有価証券報告書-第78期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当期におけるわが国の経済は、期初は新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化し、その後も依然として厳しい状況が続くなか、個人消費や非製造業の企業収益など一部に弱さがみられるものの、持ち直しの動きが見られました。
建設業界におきましては、政府建設投資は前年度を上回る水準、民間建設投資は新型コロナウイルス感染症の影響により民間住宅・非住宅建設投資ともに前年度を下回る水準と予測され、建設投資全体としては前年度を下回る見通しとなりました。
このような状況のなかで、当社の得意とする鉄道関連分野につきましても、輸送量の減少が継続し設備投資の抑制や先送りなどの影響が一部あったものの、当社の社会的使命である「鉄道の安全・安定輸送の確保」のため、感染防止対策を徹底し、お客様はもとより、社員やその家族、協力会社の安全を確保しつつ、社会インフラの維持に必要な工事を継続してまいりました。
また、当社グループは中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の最終年度にあたり、その基本戦略である「3D戦略」に基づき、「成長戦略[Ⅹ軸×Y軸]」における諸施策の推進、「クォリティ戦略[Z軸]」における「Power Up Project」の施策である「安全・品質向上」、「生産性向上/技術開発」、「働き方改革/人材育成」、「ESG(環境、社会、ガバナンス)」の推進に積極的に取り組んでまいりました。
「顧客層」のウイング拡大を図る[X軸戦略]につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行に経営資源を継続的に重点投下してまいりました。なかでも安全対策としての重要施策である大規模地震対策工事、ホームドア整備に伴うホーム改良工事、駅設備の改良工事などの安全施工に取り組むほか、利便性を高める駅の橋上化工事や駅に隣接するホテル建設などの大型工事にも取り組んでまいりました。
多方面にわたる民間一般部門のお客様に対するウイングの拡大では、軌道工事では相模鉄道(株)、上信電鉄(株)、真岡鐵道(株)等、高架橋、橋梁、駅改良等の土木工事では東武鉄道(株)、相模鉄道(株)、三陸鉄道(株)等、ホテル関係ではトーセイ(株)、仙台ターミナルビル(株)、工場や事務所関係では(株)総合車両製作所、(株)OKIプロサーブ、東日本電気エンジニアリング(株)等、マンションでは大成有楽不動産(株)、トーセイ(株)、日神不動産(株)等の幅広いお客様からの受注・施工を進めてまいりました。また、官公庁部門におきましても、軌道工事では東京都交通局、横浜市交通局等、橋梁、河川改修、水道等の公共土木工事では青森県、福島県、いわき市等、様々な受注・施工実績を上げることができました。
「業域」の深掘りを図る[Y軸戦略]につきましては、当社の強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。
当社が得意とする鉄道関連工事においては、飯田橋駅や新橋駅改良に伴う軌道工事の継続、北陸新幹線や相鉄・東急直通線の軌道敷設工事、中央快速線グリーン車サービス導入に伴う駅・ホーム・車両基地の改良工事、新幹線騒音対策工事、こ線道路橋架替工事、新幹線旅客上家改修工事、横浜市発注の関内駅歩行者広場屋根新設など施工難易度の高い工事を含め、幅広い工事の受注・施工に取り組んでまいりました。
当社が強みとする耐震やメンテナンス、リニューアルの技術を活かした施工では、東京臨海高速鉄道(株)高架橋耐震工事、国土交通省道路橋梁補修工事、東日本高速道路(株)道路橋梁床版取替工事、駅ビル店舗やホテル客室の改装工事などを受注し、鉄道関連の災害復旧では、只見線第7只見川橋りょうや水郡線第6久慈川橋りょうの復旧工事などにも取り組み、様々な業域での受注・施工実績をあげることができました。
環境事業につきましては、緑化工事では東所沢駅リニューアルに伴う壁面緑化工事やトーセイ(株)ホテルココネ上野御徒町緑化工事、東日本電気エンジニアリング(株)東京支店ビル改修に伴う緑化工事の受注・施工など、多くの案件に取り組みました。また、当社が開発した暑熱対策設備を採用した、台東区の微細ミスト保守点検管理業務なども受注し、さらなる事業の広がりをみせています。
「質」を向上させ企業体力を強化する[Z軸戦略]の「Power Up Project」につきましては、4つの重要テーマに取り組んでまいりました。
「安全・品質向上」においては、「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・協力会社・従業員の「究極の安全と安心」を追求し、安全・安心で、高品質・高効率・低コストの技術・サービス・商品の提供によりお客様の満足と信頼を確保することを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「生産性向上/技術開発」においては、技術開発力の強化により、安全性、生産性の向上を図り、工事量の増大に対応するための施工力を強化するとともに、協力会社とのパートナーシップ強化により強固な施工体制の維持向上を図ることを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「働き方改革/人材育成」においては、当社がこれまで取り組んできた「人を大切にする風土づくり」をさらに推進し、「働き方改革」による働きやすい快適な職場づくりや業務の改善、実効性のある具体的な教育・訓練の強化による技術力向上、人材育成の取り組みを進めてまいりました。
「ESG」においては、ステークホルダーから信頼される「誠実な経営」を推進し、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG」を事業活動に関連付け、事業活動を通じて当社の「社会的使命」を果たすことを方針としております。このプロセスを通じ、当社の「持続的な成長」と「企業価値の向上」、そしてステークホルダーとの「共通価値の創造」に取り組んでまいりました。
以上の結果、当期の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う設備投資の抑制などの影響により、受注高は122,406百万円(前期比11,911百万円減少)となりました。
売上高は各種繰越工事が順調に進捗したものの、建築事業の前期大型工事の反動減もあり、132,919百万円(前期比13,114百万円減少)となりました。
利益につきましては、売上総利益は21,729百万円(前期比899百万円減少)、営業利益は13,915百万円(前期比942百万円減少)、経常利益は14,293百万円(前期比1,054百万円減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,689百万円(前期比968百万円減少)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響については、当連結会計年度における当社グループへの影響は軽微でありますが、経済への影響は翌連結会計年度の一定期間にわたり継続することが考えられ、鉄道関連分野の設備投資の抑制や先送り、民間建設投資の大幅な下振れ等による受注高の減少、感染予防対策・工期延伸等による費用の増加等が懸念されます。なお、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの仮定と異なる場合があります。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(土木事業)
受注高は86,222百万円(前期比7.9%減)、売上高は89,888百万円(前期比0.3%増)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は53,809百万円であり、次期繰越高は53,500百万円となりました。
セグメント利益は8,728百万円(前期比2.9%増)となりました。
(建築事業)
受注高は36,183百万円(前期比11.2%減)、売上高は33,405百万円(前期比30.4%減)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は23,501百万円であり、次期繰越高は25,298百万円となりました。
セグメント利益は4,144百万円(前期比25.2%減)となりました。
(その他)
売上高は9,625百万円(前期比14.5%増)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
セグメント利益は1,024百万円(前期比25.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当期末の資産合計は前期比3,648百万円減少し141,701百万円となりました。これは、売上高減少に伴う受取手形・完成工事未収入金等の減少等によるものであります。
負債合計は、前期比11,012百万円減少し44,946百万円となりました。これは、工事量減少に伴う支払手形・工事未払金等の減少等によるものであります。
その結果、純資産合計は前期比7,364百万円増加し96,754百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の60.7%から67.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期比14,219百万円増加し31,694百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の回収等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比13,055百万円収入増加の21,116百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比758百万円支出減少の3,659百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比191百万円支出増加の3,238百万円の支出となりました。
当社グループの資金の源泉は、主として国内事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローによる収入からなります。資金の主要な使途は、材料費・外注費、設備投資等であります。
流動性については、事業活動を行う上で十分な運転資金を確保していきますが、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等、万一の緊急時における資金調達に備えるため、金融機関より随時利用可能な借入枠を確保しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 受注実績
② 売上実績
(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別しております。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
④ 次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.工事原価総額
完成工事高及び完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高の計上においては工事原価総額の見積りにより収益に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書に基づく見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しており、計上額が妥当であることを検証しております。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の工事原価総額は見積金額と異なる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症は収束まで長期間を要することが想定されているものの当社グループの工事の状況から判断し、当連結会計年度末時点で受注・着工済の工事については、工事の中断や工期の大幅な延長といった新型コロナウイルス感染症に起因する工事原価総額の重要な増加要因はないとの仮定に基づき、工事原価総額を見積もっております。
b.工事損失引当金
受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等)から過去の実績を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、協力会社との外注契約の締結等による原価変動が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当期におけるわが国の経済は、期初は新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化し、その後も依然として厳しい状況が続くなか、個人消費や非製造業の企業収益など一部に弱さがみられるものの、持ち直しの動きが見られました。
建設業界におきましては、政府建設投資は前年度を上回る水準、民間建設投資は新型コロナウイルス感染症の影響により民間住宅・非住宅建設投資ともに前年度を下回る水準と予測され、建設投資全体としては前年度を下回る見通しとなりました。
このような状況のなかで、当社の得意とする鉄道関連分野につきましても、輸送量の減少が継続し設備投資の抑制や先送りなどの影響が一部あったものの、当社の社会的使命である「鉄道の安全・安定輸送の確保」のため、感染防止対策を徹底し、お客様はもとより、社員やその家族、協力会社の安全を確保しつつ、社会インフラの維持に必要な工事を継続してまいりました。
また、当社グループは中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の最終年度にあたり、その基本戦略である「3D戦略」に基づき、「成長戦略[Ⅹ軸×Y軸]」における諸施策の推進、「クォリティ戦略[Z軸]」における「Power Up Project」の施策である「安全・品質向上」、「生産性向上/技術開発」、「働き方改革/人材育成」、「ESG(環境、社会、ガバナンス)」の推進に積極的に取り組んでまいりました。
「顧客層」のウイング拡大を図る[X軸戦略]につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行に経営資源を継続的に重点投下してまいりました。なかでも安全対策としての重要施策である大規模地震対策工事、ホームドア整備に伴うホーム改良工事、駅設備の改良工事などの安全施工に取り組むほか、利便性を高める駅の橋上化工事や駅に隣接するホテル建設などの大型工事にも取り組んでまいりました。
多方面にわたる民間一般部門のお客様に対するウイングの拡大では、軌道工事では相模鉄道(株)、上信電鉄(株)、真岡鐵道(株)等、高架橋、橋梁、駅改良等の土木工事では東武鉄道(株)、相模鉄道(株)、三陸鉄道(株)等、ホテル関係ではトーセイ(株)、仙台ターミナルビル(株)、工場や事務所関係では(株)総合車両製作所、(株)OKIプロサーブ、東日本電気エンジニアリング(株)等、マンションでは大成有楽不動産(株)、トーセイ(株)、日神不動産(株)等の幅広いお客様からの受注・施工を進めてまいりました。また、官公庁部門におきましても、軌道工事では東京都交通局、横浜市交通局等、橋梁、河川改修、水道等の公共土木工事では青森県、福島県、いわき市等、様々な受注・施工実績を上げることができました。
「業域」の深掘りを図る[Y軸戦略]につきましては、当社の強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。
当社が得意とする鉄道関連工事においては、飯田橋駅や新橋駅改良に伴う軌道工事の継続、北陸新幹線や相鉄・東急直通線の軌道敷設工事、中央快速線グリーン車サービス導入に伴う駅・ホーム・車両基地の改良工事、新幹線騒音対策工事、こ線道路橋架替工事、新幹線旅客上家改修工事、横浜市発注の関内駅歩行者広場屋根新設など施工難易度の高い工事を含め、幅広い工事の受注・施工に取り組んでまいりました。
当社が強みとする耐震やメンテナンス、リニューアルの技術を活かした施工では、東京臨海高速鉄道(株)高架橋耐震工事、国土交通省道路橋梁補修工事、東日本高速道路(株)道路橋梁床版取替工事、駅ビル店舗やホテル客室の改装工事などを受注し、鉄道関連の災害復旧では、只見線第7只見川橋りょうや水郡線第6久慈川橋りょうの復旧工事などにも取り組み、様々な業域での受注・施工実績をあげることができました。
環境事業につきましては、緑化工事では東所沢駅リニューアルに伴う壁面緑化工事やトーセイ(株)ホテルココネ上野御徒町緑化工事、東日本電気エンジニアリング(株)東京支店ビル改修に伴う緑化工事の受注・施工など、多くの案件に取り組みました。また、当社が開発した暑熱対策設備を採用した、台東区の微細ミスト保守点検管理業務なども受注し、さらなる事業の広がりをみせています。
「質」を向上させ企業体力を強化する[Z軸戦略]の「Power Up Project」につきましては、4つの重要テーマに取り組んでまいりました。
「安全・品質向上」においては、「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・協力会社・従業員の「究極の安全と安心」を追求し、安全・安心で、高品質・高効率・低コストの技術・サービス・商品の提供によりお客様の満足と信頼を確保することを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「生産性向上/技術開発」においては、技術開発力の強化により、安全性、生産性の向上を図り、工事量の増大に対応するための施工力を強化するとともに、協力会社とのパートナーシップ強化により強固な施工体制の維持向上を図ることを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「働き方改革/人材育成」においては、当社がこれまで取り組んできた「人を大切にする風土づくり」をさらに推進し、「働き方改革」による働きやすい快適な職場づくりや業務の改善、実効性のある具体的な教育・訓練の強化による技術力向上、人材育成の取り組みを進めてまいりました。
「ESG」においては、ステークホルダーから信頼される「誠実な経営」を推進し、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG」を事業活動に関連付け、事業活動を通じて当社の「社会的使命」を果たすことを方針としております。このプロセスを通じ、当社の「持続的な成長」と「企業価値の向上」、そしてステークホルダーとの「共通価値の創造」に取り組んでまいりました。
以上の結果、当期の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う設備投資の抑制などの影響により、受注高は122,406百万円(前期比11,911百万円減少)となりました。
売上高は各種繰越工事が順調に進捗したものの、建築事業の前期大型工事の反動減もあり、132,919百万円(前期比13,114百万円減少)となりました。
利益につきましては、売上総利益は21,729百万円(前期比899百万円減少)、営業利益は13,915百万円(前期比942百万円減少)、経常利益は14,293百万円(前期比1,054百万円減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,689百万円(前期比968百万円減少)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響については、当連結会計年度における当社グループへの影響は軽微でありますが、経済への影響は翌連結会計年度の一定期間にわたり継続することが考えられ、鉄道関連分野の設備投資の抑制や先送り、民間建設投資の大幅な下振れ等による受注高の減少、感染予防対策・工期延伸等による費用の増加等が懸念されます。なお、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの仮定と異なる場合があります。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(土木事業)
受注高は86,222百万円(前期比7.9%減)、売上高は89,888百万円(前期比0.3%増)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は53,809百万円であり、次期繰越高は53,500百万円となりました。
セグメント利益は8,728百万円(前期比2.9%増)となりました。
(建築事業)
受注高は36,183百万円(前期比11.2%減)、売上高は33,405百万円(前期比30.4%減)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は23,501百万円であり、次期繰越高は25,298百万円となりました。
セグメント利益は4,144百万円(前期比25.2%減)となりました。
(その他)
売上高は9,625百万円(前期比14.5%増)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
セグメント利益は1,024百万円(前期比25.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当期末の資産合計は前期比3,648百万円減少し141,701百万円となりました。これは、売上高減少に伴う受取手形・完成工事未収入金等の減少等によるものであります。
負債合計は、前期比11,012百万円減少し44,946百万円となりました。これは、工事量減少に伴う支払手形・工事未払金等の減少等によるものであります。
その結果、純資産合計は前期比7,364百万円増加し96,754百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の60.7%から67.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期比14,219百万円増加し31,694百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の回収等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比13,055百万円収入増加の21,116百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比758百万円支出減少の3,659百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比191百万円支出増加の3,238百万円の支出となりました。
当社グループの資金の源泉は、主として国内事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローによる収入からなります。資金の主要な使途は、材料費・外注費、設備投資等であります。
流動性については、事業活動を行う上で十分な運転資金を確保していきますが、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等、万一の緊急時における資金調達に備えるため、金融機関より随時利用可能な借入枠を確保しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 受注実績
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | ||
土木事業 | 93,580 | 86,222 | ( △7.9 | %) |
建築事業 | 40,737 | 36,183 | (△11.2 | %) |
合計 | 134,317 | 122,406 | ( △8.9 | %) |
② 売上実績
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | ||
土木事業 | 89,619 | 89,888 | ( 0.3 | %) |
建築事業 | 48,005 | 33,405 | (△30.4 | %) |
報告セグメント 計 | 137,624 | 123,294 | (△10.4 | %) |
その他 | 8,410 | 9,625 | ( 14.5 | %) |
合計 | 146,034 | 132,919 | ( △9.0 | %) |
(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。
相 手 先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | ||
土木事業 | 東日本旅客鉄道㈱ | 79,472 | 54.4 | 77,284 | 58.1 |
建築事業 | 東日本旅客鉄道㈱ | 28,428 | 19.5 | 21,898 | 16.5 |
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別 | 区分 | 前期繰越 工事高 (百万円) | 当期受注 工事高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期完成 工事高 (百万円) | 次期繰越 工事高 (百万円) |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 53,110 | 93,184 | 146,295 | 89,222 | 57,072 |
建築工事 | 29,478 | 38,400 | 67,879 | 45,608 | 22,271 | |
計 | 82,589 | 131,584 | 214,174 | 134,830 | 79,343 | |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 土木工事 | 57,072 | 86,030 | 143,102 | 89,602 | 53,500 |
建築工事 | 22,271 | 34,524 | 56,796 | 31,880 | 24,916 | |
計 | 79,343 | 120,554 | 199,898 | 121,482 | 78,416 |
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別しております。
期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 79.7 | 20.3 | 100 |
建築工事 | 40.3 | 59.7 | 100 | |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 土木工事 | 64.8 | 35.2 | 100 |
建築工事 | 40.5 | 59.5 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
期別 | 区分 | 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | 計 (百万円) |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 8,175 | 81,047 | 89,222 |
建築工事 | 1,608 | 43,999 | 45,608 | |
計 | 9,784 | 125,046 | 134,830 | |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 土木工事 | 10,491 | 79,111 | 89,602 |
建築工事 | 544 | 31,335 | 31,880 | |
計 | 11,035 | 110,447 | 121,482 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
東日本旅客鉄道㈱ | 常磐線竜田・浪江間土木構造物災害復旧工事(Ⅱ工区) |
群馬県 高崎市 | 高崎芸術劇場建設工事 |
大京・リゾン共同企業体 | ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス新築工事 |
日本ホテル㈱ | 五反田駅東口ビル(仮称)新築工事(A2-1) |
日本ホテル㈱ | 秋葉原ホテル新築A2工事 |
当事業年度
東日本旅客鉄道㈱ | 機械設備技術研修センター(仮称)ほか1棟新築その他工事 |
㈱ジェイアール東日本都市開発 | 東海道本線有楽町・新橋駅間 内山下町橋高架下開発 新築工事 |
ジェイアールバス関東㈱ | 東京支店事務所新築その他工事 |
㈱アトレ | 信濃町店1・2階改装工事 |
大成有楽不動産㈱ | (仮称)宮前区宮崎二丁目計画新築工事 |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||||
相手先 | 金額 (百万円) | 割合(%) | 相手先 | 金額 (百万円) | 割合(%) |
東日本旅客鉄道㈱ | 107,421 | 79.7 | 東日本旅客鉄道㈱ | 99,152 | 81.6 |
④ 次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
土木工事 | 17,067 | 36,432 | 53,500 |
建築工事 | 443 | 24,473 | 24,916 |
計 | 17,510 | 60,905 | 78,416 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
東京都 財務局 | 谷沢川分水路工事 | 2023年9月完成予定 |
東京都 財務局 | 境川金森調節池工事その2 | 2024年11月完成予定 |
トーセイ㈱ | (仮称)築地ホテル計画新築工事(設計・施工) | 2023年3月完成予定 |
鉄道・運輸機構 | 中央新幹線、釜無川橋りょう他 | 2025年8月完成予定 |
東日本旅客鉄道㈱ | 千葉支社管内高架橋耐震補強他工事(第5工区) | 2025年3月完成予定 |
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.工事原価総額
完成工事高及び完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高の計上においては工事原価総額の見積りにより収益に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書に基づく見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しており、計上額が妥当であることを検証しております。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の工事原価総額は見積金額と異なる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症は収束まで長期間を要することが想定されているものの当社グループの工事の状況から判断し、当連結会計年度末時点で受注・着工済の工事については、工事の中断や工期の大幅な延長といった新型コロナウイルス感染症に起因する工事原価総額の重要な増加要因はないとの仮定に基づき、工事原価総額を見積もっております。
b.工事損失引当金
受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等)から過去の実績を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、協力会社との外注契約の締結等による原価変動が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。