有価証券報告書-第147期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調が続きました。世界経済では、米国で景気が堅調に推移する一方、米中貿易摩擦の影響や先行き不透明な欧州経済、高騰する原材料価格など、引き続き注視が必要な状況にあります。
そのような環境のなか、当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても常にお客様のニーズに応え、安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした事業戦略を推進しております。併せて、企業の潜在力である人材力、開発力、環境対応力を高める経営を継続し、企業体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績は、売上高1,227億2百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益105億87百万円(同1.7%減)、経常利益115億75百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益82億26百万円(同18.7%増)となりました。営業利益で若干の減益となりましたが、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、過去最高を更新しました。
当連結会計年度のセグメントの概況は、次のとおりであります。
車輌資材事業では、国内事業では、新車販売台数が堅調に推移するなか、“革を超える新素材”「クオーレ®」や瞬間消臭機能の「イノドール®」、防汚機能の「エラッセ®」、夏冬快適素材「クオーレモジュレ®」など、快適な車輌の室内空間を実現する高付加価値商品群や、ビスコテックス加飾パネル等が順調に推移し、前期比で増収・増益となりました。海外事業においては、米国および中国市場において「クオーレ®」をはじめとする差別化商品の販売が堅調に推移しました。一方で、大幅な受注増により、生産能力拡大が急務となったメキシコにおいて、生産効率と歩留まりの改善に遅れが生じ、それによる原材料費や物流費などの経費増があり、海外事業全体では前期比で増収・減益となりました。当事業の売上高は738億28百万円(前連結会計年度比9.9%増)、営業利益63億98百万円(同4.2%減)となりました。
ハイファッション事業では、近年、アパレル業界や消費者において、売れ残り在庫を作らない環境に配慮したものづくりに関心が高まるなか、糸から縫製までのグループ一貫機能をIoTで繋ぎ、差別化商品を小ロット・短納期・在庫レスで製造する独自のViscotecs®システムに注目が集まっております。このような環境のもと、BtoC事業においては、バーチャル試着で多様な消費者ニーズに対応し“あなただけの一着”をお届けする 「Viscotecs make your brand®」事業の展開に先行費用を投じております。今後、BtoB事業においても、同様のビジネスモデルでの事業拡大に取り組んでまいります。また、拡大基調にあるインナー向けBtoB事業においては、当社グループのニッティング技術と加工技術を駆使した差別化素材の販売が好調に推移し、拡大する市場ニーズに対応すべく、国内および海外子会社のSaha Seiren Co., Ltd.(タイ)において、順次、生産能力の増強を進めております。セグメント全体においては、アパレル市場は依然厳しい状況にあるものの、高付加価値品の拡販やBtoC事業での先行費用の削減により、前期比で増収・増益となりました。当事業の売上高は253億98百万円(前連結会計年度比2.1%増)、営業利益は10億52百万円(同40.2%増)となりました。
エレクトロニクス事業では、繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた導電性素材「プラット®」は、より付加価値を高めるべく部品化・製品化にシフトしており、スマートフォン、タブレットやゲーム機への採用拡大を進めております。また、ビスコテックス・システム販売事業では、システム本体およびサプライ商品が売上高を伸ばしました。KBセーレン㈱では、高性能ワイピングクロス「ザヴィーナ®」や導電糸「ベルトロン®」が好調に推移し、スーパー繊維の「ゼクシオン®」および「グラディオ®」についても新たな用途展開が増えてまいりました。当事業の売上高は83億95百万円(前連結会計年度比6.1%増)、営業利益は21億61百万円(同16.3%増)となりました。
環境・生活資材事業では、新設住宅着工戸数が弱含みで推移するなか、当セグメント主力のハウジング資材事業では、優れた省エネ性能をもつ遮熱型ハウスラップ材や遮熱・高止水型ルーフィング材をはじめ、当社グループ独自の差別化商品群が売上高を伸ばしました。また、新たな事業領域である環境・土木分野においては、独自の繊維技術により商品化した防草シート「グラスガード®」の業界認知度を高め、さらなる販路拡大に取り組んでおります。健康・介護事業では、快適機能性を高めた新製品の販売が順調に伸びております。当事業の売上高は80億16百万円(前連結会計年度比6.6%増)、営業利益は9億3百万円(同7.2%増)となりました。
メディカル事業では、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分「ピュアセリシンTM」配合のコモエース化粧品は、自社サイトや百貨店に加え、セレクトショップなどの常設店舗における販売強化を進めております。新たに2018年秋に販売を開始した、新成分「ピュアセリシンラメラTM」配合の「コモエース ラメラエッセンス」は好評を博しており、今後も新しい価値提案を継続してまいります。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、顧客ニーズにマッチした新商品投入を継続しつつ、メディア展開をはじめとするプロモーションに注力し販売拡大を進めております。また医療資材分野では、KBセーレン㈱の「エスパンシオーネ®」(特殊原糸)を軸に、グループ一貫機能を活かした差別化商品が売上高を伸ばしましたが、薬価改定の影響等により、一部の医療用製品において売上高の減少がありました。当事業の売上高は61億49百万円(前連結会計年度比3.3%減)、営業利益は11億78百万円(同24.5%減)となりました。
その他の事業では、㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業やセーレン商事㈱の保険代理業が堅調に推移しました。当事業の売上高は9億14百万円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は5億42百万円(同4.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は121億87百万円となり、前連結会計年度末より10億34百万円減少しました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、86億8百万円の収入(前連結会計年度は109億83百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益116億21百万円、減価償却費48億81百万円による収入、売上高の増加に伴う売上債権の増加や、たな卸資産の増加による支出などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、55億71百万円の支出(前連結会計年度は86億8百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49億45百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、34億52百万円の支出(前連結会計年度は14億34百万円の支出)となりました。これは主に、借入金の純増による収入51億77百万円、自己株式の取得による支出67億61百万円、配当金の支払による支出18億68百万円などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 当社企業集団の各事業は、素材の支給を受けて委託加工を行う事業と素材を仕入れて加工を行い販売する事業から成り、各々の加工高を生産実績としております。
2. セグメント間の取引については、内部振替前の数値によっております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社及び連結子会社は、受注生産形態をとらない製品が多いため、セグメントごとに受注状況は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3. 相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える相手先がいないため、主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高は、1,227億2百万円で前連結会計年度比79億29百万円(6.9%)の増収となりました。これは、北米や中国を中心に高付加価値商品群が売上高を伸ばした車輌資材事業、インナー向け差別化素材の販売が好調なハイファッション事業、薄型電極材が売上高を伸ばしたエレクトロニクス事業、並びに、ハウジング資材等の差別化商品群が好調な環境・生活資材事業の増収によるものです。
当連結会計年度の営業利益は、105億87百万円で前連結会計年度比1億86百万円(1.7%)の減益となりました。BtoC事業での先行費用が減少したハイファッション事業や、売上高を伸ばしたエレクトロニクス事業等が増益となりましたが、メキシコにおいて経費増となった車輌資材事業及び薬価改定の影響等を受けたメディカル事業が減益となったことによるものです。売上高原価率は74.4%と前連結会計年度比1.9ポイントの増加、また、売上高営業利益率は8.6%と前連結会計年度比0.8ポイントの減少となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は9億88百万円の利益となり、前連結会計年度の2億5百万円の損失から11億93百万円の増加となりました。これは、海外子会社において保有外貨の評価益が発生したことなどにより、為替差益が4億21百万円となり、為替差損が発生していた前連結会計年度と比較して11億17百万円の増加となったことなどによります。この結果、経常利益は115億75百万円と、前連結会計年度比10億6百万円(9.5%)の増益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は45百万円の利益となり、前連結会計年度の3億16百万円の損失から3億62百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度において投資有価証券評価損等の特別損失がありましたが、当連結会計年度においては投資損失引当金繰入額等の特別損失があったものの、投資有価証券売却益の特別利益があったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の115億75百万円に特別損益の利益45百万円を加えた結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は116億21百万円となりました。ここから税金費用33億62百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益31百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は82億26百万円となり、前連結会計年度比12億95百万円(18.7%)の増益となりました。この結果、1株当たり当期純利益は138円64銭となり、前連結会計年度の115円98銭から22円66銭増加しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して45億30百万円増加の1,267億47百万円となりました。これは主に、売上高の増加により受取手形及び売掛金、たな卸資産などの流動資産が増加したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の部は、借入金の純増などにより、68億30百万円増加し、512億15百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の増加がありましたが、自己株式の取得や、為替変動による為替換算調整勘定の減少などにより、全体で23億円減少し、755億31百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた当連結会計年度のフリー・キャッシュフローは30億37百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、海外子会社を中心とした生産能力増強のための設備投資であります。
当社グループは、事業の拡大や新規事業構築のための戦略的設備投資、グローバル化投資、研究開発投資及びM&A等に資金を機動的に活用するとともに、リスクを許容できる十分な株主資本の水準を保持することを基本方針としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるとともに、自己資金を効率的に活用しております。
なお、キャッシュ・フロー等に関する主要指標の推移は、下記のとおりであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
3. 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、短期借入金及び長期借入金を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
d. 目標とする経営指標の達成状況等
当社および当社グループは、グループトータルの企業価値を最大にするための連結経営を基本としております。その目標とする連結経営指標は、売上高営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上を目標としております。さらには、ROA(総資産事業利益率)、自己資本比率、キャッシュ・フローなどを念頭に、企業価値を高めるための経営を行ってまいります。
なお、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は8.6%(前連結会計年度 9.4%)、ROEは10.9%(同9.4%)でした。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調が続きました。世界経済では、米国で景気が堅調に推移する一方、米中貿易摩擦の影響や先行き不透明な欧州経済、高騰する原材料価格など、引き続き注視が必要な状況にあります。
そのような環境のなか、当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても常にお客様のニーズに応え、安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした事業戦略を推進しております。併せて、企業の潜在力である人材力、開発力、環境対応力を高める経営を継続し、企業体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績は、売上高1,227億2百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益105億87百万円(同1.7%減)、経常利益115億75百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益82億26百万円(同18.7%増)となりました。営業利益で若干の減益となりましたが、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、過去最高を更新しました。
当連結会計年度のセグメントの概況は、次のとおりであります。
車輌資材事業では、国内事業では、新車販売台数が堅調に推移するなか、“革を超える新素材”「クオーレ®」や瞬間消臭機能の「イノドール®」、防汚機能の「エラッセ®」、夏冬快適素材「クオーレモジュレ®」など、快適な車輌の室内空間を実現する高付加価値商品群や、ビスコテックス加飾パネル等が順調に推移し、前期比で増収・増益となりました。海外事業においては、米国および中国市場において「クオーレ®」をはじめとする差別化商品の販売が堅調に推移しました。一方で、大幅な受注増により、生産能力拡大が急務となったメキシコにおいて、生産効率と歩留まりの改善に遅れが生じ、それによる原材料費や物流費などの経費増があり、海外事業全体では前期比で増収・減益となりました。当事業の売上高は738億28百万円(前連結会計年度比9.9%増)、営業利益63億98百万円(同4.2%減)となりました。
ハイファッション事業では、近年、アパレル業界や消費者において、売れ残り在庫を作らない環境に配慮したものづくりに関心が高まるなか、糸から縫製までのグループ一貫機能をIoTで繋ぎ、差別化商品を小ロット・短納期・在庫レスで製造する独自のViscotecs®システムに注目が集まっております。このような環境のもと、BtoC事業においては、バーチャル試着で多様な消費者ニーズに対応し“あなただけの一着”をお届けする 「Viscotecs make your brand®」事業の展開に先行費用を投じております。今後、BtoB事業においても、同様のビジネスモデルでの事業拡大に取り組んでまいります。また、拡大基調にあるインナー向けBtoB事業においては、当社グループのニッティング技術と加工技術を駆使した差別化素材の販売が好調に推移し、拡大する市場ニーズに対応すべく、国内および海外子会社のSaha Seiren Co., Ltd.(タイ)において、順次、生産能力の増強を進めております。セグメント全体においては、アパレル市場は依然厳しい状況にあるものの、高付加価値品の拡販やBtoC事業での先行費用の削減により、前期比で増収・増益となりました。当事業の売上高は253億98百万円(前連結会計年度比2.1%増)、営業利益は10億52百万円(同40.2%増)となりました。
エレクトロニクス事業では、繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた導電性素材「プラット®」は、より付加価値を高めるべく部品化・製品化にシフトしており、スマートフォン、タブレットやゲーム機への採用拡大を進めております。また、ビスコテックス・システム販売事業では、システム本体およびサプライ商品が売上高を伸ばしました。KBセーレン㈱では、高性能ワイピングクロス「ザヴィーナ®」や導電糸「ベルトロン®」が好調に推移し、スーパー繊維の「ゼクシオン®」および「グラディオ®」についても新たな用途展開が増えてまいりました。当事業の売上高は83億95百万円(前連結会計年度比6.1%増)、営業利益は21億61百万円(同16.3%増)となりました。
環境・生活資材事業では、新設住宅着工戸数が弱含みで推移するなか、当セグメント主力のハウジング資材事業では、優れた省エネ性能をもつ遮熱型ハウスラップ材や遮熱・高止水型ルーフィング材をはじめ、当社グループ独自の差別化商品群が売上高を伸ばしました。また、新たな事業領域である環境・土木分野においては、独自の繊維技術により商品化した防草シート「グラスガード®」の業界認知度を高め、さらなる販路拡大に取り組んでおります。健康・介護事業では、快適機能性を高めた新製品の販売が順調に伸びております。当事業の売上高は80億16百万円(前連結会計年度比6.6%増)、営業利益は9億3百万円(同7.2%増)となりました。
メディカル事業では、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分「ピュアセリシンTM」配合のコモエース化粧品は、自社サイトや百貨店に加え、セレクトショップなどの常設店舗における販売強化を進めております。新たに2018年秋に販売を開始した、新成分「ピュアセリシンラメラTM」配合の「コモエース ラメラエッセンス」は好評を博しており、今後も新しい価値提案を継続してまいります。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、顧客ニーズにマッチした新商品投入を継続しつつ、メディア展開をはじめとするプロモーションに注力し販売拡大を進めております。また医療資材分野では、KBセーレン㈱の「エスパンシオーネ®」(特殊原糸)を軸に、グループ一貫機能を活かした差別化商品が売上高を伸ばしましたが、薬価改定の影響等により、一部の医療用製品において売上高の減少がありました。当事業の売上高は61億49百万円(前連結会計年度比3.3%減)、営業利益は11億78百万円(同24.5%減)となりました。
その他の事業では、㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業やセーレン商事㈱の保険代理業が堅調に推移しました。当事業の売上高は9億14百万円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は5億42百万円(同4.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は121億87百万円となり、前連結会計年度末より10億34百万円減少しました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、86億8百万円の収入(前連結会計年度は109億83百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益116億21百万円、減価償却費48億81百万円による収入、売上高の増加に伴う売上債権の増加や、たな卸資産の増加による支出などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、55億71百万円の支出(前連結会計年度は86億8百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49億45百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、34億52百万円の支出(前連結会計年度は14億34百万円の支出)となりました。これは主に、借入金の純増による収入51億77百万円、自己株式の取得による支出67億61百万円、配当金の支払による支出18億68百万円などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) | 前年同期比(%) |
| 車輌資材 | 30,373 | 10.6 |
| ハイファッション | 15,299 | 2.0 |
| エレクトロニクス | 4,909 | 7.6 |
| 環境・生活資材 | 1,834 | 5.2 |
| メディカル | 2,854 | 0.3 |
| その他 | ― | ― |
| 合計 | 55,272 | 7.1 |
(注) 1. 当社企業集団の各事業は、素材の支給を受けて委託加工を行う事業と素材を仕入れて加工を行い販売する事業から成り、各々の加工高を生産実績としております。
2. セグメント間の取引については、内部振替前の数値によっております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社及び連結子会社は、受注生産形態をとらない製品が多いため、セグメントごとに受注状況は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) | 前年同期比(%) |
| 車輌資材 | 73,828 | 9.9 |
| ハイファッション | 25,398 | 2.1 |
| エレクトロニクス | 8,395 | 6.1 |
| 環境・生活資材 | 8,016 | 6.6 |
| メディカル | 6,149 | △3.3 |
| その他 | 914 | △0.3 |
| 合計 | 122,702 | 6.9 |
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3. 相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える相手先がいないため、主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高は、1,227億2百万円で前連結会計年度比79億29百万円(6.9%)の増収となりました。これは、北米や中国を中心に高付加価値商品群が売上高を伸ばした車輌資材事業、インナー向け差別化素材の販売が好調なハイファッション事業、薄型電極材が売上高を伸ばしたエレクトロニクス事業、並びに、ハウジング資材等の差別化商品群が好調な環境・生活資材事業の増収によるものです。
当連結会計年度の営業利益は、105億87百万円で前連結会計年度比1億86百万円(1.7%)の減益となりました。BtoC事業での先行費用が減少したハイファッション事業や、売上高を伸ばしたエレクトロニクス事業等が増益となりましたが、メキシコにおいて経費増となった車輌資材事業及び薬価改定の影響等を受けたメディカル事業が減益となったことによるものです。売上高原価率は74.4%と前連結会計年度比1.9ポイントの増加、また、売上高営業利益率は8.6%と前連結会計年度比0.8ポイントの減少となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は9億88百万円の利益となり、前連結会計年度の2億5百万円の損失から11億93百万円の増加となりました。これは、海外子会社において保有外貨の評価益が発生したことなどにより、為替差益が4億21百万円となり、為替差損が発生していた前連結会計年度と比較して11億17百万円の増加となったことなどによります。この結果、経常利益は115億75百万円と、前連結会計年度比10億6百万円(9.5%)の増益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は45百万円の利益となり、前連結会計年度の3億16百万円の損失から3億62百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度において投資有価証券評価損等の特別損失がありましたが、当連結会計年度においては投資損失引当金繰入額等の特別損失があったものの、投資有価証券売却益の特別利益があったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の115億75百万円に特別損益の利益45百万円を加えた結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は116億21百万円となりました。ここから税金費用33億62百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益31百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は82億26百万円となり、前連結会計年度比12億95百万円(18.7%)の増益となりました。この結果、1株当たり当期純利益は138円64銭となり、前連結会計年度の115円98銭から22円66銭増加しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して45億30百万円増加の1,267億47百万円となりました。これは主に、売上高の増加により受取手形及び売掛金、たな卸資産などの流動資産が増加したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の部は、借入金の純増などにより、68億30百万円増加し、512億15百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の増加がありましたが、自己株式の取得や、為替変動による為替換算調整勘定の減少などにより、全体で23億円減少し、755億31百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた当連結会計年度のフリー・キャッシュフローは30億37百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、海外子会社を中心とした生産能力増強のための設備投資であります。
当社グループは、事業の拡大や新規事業構築のための戦略的設備投資、グローバル化投資、研究開発投資及びM&A等に資金を機動的に活用するとともに、リスクを許容できる十分な株主資本の水準を保持することを基本方針としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるとともに、自己資金を効率的に活用しております。
なお、キャッシュ・フロー等に関する主要指標の推移は、下記のとおりであります。
| 2015年 3月期 | 2016年 3月期 | 2017年 3月期 | 2018年 3月期 | 2019年 3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 60.2 | 60.2 | 62.8 | 63.0 | 58.5 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 58.6 | 67.9 | 88.2 | 97.2 | 72.4 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 1.7 | 1.4 | 0.9 | 1.1 | 2.0 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 78.3 | 127.4 | 175.1 | 201.9 | 123.1 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
3. 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、短期借入金及び長期借入金を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。
d. 目標とする経営指標の達成状況等
当社および当社グループは、グループトータルの企業価値を最大にするための連結経営を基本としております。その目標とする連結経営指標は、売上高営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上を目標としております。さらには、ROA(総資産事業利益率)、自己資本比率、キャッシュ・フローなどを念頭に、企業価値を高めるための経営を行ってまいります。
なお、当連結会計年度の連結売上高営業利益率は8.6%(前連結会計年度 9.4%)、ROEは10.9%(同9.4%)でした。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。