四半期報告書-第74期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/09 13:23
【資料】
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【項目】
14項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。なお、当社グループは当第1四半期連結累計期間より、従来の米国会計基準に替えてIFRSを適用しており、前第1四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っております。
(1)経営成績
当第1四半期連結累計期間のわが国経済は、雇用や所得環境の改善が進み、景気は緩やかな回復が続きました。その一方で、世界経済の先行きや、政策に関する不確実性に起因する為替相場の変動、通商問題の動向など、経済環境は依然として予断を許さない状況が続いています。
当業界におきましては、一部原材料価格の上昇や人件費、物流費の上昇、販売競争の激化など、引き続き厳しい経営環境が続きました。
このような中、当社グループは、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、前期までに推進してきた成長戦略をさらに加速させるだけでなく、当社グループが将来にわたり事業を継続し、また持続可能な社会の実現に向け食と健康の面から貢献するために、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギアチェンジ」、「持続可能性(サスティナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。具体的施策としては、国内ファーム事業の強化、食物アレルギー対応商品専用工場の増築、生産性の改善などコスト競争力の強化と収益力の向上、人材の育成やリスク管理の徹底などに取り組みました。海外においては、オーストラリアにおける牛肉事業の収益性改善に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、対前年同四半期比0.4%増の304,378百万円となりました。営業利益は対前年同四半期比18.5%減の13,800百万円、税引前四半期利益は対前年同四半期比2.2%減の15,268百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は対前年同四半期比7.6%増の11,105百万円となりました。
(注)営業利益は日本の会計慣行に従い、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
① 加工事業本部
ハム・ソーセージ部門の売上高は、コンシューマ商品では、TVCMを導入した「シャウエッセン」や、「豊潤あらびきウインナー」などの主力商品を中心に積極的に販促を実施し拡販に努めた事に加え、包装形態を変更し使い勝手を良くした「アンティエ」が好調に推移しましたが、「彩りキッチン」が伸び悩み、前年並みとなりました。業務用商品では、大手外食チェーン向けの商品が安定的に推移しましたが、低収益商品の見直しを行ったことから販売数量が減少し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは、微減となりました。
加工食品部門の売上高は、コンシューマ商品では、積極的に販促を行った「チキンナゲット」や、「中華名菜」が好調に推移したことに加え、ラインナップ拡充を図った「石窯工房」も堅調に推移し、前年を上回りました。業務用商品では、大手外食チェーン向けの売上げが苦戦しましたが、加工食品部門の売上げは前年を上回り、加工事業本部全体では微増となりました。
利益につきましては、製造部門において商品の集約を進めるなど、生産性の向上に努めましたが、物流コストや労務コストなどの経費が上昇したことにより、前年並みとなりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の加工事業本部の売上高は対前年同四半期比1.3%増の84,332百万円、営業利益は対前年同四半期比0.1%増の1,333百万円となりました。
② 食肉事業本部
食肉事業においては、当社ブランド食肉である「桜姫」や「麦小町」、「大麦牛アンガス種」を中心に量販店、外食チェーン、CVSなど幅広いチャネルへ積極的に提案し拡販に努めましたが、国産品が各畜種とも前年の高値に比べて落ち着きを見せたこと、また、輸入鶏肉の国内供給量が増加し価格が軟調に推移したことなどにより、売上高は前年を下回りました。
利益につきましては、生産部門においては生産性向上やブランド食肉比率の向上に努めたものの、各畜種の相場下落や飼料価格の上昇などにより、減益となりました。販売部門においては、好調なハンバーグ用挽き材の拡販や量販店での国産豚肉の販売強化、顧客ニーズに基づく食肉加工品の販売など需要に合わせた商品提案を行いましたが、アジアでの旺盛な需要を背景とした輸入牛肉の生産地での価格高や、国産・輸入鶏肉の相場下落が利益を圧迫し、全体で減益となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の食肉事業本部の売上高は対前年同四半期比2.0%減の189,228百万円、営業利益は対前年同四半期比28.7%減の9,757百万円となりました。
③ 関連企業本部
水産部門は、海老、鮪を中心とした寿司種の拡販に努め、回転寿司チェーン向けの売上げは伸長したものの、低収益商品のアイテム削減を進めたことで量販店チャネルが苦戦したことなどにより、売上高は前年を下回りました。
乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、主力のバニラヨーグルトやドリンクヨーグルトは好調に推移しましたが、スムージーシリーズが競争激化により苦戦したことで、売上高は微減となりました。チーズは、主力の業務用商品に加え、ベビーチーズを中心にコンシューマ商品も伸長し、売上高は前年を上回りました。
利益につきましては、水産部門では寿司種を中心に価格改定を進めたことや、低収益商品のアイテムを削減したことにより粗利益率は改善しましたが、販売数量の減少により、前年を下回りました。乳製品部門は、原料価格の上昇や、人件費、物流費などの経費が増加したことなどにより、前年を下回りました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の関連企業本部の売上高は対前年同四半期比4.5%減の36,544百万円、営業利益は対前年同四半期比97.3%減の18百万円となりました。
④ 海外事業本部
売上高につきましては、アジア・欧州事業では、中国での内販が伸長しましたが、タイからの日本向け売上げが減少したことにより、前年を下回りました。米州事業は、販売拠点の強化などにより内販が伸長し、前年を上回りました。豪州事業は、日本向けの牛肉輸出が好調に推移したことに加え、米国向けやアジア向けの輸出も増加し、前年を上回りました。
利益につきましては、アジア・欧州事業は、タイでの加工食品製造数量の増加に伴い人件費が上昇したことや、トルコでの養鶏事業においてトルコリラ安の影響により飼料価格が高騰したことなどにより、前年を下回りました。米州事業は、食肉輸出が増加したことや、米国内販売での仕入原価が低減したことなどにより粗利益が改善し、前年を上回りました。豪州事業は、生産コストの改善が進んだこと、また牛生体の集荷が順調だったことなどから、前年を上回りました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の海外事業本部の売上高は対前年同四半期比12.5%増の64,158百万円、営業損失は57百万円(前年同四半期は167百万円の営業損失)となりました。
(2)財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ現金及び現金同等物が9,996百万円減少しましたが、棚卸資産が18,045百万円、有形固定資産が3,814百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比2.1%増の750,069百万円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ未払法人所得税が4,652百万円減少しましたが、有利子負債が11,614百万円、営業債務及びその他の債務が8,168百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末比5.0%増の327,088百万円となりました。なお、有利子負債は123,015百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は前連結会計年度末並みの418,327百万円となりましたが、総資産が増加したことから親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比1.1ポイント減の55.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加17,982百万円、法人所得税の支払額6,907百万円などがありましたが、税引前利益15,268百万円、営業債務及びその他の債務の増加8,139百万円、減価償却費及び償却費5,440百万円などにより、4,448百万円の純キャッシュ増(前年同四半期は9,280百万円の純キャッシュ増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産等の取得12,017百万円などにより、13,008百万円の純キャッシュ減(前年同四半期は16,783百万円の純キャッシュ減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加9,135百万円などがありましたが、現金配当11,403百万円などにより、1,639百万円の純キャッシュ減(前年同四半期は4,392百万円の純キャッシュ減)となりました。
これらの結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ9,996百万円減少し、48,294百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は事業及び財務の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社の株式は譲渡自由が原則であり、株式市場を通じて多数の投資家の皆様により、自由で活発な取引をしていただいております。よって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な量の株式を取得する買付提案等があった場合は、賛同されるか否かの判断についても、最終的には株主の皆様の自由な意思に依拠すべきであると考えております。
ただし、当社は、株主共同の利益の確保と当社の企業価値の毀損防止の観点から、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための情報と時間の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値向上のため、以下の取組みを実施しております。
「当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組み」
当社は、中長期的視点による継続的な投資、長年培ってきた経験やノウハウの承継、様々なステークホルダーとの信頼関係等を基盤として、食肉事業を中心とする「食」の事業領域で、その生産から販売までの一貫体制(インテグレーション)と、そのインテグレーションを基盤とした食糧の安定供給力及び国内外で確立した品質保証体制という当社の企業価値の源泉を形成してまいりました。
当社は、それらの企業価値の源泉を基軸に、事業上及び財務上の対処すべき課題の諸施策を遂行することにより、さらなる企業価値の向上につなげてまいります。
「コーポレート・ガバナンス強化による企業価値向上の取組み」
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上させるためには、当社グループが最適と考えるガバナンス体制を構築し、機能させることが不可欠であり、基本的な考え方と枠組みをまとめた「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、公表するとともにその充実に継続的に取り組んでおります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスは、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確化することを基本としております。一例として、取締役会には複数名の社外取締役を選任するほか、取締役会の機能を補完するための任意委員会を設けており、特に、「報酬検討委員会」及び「役員指名検討委員会」については、委員の過半数を独立社外役員で構成し、かつ社外取締役を委員長としております。また、監査部監査以外に、品質、環境など機能別に実施するモニタリングの充実、社外役員を含めた全役員に重要情報(業務上の損害や事故、トラブルなどの非日常な事象に関する情報)を迅速に共有する体制の整備することで、業務執行の適正性を確保しております。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、742百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(8)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。