有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:02
【資料】
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【項目】
150項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により急激に悪化しました。わが国経済においても、経済活動が停滞し、個人消費や雇用に大きな影響を与えました。一時的に持ち直しの動きが見られましたが、再び感染拡大がみられるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
水産・食品業界におきましても、新しい生活様式の浸透により消費者ニーズや購買動向に変化が見られるとともに、外出自粛や外食店の営業時間短縮などにより、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもとで、中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』(2018年度~2020年度)の最終年度として、『魚を中心とした総合食品会社として、高収益構造への転換をはかり、資源、環境、労働などの社会的要請を踏まえ、事業のウイングの拡大と時間価値の提供により企業価値の向上を目指す』という基本方針のもと、『ESG重視の事業活動』を通じて『拡大』『強化』『均衡』の各戦略を進め、高収益構造へ大きく転換していくことを目指し、目標達成に向け取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、水産商事、冷凍食品、常温食品の各セグメントで前年実績を下回りました。その結果、2,491億97百万円と前期比133億22百万円減少(前期比5.1%減)しました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大により業務用冷凍食品の需要が減少し、影響を受けた冷凍食品セグメントを除く全セグメントで前年実績を上回りました。その結果、46億57百万円と前期比17億39百万円増加(前期比59.6%増)しました。
経常利益は48億79百万円と前期比12億71百万円増加(前期比35.2%増)し、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上などにより、38億38百万円と前期比18億1百万円増加(前期比88.4%増)しました。
また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高比率が9.1%(前期比2.1ポイント下降)、自己資本利益率が10.5%(前期比4.2ポイント上昇)、自己資本比率が34.7%(前期比5.3ポイント上昇)、有利子負債資本倍率が1.4倍(前期比0.3ポイント改善)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
水産商事セグメント
世界的なコロナ感染拡大により、日本産水産物の輸出や海外現地法人の業務筋向け販売が大きく落ち込みました。国内販売については、外出自粛の影響により外食・業務筋の需要が減少したことを受けて、巣ごもり需要で水産物の取扱いが伸びた量販店等への販売に注力しましたが、全体の落ち込みをカバーするには至りませんでした。収益面では供給過剰となったホッケの相場が下落するなど、一部の商品で損失が発生しましたが、年初より安値圏で推移した鮭鱒の取扱量が増加したことから、計画を上回る利益を確保しました。また、年末商戦では家庭におけるプチ贅沢ニーズにより、カニ・エビなどの高額商材の販売が好調に推移し、利益が改善しました。この結果、売上は前期を下回りましたが、利益は前期を上回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,189億49百万円(前期比6.4%減)、営業利益は30億67百万円(前期比75.2%増)となりました。
冷凍食品セグメント
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外食・業務筋の需要が大幅に減少し、えびフリッターや水産フライの販売低迷が続きました。こうした状況の中、量販店への拡販に注力した結果、家庭用冷凍食品はドラッグストア向けなどが伸長し、寿司種、生食商材も徐々に回復してきましたが、全体の落ち込みをカバーするには至りませんでした。この結果、売上・利益とも前期を下回りました。
冷凍食品セグメントの売上高は797億23百万円(前期比6.1%減)、営業利益は8億49百万円(前期比10.5%減)となりました。
常温食品セグメント
缶詰は、緊急事態宣言の影響による備蓄需要の増加などもあり、前期並みの利益を確保しました。また、珍味製品はコロナ禍における家飲み需要の増加や、新製品の投入などにより、販売が順調に推移しました。この結果、売上は前期を下回りましたが、利益は前期を上回りました。
常温食品セグメントの売上高は190億83百万円(前期比1.5%減)、営業利益は8億35百万円(前期比18.3%増)となりました。
鰹・鮪セグメント
海外まき網事業ではカツオ魚価の低迷が続き、売上高が減少しました。一方で、国産養殖クロマグロの販売が伸長し、コロナ禍で好調であった量販店向けを中心にマグロタタキなどの加工品の販売も順調に推移しました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は299億18百万円(前期比0.9%増)、営業利益は5億6百万円(前期比137.5%増)となりました。
物流サービスセグメント
新型コロナウイルス感染症の影響により当初は荷動きが鈍化したものの、回転のよい貨物の集荷に注力し、入出庫量が増加しました。また、貨物を委託する運送会社網を拡大し、配送事業強化に努めました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
物流サービスセグメントの売上高は10億79百万円(前期比9.3%増)、営業利益は3億69百万円(前期比17.3%増)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事133,645△4.4
冷凍食品41,879△11.5
常温食品15,4223.7
物流サービス--
鰹・鮪29,623△0.1
その他6623.6
合計221,233△4.8

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事118,949△6.4
冷凍食品79,723△6.1
常温食品19,083△1.5
物流サービス1,0799.3
鰹・鮪29,9180.9
その他443△2.0
合計249,197△5.1

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
総資産は、前連結会計年度末に比べ51億46百万円増加し、1,163億31百万円となりました。流動資産は、たな卸資産や現金及び預金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ13億97百万円増加し、866億49百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ37億48百万円増加し、296億81百万円となりました。
負債合計は、借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ22億36百万円減少し、763億55百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度に比べ73億82百万円増加し、399億75百万円となりました。
この結果、自己資本比率は34.7%(前連結会計年度末比5.3ポイント増)となりました。
(3) キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の期末残高
9,410
△2,931
△4,817
29
1,691
4,621
6,313
5,997
△527
△4,627
△58
784
6,313
7,097
△3,413
2,404
190
△87
△907
1,692
784

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより、59億97百万円の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、5億27百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などにより、46億27百万円の支出となりました。 この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より7億84百万円増加し、70億97百万円となりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。