訂正有価証券報告書-第63期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/08/03 15:11
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経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による影響が長期化するなか、各種政策の効果や海外経済の改善により、持ち直しの動きがみられたものの、国内感染者数の急激な増加により、2021年1月には再び緊急事態宣言が発令される等、景気の先行きは依然として不透明な状態が続いております。
当社グループは、国内市場における超高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加、人口減、社会の成熟化に伴うニーズの多様化に加え、デジタルテクノロジーの進展、ミレニアル世代等の新たな消費者層の拡大、アジアの成長や経済のグローバル化等、国内外の事業環境が大きく複雑に変化するなか、新価値創造による強い企業成長を目指すため2019年度から2023年度までの5ヵ年の中期経営計画「Unique 2023 ~エバラらしさの追究~」を推進しております。基本とする戦略方針を「コア事業による収益強化と戦略事業の基盤確立」「“エバラらしく&面白い”ブランドへの成長」と定め、企業成長に向けたチャレンジを継続し、エバラの独自性、面白さに磨きをかけて、当社グループの根幹を支えるコア事業の収益拡大を図ってまいります。また、将来の成長ドライバーとなる戦略事業を推進し、国内外で新たな需要、市場を開拓することで、事業規模の拡大とエバラブランドの育成を図ってまいります。「Unique 2023」の第1フェーズ(2019~20年度)におきましては、当初想定していた国内外の環境変化に新型コロナウイルス感染症の影響が加わったなか、市場変化に応じた機動的な対応やコミュニケーションの進化を通じた多様な価値創造を推進し、『黄金の味』の売上伸長、ポーション調味料の市場拡大、業務用事業の環境変化への対応及び戦略事業の基盤確立に向けた取り組みの強化を進めてまいりました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、513億34百万円(前期比0.2%増)となりました。主な要因としては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により家庭内喫食率が増加するなか、需要の変動に適時対応し、安定供給に努めた家庭用商品の売上伸長が挙げられます。なかでも、鍋物調味料群に含まれる『プチッと鍋』や『なべしゃぶ』が調理の手軽さや利便性を訴求したテレビCMに合わせて店頭露出を強化したことに加え、年間定番化に向けた施策による春夏の販売機会の拡大もあり、前期売上高を上回る結果となりました。利益面につきましては、商品構成の変化等による売上原価率の低減に加え、当社グループにおける感染防止対策の引き続きの徹底により、一部経費が未使用となった影響もあり、営業利益は36億27百万円(前期比57.0%増)、経常利益は37億38百万円(前期比57.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、25億6百万円(前期比69.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<食品事業>食品事業の売上高は434億45百万円(前期比0.1%増)となりました。
(イ)家庭用商品
家庭用商品は前期売上高を上回りました。
家庭用商品におきましては、年間を通じた需要の急変動に対応し、販売機会の獲得に努めたことにより、前期水準を上回って推移いたしました。
肉まわり調味料群につきましては、『黄金の味』が前期に発売した「さわやか檸檬」の売上貢献に加え、2021年2月に発売した新テイスト「旨にんにく」のテレビCMやWEB・SNS等のコミュニケーション施策と併せ、豊富な商品ラインアップを活かして店頭露出を高めたことにより、売上高は162億20百万円(前期比4.6%増)となりました。
鍋物調味料群につきましては、『プチッと鍋』や『なべしゃぶ』の貢献に加え、『すき焼のたれ』の内食需要に合わせた汎用メニュー提案等が奏功したことにより、売上高は137億51百万円(前期比15.9%増)となりました。
野菜まわり調味料群につきましては、需要期となる第2四半期(7~9月)の野菜価格が高騰したこと等により『浅漬けの素』の売上が低調に推移し、売上高は41億23百万円(前期比3.7%減)となりました。
その他群につきましては、商品の手軽さや利便性の訴求を通じて、うどんつゆ(ストレート)メーカーシェアNo.1※を獲得した『プチッとうどん』や2021年2月にブランドリニューアル及び商品ラインアップの拡充を行った『横濱舶来亭カレーフレーク』が好調に推移したものの、当期より販売機能を移管したチルド商品の売上が連結対象外となった影響のカバーには至らず、売上高は26億80百万円(前期比7.4%減)となりました。
以上の結果、家庭用商品全体の売上高は367億75百万円(前期比6.5%増)となりました。
(※ 出典:日経POS情報 2020年1月~2020年12月)
(ロ)業務用商品
業務用商品は前期売上高を下回りました。
外食産業において、一時政府による景気喚起策等もあり回復基調に推移していたものの、再度の感染拡大に伴う外出自粛要請により来店客数が低下したことに加え、海外事業においても、感染症対策による営業活動の制限等が影響し、肉まわり調味料群、スープ群及びその他群ともに売上が低調に推移した結果、業務用商品全体の売上高は66億69百万円(前期比24.7%減)となりました。
<物流事業>物流事業は前期売上高を上回りました。
既存顧客の倉庫保管需要の取り込みにより取引を伸長させたほか、家庭向け商品を扱う食品メーカーを中心に配送取扱量の増加に努めた結果、物流事業の売上高は62億65百万円(前期比4.4%増)となりました。
<その他事業>その他事業は前期売上高を下回りました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、広告宣伝事業がイベント中止等の影響を受けたほか、人材派遣事業において試食販売員の派遣機会の低下等が響き、その他事業の売上高は16億23百万円(前期比11.0%減)となりました。
売上高の内訳は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
事業名称及び商品群名前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
対前期比
(%)
食品事業43,39943,4450.1
家庭用商品34,54036,7756.5
肉まわり調味料群15,50116,2204.6
鍋物調味料群11,86013,75115.9
野菜まわり調味料群4,2824,123△3.7
その他群2,8962,680△7.4
業務用商品8,8586,669△24.7
肉まわり調味料群3,0272,365△21.9
スープ群3,1222,379△23.8
その他群2,7081,924△28.9
物流事業6,0036,2654.4
その他事業(広告宣伝事業、人材派遣事業等)1,8251,623△11.0

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態の概況は、次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産額につきましては、前連結会計年度末に比べ28億11百万円増加(前期比7.5%増)し、403億19百万円となりました。
流動資産につきましては、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ26億19百万円増加(前期比10.7%増)し、270億2百万円となりました。
固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1億92百万円増加(前期比1.5%増)し、133億16百万円となりました。有形固定資産が15百万円増加(前期比0.2%増)し、無形固定資産は7百万円減少(前期比2.2%減)しました。また、投資その他の資産が投資有価証券の増加等により、1億84百万円増加(前期比4.3%増)しました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計額につきましては、前連結会計年度末に比べ12億25百万円増加(前期比10.2%増)し、132億57百万円となりました。
流動負債につきましては未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末に比べ12億43百万円増加(前期比16.0%増)し、90億30百万円となりました。固定負債は退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ18百万円減少(前期比0.4%減)し、42億26百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産額につきましては、利益剰余金の増加及び自己株式の取得等により、前連結会計年度末に比べ15億86百万円増加(前期比6.2%増)し、270億62百万円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は67.1%(前期は67.9%)、1株当たり純資産額は2,703円62銭(前期は2,460円36銭)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ26億48百万円増加して154億98百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、47億35百万円(前年同期は28億76百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益において36億8百万円獲得し、減価償却費10億61百万円により増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、8億70百万円(前年同期は10億25百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5億93百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、12億29百万円(前年同期は5億82百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額3億67百万円及び自己株式の取得による支出7億87百万円によるものであります。
なお、キャッシュ・フローの指標のトレンドは、次のとおりであります。
2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)67.967.1
時価ベースの自己資本比率(%)59.667.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.0-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)889.53,035.3

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。
※2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)につきましては、有利子負債がないため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
食品事業(百万円)19,92298.5
合計(百万円)19,92298.5

(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ロ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
食品事業(百万円)43,445100.1
物流事業(百万円)6,265104.4
その他(百万円)1,62389.0
合計(百万円)51,334100.2

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
伊藤忠食品株式会社3,9027.64,8699.5
株式会社日本アクセス4,5098.84,6969.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
⑤経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
(イ)資金需要
当社グループにおきましては、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、さらなる発展と飛躍を目的として、事業分野の拡大や研究及び開発体制の強化、生産設備の拡充等に、資金を活用していきたいと考えております。
(ロ)資金調達
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等により資金調達を行っており、グループ内における必要な運転資金や設備資金を安定的に確保し、各事業への機動的な投資を実施できるよう努めております。資金調達においては、当座貸越枠等の調達手段を備えており、金融費用の極小化を考慮した判断のもと借入を行っております。
資金面での新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、十分な資金を有していることから、当面の事業活動に支障をきたすことはないと考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。