロー関連指標
前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
前年比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)10,70416,3555,651
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△1,453△7,938△6,485
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー(百万円)9,2518,417△834

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は46,271百万円と、前連結会計年度比で8,606百万円増加しております。
「第9期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)」
a.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産に関して、将来の業績予測やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。経営環境等の悪化により、その見積りに変更が生じた場合は、繰延税金資産が取り崩されることにより税金費用を計上する可能性があります。
b.棚卸資産の評価
棚卸資産に関して、正味売却価額が取得原価より下落した場合に簿価の切下げを行います。また、一定期間を超えて滞留する棚卸資産について、将来の需要や市場動向を反映した正味実現可能額まで簿価の切下げを行います。
c.固定資産の減損
固定資産に関して、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討し、固定資産に減損が見込まれる場合は、将来キャッシュ・フローの現在価値又は正味売却価額に基づいて減損損失を計上いたします。将来の事業計画の変更や経営環境等の悪化による将来キャッシュ・フローの見積りが著しく減少する場合は、減損損失を計上する可能性があります。