有価証券報告書-第96期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1)業績等の概要
①業績
当期の日本経済は、消費税の引き上げや自然災害等を背景に国内需要が減少したものの、堅調な企業業績により設備投資は増加、個人の雇用・所得の改善も着実に進み、全体的には底堅く推移しました。一方、世界経済は、米中貿易摩擦、米イラン対立の激化等の地政学リスクの高まりを受け、先行きが不透明な状況となりました。
酒類業界では、国内は消費者の節約志向から、低価格商品への需要シフトが一層顕著となりました。北米ビール市場は、主に寒波の影響により前期を下回ったものと推定されます。アジアのビール市場は各国で状況が異なりますが、ベトナムは引き続き成長しています。飲料業界では、国内は主に台風の影響により総需要は前期を下回ったものと推定されます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において引き続き需要が堅調であったことから、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。
このような状況の下、当社グループでは「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」に基づく成長戦略を加速させ、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニー」になることを目指し、2019年度の財務目標達成に向かい歩んできました。
なお、当連結会計年度において、食品飲料事業に含まれる北米飲料事業を統括する持株会社であるCountry Pure Foods, Inc.における当社保有の全株式をBPCP CPF Holdings Inc.に譲渡したため、北米飲料事業に関連する損益を非継続事業に分類しております。
売上収益
酒類事業では、主力ブランドの「サッポロ生ビール黒ラベル」や、積極投資を行った「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」等が好調に推移しましたが、新ジャンルの売上数量が前期を下回ったことから減収となりました。食品飲料事業では、缶コーヒー市場の停滞や天候不良による需要の落ち込みがあったものの、ヤスマ社の新規連結により増収となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入が増加し、増収となりました。
以上の結果、連結売上収益は4,919億円(前期比20億円、0%減)となりました。
営業利益
酒類事業では、国内のコストコントロール、商品ミックスの改善、及び前期に計上したアンカー社の減損損失が当期には計上がなかったことにより、増益となりました。食品飲料事業では、国内の売上数量が減少した影響で減益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入の増加に加え、物件ポートフォリオの見直しによる不動産売却益が貢献し、増益となりました。
以上の結果、連結営業利益は122億円(前期比6億円、5%増)となりました。
税引前利益
税引前利益は116億円(前期比10億円、9%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益
Country Pure Foods, Inc.の株式譲渡に伴う非継続事業からの当期損失の増加により、親会社の所有者に帰属する当期利益は44億円(前期比42億円、49%減)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。また、当期よりマネジメントアプローチによる管理を一層強化するため、これまでの5報告セグメントを3報告セグメントヘ変更しております。
これに伴い、前期比較につきましては、前年数値を変更後の報告セグメントに組み替えた数値で比較しております。
[酒類事業]
(日本・アジア)
国内のビール類の総需要は、前期比99%程度と推定されます。
このような中、国内酒類事業は、ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、独自の新価値の提供を積み重ねることによって、成長を目指しました。
ビールでは、「ビール再強化宣言」の事業方針のもと、「サッポロ生ビール黒ラベル」「サッポロラガービール」「サッポロクラシック」が好調に推移し、ビールの売上数量は前期比101%となりました。
一方、新ジャンルでは市場の競争激化により売上数量が減少し、ビール類合計の売上数量は前期比97%となりました。
RTD(※1)では、2018年8月に発売した「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」が好評を得たことにより、「男梅サワー」等のコラボRTDの主軸商品に比肩するまでに成長したことで、売上収益は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、輸入ワインの「ペンフォールズ」、シャンパーニュ「テタンジェ」や、日本ワイン「グランポレール」などのファインワイン(※2)の販売を強化しました。一方、デイリーワイン(※2)が伸び悩んだことなどから、売上収益は前期を下回りました。
洋酒では、「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上収益は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」ブランドが堅調に推移したものの、売上収益は前期を下回りました。
アジアでは、ベトナムにおいて、持続的に利益を創出できる販売体制の確立に取り組みました。
(北米)
北米のビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。
このような中、北米酒類事業は、プレミアムビールを中心に主力ブランドの強化と各ブランドのポートフォリオ強化に取り組みました。
カナダでは、スリーマン社が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続しましたが、総需要の落ち込みが影響し、ビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期を下回りました。
アメリカでは、サッポロUSA社がアメリカ一般市場やアジア系市場へ「サッポロ」ブランドの販売促進活動を強化したことで、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期を上回りました。一方、アンカー社は、主戦場であるサンフランシスコにおけるクラフトビール需要の落ち込みが続く厳しい経営環境のなか、サッポロUSA社とのセールスシナジー強化に取り組みました。
(外食)
国内の外食市場は前期から増収傾向が続く一方、人手不足に伴う採用コストや原材料の仕入価格等が上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中、サッポロライオン社は企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内では、店舗改装に伴う休業、不採算店舗の閉店等の影響があったものの、既存店が好調だったこと、及びハンエイ社の新規連結により、増収となりました。新規店は、東京・銀座に「留萌マルシェ」、大阪・梅田に「グランポレールバー」2号店、基幹業態である「ヱビスバー」を静岡に1店舗と大阪に2店舗、その他含め合計9店舗の出店を行いました。店舗改装は、新橋店1階を初の研修店舗「銀座ライオン新橋トレーニングセンター店」としてリニューアルオープンするなど、合計4店舗の改装を行いました。一方、契約満了や不採算等の事由により16店舗を閉鎖し、当期末の国内店舗数は195店舗となりました。今後も店舗数の拡大を図るとともに、既存店の店舗改装・業態変更を積極的に行っていきます。
シンガポールでは、ビヤホール文化を世界に発信すべく、引き続き取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は3,244億円(前期比56億円、2%減)となり、営業利益は79億円(前期比40億円、104%増)となりました。
※1 RTD : Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料
※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)のワイン、デイリーワイン:低価格(1本1,500円未満)
のワイン
※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2018年4月~2019年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
[食品飲料事業]
国内の飲料の総需要は、前期比98%と推定されます。
このような中、ポッカサッポロ社は、飲料事業では独自の価値提案を強化し、食品事業では今後の事業成長の布石となる積極的な投資を行いました。
国内飲料では、自社の強みを活かした商品展開が奏功し、レモン飲料が好調に推移、新ブランド「LEMON MADE」も好評を得ました。「加賀棒ほうじ茶」シリーズもお客様の支持を集め好調に推移し、売上数量は前期を上回りました。一方、缶コーヒー市場の低迷、天候の影響を受け、飲料合計の売上数量は前期を下回りました。
国内食品では、レモン食品が健康ニーズを捉え、基幹商品である「ポッカレモン100」を中心に好調に推移し、売上数量は前期比107%となりました。また、4月には大崎上島町(広島県)で国産レモンの生産振興を目的とした自社栽培を開始、夏には全国レモンサワーグランプリ2019を開催するなど、レモンの需要と接点拡大に取り組みました。スープ食品は、当期に新設した仙台工場の稼働により自社生産能力を増強し、「じっくりコトコトシリーズ」に特徴あるラインナップを投入するなど基幹商品の強化を図りましたが、暖冬の影響により売上数量は前期を下回りました。大豆・チルドは、3月に豆乳ヨーグルト製造ラインが稼働し、「SOYBIO(ソイビオ)」ブランドを付した無糖の大容量サイズやストロー付きタイプを発売するなど、様々なシーンに適した商品を強化した結果、売上数量は前期比113%と伸長しました。
2月に香辛料など食品原料を製造するヤスマ社がグループに加わり、売上収益に貢献しました。
カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」においては、季節やトレンドに合わせた限定メニュー等が好調で、売上収益は前期を上回りました。
海外飲料では、シンガポールからの輸出事業は回復傾向にあり、シンガポール国内でも売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、食品飲料事業の売上収益は1,369億円(前期比35億円、3%増)となり、営業損失は12億円(前期は19億円の利益)となりました。
[不動産事業]
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大量供給の影響による市況の悪化が懸念されていましたが、堅調な企業業績等を背景に引き続き需要は底堅く、依然として空室率は低い水準で推移しました。それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。
このような中、不動産賃貸では、収益の柱である「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しました。また、既存テナントの賃料水準引き上げにも積極的に取り組みました。
開業25周年を迎えた複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、11月にグラススクエアの一部がコワーキングスペースを中心とした複合施設「PORTAL POINT -Ebisu-」に生まれ変わり、そこで働く方々と来街者がつながる機会を生む複合的なエリアとなりました。恵比寿のランドマークとして、これまで以上にお客様に「豊かな時間」「豊かな空間」を感じていただける「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上による資産価値向上に向けて取り組みました。
複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、地下1階の全面リニューアルを行いました。7月には通年型アンテナショップ「サッポロ生ビール黒ラベルTHE BAR」などもオープンし、賑わいを見せています。
複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画に合わせ改装を進めており、一部のフロアをリニューアルオープンしました。周辺環境が変化する中、新たなライフスタイルの提案と利便性向上に取り組み、エリアの発展に寄与しています。
併せて、不動産事業全体の価値向上を図るため、長期的な視点から物件ポートフォリオの戦略的な組替えを継続し、新規事業開発等に取り組みました。
以上の結果、不動産事業の売上収益は247億円(前期比2億円、1%増)、営業利益は127億円(前期比7億円、6%増)となりました。
②財政状態の状況
当期末の資産合計は、その他の金融資産(非流動)の増加があった一方、有形固定資産、無形資産、のれんの減少により、前連結会計年度末と比較して10億円減少し、6,387億円となりました。
負債は、その他の金融負債(非流動)の増加等があった一方、退職給付に係る負債、社債及び借入金(流動)の減少により、前連結会計年度末と比較して108億円減少し、4,642億円となりました。
資本は、非支配持分の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益、その他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して98億円増加し、1,745億円となりました。
流動比率は、流動資産が22億円増加し、コマーシャル・ペーパーの減少等の要因により、流動負債が41億円減少したことにより、前連結会計年度の71.5%から74.0%に2.5ポイント増加しました。
親会社所有者帰属持分比率は、期末配当の実施によって利益剰余金の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等によって親会社の所有者に帰属する持分が増加したことにより、前連結会計年度の25.2%から27.3%に増加しております。
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、「①業績」に記載のとおり親会社の所有者に帰属する当期利益が前年同期比で減益となったことにより、前連結会計年度の5.1%から2.6%に減少しております。
D/Eレシオ(金融負債÷資本合計)は、資本合計が増加したことにより1.3倍となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ52億円(52%)増加し、当連結会計年度末には152億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、361億円(前期比52億円、17%増)となりました。これは主に減価償却費及び償却費282億円、非継続事業の売却損49億円による増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、249億円(前期比62億円、33%増)となりました。これは主に、信託受益権(投資不動産)の売却による収入86億円があった一方、有形固定資産の取得による支出150億円、投資不動産の取得による支出132億円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、60億円(前期比85億円、59%減)となりました。これは主に、長期借入による収入214億円、社債の発行による収入200億円があった一方、長期借入金の返済による支出215億円、社債の償還による支出100億円、リース負債の返済による支出70億円、コマーシャル・ペーパーの減少額65億円があったことによるものです。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。
重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。
経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。
④事業戦略と見通し
次期は、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」における「グループ経営計画2024」の1年目として、引き続きコア事業と位置付けた『酒』『食』『飲』分野で特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。
[酒類事業]
(日本・アジア)
新しいビジョンとして「誰かの、いちばん星であれ ひとりひとりの心を動かす物語で お酒と人との未来を創る 酒類ブランドカンパニーを目指す <プレミアム&リーズナブル><グローバル&パーソナル>」に改めます。「私たちにしかできない」プレミアム価値の提供品質を磨き続けると同時に、高品質なものをより安くお届けするリーズナブル価値の提供に関しても、私たちらしい商品・サービスの提供を充実させていきます。
ビール事業では、多様なビールブランドを持つ強みを活かし、ビール強化を最優先で継続し、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビス」を中心としたブランドプレゼンスの向上を図ります。加えて、新ジャンル市場では、新商品「サッポロゴールドスター」を2月に発売し、「サッポロ麦とホップ」とのツートップ戦略でおいしさ価値を徹底追求していきます。
RTDでは、食中酒としてのポジション確立に向け、主力ブランドの「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」をさらに強化し、「男梅サワー」などのコラボレーションによる独自価値商品とともに成長を加速させます。
ワインでは、引き続きファインワインの提案強化を行い、ブランドイメージの構築と販売拡大を行うとともに、デイリーワインではブランドの認知とユーザーの裾野拡大を図ります。
スピリッツ(洋酒・和酒)においては、世界販売量・販売金額No.1ラム「バカルディ」をはじめとして、「デュワーズ」「ボンベイサファイア」、そして好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」の拡販に注力し、情報発信を継続して話題喚起を図ります。
(北米)
アメリカでは、通商政策の不確実性はあるものの、緩和的な金融環境と好調な雇用動向に支えられた消費が緩やかな経済成長を牽引すると考えられます。カナダでは、好調な雇用動向、輸出動向が経済成長率を押し上げることが想定されます。ただし、北米のビール市場の総需要は、酒類における嗜好の多様化を背景にほぼ横ばい圏に留まるものと見込まれます。
このような中、北米酒類事業は、「Sapporo Premium Beer」をはじめとしたプレミアムブランドの浸透を図り、それぞれのエリア特性を踏まえた戦略を遂行することで、市場において独自の地位を築いていきます。
カナダ市場においては、スリーマン社は戦略ブランドの強化やポートフォリオの最適化を行い、プレミアムブランドへの経営資源投入を継続するとともに、RTD強化に向けて取り組んでいきます。
アメリカ市場においては、サッポロUSA社とアンカー社は、製造・販売両面におけるシナジー効果を最大限発揮し「Sapporo Premium Beer」「Anchor」ブランドの販売強化を図るとともに、収益構造の改善を図ります。
また、2020年4月1日に、スリーマン社、サッポロUSA社、アンカー社をサッポロビール社の子会社とし、国内外で一貫したブランド戦略を実施し、グローバルサプライチェーンマネジメントの最適化を推進します。
(外食)
国内外食業界では、人手不足に伴う採用コストや原材料仕入価格等の継続的な上昇に加え、業界を超えた競争の激化により、今後も厳しい経営環境が継続するものと予想されます。
このような中、サッポロライオン社は「お客様へ100%満足の提供」を軸に、基本となる商品・サービス・店舗環境等の品質の向上を図るとともに、安全・安心な商品の提供に向けて取り組んでいきます。
新規出店では基幹業態である「銀座ライオン」「ヱビスバー」を中心に展開エリアの拡大を図るとともに、新たな業態開発や新規事業への参入にも注力します。また、将来に亘る収益力の維持・向上に向けて既存店舗の改装・不採算店舗の閉鎖・業態変更にも積極的に取り組み、既存事業の抜本的なコスト改革を実施していきます。
[食品飲料事業]
国内の食品飲料事業は、「毎日の生活に彩りと輝きをくわえる、新しい『おいしい』を次々と生み出し続けます」というビジョンの下、経営資源の選択と集中でこれまで以上に食の領域を拡大し、自社の優位性を発揮しながらお客様に喜ばれるものづくりで新たな価値を提案していきます。
国内飲料では、「キレートレモン」ブランドに磨きをかけながら「LEMON MADE」を育成すると共に、自社ならではの個性的な商品展開で独自のポジションを確立していきます。
国内食品のスープでは、新工場稼働で市場への柔軟な対応が可能となり、主力の「じっくりコトコト」ブランドを再活性化させることに加え、時代にマッチした新商品を発売することで、カップ入り食品の確実な市場浸透を推進します。レモン食品では、レモンの活用シーンの提案や健康価値発信を行う等、「ポッカレモン100」やレモン酢商品の更なる需要拡大を後押しする活動をしていきます。大豆・チルドでは、豆乳ヨーグルトの認知向上とお客様接点の拡大を図り、「食」分野の成長を加速させていきます。業務用は、サッポログループのシナジーを活かしながら、レモン原料、粉末スープ、粉末茶等の売上収益の拡大を図ります。
国内外食では、「カフェ・ド・クリエ」においてきめ細かなマーケティングを行い、既存店の活性化を図ります。また新規出店を加速させ、クリエブランドの価値向上を進めていきます。
海外飲料では、主力のシンガポール市場での茶系飲料や果汁飲料での優位性を維持しつつ、売上拡大と効率化を引き続き進めていきます。また各国の市場ニーズに合わせた商品を展開しプレゼンスを高めていきます。
[不動産事業]
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大規模な新規供給が予定されていますが、企業の需要は底堅く、短期的には大きく需給バランスが崩れることはないと予測しています。しかし、世界情勢や東京オリンピック、パラリンピック後の経済の動向等、先行き不透明感が払拭されない中、景気減速や競争激化による空室率の上昇、賃料の下落等、市況が変化する可能性があるとみています。
このような中、不動産賃貸は、ハード・ソフト両面における競争力強化を継続し、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上に取り組んでいきます。
中核施設である「恵比寿ガーデンプレイス」では、多様なライフスタイル・ワークスタイルの変化にあわせ、利便性向上を図るとともに、新たな機能・付加価値を提供することで引き続き収益の維持向上とまち全体のブランド価値向上を目指します。
また、複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画や周辺環境の変化に合わせ、同地区のフラッグシップとして今後も新たなライフスタイルの提案と魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
不動産事業全体の価値向上を図るために、保有物件ポートフォリオの戦略的な組替え等を通じて、恵比寿・札幌でのまちづくりを推進するとともに、新たな事業領域での収益獲得に取り組んでいきます。
⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ)キャッシュ・フローの分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。
親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。
現在そして将来の営業活動及び債務の返済などの資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関などからの借り入れによって調達しています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
今後の方針につきましては、「サッポログループ長期ビジョン『SPEED150』」のもと、取り組みを推進します。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
②受注実績
当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(非継続事業)
IFRSでは、独立した事業が既に処分されたか又は売却目的保有に分類される要件を満たした時点で、非継続事業に分類します。非継続事業に分類した場合は、当該事業が比較対象期間の開始日から非継続事業に分類されていたものとして、連結損益計算書を再表示されます。非継続事業に関する損益については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.非継続事業」に記載のとおりであります。
(のれんに対する調整)
日本基準では、のれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
そのため、日本基準では、連結損益計算書の販売費及び一般管理費において、のれん償却費が前連結会計年度において4,090百万円、当連結会計年度において3,594百万円が発生することとなりますが、IFRSでは発生しておりません。
①業績
| 売上収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | |
| 2019年12月期 | 491,896 | 12,208 | 11,588 | 4,356 |
| 2018年12月期 | 493,908 | 11,588 | 10,629 | 8,521 |
| 増減率(%) | △0.4 | 5.3 | 9.0 | △48.9 |
当期の日本経済は、消費税の引き上げや自然災害等を背景に国内需要が減少したものの、堅調な企業業績により設備投資は増加、個人の雇用・所得の改善も着実に進み、全体的には底堅く推移しました。一方、世界経済は、米中貿易摩擦、米イラン対立の激化等の地政学リスクの高まりを受け、先行きが不透明な状況となりました。
酒類業界では、国内は消費者の節約志向から、低価格商品への需要シフトが一層顕著となりました。北米ビール市場は、主に寒波の影響により前期を下回ったものと推定されます。アジアのビール市場は各国で状況が異なりますが、ベトナムは引き続き成長しています。飲料業界では、国内は主に台風の影響により総需要は前期を下回ったものと推定されます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において引き続き需要が堅調であったことから、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。
このような状況の下、当社グループでは「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」に基づく成長戦略を加速させ、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニー」になることを目指し、2019年度の財務目標達成に向かい歩んできました。
なお、当連結会計年度において、食品飲料事業に含まれる北米飲料事業を統括する持株会社であるCountry Pure Foods, Inc.における当社保有の全株式をBPCP CPF Holdings Inc.に譲渡したため、北米飲料事業に関連する損益を非継続事業に分類しております。
売上収益
酒類事業では、主力ブランドの「サッポロ生ビール黒ラベル」や、積極投資を行った「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」等が好調に推移しましたが、新ジャンルの売上数量が前期を下回ったことから減収となりました。食品飲料事業では、缶コーヒー市場の停滞や天候不良による需要の落ち込みがあったものの、ヤスマ社の新規連結により増収となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入が増加し、増収となりました。
以上の結果、連結売上収益は4,919億円(前期比20億円、0%減)となりました。
営業利益
酒類事業では、国内のコストコントロール、商品ミックスの改善、及び前期に計上したアンカー社の減損損失が当期には計上がなかったことにより、増益となりました。食品飲料事業では、国内の売上数量が減少した影響で減益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入の増加に加え、物件ポートフォリオの見直しによる不動産売却益が貢献し、増益となりました。
以上の結果、連結営業利益は122億円(前期比6億円、5%増)となりました。
税引前利益
税引前利益は116億円(前期比10億円、9%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益
Country Pure Foods, Inc.の株式譲渡に伴う非継続事業からの当期損失の増加により、親会社の所有者に帰属する当期利益は44億円(前期比42億円、49%減)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
| 売上収益(百万円) | 営業利益(百万円) | |||||
| 2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 増減率(%) | 2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 増減率(%) | |
| 酒類事業 | 330,009 | 324,438 | △1.7 | 3,856 | 7,877 | 104.3 |
| 食品飲料事業 | 133,384 | 136,876 | 2.6 | 1,910 | △1,151 | - |
| 不動産事業 | 24,483 | 24,690 | 0.8 | 12,047 | 12,714 | 5.5 |
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。また、当期よりマネジメントアプローチによる管理を一層強化するため、これまでの5報告セグメントを3報告セグメントヘ変更しております。
これに伴い、前期比較につきましては、前年数値を変更後の報告セグメントに組み替えた数値で比較しております。
[酒類事業]
(日本・アジア)
国内のビール類の総需要は、前期比99%程度と推定されます。
このような中、国内酒類事業は、ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、独自の新価値の提供を積み重ねることによって、成長を目指しました。
ビールでは、「ビール再強化宣言」の事業方針のもと、「サッポロ生ビール黒ラベル」「サッポロラガービール」「サッポロクラシック」が好調に推移し、ビールの売上数量は前期比101%となりました。
一方、新ジャンルでは市場の競争激化により売上数量が減少し、ビール類合計の売上数量は前期比97%となりました。
RTD(※1)では、2018年8月に発売した「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」が好評を得たことにより、「男梅サワー」等のコラボRTDの主軸商品に比肩するまでに成長したことで、売上収益は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、輸入ワインの「ペンフォールズ」、シャンパーニュ「テタンジェ」や、日本ワイン「グランポレール」などのファインワイン(※2)の販売を強化しました。一方、デイリーワイン(※2)が伸び悩んだことなどから、売上収益は前期を下回りました。
洋酒では、「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上収益は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」ブランドが堅調に推移したものの、売上収益は前期を下回りました。
アジアでは、ベトナムにおいて、持続的に利益を創出できる販売体制の確立に取り組みました。
(北米)
北米のビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。
このような中、北米酒類事業は、プレミアムビールを中心に主力ブランドの強化と各ブランドのポートフォリオ強化に取り組みました。
カナダでは、スリーマン社が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続しましたが、総需要の落ち込みが影響し、ビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期を下回りました。
アメリカでは、サッポロUSA社がアメリカ一般市場やアジア系市場へ「サッポロ」ブランドの販売促進活動を強化したことで、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期を上回りました。一方、アンカー社は、主戦場であるサンフランシスコにおけるクラフトビール需要の落ち込みが続く厳しい経営環境のなか、サッポロUSA社とのセールスシナジー強化に取り組みました。
(外食)
国内の外食市場は前期から増収傾向が続く一方、人手不足に伴う採用コストや原材料の仕入価格等が上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中、サッポロライオン社は企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内では、店舗改装に伴う休業、不採算店舗の閉店等の影響があったものの、既存店が好調だったこと、及びハンエイ社の新規連結により、増収となりました。新規店は、東京・銀座に「留萌マルシェ」、大阪・梅田に「グランポレールバー」2号店、基幹業態である「ヱビスバー」を静岡に1店舗と大阪に2店舗、その他含め合計9店舗の出店を行いました。店舗改装は、新橋店1階を初の研修店舗「銀座ライオン新橋トレーニングセンター店」としてリニューアルオープンするなど、合計4店舗の改装を行いました。一方、契約満了や不採算等の事由により16店舗を閉鎖し、当期末の国内店舗数は195店舗となりました。今後も店舗数の拡大を図るとともに、既存店の店舗改装・業態変更を積極的に行っていきます。
シンガポールでは、ビヤホール文化を世界に発信すべく、引き続き取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は3,244億円(前期比56億円、2%減)となり、営業利益は79億円(前期比40億円、104%増)となりました。
※1 RTD : Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料
※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)のワイン、デイリーワイン:低価格(1本1,500円未満)
のワイン
※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2018年4月~2019年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
[食品飲料事業]
国内の飲料の総需要は、前期比98%と推定されます。
このような中、ポッカサッポロ社は、飲料事業では独自の価値提案を強化し、食品事業では今後の事業成長の布石となる積極的な投資を行いました。
国内飲料では、自社の強みを活かした商品展開が奏功し、レモン飲料が好調に推移、新ブランド「LEMON MADE」も好評を得ました。「加賀棒ほうじ茶」シリーズもお客様の支持を集め好調に推移し、売上数量は前期を上回りました。一方、缶コーヒー市場の低迷、天候の影響を受け、飲料合計の売上数量は前期を下回りました。
国内食品では、レモン食品が健康ニーズを捉え、基幹商品である「ポッカレモン100」を中心に好調に推移し、売上数量は前期比107%となりました。また、4月には大崎上島町(広島県)で国産レモンの生産振興を目的とした自社栽培を開始、夏には全国レモンサワーグランプリ2019を開催するなど、レモンの需要と接点拡大に取り組みました。スープ食品は、当期に新設した仙台工場の稼働により自社生産能力を増強し、「じっくりコトコトシリーズ」に特徴あるラインナップを投入するなど基幹商品の強化を図りましたが、暖冬の影響により売上数量は前期を下回りました。大豆・チルドは、3月に豆乳ヨーグルト製造ラインが稼働し、「SOYBIO(ソイビオ)」ブランドを付した無糖の大容量サイズやストロー付きタイプを発売するなど、様々なシーンに適した商品を強化した結果、売上数量は前期比113%と伸長しました。
2月に香辛料など食品原料を製造するヤスマ社がグループに加わり、売上収益に貢献しました。
カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」においては、季節やトレンドに合わせた限定メニュー等が好調で、売上収益は前期を上回りました。
海外飲料では、シンガポールからの輸出事業は回復傾向にあり、シンガポール国内でも売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、食品飲料事業の売上収益は1,369億円(前期比35億円、3%増)となり、営業損失は12億円(前期は19億円の利益)となりました。
[不動産事業]
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大量供給の影響による市況の悪化が懸念されていましたが、堅調な企業業績等を背景に引き続き需要は底堅く、依然として空室率は低い水準で推移しました。それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しました。
このような中、不動産賃貸では、収益の柱である「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しました。また、既存テナントの賃料水準引き上げにも積極的に取り組みました。
開業25周年を迎えた複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、11月にグラススクエアの一部がコワーキングスペースを中心とした複合施設「PORTAL POINT -Ebisu-」に生まれ変わり、そこで働く方々と来街者がつながる機会を生む複合的なエリアとなりました。恵比寿のランドマークとして、これまで以上にお客様に「豊かな時間」「豊かな空間」を感じていただける「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上による資産価値向上に向けて取り組みました。
複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、地下1階の全面リニューアルを行いました。7月には通年型アンテナショップ「サッポロ生ビール黒ラベルTHE BAR」などもオープンし、賑わいを見せています。
複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画に合わせ改装を進めており、一部のフロアをリニューアルオープンしました。周辺環境が変化する中、新たなライフスタイルの提案と利便性向上に取り組み、エリアの発展に寄与しています。
併せて、不動産事業全体の価値向上を図るため、長期的な視点から物件ポートフォリオの戦略的な組替えを継続し、新規事業開発等に取り組みました。
以上の結果、不動産事業の売上収益は247億円(前期比2億円、1%増)、営業利益は127億円(前期比7億円、6%増)となりました。
②財政状態の状況
当期末の資産合計は、その他の金融資産(非流動)の増加があった一方、有形固定資産、無形資産、のれんの減少により、前連結会計年度末と比較して10億円減少し、6,387億円となりました。
負債は、その他の金融負債(非流動)の増加等があった一方、退職給付に係る負債、社債及び借入金(流動)の減少により、前連結会計年度末と比較して108億円減少し、4,642億円となりました。
資本は、非支配持分の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益、その他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して98億円増加し、1,745億円となりました。
流動比率は、流動資産が22億円増加し、コマーシャル・ペーパーの減少等の要因により、流動負債が41億円減少したことにより、前連結会計年度の71.5%から74.0%に2.5ポイント増加しました。
親会社所有者帰属持分比率は、期末配当の実施によって利益剰余金の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等によって親会社の所有者に帰属する持分が増加したことにより、前連結会計年度の25.2%から27.3%に増加しております。
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、「①業績」に記載のとおり親会社の所有者に帰属する当期利益が前年同期比で減益となったことにより、前連結会計年度の5.1%から2.6%に減少しております。
D/Eレシオ(金融負債÷資本合計)は、資本合計が増加したことにより1.3倍となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ52億円(52%)増加し、当連結会計年度末には152億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、361億円(前期比52億円、17%増)となりました。これは主に減価償却費及び償却費282億円、非継続事業の売却損49億円による増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、249億円(前期比62億円、33%増)となりました。これは主に、信託受益権(投資不動産)の売却による収入86億円があった一方、有形固定資産の取得による支出150億円、投資不動産の取得による支出132億円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、60億円(前期比85億円、59%減)となりました。これは主に、長期借入による収入214億円、社債の発行による収入200億円があった一方、長期借入金の返済による支出215億円、社債の償還による支出100億円、リース負債の返済による支出70億円、コマーシャル・ペーパーの減少額65億円があったことによるものです。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、ならびに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。
重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。
経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。
④事業戦略と見通し
次期は、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」における「グループ経営計画2024」の1年目として、引き続きコア事業と位置付けた『酒』『食』『飲』分野で特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。
[酒類事業]
(日本・アジア)
新しいビジョンとして「誰かの、いちばん星であれ ひとりひとりの心を動かす物語で お酒と人との未来を創る 酒類ブランドカンパニーを目指す <プレミアム&リーズナブル><グローバル&パーソナル>」に改めます。「私たちにしかできない」プレミアム価値の提供品質を磨き続けると同時に、高品質なものをより安くお届けするリーズナブル価値の提供に関しても、私たちらしい商品・サービスの提供を充実させていきます。
ビール事業では、多様なビールブランドを持つ強みを活かし、ビール強化を最優先で継続し、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビス」を中心としたブランドプレゼンスの向上を図ります。加えて、新ジャンル市場では、新商品「サッポロゴールドスター」を2月に発売し、「サッポロ麦とホップ」とのツートップ戦略でおいしさ価値を徹底追求していきます。
RTDでは、食中酒としてのポジション確立に向け、主力ブランドの「サッポロ チューハイ99.99<フォーナイン>」をさらに強化し、「男梅サワー」などのコラボレーションによる独自価値商品とともに成長を加速させます。
ワインでは、引き続きファインワインの提案強化を行い、ブランドイメージの構築と販売拡大を行うとともに、デイリーワインではブランドの認知とユーザーの裾野拡大を図ります。
スピリッツ(洋酒・和酒)においては、世界販売量・販売金額No.1ラム「バカルディ」をはじめとして、「デュワーズ」「ボンベイサファイア」、そして好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」の拡販に注力し、情報発信を継続して話題喚起を図ります。
(北米)
アメリカでは、通商政策の不確実性はあるものの、緩和的な金融環境と好調な雇用動向に支えられた消費が緩やかな経済成長を牽引すると考えられます。カナダでは、好調な雇用動向、輸出動向が経済成長率を押し上げることが想定されます。ただし、北米のビール市場の総需要は、酒類における嗜好の多様化を背景にほぼ横ばい圏に留まるものと見込まれます。
このような中、北米酒類事業は、「Sapporo Premium Beer」をはじめとしたプレミアムブランドの浸透を図り、それぞれのエリア特性を踏まえた戦略を遂行することで、市場において独自の地位を築いていきます。
カナダ市場においては、スリーマン社は戦略ブランドの強化やポートフォリオの最適化を行い、プレミアムブランドへの経営資源投入を継続するとともに、RTD強化に向けて取り組んでいきます。
アメリカ市場においては、サッポロUSA社とアンカー社は、製造・販売両面におけるシナジー効果を最大限発揮し「Sapporo Premium Beer」「Anchor」ブランドの販売強化を図るとともに、収益構造の改善を図ります。
また、2020年4月1日に、スリーマン社、サッポロUSA社、アンカー社をサッポロビール社の子会社とし、国内外で一貫したブランド戦略を実施し、グローバルサプライチェーンマネジメントの最適化を推進します。
(外食)
国内外食業界では、人手不足に伴う採用コストや原材料仕入価格等の継続的な上昇に加え、業界を超えた競争の激化により、今後も厳しい経営環境が継続するものと予想されます。
このような中、サッポロライオン社は「お客様へ100%満足の提供」を軸に、基本となる商品・サービス・店舗環境等の品質の向上を図るとともに、安全・安心な商品の提供に向けて取り組んでいきます。
新規出店では基幹業態である「銀座ライオン」「ヱビスバー」を中心に展開エリアの拡大を図るとともに、新たな業態開発や新規事業への参入にも注力します。また、将来に亘る収益力の維持・向上に向けて既存店舗の改装・不採算店舗の閉鎖・業態変更にも積極的に取り組み、既存事業の抜本的なコスト改革を実施していきます。
[食品飲料事業]
国内の食品飲料事業は、「毎日の生活に彩りと輝きをくわえる、新しい『おいしい』を次々と生み出し続けます」というビジョンの下、経営資源の選択と集中でこれまで以上に食の領域を拡大し、自社の優位性を発揮しながらお客様に喜ばれるものづくりで新たな価値を提案していきます。
国内飲料では、「キレートレモン」ブランドに磨きをかけながら「LEMON MADE」を育成すると共に、自社ならではの個性的な商品展開で独自のポジションを確立していきます。
国内食品のスープでは、新工場稼働で市場への柔軟な対応が可能となり、主力の「じっくりコトコト」ブランドを再活性化させることに加え、時代にマッチした新商品を発売することで、カップ入り食品の確実な市場浸透を推進します。レモン食品では、レモンの活用シーンの提案や健康価値発信を行う等、「ポッカレモン100」やレモン酢商品の更なる需要拡大を後押しする活動をしていきます。大豆・チルドでは、豆乳ヨーグルトの認知向上とお客様接点の拡大を図り、「食」分野の成長を加速させていきます。業務用は、サッポログループのシナジーを活かしながら、レモン原料、粉末スープ、粉末茶等の売上収益の拡大を図ります。
国内外食では、「カフェ・ド・クリエ」においてきめ細かなマーケティングを行い、既存店の活性化を図ります。また新規出店を加速させ、クリエブランドの価値向上を進めていきます。
海外飲料では、主力のシンガポール市場での茶系飲料や果汁飲料での優位性を維持しつつ、売上拡大と効率化を引き続き進めていきます。また各国の市場ニーズに合わせた商品を展開しプレゼンスを高めていきます。
[不動産事業]
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大規模な新規供給が予定されていますが、企業の需要は底堅く、短期的には大きく需給バランスが崩れることはないと予測しています。しかし、世界情勢や東京オリンピック、パラリンピック後の経済の動向等、先行き不透明感が払拭されない中、景気減速や競争激化による空室率の上昇、賃料の下落等、市況が変化する可能性があるとみています。
このような中、不動産賃貸は、ハード・ソフト両面における競争力強化を継続し、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上に取り組んでいきます。
中核施設である「恵比寿ガーデンプレイス」では、多様なライフスタイル・ワークスタイルの変化にあわせ、利便性向上を図るとともに、新たな機能・付加価値を提供することで引き続き収益の維持向上とまち全体のブランド価値向上を目指します。
また、複合商業施設「サッポロファクトリー」では、札幌市が進めている創成川以東地区の再整備計画や周辺環境の変化に合わせ、同地区のフラッグシップとして今後も新たなライフスタイルの提案と魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
不動産事業全体の価値向上を図るために、保有物件ポートフォリオの戦略的な組替え等を通じて、恵比寿・札幌でのまちづくりを推進するとともに、新たな事業領域での収益獲得に取り組んでいきます。
⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ)キャッシュ・フローの分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。
| 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 25.2 | 27.3 |
| 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) | 27.9 | 31.5 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 9.4 | 8.0 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 14.0 | 17.2 |
親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3)有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。
現在そして将来の営業活動及び債務の返済などの資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関などからの借り入れによって調達しています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
今後の方針につきましては、「サッポログループ長期ビジョン『SPEED150』」のもと、取り組みを推進します。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(kl) | |
| 前期比(%) | ||
| 酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等) | 837,960 | △3.9 |
| 酒類事業(ワイン・焼酎等) | 38,485 | △12.5 |
| 食品飲料事業(飲料水等) | 379,553 | 5.0 |
②受注実績
当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | |
| 前期比(%) | ||
| 酒類事業 | 324,438 | △1.7 |
| 食品飲料事業 | 136,876 | 2.6 |
| 不動産事業 | 24,690 | 0.8 |
| 報告セグメント計 | 486,003 | △0.4 |
| その他 | 5,892 | △2.3 |
| 合計 | 491,896 | △0.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| 国分グループ本社㈱ | 61,682 | 11.8 | 60,329 | 12.3 |
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(非継続事業)
IFRSでは、独立した事業が既に処分されたか又は売却目的保有に分類される要件を満たした時点で、非継続事業に分類します。非継続事業に分類した場合は、当該事業が比較対象期間の開始日から非継続事業に分類されていたものとして、連結損益計算書を再表示されます。非継続事業に関する損益については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.非継続事業」に記載のとおりであります。
(のれんに対する調整)
日本基準では、のれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
そのため、日本基準では、連結損益計算書の販売費及び一般管理費において、のれん償却費が前連結会計年度において4,090百万円、当連結会計年度において3,594百万円が発生することとなりますが、IFRSでは発生しておりません。