有価証券報告書-第62期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における我が国経済は、全体として緩やかな回復基調にあったものの、消費増税や自然災害の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内外の経済の減速の懸念もあり、先行き不透明な状況が一層強まっております。
当社グループは、国内市場における超高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加、人口減、社会の成熟化に伴うニーズの多様化に加え、デジタルテクノロジーの進展、ミレニアル世代等の新たな消費者層の拡大、アジアの成長や経済のグローバル化等、国内外の事業環境が大きく複雑に変化するなか、新価値創造による強い企業成長を目指すため2019年度から2023年度までの5ヵ年の中期経営計画「Unique 2023 ~エバラらしさの追究~」を策定しました。基本とする戦略方針を「コア事業による収益強化と戦略事業の基盤確立」「“エバラらしく&面白い”ブランドへの成長」と定め、企業成長に向けたチャレンジを継続し、エバラの独自性、面白さに磨きをかけて、当社グループの根幹を支えるコア事業の収益拡大を図ってまいります。また、将来の成長ドライバーとなる戦略事業を推進し、国内外で新たな需要、市場を開拓することで、事業規模の拡大とエバラブランドの浸透を図ってまいります。「Unique 2023」の第1フェーズ(2019~20年度)におきましては、事業基盤の整備強化やコミュニケーションの進化を通じた多様な価値創造を推進し、『黄金の味』の売上伸長、ポーション調味料の市場拡大、業務用事業の収益力強化及び戦略事業の基盤確立に向けた取り組みの強化を進めております。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、512億28百万円(前期比0.2%減)となりました。『黄金の味』が32年ぶりに新テイストを展開し、ラインアップを強化して売上を伸ばしたことに加え、積極的に売場提案を行った『プチッと鍋』が、年間を通じて店舗の品揃えを強化し、前年を上回る水準で推移いたしました。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2、3月における国内外の業務用商品の販売が大きく落ち込んだほか、夏場における天候不順や冬場の青果価格の高騰により、『浅漬けの素』の売上が低調に推移いたしました。利益面につきましては、基幹ブランド商品の収益力強化に向けたマーケティングコストの投下や鍋物調味料群の販売強化を図る拡販費の使用等もあったなか、売上原価率の低減により計画水準を上回り、営業利益は23億11百万円(前期比3.4%減)、経常利益は23億75百万円(前期比4.5%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の売却に伴う減損損失を計上した影響により14億82百万円(前期比10.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<食品事業>食品事業の売上高は433億99百万円(前期比0.2%減)となりました。
(イ)家庭用商品
家庭用商品は前期売上高を上回りました。
家庭用商品全般の傾向として、2、3月の売上は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う内食需要の高まり等の影響を受け、前期水準を上回って推移いたしました。
肉まわり調味料群につきましては、『黄金の味』が2月の新テイスト発売に際し、テレビCMやWEB・SNS等のコミュニケーション施策と併せ、早期から店頭露出を高めたことに加え、『極旨焼肉のたれ』がラインアップの幅を拡げ、継続的に売上を伸ばしたことにより、売上高は155億1百万円(前期比1.6%増)となりました。
鍋物調味料群につきましては、『プチッと鍋』の貢献に加え、テレビCMを通じて商品特性や高い利便性を訴求した『なべしゃぶ』及び『すき焼のたれ』が売上を伸ばした結果、売上高は118億60百万円(前期比4.7%増)となりました。
野菜まわり調味料群につきましては、『浅漬けの素』の売上が低調に推移したことにより、売上高は42億82百万円(前期比6.3%減)となりました。
その他群につきましては、リニューアルにより、シリーズを一新した『プチッとうどん』が好調に推移したものの、チルド商品の売上が低調に推移した影響等により、売上高は28億96百万円(前期比5.7%減)となりました。
以上の結果、家庭用商品全体の売上高は345億40百万円(前期比0.9%増)となりました。
(ロ)業務用商品
業務用商品は前期売上高を下回りました。
肉まわり調味料群において、外食チェーンのメニュー採用に加え、新商品や海外売上の貢献により好調に推移していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響による2、3月の販売量減少により、前期水準を下回ったほか、スープ群やその他群の特注品減少による影響もあり、業務用商品全体の売上高は88億58百万円(前期比4.4%減)となりました。
<物流事業>物流事業は前期売上高を上回りました。
消費増税等に伴い下期(10月~3月)の取引量が減少傾向となるも、既存顧客の保管及び輸送需要の取り込みにより取引を継続的に伸長させた結果、物流事業の売上高は60億3百万円(前期比0.7%増)となりました。
<その他事業>その他事業は前期売上高を下回りました。
広告宣伝事業において、企画提案等により既存顧客との取引拡大や新規顧客開拓に継続して努めたものの、前期のスポット受注のカバーには至らず、その他事業の売上高は18億25百万円(前期比1.4%減)となりました。
売上高の内訳は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | |||||
事業名称及び商品群名 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 対前期比 (%) | ||
食品事業 | 43,492 | 43,399 | △0.2 | ||
家庭用商品 | 34,229 | 34,540 | 0.9 | ||
肉まわり調味料群 | 15,260 | 15,501 | 1.6 | ||
鍋物調味料群 | 11,324 | 11,860 | 4.7 | ||
野菜まわり調味料群 | 4,572 | 4,282 | △6.3 | ||
その他群 | 3,071 | 2,896 | △5.7 | ||
業務用商品 | 9,263 | 8,858 | △4.4 | ||
肉まわり調味料群 | 3,037 | 3,027 | △0.3 | ||
スープ群 | 3,209 | 3,122 | △2.7 | ||
その他群 | 3,016 | 2,708 | △10.2 | ||
物流事業 | 5,963 | 6,003 | 0.7 | ||
その他事業(広告宣伝事業、人材派遣事業等) | 1,850 | 1,825 | △1.4 |
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態の概況は、次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産額につきましては、前連結会計年度末に比べ6億41百万円減少(前期比1.7%減)し、375億7百万円となりました。
流動資産につきましては、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億73百万円減少(前期比0.7%減)し、243億83百万円となりました。
固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億67百万円減少(前期比3.4%減)し、131億24百万円となりました。有形固定資産が5億38百万円減少(前期比5.9%減)し、無形固定資産は24百万円減少(前期比6.8%減)しました。また、投資その他の資産が繰延税金資産の増加等により、95百万円増加(前期比2.3%増)しました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計額につきましては、前連結会計年度末に比べ14億93百万円減少(前期比11.0%減)し、120億31百万円となりました。
流動負債につきましては支払手形及び買掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ14億69百万円減少(前期比15.9%減)し、77億86百万円となりました。固定負債は退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ23百万円減少(前期比0.6%減)し、42億45百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産額につきましては、利益剰余金の増加及び自己株式の取得等により、前連結会計年度末に比べ8億51百万円増加(前期比3.5%増)し、254億75百万円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は67.9%(前期は64.5%)、1株当たり純資産額は2,460円36銭(前期は2,364円71銭)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ12億55百万円増加して128億50百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、28億76百万円(前年同期は40億5百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益において21億81百万円獲得し、売上債権の減少額15億37百万円により増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、10億25百万円(前年同期は7億3百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7億14百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5億82百万円(前年同期は3億10百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額3億97百万円及び自己株式の取得による支出2億11百万円によるものであります。
なお、キャッシュ・フローの指標のトレンドは、次のとおりであります。
2019年3月期 | 2020年3月期 | |
自己資本比率(%) | 64.5 | 67.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 59.3 | 59.6 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 0.0 | 0.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 1,293.5 | 889.5 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
食品事業(百万円) | 20,227 | 97.0 |
合計(百万円) | 20,227 | 97.0 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ロ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
食品事業(百万円) | 43,399 | 99.8 |
物流事業(百万円) | 6,003 | 100.7 |
その他(百万円) | 1,825 | 98.6 |
合計(百万円) | 51,228 | 99.8 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
三菱食品株式会社 | 4,728 | 9.2 | 4,636 | 9.1 |
株式会社日本アクセス | 4,619 | 9.0 | 4,509 | 8.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
⑤経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
(イ)資金需要
当社グループにおきましては、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、さらなる発展と飛躍を目的として、事業分野の拡大や研究及び開発体制の強化、生産設備の拡充等に、資金を活用していきたいと考えております。
(ロ)資金調達
当社グループは、グループ内の資金の一元化と低コストかつ安定的な資金確保の観点から、グループファイナンスシステムを導入しております。これは、グループ内における必要な運転資金や設備資金については、当社にて調達し、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融費用の極小化を図っており、必要な資金は主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借り入れ等によって調達しています。
なお、2020年3月31日現在の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
合計 | 償還1年以内 | 償還1年超 | |
短期借入金 | 83 | 83 | - |
合計 | 83 | 83 | - |
資金面での新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、十分な資金を有していることから、当面の事業活動に支障をきたすことはないと考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。