有価証券報告書-第95期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 13:31
【資料】
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【項目】
115項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や株価上昇など、景気は緩やかな回復がみられるものの、米国の政治動向や中東及びアジア地域における地政学的リスクの高まりなどによる世界の実体経済に及ぼす影響が懸念され、依然として不透明な状況が続いております。
水産・食品業界におきましては、食の安心・安全に対する消費者の関心は高く、さらに少子高齢化による国内マーケット環境の変化や人手不足による労働コスト・物流コストの上昇に加え、世界的な水産物需要の増大による買付コストの上昇など、厳しい状況は続いております。
このような状況のもとで、中期経営計画『バリューアップ・キョクヨー2018』の最終年度として、『魚に強い総合食品会社として、収益基盤の安定と変化への対応力を高め、新たな価値を創造する企業を目指す』ことを基本方針とし、目標達成に向けて取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、前期に冷蔵運搬船事業から撤退した物流サービスセグメントは前年実績を下回りましたが、水産商事、冷凍食品、常温食品、鰹・鮪の各セグメントは前年実績を上回りました。その結果、2,547億83百万円と前期比182億22百万円増加(前期比7.7%増)しました。
営業利益は、年末商戦以降の市況悪化により水産商事セグメントは前年実績を下回りましたが、冷凍食品、常温食品、物流サービス、鰹・鮪の各セグメントは前年実績を上回りました。その結果、40億66百万円と前期比3億42百万円増加(前期比9.2%増)しました。
経常利益は44億37百万円と前期比7億27百万円増加(前期比19.6%増)し、親会社株主に帰属する当期純利益は32億11百万円と前期比7億88百万円増加(前期比32.5%増)しました。
なお、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は自己資本当期純利益率が11.9%(前期比1.7ポイント上昇)、自己資本比率が27.2%(前期比1.6ポイント上昇)、有利子負債資本倍率が1.8倍(前期比0.2ポイント改善)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
水産商事セグメント
鮭鱒・カニ・エビ・北洋魚など主要魚種の販売が順調に推移したほか、海外子会社においても水産物販売が好調に推移したことにより、売上は前期を上回りました。一方、年末商戦以降、市況悪化により鮭鱒・エビ・北洋魚などにおいて価格調整が発生し、利益は前期を下回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,320億56百万円(前期比8.8%増)、営業利益は26億25百万円(前期比10.0%減)となりました。
冷凍食品セグメント
水産冷凍食品事業では寿司種を中心とした生食用商品及び「だんどり上手」シリーズなどの加熱用商品の拡販に努め、調理冷凍食品事業では水産フライ類やカニ風味かまぼこの販売が伸長しました。また、家庭用冷凍食品事業では「うま塩えびから」などの塩釜工場製品の販売が順調に推移したことで、工場の生産数量も伸長し、工場収支が改善しました。この結果、売上・利益ともに前期を上回りました。
冷凍食品セグメントの売上高は731億88百万円(前期比7.1%増)、営業利益は8億84百万円(前期比35.1%増)となりました。
常温食品セグメント
魚価高による製品コストアップなど厳しい環境が続くなか、サバ缶詰を中心に魚介缶詰の販売が伸長しました。また、珍味製品については、イカ原料の価格高騰が続くなか、価格改定や規格変更などのコストアップ対策に取り組みました。この結果、売上・利益ともに前期を上回りました。
常温食品セグメントの売上高は189億73百万円(前期比0.8%増)、営業利益は3億63百万円(前期比253.4%増)となりました。
物流サービスセグメント
前期に冷蔵運搬船事業から撤退したことにより、売上は前期を下回りましたが、冷蔵倉庫事業において、入庫貨物の確保を図り、営業力強化と事業の効率化に努めた結果、利益は前期を上回りました。
物流サービスセグメントの売上高は10億35百万円(前期比35.5%減)、営業利益は2億48百万円(前期比79.3%増)となりました。
鰹・鮪セグメント
加工及び販売事業では、クロマグロ、インド鮪などの脂物製品及びキハダ、バチなどの赤身製品の販売に注力し、ネギトロやカツオタタキなど加工品の販売も伸長しました。養殖事業は、漁場や漁獲規制が厳しくなるなか、天然種苗の確保を図るとともに、11月には完全養殖クロマグロ「本鮪
の極 つなぐ」の初出荷を行いました。海外まき網事業は、入漁料の高止まりや修繕費などの経費増があったものの、水揚げ数量の確保に努めたことや魚価が高値で推移したことから収支が大きく改善しました。この結果、売上・利益ともに前期を上回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は291億45百万円(前期比12.1%増)、営業利益は10億29百万円(前期比47.9%増)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事146,73811.4
冷凍食品39,1046.7
常温食品15,040△1.0
物流サービス
鰹・鮪27,89117.1
その他484△11.7
合計229,25910.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産商事132,0568.8
冷凍食品73,1887.1
常温食品18,9730.8
物流サービス1,035△35.5
鰹・鮪29,14512.1
その他384△5.3
合計254,7837.7

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
総資産は、前連結会計年度末に比べ89億13百万円増加し、1,063億5百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ100億37百万円増加し、823億89百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産が増加したものの、有形固定資産が減価償却に伴い減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ11億24百万円減少し、239億16百万円となりました。
負債合計は、支払手形及び買掛金や借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ50億62百万円増加し、770億円62百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ38億51百万円増加し、292億43百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の期末残高
601
△1,998
105
△167
△1,458
4,030
2,572
3,201
△1,179
255
127
2,405
2,572
4,977
2,599
819
150
294
3,863
△1,458
2,405

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより、32億1百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、11億79百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、2億55百万円の収入となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より24億5百万円増加し、49億77百万円となりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。