四半期報告書-第167期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/06 9:39
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、堅調な米国経済に支えられ、全体としては緩やかに成長しましたが、米中の通商問題に端を発した中国経済の減速傾向や各国政策の不確実性に伴うリスクにより、不安定さを増しております。国内経済も、不安定な世界経済の動向に伴う影響を受け、輸出や生産の一部に弱さが見られるなど、企業を取り巻く経営環境は不透明な状況にあります。
半導体・電子部品業界の市場は、パソコン・スマートフォン市場は前年対比でマイナス成長となりましたが、データセンター向けサーバー市場を中心とした新たな市場の成長もあり、全体としては成長傾向で推移しております。
自動車業界の排気系部品市場は、自動車販売台数が世界的にマイナス成長となったことに加えて、欧州乗用車市場におけるディーゼル車販売比率の低下が継続するなど、楽観視できない状況にあります。
このような情勢のもと、当社におきましては、2018年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage110 Plan」に基づき、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力と新規事業の拡大による安定した成長の実現に向けた取り組みを進めております。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は733億1百万円と前年同期に比べ14億33百万円(2.0%)増加しました。営業利益は45億17百万円と前年同期に比べ15億67百万円(53.1%)増加しました。経常利益は51億74百万円と前年同期に比べ11億58百万円(28.9%)増加しました。親会社株主に帰属する四半期純利益に関しましては29億3百万円と、前年同期に比べて2億14百万円(8.0%)増加しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
イ 電子事業
パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン市場全体は、引き続き前年対比でマイナス成長が継続しておりますが、ICTの進展に伴うデータ処理量の増加により、データセンターで使われるサーバー向けの需要が拡大し、売上高は前年同期に比べ増加しました。
マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、サーバー向けモジュール基板の需要はおおむね堅調に推移しましたが、ハイエンドスマートフォン向けの売上が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ減少しました。
以上の結果、電子事業の売上高は327億33百万円となり、前年同期に比べ14.0%の増収となりました。同事業の営業利益は、PKG事業の成長と不採算製品の生産縮小など、事業の選択と集中を進めた結果、28億71百万円(前年同期は5億17百万円の営業損失)となり、黒字に転換しました。
ロ セラミック事業
ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、主力の欧州市場を中心としたディーゼル乗用車比率低下による影響を受け、売上高は前年同期に比べ減少しました。今後、排ガス規制の強化に伴い拡大が見込まれる新興国の大型車向けDPF市場におけるシェア拡大と新規顧客への拡販に取り組んでまいります。
触媒担体保持・シール材(AFP)は、中国を中心に、世界的に自動車販売が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ減少しました。
NOx浄化用触媒担体(SCR)は、自動車向け製品及び定置式の脱硝触媒の販売が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ減少しました。
特殊炭素製品(FGM)は、半導体市場が堅調に推移したことに加え、新技術・新素材主体に拡販を進めた結果、売上高は前年同期に比べ増加しました。
以上の結果、セラミック事業の売上高は246億77百万円となり、前年同期に比べ13.2%減少しました。同事業の営業利益は、自動車排気系向け製品の売上減少による影響等を主因に、9億27百万円となり、前年同期に比べ68.6%減少しました。
ハ 建設
建設部門におきましては、一部工事の施工計画変更により、前年同期に比べ売上高は減少しました。
以上の結果、建設事業の売上高は9億29百万円となり、前年同期に比べ15.3%減少しました。同事業の営業利益は、2億22百万円となり、前年同期に比べ34.5%減少しました。
二 その他事業
建材部門におきましては、住宅設備機器販売部門は、コンポーネント住宅の販売が増加したことにより、前年同期に比べ売上高は増加しました。
その他部門におきましては、合成樹脂加工部門は、精密分野向け発泡樹脂製品並びに自動車分野向け射出製品の販売数量増加により、前年同期に比べ売上高は増加しました。
以上により、その他事業の売上高は149億61百万円となり、前年同期に比べ9.9%増加しました。同事業の営業利益は、4億88百万円となり、前年同期に比べ189.6%増加しました。
② 財政状態
当第1四半期連結会計期間末における総資産は3,947億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ6.7%減少しました。総資産の減少の主な要因は、現金及び預金が311億33百万円減少したことによります。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は1,207億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ17.7%減少しました。負債合計の減少の主な要因は、1年内償還予定の社債が250億円、関係会社整理損失引当金が27億73百万円減少したことによります。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,740億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ0.8%減少しました。総資産の減少の主な要因は、為替換算調整勘定が43億54百万円減少したことによります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、823億59百万円となり、前連結会計年度末より311億33百万円減少しました。
各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、37億39百万円(前第1四半期連結累計期間45億75百万円)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益42億円、減価償却費55億46百万円による増加と、賞与引当金の減少16億16百万円、法人税等の支払27億61百万円による減少によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は、59億95百万円(前第1四半期連結累計期間88億12百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出57億89百万円によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、278億20百万円(前第1四半期連結累計期間は28億31百万円の財務活動によって使用された資金)となりました。これは主に社債償還による250億円、配当金支払による27億98百万円によります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は以下のとおりであります。
(会社の支配に関する基本方針)
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」という企業理念を実現するため、「共有すべき行動精神」として4つの「行動精神」(「誠実」、「和」、「積極性」及び「イビテクノの進化」)を掲げ、全従業員の行動の柱としております。このように、当社は、上記 「企業理念」及び「共有すべき行動精神」のもと、経営の効率性及び透明性を向上させ、当社の企業価値及び株主共同の利益を最大化することを目指しております。
当社の株式は原則として譲渡自由であり、当社の株主も市場における自由な取引を通じて決定されます。当社は、当社株式の大量取得を目的とする買付けが行われる場合において、それに応じるか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。そこで、当社は、そのような買付けが行われる場合、株主の皆様が、当該買付けが当社の企業価値及び株主共同の利益にどのような影響を及ぼすのかを適切にご判断いただくため、平時より、当社の経営資源の有効化、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策の透明性について十分にご理解いただくための諸施策の実施が必要と考えております。
一方で、当社は、以下のような、当社株式の不適切な大量取得行為や買収提案を行う者等、当社の企業価値又は株主共同の利益の向上に資さない者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。
(ア)真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で当社株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買収を行う、いわゆるグリーンメーラーに該当する者
(イ)当社の経営を一時的に支配して、当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を買付者やそのグループ会社に委譲させる等、焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行う者
(ウ)当社の経営を支配した後に、当社の資産を買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式を買い付ける等、資産の流用を目的として当社株式の買収を行う者
(エ)会社経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等の高額資産等を売却処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、あるいは、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高値売り抜けをする目的で当社株式の買収を行う者
②会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別の取組み
当社は、1912年11月の創業以来、ステークホルダーの皆様との信頼関係を基盤とし、電子事業、セラミック事業、その他事業をグループ会社とともに展開しております。
当社は、2018年3月30日開催の第917回取締役会において、2018年度を初年度とする5年間の連結中期経営計画(2018年度~2022年度)「To The Next Stage 110 Plan」を決議しました。この新中期経営計画では、以下の(a)~(d)を活動の柱とし、次の100年に向け、当社の持続的成長と安定的な利益の確保を目指します。
(a)既存事業の競争力強化、(b)新規事業の拡大、(c)人財育成、(d)ESG経営の推進
また、株主の皆様に対する利益還元の一環として、財務状況等を勘案しながら自己株式の取得を積極的に実施してまいります。
以上の取組みは、中期経営計画につきましては、上記(a)~(d)を目的としている点で、そして自己株式の取得につきましては、財務状況等を勘案しながら株主の皆様に対する利益還元の一環として行う点で、それぞれ前記①の基本方針に沿うものであり、また当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資するものと考えております。
③基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
現時点で、当社は、基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための具体的な取組み(いわゆる買収防衛策)を予め定めることはいたしておりません。
しかしながら、株主の皆様から付託を受けた経営者の責務として、当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視して、当社株式を大量に取得しようとする者や買収提案を行う者が出現した場合には、以下のプロセスによる適切な対応策を講ずる所存であります。
(ア)買収者が提案する事業計画の実現可能性・適法性、各事業分野の結合により実現されるシナジー効果及びステークホルダーに対する対応方針等の分析・検討を行うことによる、当該買付けが当社の企業価値及び株主共同の利益に及ぼす影響度合いの分析
(イ)買収者に対する意見表明書等の提出による質問、意見及び対案等の提示並びに買収者に対する情報収集
(ウ)株主の皆様への可能な限りの情報提供及びステークホルダーからの意見収集
(エ)上記のほか、当社として適切と考えられるあらゆる措置の実行
さらに、当社は、上記対応策の実効性を確保するため、平時より、経営企画部門を中心に、以下の取り組みを、定期的に行っております。
・当社の株価バリュエーション並びに資産構成、資本構成、事業構造及び株主還元政策の分析及び検討
・積極的なIR活動の実施策、株主の皆様に対する恒常的な情報発信及び投資家に対する適時開示等、当社の企業価値向上策の分析及び検討
・潜在的買収者及び当該買収者が提案しうる戦略及び当該買収者による買収がステークホルダーに与える影響等に係る情報収集及び分析
・買収者が出現した場合の社内対応手順の策定及び必要資料の事前準備並びに社内教育プログラムの策定及び実施
上記対応策及び取組みは、株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を提供し、株主の皆様が代替案の提示を受ける機会を確保することを主要な目的としております。上記対応策及び取組みにより、株主の皆様は、十分な情報のもとで、大規模買付行為に応じるか否かについて適切な判断をすることが可能となると考えております。これらは、前記①の基本方針に沿うとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の向上につながるものと考えております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、37億88百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
2019年3月31日現在において計画中であった重要な設備計画を次のとおり変更しています。
会社名事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達
方法
着手年月完了予定年月完成後の
増加能力
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
イビデン㈱大垣中央事業場
(岐阜県大垣市)
電子生産設備80,0952,244自己資金
及び社債
(注)2
2018年10月2021年7月

(注) 1. 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.着手中であった上記の生産設備投資について、資金調達方法を自己資金から自己資金及び社債に変更しております。