有価証券報告書-第76期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いている中、一部持ち直しの動きが続きましたが、今後の見通しは引き続き不透明な状況となっております。
当業界におきましては、昨年4月の緊急事態宣言発令以降、内食需要の高まりと買い置き需要により、コンシューマ商品が伸長する一方で、外食需要の低迷により業務用商品が苦戦するという状況が続いており、新型コロナウイルス感染症の拡大やワクチン接種の状況次第でこの傾向が更に長期化する懸念が出ています。
このような中、当社グループは、2018 年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」「消費者との対話を通じた価値の創造」「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」「海外市場展開のギア・チェンジ」「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。国内における具体的施策としては、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要増加に対応した安定供給体制を維持するとともに、バーチャル展示会をイメージしたマーケティングコミュニティサイトやリモートプレゼンシステムなどのニューノーマルに対応したコンテンツの充実、買い置き需要に向けたジッパー付き大袋商品や作り立てのようなおいしさを実現した常温商品の投入、伸長する量販チャネルに向けた販売体制の見直しなどに取り組みました。また、DBJ Green Building 認証制度において5つ星を取得しております新球場(ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコン フィールド HOKKAIDO))建設に関する支出に充当するため、サステナビリティボンドを2021年2月に発行しました。海外においては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えるための対応策を講じるとともに、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比4.4%減の1,176,101百万円となりました。事業利益は対前年同期比19.8%増の52,426百万円、税引前当期利益は第3四半期連結会計期間においてPanus Poultry Group社に対する投資及び無形資産に係る減損損失として7,076百万円をその他の費用及び持分法による投資利益に計上したものの、前第2四半期連結会計期間において選択定年制度拡充による特例加算金等8,472百万円をその他の費用に計上していたことなどにより、対前年同期比80.8%増の48,874百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比69.8%増の32,616百万円となりました。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
当社グループは、2020年4月1日付で「関連企業本部」を「乳製品・水産事業部」に名称変更し、加工事業本部に統合しました。なお、前年同期比との比較については、前連結会計年度の数値を、当連結会計年度のセグメント区分に基づき、組替えた数値で比較をしております。
[加工事業本部]
ハム・ソーセージ部門においては、大手CVSや外食チャネル向けの売上げが減少しましたが、主力の「シャウエッセン」が好調に推移し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を上回りました。一方、歳暮商戦においては、リニューアルした「本格派」が堅調に推移しましたが、市場全体の落ち込みの影響などにより、売上げは前年を下回りました。
加工食品部門においては、「石窯工房」を含むピザ群や、有名タレントを起用したTVCMで「中華名菜」を含むワンクック群が伸長したことにより、コンシューマ商品の売上げは前年を上回りましたが、ラーメン店向けのエキス加工品や居酒屋チェーンなどの外食チャネル向けを含む業務用商品の売上げが減少したことにより、加工食品部門全体の売上げは前年を下回りました。
乳製品部門においては、ヨーグルト・乳酸菌飲料では、主力の「バニラヨーグルト」が好調に推移し、量販店チャネル向けを中心に売上げが伸長しましたが、業務用チーズの製パンルートやCVSベンダー向けの売上げの落ち込みをカバーできず、乳製品部門全体の売上げは前年を下回りました。
水産部門においては、寿司種や年末向けのカニなどの高価格商品の拡販に努め、量販店チャネル向けの売上げは伸長しましたが、寿司店を含む外食チャネル向けの売上げが苦戦し、水産部門全体の売上げは前年を下回りました。
加工事業本部全体の売上げは、新型コロナウイルス感染症に伴う内食需要の高まりにより、コンシューマ商品は前年を上回りましたが、外食需要の低迷で業務用商品が前年を下回り、加工事業本部全体での売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、主力ブランド商品の伸長に伴う売上単価上昇で粗利益率が改善したことに加え、販売費及び一般管理費などのコスト低減により、加工事業本部全体での利益は増益となりました。
以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比1.6%減の523,915百万円、事業利益は対前年同期比34.7%増の17,908百万円となりました。
[食肉事業本部]
食肉事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、各地の量販店において、内食需要を捉え、3~5月の桜前線と連動したキャンペーンを行い、生活者の皆様とのコミュニケーション及びブランド食肉の浸透に努めた結果、国産鶏肉・国産豚肉の販売は伸長したものの、輸入食肉を中心とした外食・卸売向け需要は回復せず、売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、生産部門では、国内において鳥インフルエンザや豚熱などの家畜疾病がまん延する中、防疫体制に細心の注意を払い、供給量の維持に努めるとともに、生産性の改善にも注力しました。また、国内における鶏出荷羽数の増加に加え、国産鶏肉・国産豚肉の相場が堅調に推移しました。販売部門では、中国の買付け量増加、アフリカ豚熱の拡大、新型コロナウイルス感染症による海外調達工場の一時稼働停止、輸入食肉の入船遅れなどの環境変化に対し、当社の強みである幅広いエリアでの調達網・提携先とのネットワークを活かした調達・販売に努めました。また、当社のブランド食肉である国産鶏肉「桜姫」、国産豚肉「麦小町」、北米産豚肉「セントエスプリ」、「カリフォルニアポーク」などの販売に注力し、大袋による食肉販売や家庭用焼肉商材など、変化する需要にあわせた提案も積極的に実施いたしました。これらの結果、利益は前年を上回りました。
以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比3.6%減の728,655百万円、事業利益は対前年同期比28.9%増の41,113百万円となりました。
[海外事業本部]
売上高につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの販売数量の低迷が続いたことや、ベトナム、トルコでの新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みが続いたことにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での豚肉輸出数量や量販店での加工食品の販売数量が順調に推移したことに加えて、チリやメキシコにおいても豚肉輸出数量が順調に推移したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおいて牛集荷頭数の減少や中国向けの需要減少が続いたことに加えて、ウルグアイにおいても中国向けの販売数量減少により、前年を下回りました。
利益につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの製造数量減少や、トルコでの低調な販売単価と飼料価格高が続いたことなどにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での加工食品が順調に数量を維持したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおける牛集荷価格の高値継続や集荷頭数の減少で集荷環境の低調な状況が続き、中国を中心とした販売価格も低調であったことなどにより、前年を下回りましたが、ウルグアイにおいては牛集荷価格が落ち着き、また中国向けをはじめとする輸出の販売単価が回復傾向にあることにより、前年を上回りました。
以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比12.2%減の223,932百万円、事業損失は94百万円(前期は1,849百万円の事業利益)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売数量が減少したことにより、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.3%減の1,064,478百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売数量が減少したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比13.7%減の111,623百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比7.4%増の825,405百万円となりました。資産の部では、営業債権及びその他の債権が前年同期末比2.4%減の127,067百万円、棚卸資産が前年同期末比5.8%減の107,906百万円となりましたが、現金及び現金同等物が前年同期末比15.8%増の83,831百万円、その他の金融資産が前年同期末比28.9%増の15,082百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比2.9%増の366,028百万円となりました。非流動資産は、持分法で会計処理されている投資が前年同期末比35.2%減の9,011百万円となりましたが、その他の非流動資産が前年同期末比97.9%増の12,601百万円となったことなどにより、前年同期末比11.2%増の459,377百万円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務が前年同期末比0.8%減の98,983百万円となりましたが、有利子負債が前年同期末比9.8%増の193,750百万円、未払法人所得税が前年同期末比206.7%増の9,748百万円となったことなどにより、前年同期末比8.2%増の381,096百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が26,559百万円増加したことなどにより、前年同期末比7.2%増の433,595百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.1ポイント減の52.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ11,432百万円増加し、83,831百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 82,518百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、その他の資産の増加8,815百万円、法人所得税の支払額10,343百万円などがありましたが、税引前当期利益48,874百万円、減価償却費及び償却費34,109百万円などにより、82,518百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、65,464百万円の純キャッシュ増)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 57,827百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得59,398百万円などにより、57,827百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、36,728百万円の純キャッシュ減)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 14,934百万円の純キャッシュ減
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務による調達70,393百万円、自己株式の売却187百万円などがありましたが、現金配当9,269百万円、借入債務の返済66,351百万円などにより、14,934百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、3,077百万円の純キャッシュ減)。
③生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績(製造原価ベース)
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」は2021年3月期に最終年度を迎えました。「中期経営計画2020」では、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギア・チェンジ」、「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。
「中期経営計画2020」の成果は以下の通りとなります。
「既存事業の効率化による収益力の強化」については、加工事業で主力ブランド拡販による収益性の向上、関連企業本部との統合によるシナジー効果の発現をしました。課題としては、統合により立ち上げた6つのプロジェクトの効果の刈取り、営業体制の見直しと強みのある領域への集中化となります。食肉事業は、川上事業の老朽化施設整備による生産体制の拡充、物流中継拠点の整備、物流機能の拡充・安定化を実施しました。課題としては、相場影響を最小化するため、収益性の高いブランド食肉を拡充、外部環境の変化に機敏に対応できるチャネルミックス戦略、生産事業のさらなる生産性向上となります。
「海外売上高の早期拡大」を掲げた海外事業本部においては、豪州事業や米国国内の加工事業の内部改善などによる改善効果の発現、米国における加工事業の伸長を実施しました。課題としては、有望な成長領域の見直しが必要であり、ウルグアイの牛肉事業の収益改善と、海外売上高(現地販売、第三国販売)の拡大となります。
「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」については、培養肉の研究開発をスタートさせました。スマート養豚は、AIのカメラ分析によるオペレーションが人のレベルまで近づいており、早期実用化を実現して国内畜産業界の生産性向上に寄与したいと考えます。また、疲労回復のサプリメントとして商品化している鶏胸肉由来のイミダゾールジペプチドの特許を取得し早期に製品化を目指します。
「中期経営計画2020」の策定時の目標とする経営指標としては、連結売上高1兆4,100億円、事業利益560億円、売上高事業利益率4.0%、ROE7.0%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては、連結売上高1兆1,761億円、事業利益524億円、売上高事業利益率4.5%、ROE7.8%となり、「未来につなげる仕組み作り」をテーマに経営方針・施策は着実に進展し収益力の強化については改善が見られましたが、外部環境への機敏な対応力を高めることが課題と認識しております。
ニッポンハムグループは、企業理念である「食べる喜び」を創造するため、時代に応じた価値を提供することで、事業領域を拡大し、成長してまいりました。当社グループを取り巻く環境は急速に変化するなか、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」」“たんぱく質を、もっと自由に。”を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。
「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指してまいります。
さらなる成長に向けて、既存事業の構造改革と強化に加え、「海外」や「新領域」での成長が不可欠と考えており、培ってきた強みを総動員してまいります。併せて、気候変動問題、労働力不足問題など、さまざまな課題に対応しながら、リスクの低減と機会の拡大を図るサステナブルな事業モデルへのシフトを進めてまいります。
また、戦略推進を支える経営基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」を推進するとともに、コーポレート・ガバナンスを継続的に強化してまいります。
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
[加工事業本部]
加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症による今後の需給動向が不透明な中、原料、燃料価格の高騰や人件費・物流費の上昇など、厳しい環境が続くことが予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」「マーケティング視点での事業拡大」「環境対応と収益性の両立」「事業の軌道化」「成長戦略を支える基盤強化」の5つの方針に沿って、事業戦略を実行してまいります。「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」では、全社視点での最適な製造体制の構築や商品ポートフォリオの最適化とライン統廃合による合理化、技術革新による生産の標準化などに、「マーケティング視点での事業拡大」では、顧客視点でのマーケティングプロセスの実践や既存ブランド・育成ブランドの拡大と定着、組織統合によるシナジーの発揮などに、「環境対応と収益性の両立」では、包装資材使用量やCO2 排出量、食品ロスの削減などに、「事業の軌道化」では、課題事業の収益性向上に、「成長戦略を支える基盤強化」では、組織風土改革、人財育成・獲得、内部統制の高度化などに取り組んでまいります。
[食肉事業本部]
食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易協定の拡大や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「調達力の強化」「販売力の強化」「基盤強化」を基本方針とし、「調達力の強化」では、国内食肉は、自社農場の生産性向上を図るとともに、社外との連携強化や提携などにより安定調達を目指してまいります。輸入食肉は、高品質・安定調達のための既存調達先との連携を強化するとともに、調達リスクを分散するため、新規調達国の開拓を進めてまいります。「販売力の強化」では、重点チャネル攻略によるシェア・収益の拡大、ブランド食肉や付加価値商品の開発による競争力・粗利益率の向上に、「基盤強化」では、人財育成と機能配置の最適化による個の強化と、食肉マーケティング推進室を中心として社内の他部門との連携を図る組織強化により、国内販売シェアを高めてまいります。
[海外事業本部]
海外事業本部につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めるともに、「中期経営計画2023」においては、「既存事業の構造改革」「対日向けの加工品・食肉の開発と供給体制の強化」「国外での加工品販売の強化」「成長戦略を支える基盤強化」を基本方針として、構造改革による安定的収益基盤の強化を進めつつ、対日向け・現地内販それぞれの販売拡大を図るとともに、人財育成とガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
また、当社グループの永続的な発展に向け、機能戦略の最重要課題として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組むとともに、部門を横断する4つの経営課題(事業横断戦略、新規事業、北海道プロジェクト、コーポレートコミュニケーション)についても、全社視点で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いている中、一部持ち直しの動きが続きましたが、今後の見通しは引き続き不透明な状況となっております。
当業界におきましては、昨年4月の緊急事態宣言発令以降、内食需要の高まりと買い置き需要により、コンシューマ商品が伸長する一方で、外食需要の低迷により業務用商品が苦戦するという状況が続いており、新型コロナウイルス感染症の拡大やワクチン接種の状況次第でこの傾向が更に長期化する懸念が出ています。
このような中、当社グループは、2018 年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」「消費者との対話を通じた価値の創造」「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」「海外市場展開のギア・チェンジ」「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。国内における具体的施策としては、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要増加に対応した安定供給体制を維持するとともに、バーチャル展示会をイメージしたマーケティングコミュニティサイトやリモートプレゼンシステムなどのニューノーマルに対応したコンテンツの充実、買い置き需要に向けたジッパー付き大袋商品や作り立てのようなおいしさを実現した常温商品の投入、伸長する量販チャネルに向けた販売体制の見直しなどに取り組みました。また、DBJ Green Building 認証制度において5つ星を取得しております新球場(ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコン フィールド HOKKAIDO))建設に関する支出に充当するため、サステナビリティボンドを2021年2月に発行しました。海外においては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えるための対応策を講じるとともに、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比4.4%減の1,176,101百万円となりました。事業利益は対前年同期比19.8%増の52,426百万円、税引前当期利益は第3四半期連結会計期間においてPanus Poultry Group社に対する投資及び無形資産に係る減損損失として7,076百万円をその他の費用及び持分法による投資利益に計上したものの、前第2四半期連結会計期間において選択定年制度拡充による特例加算金等8,472百万円をその他の費用に計上していたことなどにより、対前年同期比80.8%増の48,874百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比69.8%増の32,616百万円となりました。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
当社グループは、2020年4月1日付で「関連企業本部」を「乳製品・水産事業部」に名称変更し、加工事業本部に統合しました。なお、前年同期比との比較については、前連結会計年度の数値を、当連結会計年度のセグメント区分に基づき、組替えた数値で比較をしております。
[加工事業本部]
ハム・ソーセージ部門においては、大手CVSや外食チャネル向けの売上げが減少しましたが、主力の「シャウエッセン」が好調に推移し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を上回りました。一方、歳暮商戦においては、リニューアルした「本格派」が堅調に推移しましたが、市場全体の落ち込みの影響などにより、売上げは前年を下回りました。
加工食品部門においては、「石窯工房」を含むピザ群や、有名タレントを起用したTVCMで「中華名菜」を含むワンクック群が伸長したことにより、コンシューマ商品の売上げは前年を上回りましたが、ラーメン店向けのエキス加工品や居酒屋チェーンなどの外食チャネル向けを含む業務用商品の売上げが減少したことにより、加工食品部門全体の売上げは前年を下回りました。
乳製品部門においては、ヨーグルト・乳酸菌飲料では、主力の「バニラヨーグルト」が好調に推移し、量販店チャネル向けを中心に売上げが伸長しましたが、業務用チーズの製パンルートやCVSベンダー向けの売上げの落ち込みをカバーできず、乳製品部門全体の売上げは前年を下回りました。
水産部門においては、寿司種や年末向けのカニなどの高価格商品の拡販に努め、量販店チャネル向けの売上げは伸長しましたが、寿司店を含む外食チャネル向けの売上げが苦戦し、水産部門全体の売上げは前年を下回りました。
加工事業本部全体の売上げは、新型コロナウイルス感染症に伴う内食需要の高まりにより、コンシューマ商品は前年を上回りましたが、外食需要の低迷で業務用商品が前年を下回り、加工事業本部全体での売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、主力ブランド商品の伸長に伴う売上単価上昇で粗利益率が改善したことに加え、販売費及び一般管理費などのコスト低減により、加工事業本部全体での利益は増益となりました。
以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比1.6%減の523,915百万円、事業利益は対前年同期比34.7%増の17,908百万円となりました。
[食肉事業本部]
食肉事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、各地の量販店において、内食需要を捉え、3~5月の桜前線と連動したキャンペーンを行い、生活者の皆様とのコミュニケーション及びブランド食肉の浸透に努めた結果、国産鶏肉・国産豚肉の販売は伸長したものの、輸入食肉を中心とした外食・卸売向け需要は回復せず、売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、生産部門では、国内において鳥インフルエンザや豚熱などの家畜疾病がまん延する中、防疫体制に細心の注意を払い、供給量の維持に努めるとともに、生産性の改善にも注力しました。また、国内における鶏出荷羽数の増加に加え、国産鶏肉・国産豚肉の相場が堅調に推移しました。販売部門では、中国の買付け量増加、アフリカ豚熱の拡大、新型コロナウイルス感染症による海外調達工場の一時稼働停止、輸入食肉の入船遅れなどの環境変化に対し、当社の強みである幅広いエリアでの調達網・提携先とのネットワークを活かした調達・販売に努めました。また、当社のブランド食肉である国産鶏肉「桜姫」、国産豚肉「麦小町」、北米産豚肉「セントエスプリ」、「カリフォルニアポーク」などの販売に注力し、大袋による食肉販売や家庭用焼肉商材など、変化する需要にあわせた提案も積極的に実施いたしました。これらの結果、利益は前年を上回りました。
以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比3.6%減の728,655百万円、事業利益は対前年同期比28.9%増の41,113百万円となりました。
[海外事業本部]
売上高につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの販売数量の低迷が続いたことや、ベトナム、トルコでの新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みが続いたことにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での豚肉輸出数量や量販店での加工食品の販売数量が順調に推移したことに加えて、チリやメキシコにおいても豚肉輸出数量が順調に推移したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおいて牛集荷頭数の減少や中国向けの需要減少が続いたことに加えて、ウルグアイにおいても中国向けの販売数量減少により、前年を下回りました。
利益につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの製造数量減少や、トルコでの低調な販売単価と飼料価格高が続いたことなどにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での加工食品が順調に数量を維持したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおける牛集荷価格の高値継続や集荷頭数の減少で集荷環境の低調な状況が続き、中国を中心とした販売価格も低調であったことなどにより、前年を下回りましたが、ウルグアイにおいては牛集荷価格が落ち着き、また中国向けをはじめとする輸出の販売単価が回復傾向にあることにより、前年を上回りました。
以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比12.2%減の223,932百万円、事業損失は94百万円(前期は1,849百万円の事業利益)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売数量が減少したことにより、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.3%減の1,064,478百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売数量が減少したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比13.7%減の111,623百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比7.4%増の825,405百万円となりました。資産の部では、営業債権及びその他の債権が前年同期末比2.4%減の127,067百万円、棚卸資産が前年同期末比5.8%減の107,906百万円となりましたが、現金及び現金同等物が前年同期末比15.8%増の83,831百万円、その他の金融資産が前年同期末比28.9%増の15,082百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比2.9%増の366,028百万円となりました。非流動資産は、持分法で会計処理されている投資が前年同期末比35.2%減の9,011百万円となりましたが、その他の非流動資産が前年同期末比97.9%増の12,601百万円となったことなどにより、前年同期末比11.2%増の459,377百万円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務が前年同期末比0.8%減の98,983百万円となりましたが、有利子負債が前年同期末比9.8%増の193,750百万円、未払法人所得税が前年同期末比206.7%増の9,748百万円となったことなどにより、前年同期末比8.2%増の381,096百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が26,559百万円増加したことなどにより、前年同期末比7.2%増の433,595百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.1ポイント減の52.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ11,432百万円増加し、83,831百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 82,518百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、その他の資産の増加8,815百万円、法人所得税の支払額10,343百万円などがありましたが、税引前当期利益48,874百万円、減価償却費及び償却費34,109百万円などにより、82,518百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、65,464百万円の純キャッシュ増)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 57,827百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得59,398百万円などにより、57,827百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、36,728百万円の純キャッシュ減)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 14,934百万円の純キャッシュ減
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務による調達70,393百万円、自己株式の売却187百万円などがありましたが、現金配当9,269百万円、借入債務の返済66,351百万円などにより、14,934百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、3,077百万円の純キャッシュ減)。
③生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績(製造原価ベース)
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| ハム・ソーセージ(百万円) | 104,876 | 102.2% |
| 加 工 食 品(百万円) | 180,187 | 104.4% |
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」は2021年3月期に最終年度を迎えました。「中期経営計画2020」では、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギア・チェンジ」、「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。
「中期経営計画2020」の成果は以下の通りとなります。
| 既存事業の効率化による収益力の強化 | 加工事業本部 | ・統合前の加工事業本部として中計3ヶ年累計の事業利益は当初計画の335億円を達成 ・主力ブランドでのエクステンションなどで収益性の高いコンシューマ商品を拡販 |
| 食肉事業本部 | ・中期経営計画2020から鶏肉相場の一定の影響があったが、生産体制を拡充 ・収益性の高いブランド食肉の拡販で収益性が向上 ・コロナ禍でも量販チャネルの需要増に対応し事業利益400億円レベルまで回復 | |
| 全社 | ・売上高および投下資本売上高回転率は計画未達 | |
| 海外売上高の早期拡大 | 海外事業本部 | ・豪州事業や米州内の加工事業の内部改善などによる改善効果の発現 ・米州における加工事業の伸長 |
| 消費者との対話を通じた価値の創造 | ・「未来の食卓市場予測」の作成やビッグデータの解析などで、商品開発力や販売促進が向上 | |
| 食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成 | ・将来に向けた動物性たんぱく質の供給責任を果たすべく、研究を進める スマート養豚プロジェクトをスタート 国内ミートレス市場への参入 培養肉の研究開発スタート イミダゾールジペプチドの特許取得 | |
| 持続可能性(サステナビリティ)の追求 | ・事業活動を通じた社会課題の解決に向けた取り組みを実施 TCFDの提言に賛同表明 RSPOへの加盟 CSR調達への対応 | |
「既存事業の効率化による収益力の強化」については、加工事業で主力ブランド拡販による収益性の向上、関連企業本部との統合によるシナジー効果の発現をしました。課題としては、統合により立ち上げた6つのプロジェクトの効果の刈取り、営業体制の見直しと強みのある領域への集中化となります。食肉事業は、川上事業の老朽化施設整備による生産体制の拡充、物流中継拠点の整備、物流機能の拡充・安定化を実施しました。課題としては、相場影響を最小化するため、収益性の高いブランド食肉を拡充、外部環境の変化に機敏に対応できるチャネルミックス戦略、生産事業のさらなる生産性向上となります。
「海外売上高の早期拡大」を掲げた海外事業本部においては、豪州事業や米国国内の加工事業の内部改善などによる改善効果の発現、米国における加工事業の伸長を実施しました。課題としては、有望な成長領域の見直しが必要であり、ウルグアイの牛肉事業の収益改善と、海外売上高(現地販売、第三国販売)の拡大となります。
「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」については、培養肉の研究開発をスタートさせました。スマート養豚は、AIのカメラ分析によるオペレーションが人のレベルまで近づいており、早期実用化を実現して国内畜産業界の生産性向上に寄与したいと考えます。また、疲労回復のサプリメントとして商品化している鶏胸肉由来のイミダゾールジペプチドの特許を取得し早期に製品化を目指します。
「中期経営計画2020」の策定時の目標とする経営指標としては、連結売上高1兆4,100億円、事業利益560億円、売上高事業利益率4.0%、ROE7.0%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては、連結売上高1兆1,761億円、事業利益524億円、売上高事業利益率4.5%、ROE7.8%となり、「未来につなげる仕組み作り」をテーマに経営方針・施策は着実に進展し収益力の強化については改善が見られましたが、外部環境への機敏な対応力を高めることが課題と認識しております。
ニッポンハムグループは、企業理念である「食べる喜び」を創造するため、時代に応じた価値を提供することで、事業領域を拡大し、成長してまいりました。当社グループを取り巻く環境は急速に変化するなか、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」」“たんぱく質を、もっと自由に。”を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。
「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指してまいります。
さらなる成長に向けて、既存事業の構造改革と強化に加え、「海外」や「新領域」での成長が不可欠と考えており、培ってきた強みを総動員してまいります。併せて、気候変動問題、労働力不足問題など、さまざまな課題に対応しながら、リスクの低減と機会の拡大を図るサステナブルな事業モデルへのシフトを進めてまいります。
また、戦略推進を支える経営基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」を推進するとともに、コーポレート・ガバナンスを継続的に強化してまいります。
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
[加工事業本部]
加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症による今後の需給動向が不透明な中、原料、燃料価格の高騰や人件費・物流費の上昇など、厳しい環境が続くことが予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」「マーケティング視点での事業拡大」「環境対応と収益性の両立」「事業の軌道化」「成長戦略を支える基盤強化」の5つの方針に沿って、事業戦略を実行してまいります。「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」では、全社視点での最適な製造体制の構築や商品ポートフォリオの最適化とライン統廃合による合理化、技術革新による生産の標準化などに、「マーケティング視点での事業拡大」では、顧客視点でのマーケティングプロセスの実践や既存ブランド・育成ブランドの拡大と定着、組織統合によるシナジーの発揮などに、「環境対応と収益性の両立」では、包装資材使用量やCO2 排出量、食品ロスの削減などに、「事業の軌道化」では、課題事業の収益性向上に、「成長戦略を支える基盤強化」では、組織風土改革、人財育成・獲得、内部統制の高度化などに取り組んでまいります。
[食肉事業本部]
食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易協定の拡大や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「調達力の強化」「販売力の強化」「基盤強化」を基本方針とし、「調達力の強化」では、国内食肉は、自社農場の生産性向上を図るとともに、社外との連携強化や提携などにより安定調達を目指してまいります。輸入食肉は、高品質・安定調達のための既存調達先との連携を強化するとともに、調達リスクを分散するため、新規調達国の開拓を進めてまいります。「販売力の強化」では、重点チャネル攻略によるシェア・収益の拡大、ブランド食肉や付加価値商品の開発による競争力・粗利益率の向上に、「基盤強化」では、人財育成と機能配置の最適化による個の強化と、食肉マーケティング推進室を中心として社内の他部門との連携を図る組織強化により、国内販売シェアを高めてまいります。
[海外事業本部]
海外事業本部につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めるともに、「中期経営計画2023」においては、「既存事業の構造改革」「対日向けの加工品・食肉の開発と供給体制の強化」「国外での加工品販売の強化」「成長戦略を支える基盤強化」を基本方針として、構造改革による安定的収益基盤の強化を進めつつ、対日向け・現地内販それぞれの販売拡大を図るとともに、人財育成とガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
また、当社グループの永続的な発展に向け、機能戦略の最重要課題として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組むとともに、部門を横断する4つの経営課題(事業横断戦略、新規事業、北海道プロジェクト、コーポレートコミュニケーション)についても、全社視点で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。