訂正有価証券報告書-第60期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2021/08/03 15:08
【資料】
PDFをみる
【項目】
105項目

経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2017年4月1日~2018年3月31日)におけるわが国経済は、全体として緩やかな回復基調が続いており、消費者マインドにも回復の兆しが見られるものの、節約志向は根強く、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要もあり、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
当社グループは、超高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加、人口減、社会の成熟化に伴うお客様ニーズの多様化という大きな社会変化が進むなか、その変化に適合して持続的な成長を図るべく、2014年度から創立60周年を迎える2018年度までの5ヵ年を対象とした長期的な経営ビジョン「Evolution 60」を推進しております。基本とする戦略方針を「エバラブランドの価値向上」と「ニッチ&トップポジションの確立」と定め、“たれの進化”と“コミュニケーションの進化”を経営の軸とし、国内市場での安定的収益と海外市場での成長基盤の確保を目指しております。「Evolution 60」の第2ステージ(2016~17年度)においては、これからの企業成長には、多様化への抜本的な対応と企業体力を高めて変化を乗り切ることが必要であるとの認識のもと、家庭用既存商品の収益力強化、ポーション調味料のさらなる拡充、業務用事業の収益改善、及び海外事業等の成長分野の確立に注力し、中長期的な収益性向上に向けた取り組みを加速させております。第2ステージの2年目となる2017年度においても、上記戦略に基づく施策を着実に進め、『黄金の味』をはじめとする家庭用既存主力商品の収益力強化策をさらに推進しております。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、503億97百万円(前期比1.9%減)となりました。「Evolution 60」における中長期的な収益性向上に向けた最重要施策として、2017年7月に家庭用既存主力商品である『黄金の味』を大幅リニューアルしました。しかし、店頭における商品の切り替えに当初想定以上の期間を要し、リニューアル品の市場浸透にも遅れが生じたため、『黄金の味』が前期実績を下回りました。第2四半期後半以降は旧品在庫による影響は減少し、適正な利潤を伴う市場浸透に努め、リニューアルによる中長期的な収益基盤の確保に向けた成果は着実に表れつつあります。引き続き、お客様のライフスタイルの変化やニーズの多様化に適合した新しい『黄金の味』の持つ価値の浸透に注力してまいります。他方、『プチッと鍋』等のポーション調味料は、容量や用途の幅を広げてラインアップを拡大し、前期実績を上回りました。また、業務用商品も堅調に推移したほか、物流事業及びその他事業も好調に推移しました。利益面につきましては、売上高の減少等により、営業利益は14億70百万円(前期比21.1%減)、経常利益は15億46百万円(前期比19.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したこと等により11億74百万円(前期比0.4%減)となりました。
事業におけるセグメントの概況は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「物流事業」について量的な重要性が増したため、報告セグメントとして記載する方法に変更しております。当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。
<食品事業>(イ)家庭用商品
家庭用商品は前期売上高を下回りました。
肉まわり調味料群につきましては、『焼肉のたれ』や『おろしのたれ』が堅調に推移した一方、大幅リニューアルを実施した『黄金の味』が店頭における商品の切り替えに当初想定以上の期間を要して出荷ペースが鈍化し、またリニューアル品の市場浸透が遅れたことにより、売上高は156億70百万円(前期比10.3%減)となりました。
鍋物調味料群につきましては、『すき焼のたれ』が好調な売上になったほか、『プチッと鍋』シリーズに40ミリリットル容器の商品を投入し、みそ味や豆乳味等の従来の20ミリリットル容器では表現することが難しかった濃厚でコク深い味わいの鍋をラインアップに加えて売上を伸ばしたことにより、売上高は114億52百万円(前期比2.3%増)となりました。
野菜まわり調味料群につきましては、『浅漬けの素』が前期の水準に届かず、売上高は42億51百万円(前期比3.2%減)となりました。
その他群につきましては、ごはん用調味料というポーション調味料の新たなカテゴリーとして発売した『プチッとごはんズ』の貢献があったものの、『回鍋肉のたれ』等のボトル入り中華調味料や『横濱舶来亭カレーフレーク』が前期実績を下回り、売上高は29億72百万円(前期比3.0%減)となりました。
以上の結果、家庭用商品全体の売上高は343億47百万円(前期比4.9%減)となりました。
(ロ)業務用商品
業務用商品は前期売上高を上回りました。
業務用事業において収益構造の改善を進めているなか、肉まわり調味料群が好調に推移し、スープ群、その他群においても海外売上の貢献もあり前期実績を上回った結果、業務用商品全体の売上高は89億21百万円(前期比1.8%増)となりました。
以上の結果、食品事業の売上高は432億68百万円(前期比3.6%減)となりました。
<物流事業>物流事業は前期売上高を上回りました。
新規受注の獲得と既存顧客の取引拡大により売上が伸長し、物流事業の売上高は53億4百万円(前期比4.3%増)となりました。
<その他事業>その他事業は前期売上高を上回りました。
広告宣伝事業が既存顧客への拡販と新規顧客の獲得により売上を大きく伸ばし、また人材派遣事業においても売上が伸長した結果、その他事業の売上高は18億24百万円(前期比30.4%増)となりました。
売上高の内訳は、以下のとおりであります。
事業名称及び製品群名前連結会計年度
売上高実績
当連結会計年度
売上高実績
対前期比
食品事業百万円
44,881
百万円
43,268
%
△3.6
家庭用商品36,11534,347△4.9
肉まわり調味料群17,46815,670△10.3
鍋物調味料群11,19311,4522.3
野菜まわり調味料群4,3904,251△3.2
その他群3,0632,972△3.0
業務用商品8,7658,9211.8
肉まわり調味料群2,7892,8622.6
スープ群3,3323,3811.5
その他群2,6432,6781.3
物流事業5,0835,3044.3
その他事業(広告宣伝事業、人材派遣事業等)1,3991,82430.4

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態の概況は、以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産額につきましては、前連結会計年度末に比べ56百万円減少(前期比0.2%減)し、355億44百万円となりました。
流動資産につきましては、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ6億87百万円減少(前期比3.0%減)し、219億76百万円となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産が4億70百万円増加(前期比5.2%増)し、無形固定資産は41百万円増加(前期比12.2%増)しました。また、繰延税金資産の増加等により、投資その他の資産が1億18百万円増加(前期比3.4%増)したことで、固定資産は、6億30百万円増加(前期比4.9%増)して、135億68百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計額につきましては、前連結会計年度末に比べ7億12百万円減少(前期比5.6%減)し、120億58百万円となりました。
流動負債につきましては未払金の減少等により、前連結会計年度末に比べ7億9百万円減少(前期比8.4%減)し、77億79百万円となりました。固定負債は退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ2百万円減少(前期比0.1%減)し、42億79百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産額につきましては、自己株式の減少等により、前連結会計年度末に比べ6億55百万円増加(前期比2.9%増)し、234億85百万円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は66.1%(前期は64.1%)、1株当たり純資産額は2,256円32銭(前期は2,193円34銭)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ24億73百万円減少して86億10百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、5百万円(前年同期は29億10百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額14億13百万円による減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、19億43百万円(前年同期は21億28百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出17億96百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5億21百万円(前年同期は2億81百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額4億38百万円によるものであります。
なお、キャッシュ・フローの指標のトレンドは、以下のとおりであります。
2017年3月期2018年3月期
自己資本比率(%)64.166.1
時価ベースの自己資本比率(%)60.561.8
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.1-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)963.7-

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。
※2018年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)及びインタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)につきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)
食品事業(百万円)21,231100.1
合計(百万円)21,231100.1

(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ロ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)
食品事業(百万円)43,26896.4
物流事業(百万円)5,304104.3
その他(百万円)1,824130.4
合計(百万円)50,39798.1

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
国分グループ本社株式会社5,15910.04,9229.8
株式会社日本アクセス5,27810.34,5939.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
⑤経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、下記のとおりであります。
(イ)資金需要
当社グループにおきましては、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、さらなる発展と飛躍を目的として、事業分野の拡大や研究及び開発体制の強化、生産設備の拡充等に、資金を活用していきたいと考えております。
(ロ)資金調達
当社グループは、グループ内の資金の一元化と低コストかつ安定的な資金確保の観点から、グループファイナンスシステムを導入しております。これは、グループ内における必要な運転資金や設備資金については、当社にて調達し、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融費用の極小化を図っており、必要な資金は主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借り入れ等によって調達しています。
なお、2018年3月31日現在の有利子負債の内訳は下記のとおりであります。
(単位:百万円)
合計償還1年以内償還1年超
短期借入金8383-
合計8383-

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。