有価証券報告書-第165期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/15 16:44
【資料】
PDFをみる
【項目】
120項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、堅調な米国及び欧州経済に支えられ、全体としては緩やかに成長しました。国内経済は、設備投資や企業生産が増加し、また、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかな回復基調をたどりました。
半導体・電子部品業界の市場は、スマートフォン及びデータセンターをはじめとした新たな市場の成長が加わり全体としては成長傾向で推移しましたが、パソコン市場については、一部で持ち直しの兆しが見られたものの、依然として前年対比でマイナス成長が続きました。
自動車業界の排気系部品市場は、北米を中心とした大型車市場並びに欧州の乗用車市場を中心に、総じて好調に推移しました。
このような情勢のもと、当社におきましては、永続的・安定的な企業成長に向け、「現地・現物・自掛」を基本とした人財育成を中心とした企業体質づくりに取り組んでおります。併せて、電子事業、セラミック事業及び国内関連会社事業と電力事業で構成される「その他事業」を合わせた3つのセグメントによる安定した収益構造を目指し、各事業の競争力強化に取り組んでおります。さらには、中長期の成長を支える新たな事業の柱の構築に向け、新製品開発を着実に進めております。具体的には、今年度より新たに4つの開発センターを発足し、新製品の開発及び早期上市に向けた取り組みを開始すると共に、株式会社デンソーと平成29年4月27日付で資本業務提携契約を締結し、次世代の排気システム及び電動化領域において共同研究開発を実施することで、開発に弾みを付けてまいります。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ 財政状態
当連結会計年度末における総資産は4,380億96百万円(対前年同期比8.0%増)となりました。流動資産は2,287億24百万円(同12.0%増)、固定資産は2,093億71百万円(同3.8%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、1,517億28百万円(同4.8%増)となりました。流動負債は934億91百万円(同5.6%増)、固定負債は582億37百万円(同3.5%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は2,863億67百万円(同9.7%増)となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度の売上高は3,004億3百万円と前連結会計年度に比べ339億44百万円(12.7%)増加しました。営業利益は167億2百万円と前連結会計年度に比べ95億60百万円(133.9%)増加しました。経常利益は176億3百万円と前連結会計年度に比べ153億2百万円(665.0%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しましては115億83百万円 (前連結会計年度は628億48百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(電子事業)
電子事業の売上高は1,155億73百万円となり、前連結会計年度に比べ16.5%増加しました。同事業の営業利益は、8億53百万円(前連結会計年度は36億49百万円の営業損失)となりました。
(セラミック事業)
セラミック事業の売上高は1,134億25百万円となり、前連結会計年度に比べ11.9%増加しました。同事業の営業利益は、105億25百万円となり、前連結会計年度に比べ143.5%増加しました。
(その他事業)
その他事業の売上高は714億5百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。同事業の営業利益は54億17百万円となり、前連結会計年度に比べ17.1%減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,177億60百万円となり、前連結会計年度末より136億58百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、270億40百万円(前連結会計年度288億13百万円)となりました。これは主に減価償却費245億66百万円、税金等調整前当期純利益185億50百万円、仕入債務の増加64億38百万円等による増加とたな卸資産の増加58億43百万円、法人税等の支払額37億8百万円等による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は、213億3百万円(前連結会計年度262億80百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出187億67百万円、投資有価証券の取得による支出25億57百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、67億24百万円(前連結会計年度は51億35百万円の財務活動によって使用された資金)となりました。これは主に自己株式の売却による収入120億円と配当金支払による支出47億60百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
電子117,296+24.5
セラミック110,361+11.7
その他9,628+3.9
合計237,285+17.3

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
電子118,385+24.59,428+23.5
合計118,385+24.59,428+23.5

(注) 1 セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
電子115,573+16.5
セラミック113,425+11.9
その他71,405+8.3
合計300,403+12.7

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
Intel Corp.52,50819.757,00919.0

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、第5「経理の状況」 1「連結財務諸表等」「注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は4,380億96百万円(対前年同期比8.0%増)となりました。流動資産は2,287億24百万円(同12.0%増)、固定資産は2,093億71百万円(同3.8%増)となりました。
流動資産の増加の主な要因は、現金預金が135億78百万円、受取手形及び売掛金が56億26百万円、仕掛品が24億69百万円増加したことによります。
固定資産の増加の主な要因は投資有価証券が78億47百万円増加したことによります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、1,517億28百万円(同4.8%増)となりました。流動負債は934億91百万円(同5.6%増)、固定負債は582億37百万円(同3.5%増)となりました。
流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が77億31百万円増加したことによります。
固定負債の増加の主な要因は、繰延税金負債が18億57百万円増加したことによります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は2,863億67百万円(同9.7%増)となりました。
純資産合計の増加の主な要因は、自己株式が156億96百万円減少したことによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の63.2%から64.2%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,927円53銭から2,012円60銭となりました。
b.経営成績
(売上高及び営業利益)
売上高は、3,004億3百万円(昨年同期比12.7%増)となりました。
売上原価は、売上高の増加に伴い2,345億16百万円(対前年同期比11.3%増)となりました。売上原価率は1.0ポイント改善し、78.1%となりました。
この結果、営業利益は、167億2百万円(対昨年同期比133.9%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度の△48億40百万円(純額)から9億1百万円(純額)となり、改善しました。主な要因は、休止固定資産減価償却費が45億32百万円減少したことによります。
この結果、経常利益は、176億3百万円(対前年同期比665.0%増)となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の△630億73百万円(純額)から9億47百万円(純額)となり、改善しました。主な要因は、事業構造改革費用が619億88百万円減少したことによります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、185億50百万円(前連結会計年度は607億71百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む。))
法人税等は、前連結会計年度の18億46百万円から、当連結会計年度は66億96百万円となりました。
この結果、当期純利益は、118億54百万円(前連結会計年度は626億18百万円の当期純損失)となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の2億30百万円から、当連結会計年度は2億70百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、115億83百万円(前連結会計年度は628億48百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
1株当たり当期純利益は、83円21銭(前連結会計年度は472円26銭の1株当たり当期純損失)となりました。
ROE(自己資本利益率)は、4.3%となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、設備投資に必要な資金及びその他の所用資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「Challenge IBI-TECHNO 105 Plan」の最終年度である平成30年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。
平成30年3月期
(計画)
平成30年3月期
(実績)
平成30年3月期
(計画比)
売上高290,000百万円300,403百万円10,403百万円増 (3.6%増)
営業利益16,000百万円16,702百万円702百万円増 (4.4%増)
経常利益17,000百万円17,603百万円603百万円増 (3.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円11,583百万円583百万円増 (5.3%増)

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。
(電子事業)
パソコン用パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン市場全体は引き続き前年対比でマイナス成長が継続しておりますが、新分野及び新規顧客の開拓に努めたことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
スマートフォン・タブレット用小型・薄型基板(CSP)事業におきましては、ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FO-WLP)の上市による影響が継続したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
マザーボード・プリント配線板(PWB)事業におきましては、ハイエンドスマートフォンにおいて新たな薄型・高密度配線基板の採用が進展したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、電子事業の売上高は1,155億73百万円となり、前連結会計年度に比べ16.5%増加しました。同事業の営業利益は、昨年度の事業構造改革による効果もあり、8億53百万円(前連結会計年度は36億49百万円の営業損失)となりました。また、電子事業の資産は、892億94百万円となり、前連結会計年度に比べ40億円増加しました。
(セラミック事業)
大型車を含む欧州を中心に世界的に自動車市場が堅調に推移したことにより、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)及び触媒担体保持・シール材(AFP)共に、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
NOx浄化用触媒担体(SCR)は、自動車・エネルギー関連向け製品共に堅調に推移したことにより売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
特殊炭素製品(FGM)は、半導体市場が堅調に成長したことに加え、新技術・新素材主体に拡販を進めた結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
以上により、セラミック事業の売上高は1,134億25百万円となり、前連結会計年度に比べ11.9%増加しました。同事業の営業利益は、自動車向け製品を中心とした増産効果などにより、105億25百万円となり、前連結会計年度に比べ143.5%増加しました。また、セラミック事業の資産は、1,022億62百万円となり、前連結会計年度に比べ76億84百万円増加しました。
(その他事業)
建材部門におきましては、化粧板関連販売部門は、トイレブース向けメラミン化粧板及び不燃化粧板の拡販に努めたことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。また、住宅設備機器販売部門は、コンポーネント住宅及び賃貸住宅向けの販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
建設部門におきましては、法面工事部門及び造園事業部門は、期初繰越工事が前年度よりも増加したことに加え、年度内に完成する工事を重点的に受注し完工したことにより、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
その他部門におきましては、石油製品販売部門は、販売数量の減少を販売価格の上昇で補い、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。また、合成樹脂加工部門は、自動車分野ならびに精密分野向け発泡樹脂製品の販売数量減により、前連結会計年度に比べ売上高は減少しました。
以上により、その他事業の売上高は714億5百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。同事業の営業利益は54億17百万円となり、前連結会計年度に比べ17.1%減少しました。また、その他事業の資産は、723億25百万円となり、前連結会計年度に比べ68億54百万円増加しました。