四半期報告書-第74期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。なお、当社グループは第1四半期連結累計期間より、従来の米国会計基準に替えてIFRSを適用しており、前第3四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っております。
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、雇用や所得環境の改善が続き、景気は緩やかに回復してきました。その一方で、世界経済の先行きや、政策に関する不確実性、通商問題に起因する金融資本市場の変動など、経済環境は依然として予断を許さない状況が続いています。
当業界におきましては、一部原材料価格の上昇や人手不足を背景とした人件費、物流費の上昇、販売競争の激化など、引き続き厳しい経営環境が続きました。
このような中、当社グループは、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、前期までに推進してきた成長戦略をさらに加速させるだけでなく、当社グループが将来にわたり事業を継続し、また持続可能な社会の実現に向け食と健康の面から貢献するために、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギアチェンジ」、「持続可能性(サスティナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。具体的施策としては、国内ファーム事業の強化、食物アレルギー対応商品専用工場の増築、加工食品製造工場やヨーグルト・乳酸菌飲料製造工場の新設、人材の育成やリスク管理の徹底などに取り組みました。海外においては、オーストラリアにおける牛肉事業の収益性改善に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、対前年同四半期比2.1%減の953,761百万円となりました。なお、利益につきましては、第2四半期連結会計期間に台風21号及び北海道胆振東部地震の影響による棚卸資産の評価損及び固定資産減損損失を計上した事などから、営業利益は対前年同四半期比29.0%減の33,861百万円、税引前四半期利益は対前年同四半期比34.3%減の34,684百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は対前年同四半期比33.6%減の24,046百万円となりました。
(注)営業利益は日本の会計慣行に従い、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
① 加工事業本部
ハム・ソーセージ部門は、コンシューマ商品では、積極的な店頭販促を実施した「シャウエッセン」が堅調に推移した他、包装形態を変更し使い勝手を良くした「アンティエ」等の主要ブランドが順調に伸長しましたが、PB商品が伸び悩み、前年を下回りました。歳暮商戦では、「日本ギフト大賞プレミアムギフト賞」を受賞した旗艦ブランドの「美ノ国」を中心に店頭販促を展開し、「美ノ国」は堅調に推移しましたが、歳暮市場全体の落込みや宅配料金の値上げなどの影響により、ギフト全体の売上げは減少しました。業務用商品では、低収益商品の見直しなどにより販売数量が減少し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を下回りました。
加工食品部門は、コンシューマ商品では、主力の「中華名菜」に加え、「シャウエッセンピザ」などの新商品をシリーズに加えた「石窯工房」が好調に推移し、前年を上回りました。業務用商品では、大手外食チェーン向けの売上げが苦戦しましたが、加工食品部門全体の売上げは、前年を上回りました。
利益につきましては、物流コストや電気、燃料費などが上昇しましたが、効率的な販促経費の運用や、製造部門において、稼動の平準化や製造ラインの省人化の取組みなどを行い増益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の加工事業本部の売上高は対前年同四半期比0.6%減の273,046百万円、営業利益は対前年同四半期比5.8%増の7,866百万円となりました。
② 食肉事業本部
食肉事業においては、「桜姫」「麦小町」など当社ブランド食肉を中心に、北海道・東北エリアのTVCM、消費者向けキャンペーン、店頭販促など積極的な提案・営業活動を行いましたが、国産豚肉、国産鶏肉相場が前年に比べ下落したことや、加工原料向け輸入豚肉の販売量が減少したこと、輸入鶏肉の国内供給量が増加し価格が軟調に推移したことなどにより、売上高は減収となりました。
利益につきましては、生産部門においては、飼育成績やブランド食肉比率の向上、最新設備導入による処理能力向上などに努めましたが、国産豚肉、国内鶏肉の相場下落や飼料価格の上昇による影響が大きく、減益となりました。販売部門においては、量販店へのブランド食肉の販売強化や外食向けの営業体制の整備、顧客ニーズに基づく食肉加工品の販売など需要に合わせた商品提案を行いましたが、国産牛肉相場が高値で継続したことや、輸入牛肉におけるアジアでの旺盛な需要を背景とした生産地での価格の高騰、輸入鶏肉相場の下落などが利益を圧迫し、全体で減益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の食肉事業本部の売上高は対前年同四半期比3.0%減の583,262百万円、営業利益は対前年同四半期比25.9%減の28,703百万円となりました。
③ 関連企業本部
水産部門は、主力の海老、鮪を中心とした寿司種の拡販に努め、回転寿司店向けの売上げが伸長しましたが、低収益商品のアイテム削減を進めたことや、相場高騰と競争激化による水産原料の販売苦戦により、量販店チャネル、寿司店以外の外食店チャネルへの販売が減少し、売上げは前年を下回りました。
乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、主力のバニラヨーグルトは堅調に推移しましたが、スムージーシリーズを中心とした乳酸菌飲料やドリンクヨーグルトの販売が競争激化により苦戦したことで、売上げは前年を下回りました。チーズは、コンシューマ商品では年末需要でカップ製品が伸長したもののベビーチーズは苦戦し、また業務用商品では、製パン向けや外食向けの販売が伸び悩み、売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、水産部門では寿司種を中心に価格改定を進めたことや、低収益商品のアイテムを削減したことにより粗利益率が改善し前年を上回りました。乳製品部門では、原材料価格の上昇や、人件費などの経費が増加したことなどにより、前年を下回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の関連企業本部の売上高は対前年同四半期比5.2%減の121,706百万円、営業利益は対前年同四半期比56.5%減の1,068百万円となりました。
④ 海外事業本部
売上高につきましては、アジア・欧州事業では、トルコや中国において内販が伸長しましたが、タイからの日本向け売上げが減少したことにより、前年を下回りました。米州事業は、順調な食肉輸出と国内販売の伸長により、前年を上回りました。豪州事業は、日本やアジア向けの牛肉輸出が好調に推移し、前年を上回りました。
利益につきましては、アジア・欧州事業は、タイでの加工食品の製造数量増加や中国における販売数量の増加、英国における食肉調達コストが安定したことにより、前年を上回りました。米州事業は、食肉輸出が増加したことや、米国内販売での仕入原価が低減したことなどにより粗利益が改善し、前年を上回りました。豪州事業は、オーストラリアでの生産コストの改善が進んだことや、生体牛の集荷が順調だったこと、また安定した販売価格が維持できたことから、前年を上回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の海外事業本部の売上高は対前年同四半期比1.8%増の197,459百万円、営業損失は1,958百万円(前年同四半期は3,033百万円の営業損失)となりました。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ現金及び現金同等物が12,186百万円減少しましたが、営業債権及びその他の債権が36,452百万円、有形固定資産が14,213百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比5.8%増の776,969百万円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べその他の流動負債が7,808百万円減少しましたが、有利子負債が32,650百万円、営業債務及びその他の債務が18,872百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比11.3%増の346,769百万円となりました。なお、有利子負債は144,051百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は1.8%増の425,452百万円となりましたが、総資産が増加したことから親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比2.1ポイント減の54.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権の増加36,544百万円、法人所得税の支払額15,905百万円などがありましたが、税引前利益34,684百万円、営業債務及びその他の債務の増加19,003百万円、減価償却費及び償却費16,807百万円などにより、4,252百万円の純キャッシュ増(前年同四半期は13,672百万円の純キャッシュ増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産等の取得37,679百万円などにより、35,497百万円の純キャッシュ減(前年同四半期は30,322百万円の純キャッシュ減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務の返済11,849百万円、現金配当11,403百万円などがありましたが、短期借入金の増加36,295百万円などにより、18,975百万円の純キャッシュ増(前年同四半期は25,416百万円の純キャッシュ減)となりました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ12,186百万円減少し、46,104百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は事業及び財務の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社の株式は譲渡自由が原則であり、株式市場を通じて多数の投資家の皆様により、自由で活発な取引をしていただいております。よって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な量の株式を取得する買付提案等があった場合は、賛同されるか否かの判断についても、最終的には株主の皆様の自由な意思に依拠すべきであると考えております。
ただし、当社は、株主共同の利益の確保と当社の企業価値の毀損防止の観点から、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための情報と時間の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値向上のため、以下の取組みを実施しております。
「当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組み」
当社は、中長期的視点による継続的な投資、長年培ってきた経験やノウハウの承継、様々なステークホルダーとの信頼関係等を基盤として、食肉事業を中心とする「食」の事業領域で、その生産から販売までの一貫体制(インテグレーション)と、そのインテグレーションを基盤とした食糧の安定供給力及び国内外で確立した品質保証体制という当社の企業価値の源泉を形成してまいりました。
当社は、それらの企業価値の源泉を基軸に、事業上及び財務上の対処すべき課題の諸施策を遂行することにより、さらなる企業価値の向上につなげてまいります。
「コーポレート・ガバナンス強化による企業価値向上の取組み」
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上させるためには、当社グループが最適と考えるガバナンス体制を構築し、機能させることが不可欠であり、基本的な考え方と枠組みをまとめた「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、公表するとともにその充実に継続的に取り組んでおります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスは、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確化することを基本としております。一例として、取締役会には複数名の社外取締役を選任するほか、取締役会の機能を補完するための任意委員会を設けており、特に、「報酬検討委員会」及び「役員指名検討委員会」については、委員の過半数を独立社外役員で構成し、かつ社外取締役を委員長としております。また、監査部監査以外に、品質、環境など機能別に実施するモニタリングの充実、社外役員を含めた全役員に重要情報(業務上の損害や事故、トラブルなどの非日常な事象に関する情報)を迅速に共有する体制の整備することで、業務執行の適正性を確保しております。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、2,345百万円です。
当第3四半期連結累計期間において、当社中央研究所とグループ会社のインターファーム㈱は㈱エヌ・ティ・ティ・データおよび㈱NTTデータSBCと連携し、IoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取り組み「スマート養豚プロジェクト」を開始しました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社グループ食肉生産事業の中長期的な取り組みとしても位置付けられております。今後、本取り組みを推進し、将来的には国内畜産の持続可能性と競争力の向上への貢献を目指してまいります。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(8)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間において著しい変動があったものは、次の通りであります
(注) 直近の業績の状況等に基づき、設備投資計画の金額を変更しています。
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、雇用や所得環境の改善が続き、景気は緩やかに回復してきました。その一方で、世界経済の先行きや、政策に関する不確実性、通商問題に起因する金融資本市場の変動など、経済環境は依然として予断を許さない状況が続いています。
当業界におきましては、一部原材料価格の上昇や人手不足を背景とした人件費、物流費の上昇、販売競争の激化など、引き続き厳しい経営環境が続きました。
このような中、当社グループは、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、前期までに推進してきた成長戦略をさらに加速させるだけでなく、当社グループが将来にわたり事業を継続し、また持続可能な社会の実現に向け食と健康の面から貢献するために、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギアチェンジ」、「持続可能性(サスティナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。具体的施策としては、国内ファーム事業の強化、食物アレルギー対応商品専用工場の増築、加工食品製造工場やヨーグルト・乳酸菌飲料製造工場の新設、人材の育成やリスク管理の徹底などに取り組みました。海外においては、オーストラリアにおける牛肉事業の収益性改善に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、対前年同四半期比2.1%減の953,761百万円となりました。なお、利益につきましては、第2四半期連結会計期間に台風21号及び北海道胆振東部地震の影響による棚卸資産の評価損及び固定資産減損損失を計上した事などから、営業利益は対前年同四半期比29.0%減の33,861百万円、税引前四半期利益は対前年同四半期比34.3%減の34,684百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は対前年同四半期比33.6%減の24,046百万円となりました。
(注)営業利益は日本の会計慣行に従い、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
① 加工事業本部
ハム・ソーセージ部門は、コンシューマ商品では、積極的な店頭販促を実施した「シャウエッセン」が堅調に推移した他、包装形態を変更し使い勝手を良くした「アンティエ」等の主要ブランドが順調に伸長しましたが、PB商品が伸び悩み、前年を下回りました。歳暮商戦では、「日本ギフト大賞プレミアムギフト賞」を受賞した旗艦ブランドの「美ノ国」を中心に店頭販促を展開し、「美ノ国」は堅調に推移しましたが、歳暮市場全体の落込みや宅配料金の値上げなどの影響により、ギフト全体の売上げは減少しました。業務用商品では、低収益商品の見直しなどにより販売数量が減少し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を下回りました。
加工食品部門は、コンシューマ商品では、主力の「中華名菜」に加え、「シャウエッセンピザ」などの新商品をシリーズに加えた「石窯工房」が好調に推移し、前年を上回りました。業務用商品では、大手外食チェーン向けの売上げが苦戦しましたが、加工食品部門全体の売上げは、前年を上回りました。
利益につきましては、物流コストや電気、燃料費などが上昇しましたが、効率的な販促経費の運用や、製造部門において、稼動の平準化や製造ラインの省人化の取組みなどを行い増益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の加工事業本部の売上高は対前年同四半期比0.6%減の273,046百万円、営業利益は対前年同四半期比5.8%増の7,866百万円となりました。
② 食肉事業本部
食肉事業においては、「桜姫」「麦小町」など当社ブランド食肉を中心に、北海道・東北エリアのTVCM、消費者向けキャンペーン、店頭販促など積極的な提案・営業活動を行いましたが、国産豚肉、国産鶏肉相場が前年に比べ下落したことや、加工原料向け輸入豚肉の販売量が減少したこと、輸入鶏肉の国内供給量が増加し価格が軟調に推移したことなどにより、売上高は減収となりました。
利益につきましては、生産部門においては、飼育成績やブランド食肉比率の向上、最新設備導入による処理能力向上などに努めましたが、国産豚肉、国内鶏肉の相場下落や飼料価格の上昇による影響が大きく、減益となりました。販売部門においては、量販店へのブランド食肉の販売強化や外食向けの営業体制の整備、顧客ニーズに基づく食肉加工品の販売など需要に合わせた商品提案を行いましたが、国産牛肉相場が高値で継続したことや、輸入牛肉におけるアジアでの旺盛な需要を背景とした生産地での価格の高騰、輸入鶏肉相場の下落などが利益を圧迫し、全体で減益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の食肉事業本部の売上高は対前年同四半期比3.0%減の583,262百万円、営業利益は対前年同四半期比25.9%減の28,703百万円となりました。
③ 関連企業本部
水産部門は、主力の海老、鮪を中心とした寿司種の拡販に努め、回転寿司店向けの売上げが伸長しましたが、低収益商品のアイテム削減を進めたことや、相場高騰と競争激化による水産原料の販売苦戦により、量販店チャネル、寿司店以外の外食店チャネルへの販売が減少し、売上げは前年を下回りました。
乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、主力のバニラヨーグルトは堅調に推移しましたが、スムージーシリーズを中心とした乳酸菌飲料やドリンクヨーグルトの販売が競争激化により苦戦したことで、売上げは前年を下回りました。チーズは、コンシューマ商品では年末需要でカップ製品が伸長したもののベビーチーズは苦戦し、また業務用商品では、製パン向けや外食向けの販売が伸び悩み、売上げは前年を下回りました。
利益につきましては、水産部門では寿司種を中心に価格改定を進めたことや、低収益商品のアイテムを削減したことにより粗利益率が改善し前年を上回りました。乳製品部門では、原材料価格の上昇や、人件費などの経費が増加したことなどにより、前年を下回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の関連企業本部の売上高は対前年同四半期比5.2%減の121,706百万円、営業利益は対前年同四半期比56.5%減の1,068百万円となりました。
④ 海外事業本部
売上高につきましては、アジア・欧州事業では、トルコや中国において内販が伸長しましたが、タイからの日本向け売上げが減少したことにより、前年を下回りました。米州事業は、順調な食肉輸出と国内販売の伸長により、前年を上回りました。豪州事業は、日本やアジア向けの牛肉輸出が好調に推移し、前年を上回りました。
利益につきましては、アジア・欧州事業は、タイでの加工食品の製造数量増加や中国における販売数量の増加、英国における食肉調達コストが安定したことにより、前年を上回りました。米州事業は、食肉輸出が増加したことや、米国内販売での仕入原価が低減したことなどにより粗利益が改善し、前年を上回りました。豪州事業は、オーストラリアでの生産コストの改善が進んだことや、生体牛の集荷が順調だったこと、また安定した販売価格が維持できたことから、前年を上回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の海外事業本部の売上高は対前年同四半期比1.8%増の197,459百万円、営業損失は1,958百万円(前年同四半期は3,033百万円の営業損失)となりました。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ現金及び現金同等物が12,186百万円減少しましたが、営業債権及びその他の債権が36,452百万円、有形固定資産が14,213百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比5.8%増の776,969百万円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べその他の流動負債が7,808百万円減少しましたが、有利子負債が32,650百万円、営業債務及びその他の債務が18,872百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比11.3%増の346,769百万円となりました。なお、有利子負債は144,051百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は1.8%増の425,452百万円となりましたが、総資産が増加したことから親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比2.1ポイント減の54.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権の増加36,544百万円、法人所得税の支払額15,905百万円などがありましたが、税引前利益34,684百万円、営業債務及びその他の債務の増加19,003百万円、減価償却費及び償却費16,807百万円などにより、4,252百万円の純キャッシュ増(前年同四半期は13,672百万円の純キャッシュ増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産等の取得37,679百万円などにより、35,497百万円の純キャッシュ減(前年同四半期は30,322百万円の純キャッシュ減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務の返済11,849百万円、現金配当11,403百万円などがありましたが、短期借入金の増加36,295百万円などにより、18,975百万円の純キャッシュ増(前年同四半期は25,416百万円の純キャッシュ減)となりました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ12,186百万円減少し、46,104百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は事業及び財務の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社の株式は譲渡自由が原則であり、株式市場を通じて多数の投資家の皆様により、自由で活発な取引をしていただいております。よって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な量の株式を取得する買付提案等があった場合は、賛同されるか否かの判断についても、最終的には株主の皆様の自由な意思に依拠すべきであると考えております。
ただし、当社は、株主共同の利益の確保と当社の企業価値の毀損防止の観点から、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための情報と時間の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値向上のため、以下の取組みを実施しております。
「当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組み」
当社は、中長期的視点による継続的な投資、長年培ってきた経験やノウハウの承継、様々なステークホルダーとの信頼関係等を基盤として、食肉事業を中心とする「食」の事業領域で、その生産から販売までの一貫体制(インテグレーション)と、そのインテグレーションを基盤とした食糧の安定供給力及び国内外で確立した品質保証体制という当社の企業価値の源泉を形成してまいりました。
当社は、それらの企業価値の源泉を基軸に、事業上及び財務上の対処すべき課題の諸施策を遂行することにより、さらなる企業価値の向上につなげてまいります。
「コーポレート・ガバナンス強化による企業価値向上の取組み」
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上させるためには、当社グループが最適と考えるガバナンス体制を構築し、機能させることが不可欠であり、基本的な考え方と枠組みをまとめた「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、公表するとともにその充実に継続的に取り組んでおります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスは、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確化することを基本としております。一例として、取締役会には複数名の社外取締役を選任するほか、取締役会の機能を補完するための任意委員会を設けており、特に、「報酬検討委員会」及び「役員指名検討委員会」については、委員の過半数を独立社外役員で構成し、かつ社外取締役を委員長としております。また、監査部監査以外に、品質、環境など機能別に実施するモニタリングの充実、社外役員を含めた全役員に重要情報(業務上の損害や事故、トラブルなどの非日常な事象に関する情報)を迅速に共有する体制の整備することで、業務執行の適正性を確保しております。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、2,345百万円です。
当第3四半期連結累計期間において、当社中央研究所とグループ会社のインターファーム㈱は㈱エヌ・ティ・ティ・データおよび㈱NTTデータSBCと連携し、IoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取り組み「スマート養豚プロジェクト」を開始しました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社グループ食肉生産事業の中長期的な取り組みとしても位置付けられております。今後、本取り組みを推進し、将来的には国内畜産の持続可能性と競争力の向上への貢献を目指してまいります。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(8)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間において著しい変動があったものは、次の通りであります
セグメントの名称 | 当連結会計年度 計画金額(百万円) | 設備等の主な内容・目的 | 資金調達方法 |
加工事業本部 | 10,200 | ハム・ソーセージ及び加工食品の生産設備及び営業設備などの増設及び更新 | 自己資金及び借入金 |
食肉事業本部 | 22,200 | 食肉の生産飼育設備、加工・処理設備及び営業設備の増設・更新及び充実 | 同上 |
海外事業本部 | 6,600 | 同上 | 同上 |
(注) 直近の業績の状況等に基づき、設備投資計画の金額を変更しています。