有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 12:35
【資料】
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【項目】
137項目
(1)経営成績等の状況の概要
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、前連結会計年度終盤から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響を通期で受けることとなり、2020年4月に1度目の緊急事態宣言が発令され大幅に悪化、5月の宣言解除後は各種政策の効果から持ち直しの傾向も見られたものの、2021年1月に2度目の緊急事態宣言が発令、2021年4月にも3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、回復が見通しにくい先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中で当社グループは、飲料事業においては麦茶について大規模プロモーションに参加する等の販促策によりブランド露出を図ること、主力商品の一翼に育ったごぼう茶に次ぐ当社グループの生産設備とノウハウを活用できる新商品の開発・投入、既存の商材や製造設備、技術、販売先にこだわらない新商品の投入による販売チャネルの拡大を図ることを目指してまいりました。珍味事業においてはビーフジャーキーの中国国内市場向け販売の開始や、商品規格の見直しやパッケージリニューアル等で新規取扱先の開拓を図ることを目指しました。インターネット通信販売事業においては、前連結会計年度から実施して効果が現れ始めた商品登録や価格設定の見直しによる採算改善を継続して行うことを目指してまいりました。外食店舗事業においては前連結会計年度に減損損失を計上するなど既に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け始めていましたので事業の継続について検討を行ってまいりました。
これらの結果、売上高2,852百万円(前連結会計年度比8.6%増)、営業損失94百万円(前連結会計年度は営業損失144百万円)となりました。
経常損益は、営業外収益としてインターネット通信販売事業に係るキャッシュレス消費者還元事業等の補助金収入16百万円が計上されたものの、営業外費用として第三者割当増資に伴って株式交付費37百万円を計上し、また、第三者割当増資を行うべく新株予約権の買い戻し償却を行ったために繰延資産に計上していた株式交付費の残額を一括償却することとなり計上された株式交付費償却12百万円等の負担が重く、経常損失138百万円(前連結会計年度は経常損失151百万円)となりました。
最終損益は、特別利益として外食事業からの撤退に伴う子会社株式売却益20百万円及び代表取締役会長である石垣裕義氏からの債務免除益17百万円を計上したこと、前期に計上された減損損失がなくなったこと等により親会社株主に帰属する当期純損失108百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失476百万円)と、前連結会計年度に比べれば大幅な赤字縮小となったものの、多額の赤字を計上することとなりました。
なお、単独の業績につきましては、売上高342百万円(前期比3.2%減)、営業損失78百万円(前事業年度は営業損失68百万円)、経常損益は営業外費用として株式交付費37百万円及び株式交付費償却12百万円を計上したこと等により前事業年度より大幅に悪化して経常損失135百万円(前事業年度は経常損失76百万円)となりました。最終損益は、特別利益として債務免除益17百万円、特別損失として外食事業からの撤退のため外食子会社株式を売却したことに伴う関係会社株式売却損20百万円及び課徴金6百万円を計上したこと、前期に計上された関係会社株式評価損がなくなったこと等により当期純損失146百万円(前事業年度は当期純損失480百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 飲料事業
飲料事業においては、麦茶については新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、プロモーション活動が実施できず、また、取引先との商談が行えないことから市場からの情報が吸い上げられず新商品の開発を行うことができませんでした。麦茶は一般消費者向けの小売店での販売が主力ではありますが、飲食店など業務利用向けの需要もあり、業務用商品は減収となりました。前連結会計年度に参入した介護・医療市場向けの新商品は、利益率も高く、通期での業績寄与を期待しておりましたが、外部販売先が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から顧客である介護・医療の現場への営業活動を行うことができなくなり、売上がありませんでした。利益率の高いごぼう茶は、他社競合商品の営業攻勢がますます強まり、取扱店舗が減少、大幅な減収となりました。杜仲茶は夏にテレビの健康番組で取り上げられた影響から取扱店舗が増えるなど大幅な増収となりましたが、そもそもの売上比率が小さいため業績全般に与える効果は大きくありませんでした。
これらの結果、売上高145百万円(前連結会計年度比3.7%減)、営業損益は営業損失1百万円(前連結会計年度は営業利益1百万円)と赤字に転落することとなりました。
② 珍味事業
珍味事業のビーフジャーキーは、中国市場向けの販売については、ようやく日本企業の中国店舗向けの供給が決まったものの、生産開始が2021年3月、販売開始が2021年4月となり、当連結会計年度の業績には寄与しませんでした。また、一部商品の刷新を行ったものの業績の寄与にまでは至りませんでした。加えて、前連結会計年度は増量キャンペーンを行っていた時期に当連結会計年度は行わなかったことも影響し、減収となりました。
これらの結果、売上高195百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業損失4百万円(前連結会計年度は営業損失1百万円)と赤字が拡大することとなりました。
③ インターネット通信販売事業
インターネット通信販売事業においては、商品登録方法の改善が功を奏したことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から一般消費者のインターネット通信販売利用が大幅に増加したことが大きく影響し、大幅に増収いたしました。損益面では、価格設定方法の変更が業績改善に寄与したものの、運送費用や出荷作業の外注費用が増えたことから大幅な採算改善には至りませんでしたが、前連結会計年度に減損損失を計上したことで年間52百万円計上していたのれん償却費がなくなったことが採算を改善させております。
これらの結果、売上高2,499百万円(前連結会計年度比25.9%増)、営業利益24百万円(前連結会計年度は営業損失44百万円)と黒字転換することとなりました。
④ 外食店舗事業
外食店舗事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を甚大に受け、グループ全体の継続性を脅かす状況にまで至ったことから、第2四半期連結会計期間において撤退することとなりました。当連結会計年度に計上される営業成績は第1四半期連結会計期間におけるもののみですが、2020年4月に緊急事態宣言が発出されるなど店舗の営業を行うことがほとんどできない中、固定費用の負担が大きく、大幅な減収、営業損失拡大となりました。
これらの結果、売上高9百万円(前連結会計年度比96.8%減)、営業損失28百万円(前連結会計年度は営業損失16百万円)となりました。
⑤ その他
業務用ナルト、だしのもとともに増収となり、採算も改善したことから、売上高2百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益0百万円(前連結会計年度は営業損失0百万円)と黒字転換いたしました。
(2)財政状態
当社グループの財政状態は、前連結会計年度末において債務超過となっておりましたが、第三者割当による増資を行ったことから当該状況を脱しております。この増資により現金及び預金が大幅に増加したことから流動資産及び資産合計も大きく増加しております。固定資産においては、外食店舗事業からの撤退に伴い外食店舗運営を行う子会社ののれんが消滅したことから無形固定資産が減少し、増資の資金使途として行った資本業務提携により投資有価証券を取得したことから投資その他の資産が増加しております。負債の合計額は大きく変動しておりませんが、返済や債務免除により借入金が減少する一方で、支払手形及び買掛金や未払い費用といった営業債務が増加する等内部構成が若干変動しております
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ、313百万円増加し、当連結会計年度末の残高は490百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は37百万円(前年同期は78百万円の使用)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されたものの前年同期に比べ減少したことに加え、関係会社株式売却益及び債務免除益が計上された一方で、仕入債務の増加や繰延資産償却額が計上されたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は146百万円(前年同期は8百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は497百万円(前年同期は176百万円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入があったことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比 (%)
飲料事業(百万円)147104.9
珍味事業(百万円)20094.6
インターネット通信販売事業(百万円)--
外食店舗事業(百万円)--
報告セグメント計(百万円)34798.7
その他(百万円)385.4
合計(百万円)35198.6

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当社グループは、他社ブランド製品を含めて見込生産を行っており、受注生産は殆ど行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比 (%)
飲料事業(百万円)14596.3
珍味事業(百万円)19598.7
インターネット通信販売事業(百万円)2,499125.9
外食店舗事業(百万円)93.2
報告セグメント計(百万円)2,849108.6
その他(百万円)2106.9
合計(百万円)2,852108.6

(5)資本の財源及び資金の流動性
当社は第64期連結会計年度まで8期連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上していることから、資金の流出が続いており、営業資金の確保と当該状況の解消を行うための投資資金が欠かせない状況が続いております。2017年9月に行使価額修正条項付第1回新株予約権の発行、2019年7月に第三者割当の方法による新株式及び第2回新株予約権の発行、加えて2021年3月に第三者割当の方法による新株式の発行を行うことで資金需要の充足を図っております。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標として、経常利益額と経常利益率を主に重視しております。経常利益額の増加と経常利益率の向上を目標に経営努力してまいります。
当社は第64期連結会計年度まで8期連続して経常損失を計上していることから、短期的には何よりまず黒字化を達成することを経営上の目標としておりますので、具体的な経常利益額と経常利益率の公表はいたしておりません。当社グループにおきましては、経常損失を計上する状況を解消するよう努めてまいります。
(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。