有価証券報告書-第166期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/14 16:38
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度の比較・分析を行っております。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、年度の前半は堅調な米国経済及び回復基調の欧州経済に支えられ、緩やかに成長しましたが、年度の後半にかけては米中の通商問題に端を発した中国経済の減速傾向、更には英国のEU離脱に向けた政治的混乱など、不安定さを増しております。国内経済も、不安定な世界経済の動向に伴う影響を受け、輸出や生産の一部に弱さが見られるなど、企業をとりまく経営環境は不透明な状況にあります。
半導体・電子部品業界の市場は、データセンター向けサーバー市場は高水準で推移しましたが、パソコン・スマートフォン市場は前年対比でマイナス成長となり、当社の電子事業を取り巻く環境は、依然として楽観視できない状況が続いております。
自動車業界の排気系部品市場は、自動車販売台数が世界的に低調に推移したことに加えて、欧州乗用車市場においてディーゼル乗用車販売比率が低下するなど、厳しい状況にあります。
このような情勢のもと、当社におきましては、安定的・永続的に事業を成長させるため、昨年4月に新たな5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を始動しました。新中期経営計画におきましては、人財育成を基盤に、既存事業の競争力を強化すると共に、中長期の成長を支える新規事業の拡大に取り組んでおります。新規事業については、2017年度に設立した4つの開発センターにおいて、新製品の開発及び早期上市に向けた取り組みを進めております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ 財政状態
当連結会計年度末における総資産は4,230億56百万円(対前年同期比3.1%減)となりました。流動資産は2,289億72百万円(同1.2%増)、固定資産は1,940億84百万円(同7.6%減)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、1,467億51百万円(同2.2%減)となりました。流動負債は1,180億82百万円(同26.3%増)、固定負債は286億68百万円(同49.3%減)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は2,763億5百万円(同3.5%減)となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度の売上高は2,911億25百万円と前連結会計年度に比べ92億78百万円(3.1%)減少しました。営業利益は101億37百万円と前連結会計年度に比べ65億64百万円(39.3%)減少しました。経常利益は126億円と前連結会計年度に比べ50億2百万円(28.4%)減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は33億6百万円と前連結会計年度に比べ82億77百万円 (71.5%)減少しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(電子事業)
電子事業の売上高は1,159億82百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%増加しました。同事業の営業利益は、25億33百万円となり、前連結会計年度に比べ196.9%増加しました。
(セラミック事業)
セラミック事業の売上高は1,024億88百万円となり、前連結会計年度に比べ9.6%減少しました。同事業の営業利益は、DPFの売上減少の影響等もあり29億66百万円となり、前連結会計年度に比べ71.8%減少しました。
(建設事業)
建設事業の売上高は60億3百万円となり、前連結会計年度に比べ1.2%減少しました。同事業の営業利益は13億52百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%増加しました。
(その他事業)
その他事業の売上高は666億51百万円となり、前連結会計年度に比べ2.0%増加しました。同事業の営業利益は33億25百万円となり、前連結会計年度に比べ18.6%減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,134億92百万円となり、前連結会計年度末より42億67百万円減少しました。
各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、185億55百万円(前連結会計年度270億40百万円)となりました。これは主に減価償却費251億36百万円、税金等調整前当期純利益93億26百万円、関係会社整理損52億87百万円等による増加とたな卸資産の増加額90億18百万円、法人税等の支払額85億54百万円等による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は、180億36百万円(前連結会計年度213億3百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出234億38百万円等と投資有価証券の売却による収入68億73百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、49億26百万円(前連結会計年度は67億24百万円の財務活動によって得られた資金)となりました。これは主に配当金支払による支出48億96百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
電子120,197+2.5
セラミック99,967△9.4
その他9,776+1.5
合計229,942△3.1

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
電子119,154+0.610,667+13.1
建設3,146△20.5708△26.4
合計122,301△0.011,375+9.3

(注) 1 セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
電子115,982+0.4
セラミック102,488△9.6
建設6,003△1.2
その他66,651+2.0
合計291,125△3.1

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
Intel Corp.57,00919.062,19621.4

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、第5「経理の状況」 1「連結財務諸表等」「注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は4,230億56百万円(対前年同期比3.1%減)となりました。流動資産は2,289億72百万円(同1.2%増)、固定資産は1,940億84百万円(同7.6%減)となりました。
流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品が49億54百万円、原材料及び貯蔵品が23億67百万円増加したことによります。
固定資産の減少の主な要因は投資有価証券が128億11百万円減少したことによります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、1,467億51百万円(同2.2%減)となりました。流動負債は1,180億82百万円(同26.3%増)、固定負債は286億68百万円(同49.3%減)となりました。
流動負債の増加の主な要因は、1年内償還予定の社債が250億円増加したことによります。
固定負債の増加の主な要因は、1年内償還予定の社債が250億円減少したことによります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は2,763億5百万円(同3.5%減)となりました。
純資産合計の減少の主な要因は、その他有価証券評価差額金が78億31百万円減少したことによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の64.4%から64.0%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,012円60銭から1,938円59銭となりました。
b.経営成績
(売上高及び営業利益)
売上高は、2,911億25百万円(昨年同期比3.1%減)となりました。
売上原価は、売上高の減少に伴い2,328億5百万円(対前年同期比0.7%減)となりました。売上原価率は1.9ポイント悪化し、80.0%となりました。
この結果、営業利益は、101億37百万円(対昨年同期比39.3%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度の9億1百万円(純額)から24億62百万円(純額)となり、改善しました。主な要因は、為替差損益(純額)が8億95百万円、受取補償金が8億54百万円増加したことによります。
この結果、経常利益は、126億円(対前年同期比28.4%減)となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の9億47百万円(純額)から△32億73百万円(純額)となり、悪化しました。主な要因は、関係会社整理損が65億38百万円増加したことによります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、93億26百万円(対前年同期比49.7%減)となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む。))
法人税等は、前連結会計年度の66億96百万円から、当連結会計年度は57億53百万円となりました。
この結果、当期純利益は、35億73百万円(対前年同期比69.9%減)となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の2億70百万円から、当連結会計年度は2億67百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、33億6百万円(対前年同期比71.5%減)となりました。
1株当たり当期純利益は、23円66銭(対前年同期比71.6%減)となりました。
ROE(自己資本利益率)は、1.2%となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、設備投資に必要な資金及びその他の所用資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の初年度である2019年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。
2019年3月期
(計画)
2019年3月期
(実績)
2019年3月期
(計画比)
売上高310,000百万円291,125百万円18,875百万円減 (6.1%減)
営業利益18,000百万円10,137百万円7,863百万円減 (43.7%減)
経常利益19,000百万円12,600百万円6,400百万円減 (33.7%減)
親会社株主に帰属する当期純利益12,000百万円3,306百万円8,694百万円減 (72.5%減)


セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。
(電子事業)
パソコン用パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン市場全体は引き続き前年対比でマイナス成長が継続しておりますが、サーバー向けを中心に新分野及び新規顧客向けの販売が伸びたことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
スマートフォン・タブレット用小型・薄型基板(CSP)事業におきましては、ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FO-WLP)の上市による影響が継続したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、スマートフォン市場はマイナス成長となりましたが、サーバー用基板の販売が堅調に推移したことで、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、電子事業の売上高は1,159億82百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%増加しました。同事業の営業利益は、25億33百万円となり、前連結会計年度に比べ196.9%増加しました。
(セラミック事業)
ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、欧州を中心としたディーゼル乗用車比率低下による影響を受け、売上高は前年同期に比べ減少しました。今後、規制の強化に伴い拡大が見込まれる新興国の大型車向けDPF市場におけるシェア拡大と新規顧客への拡販に取り組んでまいります。
触媒担体保持・シール材(AFP)は、新興国での拡販活動に取り組んだ結果、売上高は前年同期に比べ増加しました。
NOx浄化用触媒担体(SCR)は、自動車向け製品が堅調に推移したことにより売上高は増加しました。
特殊炭素製品(FGM)は、半導体市場が堅調に成長したことに加え、新規分野での拡販を進めた結果、売上高は前年同期に比べて増加しました。
以上により、セラミック事業の売上高は1,024億88百万円となり、前連結会計年度に比べ9.6%減少しました。同事業の営業利益は、DPFの売上減少の影響等もあり29億66百万円となり、前連結会計年度に比べ71.8%減少しました。
(建設事業)
建設部門におきましては、電設部門及び環境分析部門の受注は堅調に推移しましたが、大型工事が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ売上高は減少しました。
以上により、建設事業の売上高は60億3百万円となり、前連結会計年度に比べ1.2%減少しました。同事業の営業利益は13億52百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%増加しました。
(その他事業)
建材部門におきましては、化粧板関連販売部門は、トイレブース向けメラミン化粧板及び不燃化粧板の拡販に努めた結果、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
その他部門におきましては、石油製品販売部門は、販売数量の減少を販売単価の上昇で補い、前連結会計年度に比べ売上高は増加しました。
以上により、その他事業の売上高は666億51百万円となり、前連結会計年度に比べ2.0%増加しました。同事業の営業利益は33億25百万円となり、前連結会計年度に比べ18.6%減少しました。