有価証券報告書-第97期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 13:13
【資料】
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【項目】
162項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初緩やかな景気回復の動きがみられたものの、貿易摩擦、原油価格や為替相場の動向に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的混乱状態により、先行き不透明な状況となりました。
水産・食品業界におきましては、人手不足による労働コスト・物流コストの上昇に加え、世界的な水産物需要の増大による買付コストの上昇など、厳しい状況が続きました。
このような状況のもとで、中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』(2018年度~2020年度)の2年目として、『魚を中心とした総合食品会社として、高収益構造への転換をはかり、資源、環境、労働などの社会的要請を踏まえ、事業のウイングの拡大と時間価値の提供により企業価値の向上を目指す』という基本方針のもと、『ESG重視の事業活動』を通じて『拡大』『強化』『均衡』の各戦略を進め、高収益構造へ大きく転換していくことを目指し、取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、前期10月に連結子会社において事業所を売却したことにより、物流サービスセグメントは前年実績を下回りましたが、水産商事、冷凍食品、常温食品、鰹・鮪の各セグメントは前年実績を上回りました。その結果、2,625億19百万円と前期比63億68百万円増加(前期比2.5%増)しました。
営業利益は、冷凍食品、常温食品、物流サービスの各セグメントは前年実績を上回りましたが、紅鮭・チリ銀鮭の市況下落により、鮭鱒で損失計上を余儀なくされた水産商事セグメント、水揚げ数量減少、カツオ魚価の下落の影響を受けた鰹・鮪セグメントは前年実績を下回りました。その結果、29億18百万円と前期比9億12百万円減少(前期比23.8%減)しました。
経常利益は36億8百万円と前期比8億26百万円減少(前期比18.6%減)し、親会社株主に帰属する当期純利益は20億37百万円と前期比8億77百万円減少(前期比30.1%減)しました。
また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高比率が11.2%(前期比1.0ポイント上昇)、自己資本当期純利益率が6.3%(前期比3.3ポイント下降)、自己資本比率が29.4%(前期比1.7ポイント上昇)、有利子負債資本倍率が1.7倍(前期比0.2ポイント改善)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
水産商事セグメント
エビ・北洋魚などの取扱いが伸長したほか、イワシ・ホタテなどの輸出や、米国子会社による北米販売が堅調に推移しました。一方、利益面では紅鮭・チリ銀鮭の市況下落により、鮭鱒で損失計上を余儀なくされました。この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,271億4百万円(前期比1.7%増)、営業利益は17億50百万円(前期比28.4%減)となりました。
冷凍食品セグメント
水産冷凍食品事業では寿司種を中心とした生食用商品及び切身・煮魚・焼魚などの加熱用商品の拡販に努めました。調理冷凍食品事業ではカニ風味かまぼこやエビフライなどの水産フライが伸長し、家庭用冷凍食品事業では米飯類や煮魚などアイテムの多様化に努めました。この結果、売上・利益ともに前期を上回りました。
冷凍食品セグメントの売上高は849億46百万円(前期比3.1%増)、営業利益は9億49百万円(前期比1.8%増)となりました。
常温食品セグメント
缶詰は、イワシ缶・サンマ缶・カツオ缶の販売が伸長し、また珍味製品も堅調に推移しました。利益面では原料価格高騰が続くなか、価格改定や規格変更、新製品投入などにより利益率の改善を進めました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
常温食品セグメントの売上高は193億70百万円(前期比2.1%増)、営業利益は7億5百万円(前期比46.4%増)となりました。
物流サービスセグメント
前期10月に行った大阪事業所の売却により、売上は前期を下回りましたが、入庫貨物の確保を図り、配送事業の強化に努めた結果、利益は前期を上回りました。
物流サービスセグメントの売上高は9億88百万円(前期比0.7%減)、営業利益は3億15百万円(前期比18.7%増)となりました。
鰹・鮪セグメント
加工及び販売事業では、本マグロ原料や、カツオ、マグロの加工品の販売が伸長し、養殖事業では出荷魚の大型化を進めたことで、販売が伸長しました。一方、海外まき網事業では、水揚数量、魚価が前期を下回り、経費削減に努めたものの、収支が悪化しました。この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は296億58百万円(前期比4.3%増)、営業利益は2億13百万円(前期比71.1%減)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事139,863△3.3
冷凍食品47,2996.2
常温食品14,868△2.2
物流サービス
鰹・鮪29,6521.6
その他63915.0
合計232,323△0.7

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事127,1041.7
冷凍食品84,9463.1
常温食品19,3702.1
物流サービス988△0.7
鰹・鮪29,6584.3
その他45219.4
合計262,5192.5

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
総資産は、前連結会計年度末に比べ34億89百万円減少し、1,111億84百万円となりました。
流動資産は、たな卸資産や受取手形及び売掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ41億73百万円減少し、852億51百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ6億84百万円増加し、259億32百万円となりました。
負債合計は、借入金を圧縮したことなどにより、前連結会計年度末に比べ40億85百万円減少し、785億91百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加し、325億93百万円となりました。
この結果、自己資本比率は29.4%(前連結会計年度末比1.7ポイント増)となりました。
(3) キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期首残高
会社分割に伴う現金及び現金同等物
の増加額
現金及び現金同等物の期末残高
△4,118
△2,494
5,958
△15
△670
4,977
314
4,621
9,410
△2,931
△4,817
29
1,691
4,621
-
6,313
13,529
△436
△10,775
44
2,361
△355
△314
1,691

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産を積極的に圧縮したことから、94億10百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、29億31百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金を圧縮したことにより、48億17百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より16億91百万円増加し、63億13百万円となりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。
なお、連結会計年度末においては、コロナウイルス感染拡大に伴う信用不安が懸念されたことから、例年より手許資金を多めに確保し、資金繰りに万全を期しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。