四半期報告書-第142期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
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四半期連結財務諸表注記事項(IFRS)
1 報告企業
武田薬品工業株式会社(以下、「当社」)は日本に所在する上場企業であります。
当社および当社の子会社(以下、「当社グループ」)は、グローバルな製薬企業グループであり、医薬品、一般用医薬品(OTC薬品)および医薬部外品、ならびにその他のヘルスケア製品の研究開発、製造、および販売に従事しております。当社グループの主要な医薬品には、消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の医薬品が含まれています。
2 作成の基礎
(1) 準拠する会計基準
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IAS第34号に準拠して作成しております。本要約四半期連結財務諸表は、年度の連結財務諸表で要求されるすべての情報を含んでいないため、2018年3月31日に終了した前年度の連結財務諸表と併せて利用されるべきものであります。
(2) 機能通貨および表示通貨
当社グループの要約四半期連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(3) 財務諸表の承認
本要約四半期連結財務諸表は、2019年2月14日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよびコーポレート・オフィサーCFO コスタ サルウコスによって承認されております。
(4) 会計上の判断、見積りおよび仮定
要約四半期連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよび仮定は経営者により継続して見直しております。これらの見積りの変動は、見積りが影響を及ぼす将来の期間の範囲内で、見積りが更新された期間において認識されます。
本要約四半期連結財務諸表における会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、並びに会計上の見積りおよび仮定は、重要な会計方針(注記3)に記載されたIFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)およびIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)の適用に関連する新たな重要な判断および見積りの不確実性を除き、前年度と同様であります。
(5) 表示方法の変更
当社グループは、本要約四半期連結財務諸表および本要約四半期連結財務諸表注記について、より有用な情報を提供することを目的として、表示方法の見直しを行いました。これに伴い、比較情報である前年度の連結財務諸表および連結財務諸表注記についても本資料において同様の情報を追加して開示するとともに、重要性の低い情報の開示を省略しております。
3 重要な会計方針
本要約四半期連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、IFRS第9号およびIFRS第15号による変更を除き、前年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
なお、当第3四半期累計の法人所得税費用は、見積年次実効税率を基に算定しております。
IFRS第9号「金融商品」
当社グループはIFRS第9号を2018年4月1日より適用を開始しております。IFRS第9号は、IAS第39号の要求事項を大幅に置き換え、金融資産および金融負債の分類、認識、測定、および認識の中止を規定しております。また、発生損失ではなく予想損失に基づく金融資産の新たな減損モデルならびに新たなヘッジ会計モデルを導入しております。
IFRS第9号の適用による当社グループへの主たる影響は、適用開始日において特定の売却可能金融商品を公正価値で再測定することであります。また、適用の結果、当社グループは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類することを選択しております。なお、この分類に関する指定は、適用開始日現在の事実及び状況に基づいて行っております。公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、清算または売却等により資本性金融商品の認識を中止した場合はその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
また、IFRS第9号に基づく金融資産の分類は、原則として金融資産を管理している事業モデルおよび金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴に基づいて行われます。なお、金融資産が保有されている事業モデルの判定は、適用開始日現在の事実および状況に基づいて行っております。
償却原価で測定される金融資産の減損損失は、以前は発生損失モデルを用いて測定しておりましたが、現在は予想信用損失モデルを用いて測定しています。当社グループの金融資産の性質を考慮すると、新基準の適用により貸倒引当金および減損損失の金額に重要な影響はありません。
IFRS第9号の適用による、当社グループの金融負債およびデリバティブへの重要な影響はありません。
当該基準により導入された新たなヘッジ会計モデルは、ヘッジ関係が当社グループのリスク管理目的および戦略に基づいていること、ヘッジ有効性の評価にあたりより定性的かつ将来予測的なアプローチを適用すること、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合にのみヘッジ会計を中止することを要求しています。なお、2018年3月31日時点においてIAS第39号に基づき指定されていたすべてのヘッジ関係は、2018年4月1日時点においてIFRS第9号のヘッジ会計の要件を満たしていたため、ヘッジ関係の継続とみなされております。
当社グループは、分類および測定(減損を含む)に関して過年度の比較情報を修正再表示せずに遡及的にIFRS第9号を適用しております。適用による累積的な影響額はIFRS第9号の適用日(2018年4月1日)時点で資本に認識しております。この結果、当期首の利益剰余金およびその他の資本の構成要素がそれぞれ14,073百万円および10,257百万円増加しております。また、その他の金融資産(非流動)が32,809百万円、その他の金融資産(流動)が856百万円、繰延税金負債が9,345百万円それぞれ増加しており、非支配持分が10百万円減少しております。
さらに、IAS第39号では通貨のベーシス・スプレッドはキャッシュ・フロー・ヘッジに含めてその他の資本の構成要素に計上しておりましたが、IFRS第9号ではヘッジコストとして区分して会計処理され、その結果、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。当社グループは、通貨のベーシス・スプレッドをヘッ ジコストとして会計処理するアプローチの遡及適用について比較期間を修正再表示しております。2017年12月31日および2018年3月31日において、遡及修正によりヘッジコストがそれぞれ989百万円および1,606百万円計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジが同額減少しております。
適用開始日におけるIAS第39号およびIFRS第9号に従った金融資産の測定区分および帳簿価額は以下の通りです。資本性金融商品への投資について、当社グループは、当初認識時に資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定するという取消不能な選択をしております。なお、金融負債の測定区分および帳簿価額に変更はありません。
適用開始日における金融資産の帳簿価額の変動は以下の通りです。
金融商品の測定
負債性金融商品
・償却原価で測定される金融資産:契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる売上債権及びその他の債権等の金融資産は、償却原価で測定される資産に分類しております。当初認識時、売上債権は消費税等を含んだ請求書金額から売上割戻、現金値引等の見積控除金額を差し引いた金額で認識されます。貸倒引当金は予想信用損失モデルを用いて計算しております。引当金の見積りは将来予測的な予想信用損失モデルに基づいており、売上債権の保有期間にわたって起こりうる債務不履行事象を含んでおります。当社グループは売上債権およびリース債権の貸倒引当金について、全期間の予想信用損失で測定することを選択しております。当社グループは引当マトリクスを用いて全期間の予想信用損失を算定しております。これらの引当金の金額は、連結財政状態計算書における売上債権およびリース債権の帳簿価額と見積回収可能額との差額を表しております。
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産:契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。金融資産の認識が中止された場合、その他の包括利益で認識された評価損益の累積額は、その他の包括利益から純損益に組替調整されます。
・純損益を通じて公正価値で測定される金融資産:償却原価で測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の要件を満たさない金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品にかかる利得および損失は純損益に計上されます。
資本性金融商品
・資本性金融商品は純損益を通じて公正価値で測定されます。ただし、当社グループは、当初認識時において、金
融商品ごとに行われる、資本性金融商品の公正価値の事後変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の
選択をしております。当社グループは、報告日時点において、全ての資本性金融商品をその他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される金融資産として分類しております。
デリバティブおよびヘッジ会計
・デリバティブは、デリバティブ契約がヘッジ手段に指定されていない限り、純損益を通じて公正価値で測定され
ます。デリバティブにかかる利得および損失は純損益に計上されます。デリバティブ契約がキャッシュ・フロ
ー・ヘッジ関係のヘッジ手段として指定されている場合、デリバティブの公正価値の変動のうちの有効部分は、その他の包括利益に累積されます。通貨のベーシス・スプレッドは、キャッシュ・フロー・ヘッジからは区分し
て会計処理され、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
当社グループはIFRS第15号の適用を2018年4月1日に開始しております。IFRS第15号は、顧客とのあらゆる契約から生じる収益の認識について、原則に基づく単一のアプローチを定めております。IFRS第15号は契約上の履行義務の識別に重点を置いており、履行義務が充足された時点で、または充足されるにつれて、収益を認識することを要求しています。また、IFRS第15号はより詳細な収益の開示要求を定めています。
新基準の適用による影響の要約は以下の通りです。
・当社グループは医薬品の販売およびその他のサービスにかかる収益を計上しております。これらの取引では、製品の出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で、顧客が支配を獲得し、履行義務が充足されます。
・当社グループは、知的財産の導出にかかるロイヤルティについて、基礎となる売上が発生した時点で収益を認識しております。また、導出した化合物の研究開発等のその他のサービスについて、サービスの提供期間に応じて収益を認識しております。
・当社グループの収益は、知的財産権の導出および付与にかかる収益を含んでおり、対価は契約一時金およびマイルストンとして受領します。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識されます。
これらの新基準の適用による影響に重要性はありません。当社グループは修正遡及アプローチを選択しております。修正遡及アプローチを適用する場合のIFRS第15号の要求事項に従い、2018年4月1日現在の資本に対して累積的影響額を調整し、過年度実績の修正再表示は行いません。
IFRS第15号の適用により、履行義務への収益配分の基礎が異なることから、適用日時点のその他の非流動負債、その他の流動負債、および繰延税金資産がそれぞれ1,247百万円、495百万円、および414百万円減少し、利益剰余金が1,328百万円増加しております。
なお、当第3四半期累計において、IAS第18号を適用した場合と比較し、IFRS第15号の適用が要約四半期連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
IFRS第15号の適用の結果、当社グループは関連する会計方針を次のとおり更新、改訂しております。
製品販売、サービス提供にかかる売上収益は、約束した財およびサービスの支配が顧客に移転し、顧客との契約上の約束(履行義務)が充足された時点で認識しております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財およびサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。
当社グループが財およびサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。変動対価の最も一般的な要素は次の通りです。
・政府機関、卸売業者、小売業者、医療機関およびその他の顧客に対する割戻および値引に関する見積りは、関連する売上収益が計上された時点で収益の金額から控除されます。これらは過去の経験および個々の契約の条項を基に算定しております。
・現金値引は、関連する売上収益が計上された時点で収益の控除項目として認識されます。
・返品調整引当金は、当社グループの過去の経験から将来の返品見込額を合理的に見積ることができる場合に収益の控除項目として認識されます。その際、顧客からの返品に関する過去の経験およびその他の関連する要因を考慮して決定された返品見込率が使用されます。返品見込率を請求額に乗じて将来の返品見込額を見積ります。
当社グループは、知的財産の導出にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した化合物の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
4 売上収益
売上収益の財またはサービスの種類別内訳は、以下のとおりであります。
(第3四半期累計)
(第3四半期)
当社グループの顧客に対する売上収益の地域別内訳は、以下のとおりであります。売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
(第3四半期累計)
(注)「その他」には、中東・大洋州・アフリカが含まれております。
(第3四半期)
(注)「その他」には、中東・大洋州・アフリカが含まれております。
5 その他の営業収益
前第3四半期累計のその他の営業収益には、和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に売却したことによる株式売却益106,337百万円、繰り延べた長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益のうち前第3四半期累計の実現額26,348百万円を計上しております。
当第3四半期累計のその他の営業収益には、繰り延べた長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益のうち当第3四半期累計の実現額29,686百万円、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.の株式をShanghai Pharmaceutical Holding Co. Ltd.およびSFund International Investment Fund Management Limited.に売却したことによる株式売却益18,381百万円を計上しております。
6 その他の営業費用
前第3四半期累計のその他の営業費用には、効率的な事業運営体制の構築に向けた、従業員の削減や事業拠点の統廃合をはじめとする取り組みにかかる費用(以下、「事業構造再編費用」)が含まれております。事業構造再編費用の計上額は19,704百万円であり、主な内容は研究開発体制の変革にかかる費用およびアリアド・ファーマシューティカルズInc.買収後の事業統合関連費用であります。また、条件付対価(注)の変動に伴う費用8,140百万円を計上しております。
当第3四半期累計のその他の営業費用には、事業構造再編費用25,145百万円が含まれており、主な内容はShire社買収に関連した統合費用および研究開発体制の変革にかかる費用であります。また、承認取得に伴う過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入(評価損計上額と相殺後)△5,282百万円やMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda. の株式をNovamed Fabricação de Produtos Farmacêuticos Ltda.に売却したことによる株式売却損4,016百万円を計上しております。
(注)企業結合に起因して、将来の特定事象が発生した場合に、追加的に発生する取得対価の公正価値を負債計上したもの
7 持分法による投資損益
前第3四半期累計の持分法による投資損益には、長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、日本における2018年の薬価制度改革や事業環境の変化に伴い計上された減損損失に対する当社グループ持分35,725百万円が含まれております。
当第3四半期累計の持分法による投資損益には、長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、薬価改定等の事業環境の変化に伴い計上された減損損失に対する当社グループ持分49,412百万円が含まれております。
8 1株当たり利益
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり四半期利益および希薄化後1株当たり四半期利益の算定基礎は以下のとおりであります。
(第3四半期累計)
(第3四半期)
9 共同研究開発契約およびライセンス契約
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約を締結しております。
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。
当第3四半期累計の共同研究開発およびライセンスにかかる重要な契約は以下の通りであります。
① Wave Life Sciences Ltd. (以下、「Wave社」)
当社グループは、中枢神経疾患に対する核酸医薬品の開発および販売を目指し、2018年2月にWave社との提携契約を締結し、2018年4月にハート・スコット・ロディノ反トラスト強化法(HSR法)に基づく審査終了により効力が発生しております。当該契約に基づき、当社グループはWave社よりハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、および脊髄小脳変性症3型(SCA3)について共同開発および共同販売の権利を得るオプションを取得します。さらに、当社グループは、アルツハイマー病やパーキンソン病を含む他の中枢神経系疾患を標的とした複数の前臨床試験プログラムについて、ライセンスを取得する権利を得ます。当該契約に基づき、当社グループはWave社に対して、契約一時金、Wave社への株式投資、開発および販売のマイルストンなどの支払が求められます。Wave社は、筋ジストロフィー(DMD)に対する治療の臨床プログラムを含む神経筋疾患にかかる活動を独立して行います。
② Mersana Therapeutics(以下、「Mersana社」)
当社グループとMersana社は、2014年3月に抗体薬物複合体(ADC)の開発に関する契約を締結し、2015年1月および2016年2月に両社間における提携を拡大しておりましたが、2019年1月に当該契約を包括的に解消することについて合意いたしました。これに伴い、当第3四半期累計において製品に係る無形資産の減損損失7,237百万円を計上しております。
10 社債
当第3四半期において、当社は下記のユーロ建無担保普通社債を発行いたしました。
(1) 2020年満期ユーロ建無担保普通社債
(2) 2022年満期ユーロ建無担保普通社債
(3) 2026年満期ユーロ建無担保普通社債
(4) 2030年満期ユーロ建無担保普通社債
また同第3四半期において、当社は下記の米ドル建無担保普通社債を発行いたしました。
(1) 2020年満期米ドル建無担保普通社債
(2) 2021年満期米ドル建無担保普通社債
(3) 2023年満期米ドル建無担保普通社債
(4) 2028年満期米ドル建無担保普通社債
なお、上記社債の発行に伴い、Shire社の買収を目的とする拘束性預金1,553,918百万円がその他の金融資産(流動)に計上されております。
11 配当
12 金融商品
(1) 公正価値の算定方法
① 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債
ヘッジ会計を適用していないデリバティブの公正価値は、市場価格もしくは、評価技法への重要なインプットが観察可能な市場情報に基づいている、取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
転換社債については、オプション・プライシング・モデル等の評価技法を用いて公正価値を算定しております。
企業結合による条件付対価は、企業結合における取得日時点の公正価値で測定しております。条件付対価が金融負債の定義を満たす場合は、その後の各報告日において公正価値で再測定しております。公正価値は割引後のキャッシュ・フローを基礎として算定しており、主な仮定として、各業績目標の達成可能性および割引係数が考慮されております。
企業結合による条件付対価の公正価値については、企業結合(注記13)で記載しております。
② 償却原価で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産については、短期間で決済されるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
③ 資本性金融商品
上場している資本性金融商品の公正価値は、市場価格もしくは取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
非上場の資本性金融商品は、簿価純資産法、マルチプル法等を使用して評価しております。マルチプル法では、対象企業の類似上場企業を選定し、当該類似企業の株式指標を用いて公正価値を算定しております。
④ ヘッジ会計を適用しているデリバティブ
ヘッジ会計を適用しているデリバティブの公正価値は①純損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債と同様の方法によっております。
⑤ 償却原価で測定される金融負債
社債の公正価値は、取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
借入金およびファイナンス・リースの公正価値は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、その将来キャッシュ・フローを信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によっております。
上記以外の債務については、流動項目は短期間で決済され、また非流動項目は実勢金利であるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
(2) 公正価値の階層(公正価値ヒエラルキー)
レベル1:活発に取引される市場で公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接、または間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
(3) 取得原価で計上される金融商品の公正価値
当第3四半期末の要約四半期連結財政状態計算書上において公正価値で測定されない金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりであります。
社債、長期借入金およびファイナンス・リースには、1年内返済および償還予定の残高を含んでおります。なお、社債、長期借入金およびファイナンス・リースの公正価値のレベルはレベル2であります。
なお、帳簿価額が公正価値に極めて近似している金融商品については、上記の表から除外しております。
(4) 要約四半期連結財政状態計算書において認識された公正価値の測定
報告期間に発生した公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、報告期間の末日において生じたものとして認識しております。当第3四半期累計において、レベル1、2および3の間の振替はありません。
企業結合による条件付対価に関するその他の注記については、企業結合(注記13)で記載しております。
(5) レベル3に分類された金融資産の調整表
純損益に含まれている利得または損失は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に関するものであります。これらの利得または損失は、要約四半期連結純損益計算書において「金融収益」または「金融費用」として認識しております。
その他の包括利益に含まれている利得または損失は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に関するものであります。これらの利得または損失は、要約四半期連結純損益及びその他の包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の変動」および「在外営業活動体の換算差額」として認識しております。
資本性金融商品の公正価値は、当社グループの経理・財務担当部門によって、グループ会計方針等に従い、決算日時点で入手可能な情報を用いて測定されます。公正価値測定の結果およびその算定プロセスは必要に応じてマネジメントへの報告がなされております。レベル3に分類された資本性金融商品の公正価値算定に用いた観察可能でないインプットのうち主なものは、マルチプル法におけるEBITDA倍率であり、4.9倍から11.8倍の範囲に分布しております。EBITDA倍率が増加(減少)した場合、公正価値は増加(減少)します。
13 企業結合
(1) 重要な企業結合
TiGenix NVの取得
当社グループは、2018年4月30日に、当社グループが未だ保有していないTiGenix NV (以下、「タイジェニクス社」)の全ての発行済普通株式、新株予約権および米国預託株式(以下、普通株式、新株予約権および米国預託株式を総称して「有価証券」)の現金による任意の株式公開買付けを開始しました。2018年6月8日、当該第1回目の株式公開買付けに申込みがなされた有価証券を470.2百万ユーロで取得し、当社グループが公開買付け前から保有するタイジェニクス社の普通株式と合わせて、90.8%の議決権を取得しました。
タイジェニクス社は、重篤な疾患に対して幹細胞を用いた新たな治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業です。本買収により、非活動期又は軽度活動期のクローン病(CD)に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として治験実施中の、同種異系の脂肪由来幹細胞(eASC)の懸濁液であるCx601(一般名:darvadstrocel)に関する米国における権利が得られ、当社グループの開発後期にある消化器系疾患(GI)パイプラインが拡充されることになります。なお、2018年7月に終了した第2回目の株式公開買付けおよびその後のスクイーズアウトにより、タイジェニクス社は当社の100%子会社となっております。
取得した資産、引き受けた負債の暫定的な公正価値は、以下のとおりであります。
取得対価は、以下のとおりであります。
のれんは、今後の事業展開により期待される将来の超過収益力を反映したものであります。のれんは、税務上の控除の対象とはなっておりません。
取得資産および引受負債の公正価値測定に必要となる基礎数値についてより詳細に検証しており、取得対価の配分が完了していないことから、上記の金額は、現時点で入手しうる情報に基づいた暫定的な金額であります。暫定的な金額となっている主な項目は、無形資産、繰延税金負債およびのれんであります。なお、当第3四半期累計において暫定的な公正価値を修正した結果、取得日におけるのれんは1,831百万円減少しております。これは、その他の資産および繰延税金負債がそれぞれ253百万円および2,084百万円減少したことによるものであります。
当社グループは取得対価にかかる為替リスクをヘッジするために為替予約を締結し、ヘッジ会計を適用しております。ベーシス・アジャストメントは、取得日のヘッジ手段の公正価値3,381百万円であり、のれんの帳簿価額に加算しております。
取得日直前に保有していたタイジェニクス社の普通株式の再測定による利得または損失は計上しておりません。
当該企業結合により生じた仲介手数料およびデューデリジェンス関連コスト等を含む取得関連費用767百万円を、発生時に「販売費及び一般管理費」に計上しております。
当第3四半期累計の要約四半期連結純損益計算書で認識している、取得日以降のタイジェニクス社の売上収益、四半期利益は軽微であります。また、取得日が2018年4月1日であったと仮定した場合の、当第3四半期累計の当社グループの売上収益および四半期利益に与える影響は軽微であります。
(2) 条件付対価
特定の企業結合の対価には、開発マイルストンおよび販売目標の達成等の将来の事象を条件とする金額が含まれております。各報告日において、企業結合による条件付対価の公正価値は、リスク調整後の将来のキャッシュ・フローを適切な割引率を用いて割り引いた金額に基づいて再測定しております。次に記載のある条件付対価は、主として、2012年6月におけるURLファーマ Inc.(以下、「URLファーマ社」)の買収に伴い取得した「コルクリス」(痛風治療剤)に係る事業(以下、「コルクリス事業」)の業績に応じて、一定期間支払われるロイヤルティの現在価値であります。なお、コルクリス事業の業績に応じて支払われるロイヤルティについては、支払額の上限がなく、将来の業績見通しに基づき支払見込額を算出しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。なお、公正価値のヒエラルキーについては金融商品(注記12)に記載しております。
① 条件付対価の公正価値の増減
② 感応度分析
条件付対価の公正価値に影響を与える重要な仮定が変動した場合に、条件付対価の公正価値に与える影響は以下のとおりです。
14 売却目的で保有する処分グループ
2018年3月31日現在の売却目的で保有する処分グループは、主に当社の連結子会社であるMultilab Indústria e
Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.,に関連する資産、負債、その他の包括利益のグループで、売却目的保
有に振替されたものであり、当該子会社株式は2018年7月に売却されております。また、当社の連結子会社である
広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式について、当社グループは保有していた51.34%分の株式の全て
を譲渡する契約を2018年5月に締結し、関連する資産および負債を当第1四半期末において売却目的で保有する処
分グループに分類しておりましたが、当該子会社株式は2018年8月に売却されております。
15 コミットメントおよび偶発負債
訴訟
当社グループは、複数の訴訟および行政手続に当事者として関与しております。下記の記載事項を除き、前連結会計年度の連結財務諸表に記載した内容から重要な変更はありません。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
アクトス
ミシシッピ州およびルイジアナ州は、当社グループおよびEli Lilly And Company(以下、「イーライリリー社」)がアクトス服用による膀胱がんおよびその他のリスクに関する警告を怠ったと主張し、両社に対して訴訟を提起しております。当該訴訟においては、州がメディケイド等のプログラムを通じ、患者のために負担したアクトスの薬剤費の払戻し、アクトスに起因する傷病の治療費、弁護士およびその他の費用の補償、並びに懲罰的損害賠償が請求されております。2018年11月、当社グループおよびイーライリリー社とミシシッピ州は、ミシシッピ州より提訴された訴訟について和解に至っております。ルイジアナ州から提訴された訴訟は引き続き係争中であります。
知的財産権
プレバシド
2009年6月、カナダのトロントにおいて、当社グループとAbbott Laboratories(以下、「アボット社」)がApotex Pharmaceuticals Inc.(以下、「Apotex社」)に対して提起した以前の特許侵害訴訟によりApotex社の後発品(ランソプラゾールカプセル)の市場参入が遅れたとして、Apotex社は当社グループとアボット社に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。2019年1月、当該当事者は和解に至っております。
アミティーザ
Sucampo Pharmaceuticals, Inc.(以下、「Sucampo社」、当社グループのライセンサー)は、2017年3月にAmneal Pharmaceuticals, Inc.から、2017年8月にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.から、アミティーザに対するParagraph IV証明を受領しました。当該両当事者は、米国食品医薬品局(FDA)のオレンジブックに掲載されているアミティーザの特許は無効であること、また彼らのANDA(Abbreviated New Drug Application)製品による特許侵害はないことを主張しました。これに関し、Sucampo社および当社グループは、当該両当事者に対する特許侵害訴訟を提起しました。2018年6月、当該両当事者に対する特許侵害訴訟について和解が成立しております。
16 後発事象
(1) Shire plcの買収
当社グループは、2019年1月8日、Shire plc(以下、「Shire社」)の発行済普通株式の全てを取得し、100%の議決権を取得しました。Shire社は、希少疾患およびその他の高度な専門性を要する疾病向けの製品に注力しているグローバルなバイオテクノロジー分野のリーディングカンパニーです。
当社グループは、本件買収は当社に下記のようなメリットをもたらすものと考えております。
· 魅力的な国内外の拠点を有し、さらなる発展を促進する規模を有する、日本で設立され日本に本社を置く、企業価値の向上を追求する、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーを創出すること
· 3つの重点領域のうち2領域(消化器系疾患およびニューロサイエンス)における当社の地位を強化し、希少疾患および血漿分画製剤における主導的な地位を確保すること
· 強固かつモダリティの多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、画期的なイノベーションにフォーカスした研究開発体制を強化すること
· 当社のキャッシュフロープロファイルの向上、また、十分なシナジー創出および充実した株主還元の実施への経営陣のコミットメントを通じて、本件結合後グループに十分な経済的利益を提供すること
本件買収において、旧Shire社株主は、Shire社の株式1株に対し、現金30.33米ドルおよび当社株式0.839株または当社のADS(米国預託株式)1.678株のいずれかを対価として受領しました。現金対価の合計額は3,029,430百万円、株式対価の合計額は3,131,282百万円であり、これらの総額は6,160,712百万円です。
当該買収が実行された時期に起因し、要約四半期連結財務諸表の発行が承認される時点で企業結合の当初の会計処理が完了していないため、取得した資産および引き受けた負債の公正価値、取得日が2018年4月1日であったと仮定した場合の当第3四半期累計の当社グループの売上収益および四半期利益に与える影響等を開示しておりません。
買収の対価の一部として旧Shire社株主に対して割り当てるため、2019年1月8日、当社は普通株式770,303,013株(ADSの原株として預託される普通株式200,527,229株を含む)を発行しました。発行価格は4,065円(発行価額の総額は3,131,282百万円)であり、資本組入額は2,032.50円(資本組入額の総額は1,565,641百万円)です。
また、2019年1月11日、買収に必要な資金を調達するため、2018年6月8日に締結した"Term Loan Credit Agreement"、2018年10月26日に締結した"Senior Short Term Loan Facility Agreement"、および2018年12月3日に締結した株式会社国際協力銀行との"Loan Agreement"について借入を実行し、総額1,715,526百万円を調達しております。
(2) 不動産事業の一部承継のための会社分割および株式譲渡について
当社は、当社の100%子会社である武田薬品不動産株式会社(以下、「武田薬品不動産」)において、新たに100%子会社(以下、「対象会社」)を設立し、2019年3月11日付で、当社および武田薬品不動産の不動産事業の一部を対象会社へ吸収分割により承継(以下、「本会社分割」)させるとともに、当社および武田薬品不動産が保有することになる、本会社分割の対価として割り当てられる対象会社の発行済株式の全部を2019年3月22日付で譲渡すること(以下、「本株式譲渡」、本会社分割とあわせて、以下、「本件取引」)を決定しました。また、2019年1月28日、当社は本株式譲渡に関する契約を締結しております。
本件取引により、株式譲渡先は、武田薬品大阪本社(武田御堂筋ビル)を含む21の資産を保有することになります。当社は、当連結会計年度に本株式譲渡により株式譲渡益約380億円(税引前)を計上する予定です。本件取引完了後も、大阪本社(武田御堂筋ビル)等における当社の事業活動は継続されます。
武田薬品工業株式会社(以下、「当社」)は日本に所在する上場企業であります。
当社および当社の子会社(以下、「当社グループ」)は、グローバルな製薬企業グループであり、医薬品、一般用医薬品(OTC薬品)および医薬部外品、ならびにその他のヘルスケア製品の研究開発、製造、および販売に従事しております。当社グループの主要な医薬品には、消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の医薬品が含まれています。
2 作成の基礎
(1) 準拠する会計基準
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IAS第34号に準拠して作成しております。本要約四半期連結財務諸表は、年度の連結財務諸表で要求されるすべての情報を含んでいないため、2018年3月31日に終了した前年度の連結財務諸表と併せて利用されるべきものであります。
(2) 機能通貨および表示通貨
当社グループの要約四半期連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(3) 財務諸表の承認
本要約四半期連結財務諸表は、2019年2月14日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよびコーポレート・オフィサーCFO コスタ サルウコスによって承認されております。
(4) 会計上の判断、見積りおよび仮定
要約四半期連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよび仮定は経営者により継続して見直しております。これらの見積りの変動は、見積りが影響を及ぼす将来の期間の範囲内で、見積りが更新された期間において認識されます。
本要約四半期連結財務諸表における会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、並びに会計上の見積りおよび仮定は、重要な会計方針(注記3)に記載されたIFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)およびIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)の適用に関連する新たな重要な判断および見積りの不確実性を除き、前年度と同様であります。
(5) 表示方法の変更
当社グループは、本要約四半期連結財務諸表および本要約四半期連結財務諸表注記について、より有用な情報を提供することを目的として、表示方法の見直しを行いました。これに伴い、比較情報である前年度の連結財務諸表および連結財務諸表注記についても本資料において同様の情報を追加して開示するとともに、重要性の低い情報の開示を省略しております。
3 重要な会計方針
本要約四半期連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、IFRS第9号およびIFRS第15号による変更を除き、前年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
なお、当第3四半期累計の法人所得税費用は、見積年次実効税率を基に算定しております。
IFRS第9号「金融商品」
当社グループはIFRS第9号を2018年4月1日より適用を開始しております。IFRS第9号は、IAS第39号の要求事項を大幅に置き換え、金融資産および金融負債の分類、認識、測定、および認識の中止を規定しております。また、発生損失ではなく予想損失に基づく金融資産の新たな減損モデルならびに新たなヘッジ会計モデルを導入しております。
IFRS第9号の適用による当社グループへの主たる影響は、適用開始日において特定の売却可能金融商品を公正価値で再測定することであります。また、適用の結果、当社グループは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類することを選択しております。なお、この分類に関する指定は、適用開始日現在の事実及び状況に基づいて行っております。公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、清算または売却等により資本性金融商品の認識を中止した場合はその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
また、IFRS第9号に基づく金融資産の分類は、原則として金融資産を管理している事業モデルおよび金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴に基づいて行われます。なお、金融資産が保有されている事業モデルの判定は、適用開始日現在の事実および状況に基づいて行っております。
償却原価で測定される金融資産の減損損失は、以前は発生損失モデルを用いて測定しておりましたが、現在は予想信用損失モデルを用いて測定しています。当社グループの金融資産の性質を考慮すると、新基準の適用により貸倒引当金および減損損失の金額に重要な影響はありません。
IFRS第9号の適用による、当社グループの金融負債およびデリバティブへの重要な影響はありません。
当該基準により導入された新たなヘッジ会計モデルは、ヘッジ関係が当社グループのリスク管理目的および戦略に基づいていること、ヘッジ有効性の評価にあたりより定性的かつ将来予測的なアプローチを適用すること、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合にのみヘッジ会計を中止することを要求しています。なお、2018年3月31日時点においてIAS第39号に基づき指定されていたすべてのヘッジ関係は、2018年4月1日時点においてIFRS第9号のヘッジ会計の要件を満たしていたため、ヘッジ関係の継続とみなされております。
当社グループは、分類および測定(減損を含む)に関して過年度の比較情報を修正再表示せずに遡及的にIFRS第9号を適用しております。適用による累積的な影響額はIFRS第9号の適用日(2018年4月1日)時点で資本に認識しております。この結果、当期首の利益剰余金およびその他の資本の構成要素がそれぞれ14,073百万円および10,257百万円増加しております。また、その他の金融資産(非流動)が32,809百万円、その他の金融資産(流動)が856百万円、繰延税金負債が9,345百万円それぞれ増加しており、非支配持分が10百万円減少しております。
さらに、IAS第39号では通貨のベーシス・スプレッドはキャッシュ・フロー・ヘッジに含めてその他の資本の構成要素に計上しておりましたが、IFRS第9号ではヘッジコストとして区分して会計処理され、その結果、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。当社グループは、通貨のベーシス・スプレッドをヘッ ジコストとして会計処理するアプローチの遡及適用について比較期間を修正再表示しております。2017年12月31日および2018年3月31日において、遡及修正によりヘッジコストがそれぞれ989百万円および1,606百万円計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジが同額減少しております。
適用開始日におけるIAS第39号およびIFRS第9号に従った金融資産の測定区分および帳簿価額は以下の通りです。資本性金融商品への投資について、当社グループは、当初認識時に資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定するという取消不能な選択をしております。なお、金融負債の測定区分および帳簿価額に変更はありません。
(単位:百万円) | ||||
IAS第39号 | 帳簿価額 | IFRS第9号 | 帳簿価額 | |
現金及び現金同等物 | 貸付金および債権 | 294,522 | 償却原価で測定される金融資産 | 294,522 |
デリバティブ | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 762 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 762 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 |
売上債権およびその他の債権、その他の金融資産 | 貸付金および債権 | 516,853 | 償却原価で測定される金融資産 | 516,853 |
資本性金融商品 | 売却可能金融資産 | 169,814 | その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 203,276 |
転換社債 | 貸付金および債権 | 5,303 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 7,576 |
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 2,070 | |||
合計 | 991,851 | 1,025,516 |
適用開始日における金融資産の帳簿価額の変動は以下の通りです。
(単位:百万円) | |||||
IAS第39号 | 帳簿価額 | 分類変更 | 再測定 | IFRS第9号 | 帳簿価額 |
貸付金および債権 | 816,678 | △ 5,303 | ― | 償却原価で測定される金融資産 | 811,375 |
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 2,832 | 5,303 | 203 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 8,338 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 | ― | ― | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 |
売却可能金融資産 | 169,814 | ― | 33,462 | その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 203,276 |
合計 | 991,851 | ― | 33,665 | 1,025,516 |
金融商品の測定
負債性金融商品
・償却原価で測定される金融資産:契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる売上債権及びその他の債権等の金融資産は、償却原価で測定される資産に分類しております。当初認識時、売上債権は消費税等を含んだ請求書金額から売上割戻、現金値引等の見積控除金額を差し引いた金額で認識されます。貸倒引当金は予想信用損失モデルを用いて計算しております。引当金の見積りは将来予測的な予想信用損失モデルに基づいており、売上債権の保有期間にわたって起こりうる債務不履行事象を含んでおります。当社グループは売上債権およびリース債権の貸倒引当金について、全期間の予想信用損失で測定することを選択しております。当社グループは引当マトリクスを用いて全期間の予想信用損失を算定しております。これらの引当金の金額は、連結財政状態計算書における売上債権およびリース債権の帳簿価額と見積回収可能額との差額を表しております。
・その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産:契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。金融資産の認識が中止された場合、その他の包括利益で認識された評価損益の累積額は、その他の包括利益から純損益に組替調整されます。
・純損益を通じて公正価値で測定される金融資産:償却原価で測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の要件を満たさない金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品にかかる利得および損失は純損益に計上されます。
資本性金融商品
・資本性金融商品は純損益を通じて公正価値で測定されます。ただし、当社グループは、当初認識時において、金
融商品ごとに行われる、資本性金融商品の公正価値の事後変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の
選択をしております。当社グループは、報告日時点において、全ての資本性金融商品をその他の包括利益を通じ
て公正価値で測定される金融資産として分類しております。
デリバティブおよびヘッジ会計
・デリバティブは、デリバティブ契約がヘッジ手段に指定されていない限り、純損益を通じて公正価値で測定され
ます。デリバティブにかかる利得および損失は純損益に計上されます。デリバティブ契約がキャッシュ・フロ
ー・ヘッジ関係のヘッジ手段として指定されている場合、デリバティブの公正価値の変動のうちの有効部分は、その他の包括利益に累積されます。通貨のベーシス・スプレッドは、キャッシュ・フロー・ヘッジからは区分し
て会計処理され、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
当社グループはIFRS第15号の適用を2018年4月1日に開始しております。IFRS第15号は、顧客とのあらゆる契約から生じる収益の認識について、原則に基づく単一のアプローチを定めております。IFRS第15号は契約上の履行義務の識別に重点を置いており、履行義務が充足された時点で、または充足されるにつれて、収益を認識することを要求しています。また、IFRS第15号はより詳細な収益の開示要求を定めています。
新基準の適用による影響の要約は以下の通りです。
・当社グループは医薬品の販売およびその他のサービスにかかる収益を計上しております。これらの取引では、製品の出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で、顧客が支配を獲得し、履行義務が充足されます。
・当社グループは、知的財産の導出にかかるロイヤルティについて、基礎となる売上が発生した時点で収益を認識しております。また、導出した化合物の研究開発等のその他のサービスについて、サービスの提供期間に応じて収益を認識しております。
・当社グループの収益は、知的財産権の導出および付与にかかる収益を含んでおり、対価は契約一時金およびマイルストンとして受領します。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識されます。
これらの新基準の適用による影響に重要性はありません。当社グループは修正遡及アプローチを選択しております。修正遡及アプローチを適用する場合のIFRS第15号の要求事項に従い、2018年4月1日現在の資本に対して累積的影響額を調整し、過年度実績の修正再表示は行いません。
IFRS第15号の適用により、履行義務への収益配分の基礎が異なることから、適用日時点のその他の非流動負債、その他の流動負債、および繰延税金資産がそれぞれ1,247百万円、495百万円、および414百万円減少し、利益剰余金が1,328百万円増加しております。
なお、当第3四半期累計において、IAS第18号を適用した場合と比較し、IFRS第15号の適用が要約四半期連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
IFRS第15号の適用の結果、当社グループは関連する会計方針を次のとおり更新、改訂しております。
製品販売、サービス提供にかかる売上収益は、約束した財およびサービスの支配が顧客に移転し、顧客との契約上の約束(履行義務)が充足された時点で認識しております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財およびサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。
当社グループが財およびサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。変動対価の最も一般的な要素は次の通りです。
・政府機関、卸売業者、小売業者、医療機関およびその他の顧客に対する割戻および値引に関する見積りは、関連する売上収益が計上された時点で収益の金額から控除されます。これらは過去の経験および個々の契約の条項を基に算定しております。
・現金値引は、関連する売上収益が計上された時点で収益の控除項目として認識されます。
・返品調整引当金は、当社グループの過去の経験から将来の返品見込額を合理的に見積ることができる場合に収益の控除項目として認識されます。その際、顧客からの返品に関する過去の経験およびその他の関連する要因を考慮して決定された返品見込率が使用されます。返品見込率を請求額に乗じて将来の返品見込額を見積ります。
当社グループは、知的財産の導出にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した化合物の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
4 売上収益
売上収益の財またはサービスの種類別内訳は、以下のとおりであります。
(第3四半期累計)
(単位:百万円) | ||
前第3四半期累計 (自2017年4月1日 至2017年12月31日) | 当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) | |
医薬品販売 | 1,308,561 | 1,333,418 |
知的財産権収益・役務収益 | 61,007 | 46,595 |
合計 | 1,369,568 | 1,380,013 |
(第3四半期)
(単位:百万円) | ||
前第3四半期 (自2017年10月1日 至2017年12月31日) | 当第3四半期 (自2018年10月1日 至2018年12月31日) | |
医薬品販売 | 470,295 | 477,696 |
知的財産権収益・役務収益 | 17,856 | 21,706 |
合計 | 488,151 | 499,402 |
当社グループの顧客に対する売上収益の地域別内訳は、以下のとおりであります。売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
(第3四半期累計)
(単位:百万円) | ||||||||
日本 | 米国 | 欧州および カナダ | ロシア/CIS | 中南米 | アジア | その他 | 合計 | |
前第3四半期累計 (自2017年4月1日 至2017年12月31日) | 463,201 | 463,039 | 233,744 | 55,982 | 56,072 | 77,331 | 20,199 | 1,369,568 |
当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) | 444,046 | 495,346 | 244,878 | 44,293 | 54,527 | 75,857 | 21,066 | 1,380,013 |
(注)「その他」には、中東・大洋州・アフリカが含まれております。
(第3四半期)
(単位:百万円) | ||||||||
日本 | 米国 | 欧州および カナダ | ロシア/CIS | 中南米 | アジア | その他 | 合計 | |
前第3四半期 (自2017年10月1日 至2017年12月31日) | 168,214 | 161,255 | 84,806 | 20,871 | 20,008 | 28,141 | 4,856 | 488,151 |
当第3四半期 (自2018年10月1日 至2018年12月31日) | 169,803 | 174,267 | 86,276 | 16,809 | 19,841 | 23,952 | 8,454 | 499,402 |
(注)「その他」には、中東・大洋州・アフリカが含まれております。
5 その他の営業収益
前第3四半期累計のその他の営業収益には、和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に売却したことによる株式売却益106,337百万円、繰り延べた長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益のうち前第3四半期累計の実現額26,348百万円を計上しております。
当第3四半期累計のその他の営業収益には、繰り延べた長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益のうち当第3四半期累計の実現額29,686百万円、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.の株式をShanghai Pharmaceutical Holding Co. Ltd.およびSFund International Investment Fund Management Limited.に売却したことによる株式売却益18,381百万円を計上しております。
6 その他の営業費用
前第3四半期累計のその他の営業費用には、効率的な事業運営体制の構築に向けた、従業員の削減や事業拠点の統廃合をはじめとする取り組みにかかる費用(以下、「事業構造再編費用」)が含まれております。事業構造再編費用の計上額は19,704百万円であり、主な内容は研究開発体制の変革にかかる費用およびアリアド・ファーマシューティカルズInc.買収後の事業統合関連費用であります。また、条件付対価(注)の変動に伴う費用8,140百万円を計上しております。
当第3四半期累計のその他の営業費用には、事業構造再編費用25,145百万円が含まれており、主な内容はShire社買収に関連した統合費用および研究開発体制の変革にかかる費用であります。また、承認取得に伴う過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入(評価損計上額と相殺後)△5,282百万円やMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda. の株式をNovamed Fabricação de Produtos Farmacêuticos Ltda.に売却したことによる株式売却損4,016百万円を計上しております。
(注)企業結合に起因して、将来の特定事象が発生した場合に、追加的に発生する取得対価の公正価値を負債計上したもの
7 持分法による投資損益
前第3四半期累計の持分法による投資損益には、長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、日本における2018年の薬価制度改革や事業環境の変化に伴い計上された減損損失に対する当社グループ持分35,725百万円が含まれております。
当第3四半期累計の持分法による投資損益には、長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、薬価改定等の事業環境の変化に伴い計上された減損損失に対する当社グループ持分49,412百万円が含まれております。
8 1株当たり利益
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり四半期利益および希薄化後1株当たり四半期利益の算定基礎は以下のとおりであります。
(第3四半期累計)
前第3四半期累計 (自2017年4月1日 至2017年12月31日) | 当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) | |
親会社の普通株主に帰属する四半期利益 | ||
親会社の所有者に帰属する四半期利益(百万円) | 240,906 | 164,434 |
1株当たり四半期利益の算定に使用する四半期利益 (百万円) | 240,906 | 164,434 |
普通株式の加重平均株式数(千株) | 780,672 | 783,486 |
希薄化効果の影響(千株) | 5,283 | 4,622 |
希薄化効果の影響調整後(千株) | 785,955 | 788,108 |
1株当たり四半期利益 | ||
基本的1株当たり四半期利益(円) | 308.59 | 209.87 |
希薄化後1株当たり四半期利益(円) | 306.51 | 208.64 |
(第3四半期)
前第3四半期 (自2017年10月1日 至2017年12月31日) | 当第3四半期 (自2018年10月1日 至2018年12月31日) | |
親会社の普通株主に帰属する四半期利益 | ||
親会社の所有者に帰属する四半期利益(百万円) | 68,089 | 37,766 |
1株当たり四半期利益の算定に使用する四半期利益 (百万円) | 68,089 | 37,766 |
普通株式の加重平均株式数(千株) | 781,123 | 784,477 |
希薄化効果の影響(千株) | 5,261 | 3,987 |
希薄化効果の影響調整後(千株) | 786,384 | 788,464 |
1株当たり四半期利益 | ||
基本的1株当たり四半期利益(円) | 87.17 | 48.14 |
希薄化後1株当たり四半期利益(円) | 86.59 | 47.90 |
9 共同研究開発契約およびライセンス契約
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約を締結しております。
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。
当第3四半期累計の共同研究開発およびライセンスにかかる重要な契約は以下の通りであります。
① Wave Life Sciences Ltd. (以下、「Wave社」)
当社グループは、中枢神経疾患に対する核酸医薬品の開発および販売を目指し、2018年2月にWave社との提携契約を締結し、2018年4月にハート・スコット・ロディノ反トラスト強化法(HSR法)に基づく審査終了により効力が発生しております。当該契約に基づき、当社グループはWave社よりハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、および脊髄小脳変性症3型(SCA3)について共同開発および共同販売の権利を得るオプションを取得します。さらに、当社グループは、アルツハイマー病やパーキンソン病を含む他の中枢神経系疾患を標的とした複数の前臨床試験プログラムについて、ライセンスを取得する権利を得ます。当該契約に基づき、当社グループはWave社に対して、契約一時金、Wave社への株式投資、開発および販売のマイルストンなどの支払が求められます。Wave社は、筋ジストロフィー(DMD)に対する治療の臨床プログラムを含む神経筋疾患にかかる活動を独立して行います。
② Mersana Therapeutics(以下、「Mersana社」)
当社グループとMersana社は、2014年3月に抗体薬物複合体(ADC)の開発に関する契約を締結し、2015年1月および2016年2月に両社間における提携を拡大しておりましたが、2019年1月に当該契約を包括的に解消することについて合意いたしました。これに伴い、当第3四半期累計において製品に係る無形資産の減損損失7,237百万円を計上しております。
10 社債
当第3四半期において、当社は下記のユーロ建無担保普通社債を発行いたしました。
(1) 2020年満期ユーロ建無担保普通社債
①発行総額 | 1,250百万ユーロ | 1,000百万ユーロ |
②発行価額 | 各社債の金額100ユーロにつき99.907ユーロ | 各社債の金額100ユーロにつき100ユーロ |
③利率 | 年 0.375% | 年 3ヶ月EURIBOR+55bps |
④償還期日 | 2020年11月21日 | |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項(固定利付債のみ)および課税発生繰上償還条項を付している | |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い | |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(2) 2022年満期ユーロ建無担保普通社債
①発行総額 | 1,500百万ユーロ | 750百万ユーロ |
②発行価額 | 各社債の金額100ユーロにつき99.612ユーロ | 各社債の金額100ユーロにつき100ユーロ |
③利率 | 年 1.125% | 年 3ヶ月EURIBOR+110bps |
④償還期日 | 2022年11月21日 | |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項(固定利付債のみ)および課税発生繰上償還条項を付している | |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い | |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(3) 2026年満期ユーロ建無担保普通社債
①発行総額 | 1,500百万ユーロ |
②発行価額 | 各社債の金額100ユーロにつき99.862ユーロ |
③利率 | 年 2.250% |
④償還期日 | 2026年11月21日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(4) 2030年満期ユーロ建無担保普通社債
①発行総額 | 1,500百万ユーロ |
②発行価額 | 各社債の金額100ユーロにつき99.464ユーロ |
③利率 | 年 3.000% |
④償還期日 | 2030年11月21日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
また同第3四半期において、当社は下記の米ドル建無担保普通社債を発行いたしました。
(1) 2020年満期米ドル建無担保普通社債
①発行総額 | 1,000百万米ドル |
②発行価額 | 各社債の金額100米ドルにつき99.937米ドル |
③利率 | 年 3.800% |
④償還期日 | 2020年11月26日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(2) 2021年満期米ドル建無担保普通社債
①発行総額 | 1,250百万米ドル |
②発行価額 | 各社債の金額100米ドルにつき99.936米ドル |
③利率 | 年 4.000% |
④償還期日 | 2021年11月26日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(3) 2023年満期米ドル建無担保普通社債
①発行総額 | 1,500百万米ドル |
②発行価額 | 各社債の金額100米ドルにつき99.960米ドル |
③利率 | 年 4.400% |
④償還期日 | 2023年11月26日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
(4) 2028年満期米ドル建無担保普通社債
①発行総額 | 1,750百万米ドル |
②発行価額 | 各社債の金額100米ドルにつき99.580米ドル |
③利率 | 年 5.000% |
④償還期日 | 2028年11月26日 |
⑤償還方法 | 満期一括償還 ただし発行後の買入消却を可能としており、任意繰上償還条項および課税発生繰上償還条項を付している |
⑥資金の使途 | Shire社買収の対価及びその他関連する費用等の一部の支払い |
⑦重要な特約 | 担保提供制限条項 |
なお、上記社債の発行に伴い、Shire社の買収を目的とする拘束性預金1,553,918百万円がその他の金融資産(流動)に計上されております。
11 配当
決議 | 配当金の総額 (百万円) | 1株当たり配当額 (円) | 基準日 | 効力発生日 |
前第3四半期累計 (自2017年4月1日 至2017年12月31日) 2017年6月28日 定時株主総会 2017年11月1日 取締役会 | 71,133 71,165 | 90.00 90.00 | 2017年3月31日 2017年9月30日 | 2017年6月29日 2017年12月1日 |
当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) 2018年6月28日 定時株主総会 2018年10月31日 取締役会 | 71,507 71,509 | 90.00 90.00 | 2018年3月31日 2018年9月30日 | 2018年6月29日 2018年12月3日 |
12 金融商品
(1) 公正価値の算定方法
① 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債
ヘッジ会計を適用していないデリバティブの公正価値は、市場価格もしくは、評価技法への重要なインプットが観察可能な市場情報に基づいている、取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
転換社債については、オプション・プライシング・モデル等の評価技法を用いて公正価値を算定しております。
企業結合による条件付対価は、企業結合における取得日時点の公正価値で測定しております。条件付対価が金融負債の定義を満たす場合は、その後の各報告日において公正価値で再測定しております。公正価値は割引後のキャッシュ・フローを基礎として算定しており、主な仮定として、各業績目標の達成可能性および割引係数が考慮されております。
企業結合による条件付対価の公正価値については、企業結合(注記13)で記載しております。
② 償却原価で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産については、短期間で決済されるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
③ 資本性金融商品
上場している資本性金融商品の公正価値は、市場価格もしくは取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
非上場の資本性金融商品は、簿価純資産法、マルチプル法等を使用して評価しております。マルチプル法では、対象企業の類似上場企業を選定し、当該類似企業の株式指標を用いて公正価値を算定しております。
④ ヘッジ会計を適用しているデリバティブ
ヘッジ会計を適用しているデリバティブの公正価値は①純損益を通じて公正価値で測定される金融資産および金融負債と同様の方法によっております。
⑤ 償却原価で測定される金融負債
社債の公正価値は、取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
借入金およびファイナンス・リースの公正価値は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、その将来キャッシュ・フローを信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によっております。
上記以外の債務については、流動項目は短期間で決済され、また非流動項目は実勢金利であるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
(2) 公正価値の階層(公正価値ヒエラルキー)
レベル1:活発に取引される市場で公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接、または間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
(3) 取得原価で計上される金融商品の公正価値
当第3四半期末の要約四半期連結財政状態計算書上において公正価値で測定されない金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
当第3四半期 (2018年12月31日) | ||
帳簿価額 | 公正価値 | |
社債 | 1,728,378 | 1,752,611 |
長期借入金 | 819,649 | 819,990 |
ファイナンス・リース | 131,003 | 134,740 |
社債、長期借入金およびファイナンス・リースには、1年内返済および償還予定の残高を含んでおります。なお、社債、長期借入金およびファイナンス・リースの公正価値のレベルはレベル2であります。
なお、帳簿価額が公正価値に極めて近似している金融商品については、上記の表から除外しております。
(4) 要約四半期連結財政状態計算書において認識された公正価値の測定
(単位:百万円) | ||||
当第3四半期 (2018年12月31日) | レベル1 | レベル2 | レベル3 | 合計 |
資産: | ||||
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | ||||
デリバティブ | ― | 984 | ― | 984 |
転換社債 | ― | ― | 7,825 | 7,825 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | ― | 5,297 | ― | 5,297 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | ||||
資本性金融資産 | 122,065 | ― | 43,906 | 165,971 |
合計 | 122,065 | 6,281 | 51,731 | 180,077 |
負債: | ||||
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債 | ||||
デリバティブ | ― | 3,490 | ― | 3,490 |
企業結合による条件付対価 | ― | ― | 26,427 | 26,427 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | ― | 11,463 | ― | 11,463 |
合計 | ― | 14,953 | 26,427 | 41,380 |
報告期間に発生した公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、報告期間の末日において生じたものとして認識しております。当第3四半期累計において、レベル1、2および3の間の振替はありません。
企業結合による条件付対価に関するその他の注記については、企業結合(注記13)で記載しております。
(5) レベル3に分類された金融資産の調整表
(単位:百万円) | |
当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) | |
期首残高 | 47,789 |
利得または損失 | |
純損益 | 593 |
その他の包括利益 | △3,676 |
購入 | 7,036 |
売却 | △10 |
その他 | △1 |
期末残高 | 51,731 |
純損益に含まれている利得または損失は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に関するものであります。これらの利得または損失は、要約四半期連結純損益計算書において「金融収益」または「金融費用」として認識しております。
その他の包括利益に含まれている利得または損失は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に関するものであります。これらの利得または損失は、要約四半期連結純損益及びその他の包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の変動」および「在外営業活動体の換算差額」として認識しております。
資本性金融商品の公正価値は、当社グループの経理・財務担当部門によって、グループ会計方針等に従い、決算日時点で入手可能な情報を用いて測定されます。公正価値測定の結果およびその算定プロセスは必要に応じてマネジメントへの報告がなされております。レベル3に分類された資本性金融商品の公正価値算定に用いた観察可能でないインプットのうち主なものは、マルチプル法におけるEBITDA倍率であり、4.9倍から11.8倍の範囲に分布しております。EBITDA倍率が増加(減少)した場合、公正価値は増加(減少)します。
13 企業結合
(1) 重要な企業結合
TiGenix NVの取得
当社グループは、2018年4月30日に、当社グループが未だ保有していないTiGenix NV (以下、「タイジェニクス社」)の全ての発行済普通株式、新株予約権および米国預託株式(以下、普通株式、新株予約権および米国預託株式を総称して「有価証券」)の現金による任意の株式公開買付けを開始しました。2018年6月8日、当該第1回目の株式公開買付けに申込みがなされた有価証券を470.2百万ユーロで取得し、当社グループが公開買付け前から保有するタイジェニクス社の普通株式と合わせて、90.8%の議決権を取得しました。
タイジェニクス社は、重篤な疾患に対して幹細胞を用いた新たな治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業です。本買収により、非活動期又は軽度活動期のクローン病(CD)に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として治験実施中の、同種異系の脂肪由来幹細胞(eASC)の懸濁液であるCx601(一般名:darvadstrocel)に関する米国における権利が得られ、当社グループの開発後期にある消化器系疾患(GI)パイプラインが拡充されることになります。なお、2018年7月に終了した第2回目の株式公開買付けおよびその後のスクイーズアウトにより、タイジェニクス社は当社の100%子会社となっております。
取得した資産、引き受けた負債の暫定的な公正価値は、以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |
金額 | |
無形資産 | 63,421 |
その他の資産 | 5,541 |
繰延税金負債 | △8,043 |
その他の負債 | △5,678 |
ベーシス・アジャストメント | △3,381 |
のれん | 18,143 |
合計 | 70,003 |
取得対価は、以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |
金額 | |
現金 | 67,319 |
取得日直前に保有していたタイジェニクス社の普通株式 | 2,684 |
合計 | 70,003 |
のれんは、今後の事業展開により期待される将来の超過収益力を反映したものであります。のれんは、税務上の控除の対象とはなっておりません。
取得資産および引受負債の公正価値測定に必要となる基礎数値についてより詳細に検証しており、取得対価の配分が完了していないことから、上記の金額は、現時点で入手しうる情報に基づいた暫定的な金額であります。暫定的な金額となっている主な項目は、無形資産、繰延税金負債およびのれんであります。なお、当第3四半期累計において暫定的な公正価値を修正した結果、取得日におけるのれんは1,831百万円減少しております。これは、その他の資産および繰延税金負債がそれぞれ253百万円および2,084百万円減少したことによるものであります。
当社グループは取得対価にかかる為替リスクをヘッジするために為替予約を締結し、ヘッジ会計を適用しております。ベーシス・アジャストメントは、取得日のヘッジ手段の公正価値3,381百万円であり、のれんの帳簿価額に加算しております。
取得日直前に保有していたタイジェニクス社の普通株式の再測定による利得または損失は計上しておりません。
当該企業結合により生じた仲介手数料およびデューデリジェンス関連コスト等を含む取得関連費用767百万円を、発生時に「販売費及び一般管理費」に計上しております。
当第3四半期累計の要約四半期連結純損益計算書で認識している、取得日以降のタイジェニクス社の売上収益、四半期利益は軽微であります。また、取得日が2018年4月1日であったと仮定した場合の、当第3四半期累計の当社グループの売上収益および四半期利益に与える影響は軽微であります。
(2) 条件付対価
特定の企業結合の対価には、開発マイルストンおよび販売目標の達成等の将来の事象を条件とする金額が含まれております。各報告日において、企業結合による条件付対価の公正価値は、リスク調整後の将来のキャッシュ・フローを適切な割引率を用いて割り引いた金額に基づいて再測定しております。次に記載のある条件付対価は、主として、2012年6月におけるURLファーマ Inc.(以下、「URLファーマ社」)の買収に伴い取得した「コルクリス」(痛風治療剤)に係る事業(以下、「コルクリス事業」)の業績に応じて、一定期間支払われるロイヤルティの現在価値であります。なお、コルクリス事業の業績に応じて支払われるロイヤルティについては、支払額の上限がなく、将来の業績見通しに基づき支払見込額を算出しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。なお、公正価値のヒエラルキーについては金融商品(注記12)に記載しております。
① 条件付対価の公正価値の増減
(単位:百万円) | |
当第3四半期累計 (自2018年4月1日 至2018年12月31日) | |
期首残高 | 30,569 |
企業結合による増加額 | ― |
期中公正価値変動額(未実現) | |
URLファーマ社 | 432 |
その他 | △11 |
期中決済額 | |
URLファーマ社 | △2,958 |
その他 | ― |
未払金への振替 | △1,864 |
為替換算差額 | 368 |
その他 | △109 |
期末残高 | 26,427 |
② 感応度分析
条件付対価の公正価値に影響を与える重要な仮定が変動した場合に、条件付対価の公正価値に与える影響は以下のとおりです。
(単位:百万円) |
当第3四半期 (2018年12月31日) | ||
コルクリス事業から生じる売上収益 | 5%上昇した場合 | 612 |
5%低下した場合 | △612 | |
割引率 | 0.5%上昇した場合 | △176 |
0.5%低下した場合 | 178 |
14 売却目的で保有する処分グループ
2018年3月31日現在の売却目的で保有する処分グループは、主に当社の連結子会社であるMultilab Indústria e
Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.,に関連する資産、負債、その他の包括利益のグループで、売却目的保
有に振替されたものであり、当該子会社株式は2018年7月に売却されております。また、当社の連結子会社である
広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式について、当社グループは保有していた51.34%分の株式の全て
を譲渡する契約を2018年5月に締結し、関連する資産および負債を当第1四半期末において売却目的で保有する処
分グループに分類しておりましたが、当該子会社株式は2018年8月に売却されております。
15 コミットメントおよび偶発負債
訴訟
当社グループは、複数の訴訟および行政手続に当事者として関与しております。下記の記載事項を除き、前連結会計年度の連結財務諸表に記載した内容から重要な変更はありません。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
アクトス
ミシシッピ州およびルイジアナ州は、当社グループおよびEli Lilly And Company(以下、「イーライリリー社」)がアクトス服用による膀胱がんおよびその他のリスクに関する警告を怠ったと主張し、両社に対して訴訟を提起しております。当該訴訟においては、州がメディケイド等のプログラムを通じ、患者のために負担したアクトスの薬剤費の払戻し、アクトスに起因する傷病の治療費、弁護士およびその他の費用の補償、並びに懲罰的損害賠償が請求されております。2018年11月、当社グループおよびイーライリリー社とミシシッピ州は、ミシシッピ州より提訴された訴訟について和解に至っております。ルイジアナ州から提訴された訴訟は引き続き係争中であります。
知的財産権
プレバシド
2009年6月、カナダのトロントにおいて、当社グループとAbbott Laboratories(以下、「アボット社」)がApotex Pharmaceuticals Inc.(以下、「Apotex社」)に対して提起した以前の特許侵害訴訟によりApotex社の後発品(ランソプラゾールカプセル)の市場参入が遅れたとして、Apotex社は当社グループとアボット社に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。2019年1月、当該当事者は和解に至っております。
アミティーザ
Sucampo Pharmaceuticals, Inc.(以下、「Sucampo社」、当社グループのライセンサー)は、2017年3月にAmneal Pharmaceuticals, Inc.から、2017年8月にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.から、アミティーザに対するParagraph IV証明を受領しました。当該両当事者は、米国食品医薬品局(FDA)のオレンジブックに掲載されているアミティーザの特許は無効であること、また彼らのANDA(Abbreviated New Drug Application)製品による特許侵害はないことを主張しました。これに関し、Sucampo社および当社グループは、当該両当事者に対する特許侵害訴訟を提起しました。2018年6月、当該両当事者に対する特許侵害訴訟について和解が成立しております。
16 後発事象
(1) Shire plcの買収
当社グループは、2019年1月8日、Shire plc(以下、「Shire社」)の発行済普通株式の全てを取得し、100%の議決権を取得しました。Shire社は、希少疾患およびその他の高度な専門性を要する疾病向けの製品に注力しているグローバルなバイオテクノロジー分野のリーディングカンパニーです。
当社グループは、本件買収は当社に下記のようなメリットをもたらすものと考えております。
· 魅力的な国内外の拠点を有し、さらなる発展を促進する規模を有する、日本で設立され日本に本社を置く、企業価値の向上を追求する、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーを創出すること
· 3つの重点領域のうち2領域(消化器系疾患およびニューロサイエンス)における当社の地位を強化し、希少疾患および血漿分画製剤における主導的な地位を確保すること
· 強固かつモダリティの多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、画期的なイノベーションにフォーカスした研究開発体制を強化すること
· 当社のキャッシュフロープロファイルの向上、また、十分なシナジー創出および充実した株主還元の実施への経営陣のコミットメントを通じて、本件結合後グループに十分な経済的利益を提供すること
本件買収において、旧Shire社株主は、Shire社の株式1株に対し、現金30.33米ドルおよび当社株式0.839株または当社のADS(米国預託株式)1.678株のいずれかを対価として受領しました。現金対価の合計額は3,029,430百万円、株式対価の合計額は3,131,282百万円であり、これらの総額は6,160,712百万円です。
当該買収が実行された時期に起因し、要約四半期連結財務諸表の発行が承認される時点で企業結合の当初の会計処理が完了していないため、取得した資産および引き受けた負債の公正価値、取得日が2018年4月1日であったと仮定した場合の当第3四半期累計の当社グループの売上収益および四半期利益に与える影響等を開示しておりません。
買収の対価の一部として旧Shire社株主に対して割り当てるため、2019年1月8日、当社は普通株式770,303,013株(ADSの原株として預託される普通株式200,527,229株を含む)を発行しました。発行価格は4,065円(発行価額の総額は3,131,282百万円)であり、資本組入額は2,032.50円(資本組入額の総額は1,565,641百万円)です。
また、2019年1月11日、買収に必要な資金を調達するため、2018年6月8日に締結した"Term Loan Credit Agreement"、2018年10月26日に締結した"Senior Short Term Loan Facility Agreement"、および2018年12月3日に締結した株式会社国際協力銀行との"Loan Agreement"について借入を実行し、総額1,715,526百万円を調達しております。
(2) 不動産事業の一部承継のための会社分割および株式譲渡について
当社は、当社の100%子会社である武田薬品不動産株式会社(以下、「武田薬品不動産」)において、新たに100%子会社(以下、「対象会社」)を設立し、2019年3月11日付で、当社および武田薬品不動産の不動産事業の一部を対象会社へ吸収分割により承継(以下、「本会社分割」)させるとともに、当社および武田薬品不動産が保有することになる、本会社分割の対価として割り当てられる対象会社の発行済株式の全部を2019年3月22日付で譲渡すること(以下、「本株式譲渡」、本会社分割とあわせて、以下、「本件取引」)を決定しました。また、2019年1月28日、当社は本株式譲渡に関する契約を締結しております。
本件取引により、株式譲渡先は、武田薬品大阪本社(武田御堂筋ビル)を含む21の資産を保有することになります。当社は、当連結会計年度に本株式譲渡により株式譲渡益約380億円(税引前)を計上する予定です。本件取引完了後も、大阪本社(武田御堂筋ビル)等における当社の事業活動は継続されます。