訂正有価証券報告書-第148期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、当初、緩やかな回復基調で推移しましたが、後半に入り、米中貿易摩擦の深刻化にともなう中国経済を中心とした世界経済の減速、ならびに消費増税後の国内消費の落ち込み、さらに新型コロナウイルス感染拡大により世界中で停滞し始めた経済活動の影響により、一層厳しく、かつ不透明な状況になっております。
そのような環境のなか、当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても常にお客様のニーズに応え、安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした事業戦略を推進しております。併せて、企業の潜在力である人材力、開発力、環境対応力を高める経営を継続し、企業体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績は、売上高1,202億58百万円(前連結会計年度比2.0%減)、営業利益105億2百万円(同0.8%減)、経常利益112億50百万円(同2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益85億51百万円(同3.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益においては過去最高益となりました。なお、当連結会計年度の連結業績における新型コロナウイルス感染拡大による影響は軽微です。
当連結会計年度のセグメントの概況は、次のとおりであります。
(車輌資材事業)
国内における新車販売は比較的堅調を維持し、引き続き“革を超える新素材”「クオーレ®」や夏冬快適素材「クオーレモジュレ®」などの高付加価値商品が順調に推移しましたが、海外生産比率の増加、ならびに販売車種の一部打ち切りや商品構成の変化により、国内事業全体では、前期比で減収・減益となりました。海外では、米中貿易摩擦による米国の追加関税ならびに中国をはじめとするアジア各国での自動車販売台数の減少を受け、総じて厳しい経営環境となりました。一方で、前年度、大幅な受注増に対し生産能力の急拡大に取り組んでおりましたメキシコ工場において、課題であった生産効率と歩留まりの改善が進み、第1四半期より営業利益が黒字転換し、利益改善が図られました。海外事業全体では、市況の悪化を受け、前期比で売上高が減少したものの、営業利益は増益となりました。当事業の売上高は697億66百万円(前連結会計年度比5.5%減)、営業利益62億78百万円(同1.9%減)となりました。
(ハイファッション事業)
近年、アパレル業界や消費者の間で、売れ残り在庫の廃棄に対する問題意識が高まるなか、糸から縫製までのグループ一貫機能により、差別化商品を在庫レスで製造する独自のViscotecs®システムに注目が集まっております。このような社会環境のもと、ファッション向けBtoC事業においては、バーチャル試着で多様な消費者ニーズに対応し“あなただけの一着”をお届けする 「Viscotecs make your brand®」の事業展開に先行費用を投じております。また、ファッション向けBtoB事業においても、同様のビジネスモデルでの店舗販売がスタートし、その後の店舗数拡大を経て順調に推移しております。スポーツ向けBtoB事業においては、当社グループの差別化原糸と加工技術を駆使した差別化素材の販売が堅調に推移しました。しかしながら、厳しさの続く国内アパレル市場の影響を受け、KBセーレン㈱の原糸およびテキスタイル販売の売上高が減少しました。当事業の売上高は246億81百万円(前連結会計年度比2.8%減)、営業利益は11億1百万円(同4.6%増)となりました。
(エレクトロニクス事業)
繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた導電性素材「プラット®」は、付加価値を高めた部品化・製品化販売で、スマートフォンやゲーム機への採用拡大が進んでおります。また、ビスコテックス・システム販売事業では、システム本体およびサプライ商品が売上高を伸ばしました。KBセーレン㈱では、スーパー繊維「ゼクシオン®」の用途拡大が大幅に進みましたが、一方で米中貿易摩擦の影響により、導電糸「ベルトロン®」等の高付加価値商品の売上高が減少しました。また、繊維機械事業を行うセーレン電子㈱および世聯電子(蘇州)有限公司においても同様の影響を受け、売上高が減少しました。なお、前連結会計年度末に連結子会社となったケイ・エス・ティ・ワールド㈱の業績が、新たに当エレクトロニクスセグメントに加わっております。当事業の売上高は107億85百万円(前連結会計年度比28.5%増)、営業利益は17億88百万円(同17.3%減)となりました。
(環境・生活資材事業)
新設住宅着工戸数が弱含みで推移するなか、当セグメント主力のハウジング資材事業では、優れた省エネ性能をもつ遮熱型ハウスラップ材や遮熱・高止水型ルーフィング材をはじめ、当社グループの差別化商品群が売上高を伸ばしました。環境・土木分野では、独自の繊維技術により商品化した防草シート「グラスガード®」の販路拡大が進み、また、インテリア事業も売上高を伸ばしましたが、健康・介護事業およびオフィス事業において、一部商品の販売先での在庫調整があり、売上高が減少しました。当事業の売上高は82億61百万円(前連結会計年度比3.1%増)、営業利益は8億83百万円(同2.2%減)となりました。
(メディカル事業)
当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分「ピュアセリシンTM」配合のコモエース化粧品は、自社サイトに加え、百貨店やセレクトショップなどの常設店舗での販売強化を進め、順調に売上高を伸ばしました。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、顧客ニーズにマッチした新商品投入とプロモーションに注力し、販売拡大を進めております。医療資材分野においては、KBセーレン㈱の「エスパンシオーネ®」(特殊原糸)とグループ一貫機能を活かした高付加価値商品の顧客開発が進み販売先が拡大しましたが、薬価改定等の影響により一部の医療用資材において売上高の減少がありました。当事業の売上高は58億70百万円(前連結会計年度比4.5%減)、営業利益は14億11百万円(同19.8%増)となりました。
(その他の事業)
㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業やセーレン商事㈱の保険代理業が堅調に推移しました。当事業の売上高は8億94百万円(前連結会計年度比2.2%減)、営業利益は5億42百万円(同0.0%減)となりました。
② 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して2億66百万円減少の1,264億80百万円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金やその他流動資産が減少した一方で現金及び預金が増加し、前連結会計年度末と比較して14億75百万円の増加となりました。固定資産は、投資有価証券が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して17億42百万円減少しました。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の部は、支払手形及び買掛金や未払法人税等の減少などにより、44億61百万円減少し、467億54百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、自己株式の取得や為替換算調整勘定の変動がありましたが、利益剰余金の増加などにより、全体で41億94百万円増加し、797億26百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は167億47百万円となり、前連結会計年度末より45億59百万円増加しました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、153億56百万円の収入(前連結会計年度は86億8百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益110億72百万円、減価償却費51億20百万円などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、70億23百万円の支出(前連結会計年度は55億71百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出38億76百万円、定期預金の増加25億9百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、38億41百万円の支出(前連結会計年度は34億52百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出10億円、配当金の支払による支出21億30百万円などによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) | 前年同期比(%) |
| 車輌資材 | 30,218 | △0.5 |
| ハイファッション | 14,986 | △2.1 |
| エレクトロニクス | 7,326 | 49.2 |
| 環境・生活資材 | 2,142 | 16.8 |
| メディカル | 2,871 | 0.6 |
| その他 | ― | ― |
| 合計 | 57,545 | 4.1 |
(注) 1. 当社企業集団の各事業は、素材の支給を受けて委託加工を行う事業と素材を仕入れて加工を行い販売する事業から成り、各々の加工高を生産実績としております。
2. セグメント間の取引については、内部振替前の数値によっております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社及び連結子会社は、受注生産形態をとらない製品が多いため、セグメントごとに受注状況は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) | 前年同期比(%) |
| 車輌資材 | 69,766 | △5.5 |
| ハイファッション | 24,681 | △2.8 |
| エレクトロニクス | 10,785 | 28.5 |
| 環境・生活資材 | 8,261 | 3.1 |
| メディカル | 5,870 | △4.5 |
| その他 | 894 | △2.2 |
| 合計 | 120,258 | △2.0 |
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3. 相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える相手先がいないため、主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高と営業利益の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上高原価率は73.2%と前連結会計年度比1.2ポイントの低下、また、売上高営業利益率は8.7%と前連結会計年度比0.1ポイントの上昇となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は7億47百万円の利益となり、前連結会計年度の9億88百万円の利益から2億40百万円の減少となりました。これは、為替差益が前連結会計年度と比較して83百万円減少したことや、受取補償金などの営業外収入が減少したことなどによります。この結果、経常利益は112億50百万円と、前連結会計年度比3億25百万円(2.8%)の減益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は1億77百万円の損失となり、前連結会計年度の45百万円の利益から2億23百万円の減少となりました。これは、前連結会計年度において投資有価証券売却益3億41百万円の特別利益がありましたが、当連結会計年度においては大きな特別利益がなかった一方、関係会社整理損1億65百万円の特別損失を計上したことなどによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の112億50百万円に特別損益の損失1億77百万円を減じた結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は110億72百万円となりました。ここから税金費用24億92百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益28百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は85億51百万円となり、前連結会計年度比3億24百万円(3.9%)の増益となりました。この結果、1株当たり当期純利益は153円63銭となり、前連結会計年度の138円64銭から14円99銭増加しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた当連結会計年度のフリー・キャッシュフローは83億32百万円となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、海外子会社を中心とした生産能力増強のための設備投資であります。
当社グループは、事業の拡大や新規事業構築のための戦略的設備投資、グローバル化投資、研究開発投資及びM&A等に資金を機動的に活用するとともに、リスクを許容できる十分な株主資本の水準を保持することを基本方針としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるとともに、不足分については、銀行借り入れによる調達を実施しております。
なお、キャッシュ・フロー等に関する主要指標の推移は、下記のとおりであります。
| 2016年 3月期 | 2017年 3月期 | 2018年 3月期 | 2019年 3月期 | 2020年 3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 60.2 | 62.8 | 63.0 | 58.5 | 62.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 67.9 | 88.2 | 97.2 | 72.4 | 57.0 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 1.4 | 0.9 | 1.1 | 2.0 | 1.1 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 127.4 | 175.1 | 201.9 | 123.1 | 176.7 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
3. 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、短期借入金及び長期借入金を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものを以下に挙げております。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
(固定資産の減損損失)
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。
(退職給付費用)
退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。
当社グループの主要関連市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などにより需要の減少が見込まれます。このような状況は、2020年度末に向けて徐々に正常化し、2021年度より新型コロナウイルス感染拡大前の状況に概ね戻ると仮定し、繰延税金資産の回収可能性の評価や固定資産の減損損失等の会計上の見積りを行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性が高く、収束遅延により影響が長期化した場合には将来において損失が発生する可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
⑤ 目標とする経営指標の達成状況等
当社および当社グループは、グループトータルの企業価値を最大にするための連結経営を基本としております。その目標とする連結経営指標は、売上高営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上を目標としております。さらには、ROA(総資産事業利益率)、自己資本比率、キャッシュ・フローなどを念頭に、企業価値を高めるための経営を行ってまいります。
なお、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は8.7%(前連結会計年度 8.6%)、ROEは11.2%(同10.9%)でした。